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(短編集)
動機
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動機の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全94件 41~60 3/5ページ
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D県警シリーズ第1作『陰の季節』と似た雰囲気を持つ短編集。 Wikipediaでは本作も同シリーズに含めているが、 表題作の主人公宅にD県警の調査官からリンゴが届くだけで シリーズに含めるのは如何なものか? 閑話休題、収録4作品とも相変わらずの高水準。 一般には“動機”の評価が高いようだが、個人的には“逆転の夏”が強く印象に残った。 決して共感できるキャラクターではないが、塀の中に落ち、社会のレールから完全に外れてしまった主人公の 「学生時代は楽しかった。〜〜そこですべてが終わった。」の恨み節が理不尽ながらも胸を打つ。 | ||||
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週刊文春 2000年 国内第3位 このミス 2001年 国内第2位 第53回日本推理作家協会賞短編賞受賞 第一短編集『陰の季節』も良かったが、本書はより人間ドラマとしての色合いが強くなっているようだ。鬱屈し切羽詰まった心理状態の人々織り成す物語は、けっして読後感がよいわけではない。けれど、彼らの人生それからを思うと感慨一入なのである。全四編に通底するテーマは、自分自身を見つめ直すということだろうか。横山秀夫さんの追い立てるような書きっぷりに、知らず知らずのうちに一気に読みきってしまう。 ■動機 J県警本部警務課企画調査官 貝瀬警視は、警察手帳の紛失事故防止を狙って、警察手帳の一括保管を導入した。ところが、保管した三十冊分の警察手帳が何ものかに盗まれてしまう。事態は貝瀬の責任問題に留まらず、J県警の不祥事にまで発展していくのだった。貝瀬は、一括保管に反対した内部犯行を疑うが、捜査は遅々として進まない。はたして、タイムリミットの記者会見まで、警察手帳を取り戻すことができるのか。 ・・・ 警察組織という縦社会で、孤立していく主人公 貝瀬の焦燥が痛々しい。警察官であった父、そしていじめにあっている我が子との関係をバックグラウンドとしてストーリーは進んでいく。警察手帳の事件の結末と、貝瀬が自身を見つめ直していく様がリンクする。しっとりとした余韻を残す名作である。 ■逆転の夏 十三年前に女子高生を殺害し、服役した過去もつ山本は、世間から身を隠すように暮らしていた。別れた妻子へ送金を続けるだけの日々を送る山本に、ある日、一本の電話が入る。それは、人を殺して欲しいという見ず知らずの人物からの依頼だった。山本は、殺人を犯す気はなくとも依頼を断固として断り切れない。そして、妻子の送金のため、謎の人物から振込まれた金に手をつけてしまう。 ・・・ 死に立ち直ろうとしながら、それでもなお転落の道を歩まざるをえない男を描いている。主人公 山本の犯してしまった罪への悔恨と、別れてしまった妻子への愛惜がなんともせつない。社会に拒絶されるという出口のない虚しさが漂う作品だ。 その他、「ネタ元」、「密室の人」が収録されている。 | ||||
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この本は短編集です。 本のタイトルになっている「動機」を読み初めてすぐにハマって引き込まれていきました。 「動機」は警察の話でページ数の少ない中に話が凝縮されて全く無駄の無い文章に著者の力量の高さが伺えました。 この本の中で一番長い「逆転の夏」 これが凄かった!被害者と加害者の心の内が巧みに描かれていて気が付くと感情移入して読んでいました。 全ての話で驚かされて、残り2話も楽しく読めました。 最後の話の終わり方も良かった。 | ||||
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短編集だがどれも中身の濃い作品集 中でも特別好きなのが「逆転の夏」です。 妻の描写がやや人間味にかける気がするけど 本当にドキドキする内容でした。 全編素晴らしくて他の横山作品をもっと読み込んでみたくなりました。 | ||||
