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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ
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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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アマゾンで買った本のみレビューしています。物語・作り話が好きなので小説しか読みません。リアリテイー等は関係ありません。事実と違うなどと言ってる人がいますが、なぜ事実じゃないと知っているのでしょうか?学者が書いているから?不思議で仕方がありません。物語では信長は本能寺で死ななくてもいいのです。面白いか面白くないかのみが判断基準です。それではよろしくお願いします。 | ||||
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2008年に講談社ノベルスとして出たものの文庫化。 名探偵・神泉寺瞬一郎が活躍する長編ミステリだ。 プッチーニの『トスカ』の上演中に殺人が起きるという華々しいストーリーで、オペラや舞台に関する蘊蓄も詰めこまれ、舞台が好きな人にはたまらない内容だろう。『トスカ』自体への新解釈が盛り込まれているのも楽しい。逆に、そういったものに興味がないと、つらいかもしれない。 ミステリとしては、事件そのものは魅力的なものの、トリック、犯人、意外 性といった点ではイマイチ。 | ||||
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前作のエコールドパリの絵画に続いて今回はオペラが扱われている。相変わらず芸術関連の蘊蓄は読んでいて興味深いし、今回は劇中での殺人という開かれた密室ものとしての面白さも同時に堪能できる。 劇中で小道具のナイフが入れ替わり、劇中の設定そのまま殺人が起こるというのは、歌野昌午の「動く家の殺人」と何となく推理過程も含めて似ているんですが、これは偶然でしょう。 | ||||
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ふだんあまりミステリーを読まないし、この著者の名前も 初めて見たが、「トスカ」が題材になっているので読んでみた。 ハラハラどきどき、どんでん返し、思いもよらぬ結末などは なく、ミステリーとしてはそれほどたいした作品ではないが、 オペラ・ファンにとっては、「トスカ」の演出に関する記述が とても面白い。 オペラの主役は最初から決まっているし、 作曲家が書いた台本を演出家が勝手に変えることはできな いが、陰の主役を誰にするかが演出家の腕の見せ所でもあ るのか。 これまで「トスカ」のDVDを見ることはあっても、脚本を 詳しく読んだことも、演出について考えたこともなかったが、 対訳書をじっくり読みながら、本書で提示されていた斬新 な演出がどのようなものか考えてみようと思った。 | ||||
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オペラ歌手の殺人ミステリです。この手のものはバーバラ・ポールの『気ままなプリマドンナ』を読んだことがありますが、確かトスカニーニが出てくるクラシックな話だったのに比べ、こちらはまさに現代のオペラ事情を踏まえたうえでの事件で、ぐいぐいひきこまれます。 『トスカ』上演中に、警視総監スカルピアが本当に筋通りトスカに刺殺されてしまいます。そしてそこには、カリスマ演出家のリアルすぎる演出がからんでいました。 『エコール・ド・パリ殺人事件』にひきつづいて、刑事の甥の探偵役、神泉寺瞬一郎の口から出る、現代のオペラ演出にまつわる的確な解説と熱い口吻にとりこまれて読み進めました。もちろん演出家、郷田自身も、半端でない演出論をぶちあげ、メトロポリタンオペラで『蝶々夫人』を上演したときのスキャンダラスな例などは、いかにも現代演出を象徴する話で舌を巻きました。 二つの殺人とそしてその謎解きですが、特に第一の殺人の謎解きには唐突感がありました。しかし、その仕組みを語る瞬一郎の音楽史的(上演史的)必然性には重みがあり、第二の殺人も含めて、ヨーロッパ文化の濃厚な迫力に圧倒された、という感じです。 ミステリでありながら、トリックよりも、そのまわりの世界のコクと凝縮度のほうが勝っているかもしれず、オペラを一本見たような熱狂と満足感が残ります。 後発の『ジークフリートの剣』を先に読んでいたのですが、時間系列としてはこの『トスカ』のほうがあとです。話題のジークフリート歌い、テノールの藤枝が帰国して、予告どおりカバラドッシ役を歌っているうえ、殺人事件で中断した舞台をすくうため、幕外で、「星は光りぬ」のアリアを熱唱するなど、オペラファンにはたまらない展開もあります。 著者は音楽学、美術史の専門家なのだろうと思われますが、今後も芸術の修羅にとりつかれたひとたちの熱い物語を期待します。 | ||||
