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裸者と裸者
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【この小説が収録されている参考書籍】
裸者と裸者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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ハードカバーでの発売時に話題になったのは知っていたのですが、なぜか手が出ず、文庫化を機に手にしました。内戦状態となって有象無象の暴力が渦巻く日本で、幼い妹と弟を守り抜くために腕一本で生き抜く道を選んだ10代の少年、佐々木海人の物語(この巻ではそう)です。 リアリティその他の面で、ノれるかどうかはっきりと分かれる題材です。世界観をざくっととらえれば「コードギアス(の日本内戦状態)+北斗の拳(の荒涼感)+ガンダム00(主人公の少年兵的メンタリティのみ)」でしょうか。文学でいえば馳星周氏と花村萬月氏(特に「イグナシオ」っぽい)のギラリと熱く冷たく、ほんのり詩的なバイオレンスを感じました。 戦場や戦闘に巻き込まれる街が非常に正統派の的確な濃い描写で描かれる一方、主要な登場人物がみな、ある種の落ち着きを持って描かれています。海人が一度も正規の学校教育を受けることのないままにがむしゃらに生きてきたことを表すためか、彼の台詞は語彙が増えてもほとんどひらがな表記(しかも長くない)。ただの無学なキル・マシーンに見えるか見えないかのギリギリのラインですが、ふるまいや心の動きにある種の気高さを感じさせるキャラクター造形のため、バイオレントな場面でも熱くなりすぎません。ほかにも、預言者めいた台詞を吐く双子の月田姉妹、世話になる裏社会の顔役などの落ち着いた台詞回しがこの悲惨で熱い世界観をうまく冷ましているように思います。それに、海人が17歳(だと思う)にして生まれて初めて読む小説(読み書きの教材です)があまりにも素敵でやられた! 物語の運びが非常にハイスピードでパワフルな作品なので慌てて読みがちになる(ここが☆ひとつマイナス要素)のですが、そこをぐっとこらえて次巻以降も読みたい作品ですのでこの評価とします。3部作になるはずだったと聞いていますが、昨年の打海氏のご逝去で未完となりました。残念さ半分、下手な結末にならないのでよかったように思うこと半分の作品です。 | ||||
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(上)で、どちらがしゃべっているのか分からない、とても存在感の強い双子姉妹が主人公のお話です。 最初から最後まで、ノンストップの彼女たちの活躍が楽しめます。 わたしがレビューを書いている時点で、 (上)★★★★★ (下)★★★★1/2☆ 下巻の評価が若干落ちるのは、男性の読者が多いためかもしれません。 続編が楽しみですね。 | ||||
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わたしが打海文三さんの作品を読むのは「ハルビン・カフェ」に続いて、2作目になります。 世界観や、雰囲気は「ハルビン・カフェ」に近いものですが、 (1)少年少女を主人公にしている(感情移入しやすい) (2)成長物語を軸にしている(ストーリーが分かりやすい) 以上、2つの理由から、とても読みやすくなっています。 わたしは、4時間くらいで全部読めました。 双子の姉妹がとても好きになったんですが、途中からあまり出てこなくなって残念でした。 と思ったら、(下)は彼女たちが主人公なんですね! スゴク楽しみです。 | ||||
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この作品に荒唐無稽さは感じられません。何故ってこの小説の舞台をアフリカに変えてみれば理解できます。世界のどこかではこういった紛争は果てることなく続けられているからです。その舞台が日本にならないとは誰が言えましょう。読み進めば進むほど、その圧倒的世界観に打ちのめされました。 構成としても非常におもしろいつくり。<上巻>を孤児部隊を率いることとなる佐々木海人の目線の物語とし、<下巻>ではその海人に助けられた双子の姉妹の目線の話となり、同じ世界を共有しながら、上下巻でまったく違った世界が見れるのも面白いところ。 上巻の副題「孤児部隊の永久戦争」の永久という言葉の重みがずっしりと来るとても考えさせられる物語です。是非一読をお勧めします。 | ||||
