■スポンサードリンク
(短編集)
影踏み
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
影踏みの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全59件 41~59 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これは1人のバカな男の物語である。だが男は決して愚かではない。 そんな男が自分に振りかかる火の粉を怯まず懸命に振り払う姿が7話の連作短編にじっくりと描かれている。 自分のため、好きな女のため楽に器用に生きればいいのに そう生きるのに十分な能力を持っているのにと、読中何度も思わされる。 しかし男はそうしない、何故か?バカだからである。 死んだ家族を、好きな女を想い、男はあえて痛ましい程不器用に生きているように見える。 その男は“ノビ師”と呼ばれる職業泥棒をしている。 したがって、これまでの横山作品と違い、追う側ではなく追われる側の話になっている。 その所為か読後の印象は、他の作品に比べ爽快感は少ないと思う。 その分、他の作品よりハードボイルド感は出ていて、それが何とも言えない味わいを醸し出し 一味違った魅力になっていると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2005年版このミス47位 深夜寝静まった民家を襲い現金を盗み出す「ノビ師」。本作品は、長編の形をとっているが、内容的には「ノビカベ」こと真壁修一を主人公とした連作短編集である。司法試験を目指していた15年前、空き巣の常習犯となった双子の弟・啓二を道連れに母親が自宅に放火し焼死した。この日を境に、修一の意識に啓二が棲むようになり、修一は弟を奪った母親への当てつけとしてノビ師となる。 ノビ師の仕事を手伝いながらも何とか久子と修一の仲を修復させようとする啓二、そして、修一を待ち続ける久子、本作品は、「弟啓二と母親の関係」「幼なじみの久子との関係」、の二つを軸に、6つのエピソードが展開され、作品の最後に大きな秘密が明らかにされる。 作者のこれまでの作品のなかで、ハードボイルド色が強い本作だが、それぞれのエピソードが作品の他の作品同様、よく練り込まれている。私にとって 年の「クライマーズハイ(作者の作品)」以来の徹夜本となった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横山秀夫作品の中でもおそらく3本の指に入る連作短編小説集。7つの短編は全て独立した作品として読んでも、一つの長編として読んでも、完成度が高く十分に楽しめる内容になっている。これまでは、警察内部の人間を主人公に据えることが多かったが、この作品では”ノビ師”と呼ばれるプロの泥棒にスポットを当てている。 なんといっても、主人公の分身ともいえる死んだ双子の弟=啓二との会話に注目だ。心の中で交わされる会話なので声には出さないものの、二人(?)が発する<気>を時々周囲のリアルな人間に感づかれてしまう場面などはとても面白く読むことができた。さらに、主人公が移動手段に使う自転車も、この作品のかくし味として効いている。移動可能な範囲がとある町の狭い範囲に自動的に限定されてしまうため、いまどきのミステリーには珍しく、地域密着型の濃密な人間関係の描写になっている点にも好感が持てる。 主人公の<ノビカベ>こと真壁修一は、人の留守中を狙う空き巣とは違って、真夜中堂々(?)住人が寝しずまっている間に家にしのびこみ、音をたてることもなく仕事を片付けるプロ中のプロである。なので、泥棒仲間からも一目おかれる存在であり、修一自身も自分の仕事に一種のプライドのようなものを持っている。読者の主人公へのシンパシーを呼び込みやすくさせるこの辺の仕掛も、横山秀夫ならではの<冴え>を感じる、おすすめの一冊だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
背負うものがあって生きている人というのは、自分の影を踏みながらの生活になるのだろうか?自分がしていることから、相手の行動を推理し、非合法的解決を図る。考えてみれば恐ろしいことだ。双子の弟が狂言回しになっていて印象深い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
警察小説の名手が、その好敵手(?)であるプロの泥棒を主人公に描いた連作短編集。 その設定だけでも横山秀夫らしくないな・・・と思うかも。 さらに主人公が死んだ弟と頭の中で会話しながら話が進むという異色の展開。 これだと、ただのファンタジーになってしまうところだが・・・。 さすがに横山秀夫。泥棒業界(?)独特の人間関係や仕事のやり方、警察との微妙な関係などを余すところなくリアルに描いているので、いつのまにかその不思議な世界にどっぷり浸かってしまう。 また、主人公はある事情により、非常に禁欲的にストイックに行動する。 ハードボイルド小説ファンも共感するかもしれない。 死んだ弟との対話も、奇を衒っているわけではなく、自分との葛藤、そして物語のヒロインである女性との関係を語る上で重要なファクターになっている。 切なくも、前向きな予感のするラストも、好感度大。 読み終えて、タイトルの意味をもう一度考えて、思わずうなってしまった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横山秀夫の小説にしては、かなり異色です。 主人公がいわゆる“警察の敵(お客さん?)”ですし、 死んだ双子の弟が意識の中(中耳)で同居するという オカルト的な一面も持ち合わせています。 しかし、小説自体はは今までの横山さんの作品と同じく 精緻な描写、巧妙なストーリー展開が楽しめます。 そして全体に漂うハードボイルドな空気感も魅力的です。 何気ない描写の中に、何気なくヒントが隠されているので 何度も唸らされました…。 確かに異色ではありますが、これは紛れもなく横山作品です! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