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「半落ち」「第三の時効」など警察小説で知られる横山秀夫さんの短編集です。 4編収録で各約70ページ、合計は312ページで所要は4時間程度です。 タイトルと主役は 動機:地方警察の警務課調査官 逆転の夏:刑期を終えて出所した殺人犯 ネタ元:地方警察担当の女性新聞記者 密室の人:再婚した地裁判事 とバリエーションがあり、飽きません。 内容は他の作品と同様、警察に絡む人間ドラマを淡々とした筆致で冷徹に描いています。 そしてストーリーは濃密です。短い中にも伏線があり、鮮やかにラストに収斂されます。 ミステリーが好きな方、特に警察関係の小説が好きな方にはおすすめの小説です。 | ||||
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短編4作品。 どの作品も内容が濃く読みごたえがあって、 じっくり丁寧に書かれているなと感じます。 登場人物の心の内側の描写が巧みで、感情移入しやすく、 また、読後感の悪い作品も無し。 横山秀夫作品は、短編にも一切手抜きを感じさせず、 完成度が高いため、がっかりすることなく安心して読めます。 むしろ短編の方が真骨頂なのか。 | ||||
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第三の時効の面白さにハマり、横山さんの本をアマゾンで、まとめ買いしました。その中で、まず手に取ったのがコレ。【動機】署内で一括保管されている、30冊の警察手帳が紛失。外部の犯行か?もしくは、内部犯?警務課と刑事部のあつれきやや、その他様々な人間関係が主人公の貝瀬の脳裏に纏わりつく。この主人公の疑心暗鬼に、読み手も心がザワつく。犯人は一体誰なのか?犯人が判明した後も、読後は悪くありません。【逆転の夏】女子高校生殺しという過去を背負った主人公。出所後、真面目にひっそりと暮らしている日常に殺人以来の電話がかかる。何故、自分なのか?その謎が解けた時、驚愕の事実が浮かびます。この作品は、すごい!一読の価値有りです。【ネタ元】地方紙の女性記者物。さすが、元記者だけの作者だからこそ書ける、臨場感。男尊女卑の体制が今も根強い仕事で起こる女性記者の内心の葛藤が巧い。【密室の人】裁判中に居眠ってしまった、判事の私生活を絡めての話。最後の愛妻の手紙が、全てを語ります。4編、どれも面白いですが、やはり群を抜いて「逆転の夏」がイイ。横山さんの描く登場人物達は、みな硬派であり仕事に対峙する真摯な姿勢が好感を持てます。一体最後はどうなるのか?硬質な文面ではあるけれど、読み手を決して飽きさせない。最後まで息をつかせない展開は、さすがです。 | ||||
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4つの異なる味わいのある短編集です。 真面目に生きてきた人たちが、ささいな事をきっかけに、じわじわと困った状況に追い込まれていく様があり、、、 「誰の日常の中にも、危うさがある」そう思わずにいられません。 主人公は、困った状況をなんとか分析して脱しようと、周囲で起こる出来事の不確実な部分に推理を重ね、行動していきます。 その極めて慎重を要する流れの中で共通していたのは、【周囲への猜疑心】と【人生を踏み外すことへの恐怖】でした。 人の不幸を活字で読む。 ちょっとした時間で、十分に堪能し、ふっと本を閉じれば、自分は無傷。 けれども、そこに余韻が残る。そんな小説です。 | ||||
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四篇とも、読み応え抜群でした。 あれ、これって伏線かな・・・と漫然と思っていたものが、 予想外かつ衝撃の展開を遂げて、目も覚めるようでした。 やはり、横山作品は何が起こるのかまったくわかりません。 それに描写のしかたもすごい。 「勢い」があって、引き込まれずにはいられません。 「動機」に収録された作品は、どれも男らしさ(一部女性が主人公のものもありますが)が 存分かつ大胆に描かれていて、そのせいで読んでいる側が興奮を覚えてしまいます。 しかもその陰には、人間の悲哀や苦悩といったものが濃厚に描かれている。 作品内のトリックも、ただ読者にこびを売るためではなくて、そうした「人間らしさ」を 描くための小道具にすぎません。 それが、たった70ページほどの短編小説たちの作品世界をうんと広くしてしまう。 「逆転の夏」が特にそうだと思います。まるで長編小説を読んでいるような感覚に浸れました。 余談;「クライマーズ・ハイ」で横山作品が気に入った方は、 ぜひこの小説も読むべきだと思います。 横山秀夫の短編小説もまた、すばらしいということがわかるでしょう。 | ||||