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オペラ歌手の殺人ミステリです。以前にバーバラ・ポールの『気ままなプリマドンナ』を読んだことがありますが、確かトスカニーニが出てくるクラシックな話だったのに対し、こちらはまさに現代のオペラ事情を踏まえたうえでの事件で、ぐいぐいひきこまれます。 『トスカ』上演中に、警視総監スカルピアが本当に筋通りトスカに刺殺されてしまいます。そしてそこには、カリスマ演出家のリアルすぎる演出がからんでいました。 『エコール・ド・パリ殺人事件』にひきつづいて、刑事の甥の探偵役、神泉寺瞬一郎の口から出る、現代のオペラ演出にまつわる的確な解説と熱い口吻にとりこまれて、ひたすら読み進めました。作中の演出家、郷田自身がぶちあげる過激な演出論も、この世界を少し知っていれば頷けることばかりで、メトロポリタンオペラで彼が『蝶々夫人』を上演したときのスキャンダラスな例などは、いかにも現代演出を象徴する話だと思われました。しかも、このあたりが単なる蘊蓄ではなく、動機や事件の解釈にもからんでゆくのが、著者の巧妙な仕込みです。 二つの殺人とそしてその謎解きですが、第一の殺人の謎解きにはやや唐突感が(意外感と言ったほうが正しいかもしれません)ありました。しかし、そのハウダニットを、瞬一郎が音楽史的(上演史的)必然性として語る論理には重みがあり、第二の殺人も含めて、ヨーロッパ古典文化の歴史の厚みに説得された、という感じです。 ミステリながら、トリックを生み出す巨大な母体であるヨーロッパ文化のコクと密度が圧倒的で、作者のいう新演出(新解釈)のオペラを一本見たような満腹感がありました。 後発の『ジークフリートの剣』を先に読んでいたのですが、時間系列としてはこの『トスカ』のほうがあとです。話題のジークフリート歌い、テノールの藤枝が帰国して、予告どおりカバラドッシ役を歌っているうえ、殺人事件で中断した舞台をすくうため、幕外で、「星は光りぬ」のアリアを熱唱するなど、オペラファンにはたまらない展開もあります。 著者は美学の専門家であろうと思われますが、今後も芸術の修羅にとりつかれた人間ならではの動機とダイナミズムを持つミステリを期待しています。 | ||||
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神泉寺瞬一郎の活躍する「芸術ミステリ」第2弾の本作品は、オペラ「トスカ」を題材としたもので、2008年発表。 プロローグの10頁あまりは、「トスカ」の舞台の描写、第一幕と第二幕が駆け足で紹介されますが、「トスカ」のストーリーや登場人物名を知らない私には、スッと頭に入って来ず、もう一度読み直してしまいました。 というのも、いきなりプロローグ終盤で「事件」が発生するからで、犯行時の描写は丹念に読んでおかねば、という訳。 その事件とは、舞台上で、主人公のトスカ役の女性が、スカルピア役の男性に、刃物で斬りつけると、舞台用の刃物がいつの間にか「本物」にすり替えられていて、男性は失血死してしまう、というもの。 どうやって「刃物」がすり替えられたのか、ハウ・ダニットが提示されます。 心配された文章についてですが、次の第一章以下は、サクサクと読め、しかもオペラにまつわる「芸術論」が物語を彩り、「トスカ」は観劇したことないけれど、その劇の神髄が分かったような気にさせてしまうのは、この作者の巧みなところだと感心しました。 また、先に読んでしまった、「芸術ミステリ」第4弾、「ジークフリートの剣」、こちらもオペラが題材になっていますが、その作品の伏線が随所に張られているのも、眼を惹きました。 本作品発表時に、かなりの構想が出来上がっていたのですね。 そして、肝心の「ミステリ」の部分ですが、ハウ・ダニットという点では斬新さはありませんが、思いもかけぬ犯人像が示されるところは、高評価できます。 また、物語後半で起きる第2の事件と併せ、その真相が、「芸術論」と見事に融合しているところは、前作「エコール・ド・パリ殺人事件」以上かも。 あとがきには、本作品で取り上げている「トスカの新解釈」を舞台にかけてもらえないか、という作者の言葉。 相当な「オペラファン」なのだな、と感じました。 | ||||