通常の長編小説とはちょっと違い、各章が繋がっているけれども、繋がっていないような感じもする、違和感のある小説の中に、ノビ師を主人公に、得意の警察ネタや、双子の葛藤、その中で揺れる女性の思いなどが散りばめられている。違和感をもたせつつも読者をひきつける力はさすがで、違和感は途中で消え、そこからは一気に読破したものの、それまでの歯に物が詰まった感じが読後感として残りました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
家人が寝静まった頃に忍び込み、盗みを働く「ノビ」を専門の生業とするノビ師の真壁修一は所轄警察からも同業者からも「ノビカベ」と呼ばれ一目置かれている。 修一には双子の弟・啓二がいた。しかし15年前、啓二の境遇を苦にした母親によって焼死させられてしまった。修一と啓二は同じ女性(久子)に思いを寄せるもお互いを認めあっていた。それだけに世間体を気にして啓二を奪った母親が許せずに、法を捨てノビ師となる。 連作の短編となる本作品はややオカルト的な設定だが特段奇異に感じるほどでもない。それは侵入のテクニックやオカルト的設定に任せた謎解きに頼ってはいないからだ。リアリティ云々よりも「修一が見ていた双子の弟」と「母親が見ていた息子」の明暗が色濃く出ているように思う。 巧妙な伏線や哀切たっぷりな心理描写はさすが。『影踏み』というタイトルにも深みがある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
異色作という言葉がこれほど似合う作品もないだろう。静かにはられる伏線とどんでん返しのカタルシスは健在ながら警察小説の世界に新境地を開いた著者が「ノビ師」といわれる職業泥棒を主人公にしたことが異色であり、死んだ弟の声が聞こえているというオカルト的設定も異色。まさにこの異色さがこの作品の評価が分かれている理由であろう。しかし、純粋にエンターテインメントとして楽しめた。あえていうならこの主人公真壁修一は横山秀夫版「新宿鮫」とでもいうべき「異色さ」という十字架を背負ったダークヒーローなのではないだろうか。短編がまとまって長編になっている本作から1つ選ぶとしたら「抱擁」を選びたい。人間心理の機微と巧妙な伏線、待ち受ける意外な結末を堪能できた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
悔しい、ほんとに悔しい。この本を読み終えたあとの率直な感想である。推理小説好きを自他ともに認め、初めの段階でおおよその犯人を言い当てることの出来ると自負していた自尊心を粉々に打ち砕かれた。全7章で構成されている影踏みは、今までの氏の視点を180度変えた作品であると、同時に推理小説という従来の作品を踏襲している。正と負、正義と悪など全く、反対の視点からとらえたアウトローものである。1章ごとの完成された結末が充実感を与えるとともに、7章が続き物ゆえ先に先にと読者を誘う面白さ。が、しかし1話ごとの結末にどんでん返しが読むものをうならせるすばらしい作品であると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
泥棒稼業の兄と、その双子の弟が謎を追う短編ミステリー連作集です。いつもの警察小説とは全く逆の立場の主人公達ですが、華麗かつ哀愁漂う見事なストーリー展開はいつものままです。しかし、今回は驚くべきことに、双子の弟はすでにこの世の者ではなく、二人は兄の脳内(中耳)で会話を繰り広げます。リアルな世界を書き続けてきた横山氏ですから、これには最初戸惑いましたが、たまにはこんなファンタジーもありでしょう。一つの体にニ人分の思考がある為、若干スーパーマン的な能力がありますが、それはそれで面白く読める要素だと思います。また、本作はミステリー色が強く、いわゆるどんでん返しが良く効いています。しかし、伏線はしっかり張られているものの、多少非現実的で、強引かな?と感じてしまうものも正直ありました。短編の7連作ですが、ストーリーの繋がりから、一つの長編としても読めます。「使徒」はなかなか感動的で気に入りました。横山氏の作品の中では若干毛色が違いますが、決して見劣りする作品ではないですよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いまや日本で一番読まれている作家、横山秀夫である。短編から出発した作家らしく、ベストセラーになった「半落ち」も短編連作の形をとった長編だった。現在のところ横山の作品で純粋な長編と呼べるのは「クライマーズハイ」くらいのものだろう。この「影踏み」もまた、短編連作である。主人公は真壁修一。寝静まった家から現金を盗む「ノビ師」であり「ノビカベ」の異名を持つ。さまざまな盗犯や刑事、ヤクザと織り成す6つのエピソードそれぞれが綿密に計算された謎ときを含む質の高い短編である。でありながら、異色なのは本編がオカルト的なところ。修一の頭の中には弟・啓二が住み着いており、この双子が脳内で会話をするのである。さらにそこに幼なじみで兄弟が奪い合った女性・久子がからんでくる。という複雑な構造。