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長編でも短編でも横山秀夫の魅力は十分発揮できることが分かりました。特に短編だからこそ、人間の心の移り変わりがはっきり描写されており、ドキドキ感が高かったような気がします。本書は4編で構成されていますが、お得意の警察ものだけでなく、弁護士や新聞記者、そして元犯罪者まで色々あります。特に元犯罪者が主人公の「逆転の夏」は絶品です。横山ワールドを堪能したい方必読です。 | ||||
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表題作は、短編集『陰の季節』の4作と同じくD県警シリーズの一作。このシリーズは管理/事務部門の警察官を主役としているところが独特である。 警察内部で起きた警察手帳の大量紛失事件。息詰るような警察組織の内で、独力で犯人探しをする事務系警察官の奮闘を描いた表題作は文句なしの傑作だと思う。『陰の季節』も良かったが、表題作『動機』はそれを上回る出来だと思う。『陰の季節』では、出世、保身、策略といったものがあまりにも前面に出ておりやや殺伐とした印象があったが(それはそれで良いのだが)、本作では、そういったものを描きながらも、それだけではない、もう少し人間的な「動機」も描いており、何とも言えない読後感の良さがある。 他の3作もやや女性の描き方が不自然な気もするが、それなりに面白い。 警察官、裁判官、新聞記者といった世間的には高度な職業倫理が要求されていると思われがちな職業人達も、実は世俗的欲望に基づいて行動しているんですよ、という横山作品の原型がつまった良質短編集だと思う。 | ||||
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警察モノはピカイチですね♪ その周辺の人たちの,細かな描写が素敵。 | ||||
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本書は4つの短編からなっています。どの短編もクオリティが高く、それぞれに苦悩する人間(主人公)が描かれています。 それぞれの短編の紹介をします。 動機:30人分の警察手帳が盗まれた。警務課の貝瀬がその原因を突き止めなければならない。刑事課との対立など見所が多い。最後は家族がキーポイントとなるのか。 逆転の夏:元服役囚で、現在葬儀会社に勤める山本が主人公。ある日、カサイという人からある人を殺したいという内容の電話があった。それから事が進むのである。私がいちばん好きな作品である。 ネタ元:地方紙の女性記者の水島真知子が主人公の話。女性記者の苦悩がでている。 密室の人:判事である安斎利正が主人公の話。ある日、公判中に居眠りをしてしまい、寝ぼけて愛妻の名前をつぶやいてしまった。安斎は責任を取らされることになる。 | ||||
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テレビドラマが原作をより肉厚にして 良品に仕上げている感が期待できるのは 横山氏の警察シリーズと池波正太郎氏の鬼平犯科帳だと思います。 「動機」「逆転の夏」「ネタ元」はドラマを見て読むといっそう臨場感があります。 ただ「密室の人」は原作の方がドキドキですね。 裁判中に裁判官が居眠りする…設定もそれにまつわる背景も 決して新しい発想ではないにもかかわらず、 スリルと期待を味あわせてくれるから不思議です。 | ||||
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横山秀夫の真骨頂は短編にあると思う。 『半落ち』や『クライマーズ・ハイ』などの長編のほとんどが映画化されており、直木賞候補にもなっているため長編の方が知名度は高い。むろんいずれの長編も傑作ではあると思う。だが横山秀夫の短編作品群の前では色褪せてしまうことは否めない。それほどまでに短編の完成度は高く、読むたびに唸ってしまう。 本書はそんな横山秀夫の短編集の中でも、事実上の出世作となった一冊である。特に表題作は日本推理作家協会賞を受賞している。 警察署内で一括管理されていた警察手帳が何者かによって盗まれた。内部の犯行か、それとも犯人は外部にいるのか? マスコミへの発表前に犯人を見つけ出そうと、一括管理の発案者である貝瀬は東奔西走する。各部署の思惑や人生が交錯する中でようやく一人の人物が浮かび上がるが……。 謎だった動機と、それに思い至った貝瀬が取る行動が本編のクライマックスである。新聞記者だった横山が描く人間模様は、多種多様な舞台を背景にしながらも圧倒的なリアリティを誇り、その底を流れる悲哀と見事な描写テクニックは、和製ハードボイルドここにありと思わずにはいられない。前科者、新聞記者、裁判官をそれぞれ主役に据えた他の三篇もいずれ劣らぬ佳作であり、期待を裏切らない。横山秀夫はすごいと改めて思わせてくれる、入門書としても最適な短編集である。 | ||||