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日本全土を内乱の戦火が襲い、暴力のみが秩序となり、群雄割拠する軍閥や悪党達が暴れまくる近未来の物語。 すさまじい戦乱の世界を描く上下2巻は、長編映画と言うより、むしろ連続大河ドラマのような読後感があります。 登場人物達は、ぶっ飛んだ人間ばかりで、平時の価値観や正義感は破壊され、ひたすら生死をかけて戦い続けるのです。 同じ登場人物で構成される上下巻ですが、それぞれで主人公役が異なり、違う目線で物語は進んで行きます。下巻は上巻の続編と考える方が良さそう。 シンプルに読み解くと「戦争」について考えさせられる物語ですが、筆者はもっと何かを訴えかけているのか?私の読解力を超越しています。 救いが無く、サイケデリックでさえある小説世界にぶちのめされてしまいました。とにかく一読をお奨めいたします。 | ||||
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下巻では主人公が変わります。が、やってることは上巻と同じに見えてしまいます。なおかつ時間軸は引き継いでいるので、幼年期からはじまる上巻からすると平板な印象を受けるのも否定しがたい事実。戦闘描写なども、一少年兵からスタートする上巻に比べ、淡白な気がするのです。長距離トラックの運転手ということで、色々な展開を勝手に想像しちゃっていたので、なおのこと勿体無く思います。フェミニズムに関心を寄せるという打海さん、この上下巻の書き分けはまた別の意図があったことは読み取れます。が、純粋エンターテイメントとしては、まあ、個人的に上巻よりも落ちるかなあ、と。それとも、これは僕が男だから? あと、ガウリなどおいしいキャラクターを使い切ってないし、シリーズ化するつもりなんじゃないでしょうか。そうなってくると、この下巻の位置づけもわかりやすくなるかもしれませんね。 | ||||
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とても文章が上手。展開的にはやや御都合主義的な印象も受けるのですが、それでもほとんど冷まされることなく一気に読み切らされます。何よりも、湿度硬度もろもろ絶妙なあんばいに配された文章が見事。 | ||||
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戦乱の日本という状況で、孤児となった子供たちがどうやって生き抜いていくのかが描かれている点は、上下巻通じて変わらないものの、主役の交代に伴い、月田姉妹のはじけたキャラクター性が圧倒的な存在となって最後まで突き進む展開に、上巻とは違った面白さを感じました。行方不明となった母親を最後まで気にかけた上巻のカイトのストレートさに対し、下巻では、姉妹の実父が率いる差別主義的な団体に対抗する姉妹のゲリラ的闘争が話の大筋ですが、ジェンダー、性的マイノリティーといった問題や聖書を引用したりと上巻よりは哲学的な印象を受けました。一見あっけらかんとしているようでいてその複雑な内面を時折見せてくれる姉妹の魅力にあふれています。結末は、悲哀があって美しく、彼ら彼女らのその後を読みたい気にさせます。映画化を希望します。 | ||||
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とにかくキャラクターの造型がよく出来ている作品だと思いました。特に、主役の少年兵カイトが、殺人やレイプが日常茶飯事化した状況に立ち向かう姿は、けなげでありたくましく、生き抜くという強い意志、家長の自覚、少年らしい正義感、性への目覚めと、少年から大人へと心身共に成長してゆく様子に感情移入できました。義務教育を受けていない主人公をはじめとした孤児軍の会話は、漢字のないひらがなだけというのも面白いと思います。戦争の醜悪さを具現化したような人間も登場しますが、年上の未亡人の恋人、クールな美少女姉妹、上官である冷徹な女性士官、主役を導く外国人の軍人たちと、カイト少年を取り巻く人間像の豊かさが救いであり、子供が搾取され人殺しを強要されるという問題も含めて猥雑さと残酷さが同居するこの作品により厚みをもたせているとも思います。 | ||||
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