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手堅くて良い意味で普通のミステリー。ただ本書のキモはそこにとどまらず、インテリニートの瞬一郎をはじめとする登場人物たちが縦横に語りまくってくれるオペラの薀蓄だが、自分のようなズブの素人にも噛んで含めるようにわかりやすく解説してくれ、語り出すとどのキャラも同じに見えてくる残念さはあるものの、ちょっとだけオペラに詳しくなれるお得感を素直に感じさせてくれて鼻につかない。 作中に出てくるトスカの『スポレッタ黒幕説』なんて正直、本編より面白く、この作者の他の作品も手に取ってみたくなった。「○○の謎」本みたいな企画に向いてる作家さんじゃないかな? ただしゴージャスなテーマを扱っているわりに、キャラクターの重厚さとか芸術の魅力そのものに読者を惹き込むような描写は皆無。ラノベや漫画でよく見かける感じの台詞回しでいて、すべてのギャグが滑ってる点で星四つとしました。 | ||||
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プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』上演中、主役のトスカが、悪役スカルピアの 首にナイフを突き立てる第二幕のクライマックス・シーンで、事件は起きた。 小道具のナイフがいつの間にか本物にすり替えられていた ために、相手役のバリトン歌手を殺害してしまったのである。 さらに、演出家が記者会見で『トスカ』の前例のない 新演出を予告した直後、第二の殺人事件が起こり……。 第一の事件は「計画犯による《操り》の失敗が招来した不可能状況」という様相。 己の身勝手な思惑を無理矢理他者に押し付けようとした 計画犯を見舞う、“時限式の運命の皮肉”が、秀逸です。 また、ナイフすり替え犯のフーダニットに関しては、ぬけぬけと犯人の条件を提示 しながらも、それを読者に気づかせない巧妙なミスディレクションが目を引きます。 読後に思い返すと、随所に伏線が張られていたことに気づくのですが、作者の念の 入った“あらため”に騙され、ついその存在を容疑の圏外に追いやってしまうのです。 一方、第二の事件では、犯行現場の鏡に口紅で書かれていたオペラの歌詞 〈これがトスカの接吻よ〉と、死体が、両手を交差させた奇妙なポーズをとって いたことの意味を解釈していくことになります。 犯人による見立て(犯行声明)なのか、被害者によるダイイング・メッセージなのか、 様々な解釈がなされますが、それをそのまま本作のテーマであるテキストの読み 替えによる解釈の多様性(「誤読する権利」もしくは「夢見る権利」)と結び付けて いく構成が素晴らしいです。 | ||||
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プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』上演中、主役のトスカが、悪役スカルピアの 首にナイフを突き立てる第二幕のクライマックス・シーンで、事件は起きた。 小道具のナイフがいつの間にか本物にすり替えられていた ために、相手役のバリトン歌手を殺害してしまったのである。 さらに、演出家が記者会見で『トスカ』の前例のない 新演出を予告した直後、第二の殺人事件が起こり……。 第一の事件は「計画犯による《操り》の失敗が招来した不可能状況」という様相。 己の身勝手な思惑を無理矢理他者に押し付けようとした 計画犯を見舞う、“時限式の運命の皮肉”が、秀逸です。 また、ナイフすり替え犯のフーダニットに関しては、ぬけぬけと犯人の条件を提示 しながらも、それを読者に気づかせない巧妙なミスディレクションが目を引きます。 読後に思い返すと、随所に伏線が張られていたことに気づくのですが、作者の念の 入った“あらため”に騙され、ついその存在を容疑の圏外に追いやってしまうのです。 一方、第二の事件では、犯行現場の鏡に口紅で書かれていたオペラの歌詞 〈これがトスカの接吻よ〉と、死体が、両手を交差させた奇妙なポーズをとって いたことの意味を解釈していくことになります。 犯人による見立て(犯行声明)なのか、被害者によるダイイング・メッセージなのか、 様々な解釈がなされますが、それをそのまま本作のテーマであるテキストの読み 替えによる解釈の多様性(「誤読する権利」もしくは「夢見る権利」)と結び付けて いく構成が素晴らしいです。 | ||||
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