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第53回 日本推理作家協会賞 4つの短編から構成されています。 同著者の『第三の時効』もとても面白かったですが、こちらも負けていません。 どの短編も面白く、テンポが良いのであっという間に読破出来ると思います。 警察小説の中でも最高傑作に入るレベルだと思います。 | ||||
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文庫本サイズ300ページほどの一冊であるが、四つの短編作品が収められている。 物語の主人公は、刑事であったり、新聞記者であったり、裁判官であったり…と横山秀夫らしい。一つ一つの作品は、短いが十分に、横山秀夫の世界観を満喫できる一冊である。 短編作品ということで、気軽に読める。それでいて、中身も濃い。自信を持って、お勧めできる一冊である。 | ||||
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氏の作品の最大の特質は、元地方紙の事件記者という経験を生かし、警察を中心とした 刑事司法やその周辺で生きる人々や組織の暗部、暗闘、苦悩を活写する、というところにある。 そこは非常に良く描かれている一方、トリックというかミステリーの核の部分は一寸弱いかなあという感じもするが、短編ネタを強引に引き伸ばしたような「半落ち」よりは、全体として 出来が良く、お薦めできる。 | ||||
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イメージの問題だが、男くさく、タバコくさい。しかし、酒臭くはない。何となくハードボイルドなイメージかな。 ストーリーとしては、「動機」の気の利いた展開は面白い。また「逆転の夏」は、ハラハラさせられて、小説な感じがする。いずれも取り上げられるのは身近な話題ではないことから、「ああこんな世界もあるんだな」と感心する。 | ||||
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以前から横山秀夫作品がテレビドラマ化されていたことは知っていたし、「影の季節」というどことなく殺伐とした印象を与えるタイトルも頭の片隅に残っていた。「著書『影の季節』と『動機』あわせて100万部突破した!」という黒帯の白抜きされた言葉に思わず手が伸びた。どちらの作品からもとても斬新な感覚を与えられ、目から鱗が落ちるような思いであった。犯人逮捕に全力投入する刑事部門の活躍ではなく、警務課、監察課そして秘書課といった「別角度」から、警察機構の内部(正確には「管理部門」で働く人間の内面)に潜む赤裸々なドラマを、あたかもそこに勤務している人間であるかのようなタッチで描かれた短編小説に惹き込まれた。特に印象深かった作品は、『動機』所収の「動機」と「逆転の夏」の二作品である。どちらの作品も、「家族」というかけがえのない財産を守るという使命に邁進する男(ここでは父親)の姿が活写されている。テーマや切り口の斬新さもさることながら、横山作品に自然に惹き込まれてゆくのは、やはり「自分が現場にいる人間」であるかのような、その人間の感情や意志を生々しく綴る「文体」にもあるような気もするのである。こうして、作品に登場する人物と読者が見事にコラボレーションする、つまり、読者はそこにいる登場人物と一体化してしまうわけだ。先行きが読めないという緊張感はそれによって更に助長される。『動機』では、警察官にとどまらず、殺人を犯した前科物、事件記者そして裁判長という登場人物にまで拡張され、新たな作風をいかんなく醸し出している。ドラマ化された作品を少しは見ているはずであるが、やはり原作そのものを読まないと臨場感を理解できない。テレビ放送の鑑賞という行為はたぶんに受動的であるのに対し、読書は能動的である(少なくとも「そうあろうとする」)からである。本書をはじめ、多くの作品が読者の目に触れることを願いたい。 | ||||
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