まっとうに生きる道を捨て犯罪者として生きるストイックな主人公なのだが、よおく考えると家族をなくしたショックで泥棒になり、アタマの中の弟と会話する、というイカれた人間の話でもある。しかし、主人公の論理的な思考と謎解きがすべてを救っているのかも…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ノビカベといわれる出所間もない泥棒とその中耳に居ついている焼死した双子の弟の話。ノビカベを取り巻くさまざまな事件を1話としたオムニバス形式になっている。泥棒用語にはめちゃくちゃ詳しくなれます。全体の軸として主人公・真壁修一、双子の弟・啓二、そして修一の婚約者・久子の関係が描かれます。修一と啓二の仲がいい双子でありながら、あらがえない運命と心の奥底に隠された感情が最後にわかりますが、イマイチすっきりしないという点で、星4つです。言ってみればオチがない作品に私は感じました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ノビ師とよばれる泥棒さんを主人公とした読みきり短編(4~5話)からなっていて読みやすかったです。警察関係に強い作家さんだけあって、結構警察関係の専門用語があります。泥棒がここまで詳しいか?などと思いましたが、そこはご愛嬌で、主人公が、降りかかる問題をエリート警察官並みの行動力と推理力で解決していきます。主人公は暗い過去を背負っていて、その過去と生きています。タイトルにも伏線として出てますが、読んでのお楽しみなので伏せておきます。結構意外な設定で面白かったです。さらっと読めてミステリーを楽しめる本でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横山秀夫さんの「影踏み」であるミステリーなんだろうなぁ・・主人公は兄弟(?)の泥棒である深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出す、その道では有名なプロであるその彼が逮捕され、2年の服役をして出所したところから物語はスタートする自分を通報した女、葉子の行方自分を待っていてくれた女、久子との過去と未来その久子を同時に愛してしまった弟との苦悩自分を捕まえようとする刑事達との心理戦理由も言わないまま自分を襲ってくるヤクザ達7つの短編で構成されており、それぞれに謎や殺人が発生し、主人公への覚えのない暴力もあるその謎を主人公は、ほとんど自分の 「盗みと頭脳と体力と自転車(?)」 で解決していくんである2への予感を感じさせる終り方には、賛否両論があるだろうが、けっこう本格的なミステリーとなっている(とオイラは思う)んである文字も大きく読みやすいので、読むのが早い人なら一日で読めるんであるいい本だと思うぢゃ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横山秀夫作品はすべて読んでいます。今回の作品は少し、私の苦手なジャンルです。中耳に聞こえる、双子の弟の声との対話が、少し、こちら側への説明くさい感じがして。しかし、短編集でありながら、それぞれの登場人物が色んな所で絡んでいる、いつもの手法はすばらしい、と思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初にオカルトチックな設定があったので、びっくりしました。死んだ双子の弟の霊が、頭の中に住んでいるなんて。ええっそっちかよ、と思ったんですが、心霊系の話ではなく、ミステリーでした。主人公真壁は、非常に寡黙です。その印象を際立たせるのに、けっこうおしゃべりな弟の霊が役立っています。 泥棒の世界はなじみがなく、ヤクザ系のハードボイルドからちょっと外れたジャンルで面白かったです。親子二代のスリを描いた「遺言」のラストが、切なくてよかったです。 でも、トリック好きとか推理好きの人に好まれそうな作品ですね。なぜ彼がノビ師になったのか、その必然性は足りない気がしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普通の推理小説みたいなものを想像していたのですが、いい意味で裏切られました。一つ一つの物語が完結して進行しつつ、全体に流れがある。非常に読み手を飽きさせないものでした。人物設定なども非常に斬新で、細かい場所に緻密な伏線があり断じて読み飛ばすことを許しませんでした。おもしろいです。今主流の推理小説に飽き飽きしている人がいたら、読んでみてください!ホンキで楽しめます。シリーズ化してもおもしろいかと思ったんですが、どうでしょうかね。読まれた方、どう思いますか?(笑)下手なレビューですみませんm(__)m | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作「クライマーズ・ハイ」では従来の警察小説から新たに世界を広げた著者だが、本作では寝静まった家に忍び入る「ノビ師」を主人公にしている。母親に道連れにされて火事で焼け死んだ弟。その内耳に響く弟の声との対話が話の重要な部分を占めているためか、今までの作品と比べると心理描写の部分が多く、かつ哀愁の漂う感じがする作品に仕上がっている。従来の犯罪小説や推理小説、ハードボイルドという枠組みを超えた作品と見ることもでき、横山秀夫が新たなジャンルに挑戦した作品といえるかもしれない。相変わらず、1つ1つの作品には細かい伏線が張られていて、読んでいくうちに作品の組み立ての複雑さに感嘆させられる。さすがだ。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!