■スポンサードリンク
(短編集)
東京物語
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
東京物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全86件 21~40 2/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
学生時代の出来事が次々と思い出され、懐かしさがこみあげて来ました。授業のあと、毎日友人とつるんで渋谷の街を遊びまわっていて、時間をつぶしていました。けれど、そんな一見無駄な毎日が、今の自分の性格形成につながっている。そんなことを思い出させてくれたのが、「東京物語」でした。 ◇ 小説にはテーマがあって、それを書き綴るために時代背景や考証を調べる。普通小説はその様に書かれるのではないでしょうか。けれど「東京物語」は、先に出来事があり、そこにストーリーを組み込んだ感じなのです。 そのくらい当時の出来事や流行や若者の思いが取り入れられていまする。しかし、心配しないでいただきたい。時代背景が主でストーリーが従だと言っても、「友人との関わり」、「親会社や上司の無理難題」、「強いられたお見合い」、「独立後の生活」など、綴られたストーリーの一つひとつが本当に楽しいのです。あるあるです。 ◇ 「ビラ配りの人から紙切れを差し出され、反射的に受け取っていた。ゲームセンターのもので最新の《ブロック崩し》ゲーム機を五十台も入荷したと書いてあった」 「鈴木が帰ってきた。『ただいま』こっちは覇気がない。トロいくせしてボートハウスのトレーナーを着ていた。青山のショップに並んで買ったのだろう。その労力をなんで仕事に回さないのよと皮肉を言いたくなる」 「『まったくね。あーあ、どこかに気前のいい女子行員はいねえかなあ』カメラマンのジョークにみんなで笑った。最近、銀行の預金係がオンラインを悪用して一億円も男に貢ぐ事件があり、世間を騒がせていたのだ」 「この三行目の《ならば今夜はトーキング・ヘッズのポリリズムに打ちのめされてみようではないか》って何よ。いったに何人のユーザーがトーキング・ヘッズなんか知ってるのよ。《略》自分の趣味を押し付けてどうするの。そうだろう?」 「『こっちだってろくに化粧もしとらんし、葬儀にでも行くような黒い服着て――』母親同士が甲高い声で互いに子どもをけなしあっている。洋子という多分コム・デ・ギャルソンの服を着た女を見た。不機嫌そうに下を向いていた」 こんな記述が所々あります。50歳代の方、懐かしいでしょう。 ◇ 当時の記憶を呼び覚ましてくれ、私はタイムスリップして楽しむことができました。 トーキング・ヘッズのポリリズムに打ちのめされてみたくなって、聞き返したことをお伝えしておきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
名古屋から上京した若者の青春グラフィティー。奥田英朗の文体は自然で読み易く、軽やかだが味わい深い。僕はこの作家の文章が好きだ。 主人公の田村久雄、作者の奥田英朗、そして僕は同年輩である。久雄が東京で過ごす70年代末~80年代は、僕が20代を過ごした十年間とほぼ重なる。ジョン・レノン殺害、ウォークマン、雑誌ブルータス、キャンディーズ解散コンサート、幻の名古屋オリンピック、ロス疑惑、アルマーニ、地上げ屋、そして最終章のベルリンの壁崩壊。あの時代のイコンが次々に登場し、リアルタイムを経験した者にとっては懐かしいこと極まりない。しかし本作は懐古趣味に終始している訳ではない。若さの持つエネルギー、純情、葛藤、傲慢、やるせなさ等が瑞々しく描かれており、いつの時代の若者にも当て嵌まる普遍性をも兼ね備えているのだ。驚天動地の大傑作ではないかもしれないが、読後感の爽やかな青春小説であり、同年代の読者は固より、80年代を知らない世代にも広く薦めることの出来る作品である。 主人公の人物造形は見事で、読み進むうちに彼に感情移入し、自然と彼を応援している自分に気づく。主人公を取り巻く人々も魅力的だが、とりわけ女たちがビビッドで素敵だ。就中、僕は第5章のハイヒールの彼女に完全にやられてしまった。こんなにイイ女を逃すなんて、何やってんだ、久雄!この空け者めがっ! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
名古屋から東京へ出てきたコピーライターの青春を描いた作品ということになるでしょう。 特に大きな事件があるわけでも無く、少し大学時代と行ったり来たりしながら、日常生活が描かれていきます。 それぞれの小さなエピソードは、うまく描かれていると思いますが、続きがどんどん気になるというような話でもありません。 一番に読むべき作品でもないように思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青春物。70年代後半から80年代後半に物心ついていれば色々と懐かしく読めるのではないか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
奥田英朗の傑作のひとつ。共感できる部分が多数あり、楽しく読めました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
tokyostreetsnapのこの街に生きることを決めた君へ ぼくの「東京物語」。 ってのを読んで気になって購入。 表紙が日々ロックの榎屋克優先生だったってのも決め手! 奥田英朗さんの半自伝的な小説なんだろうなって。 奥田英朗さんの小説はいくつか読みましたが、心の奥に響く何かがあります。 素直に心に入ってきてくれる言葉使いが好きです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
こういう物語は好きですね。どこがいいのかうまく言えませんが。 私が同志社ラグビーのファンだからでしょうか。 釜石との最後の試合は大漁旗と同志社の紫小旗が秩序なくはためくバックスタンドから見ていました。 本書ではこの試合を街頭テレビで観戦する人たちの様子が細かく描かれていました。 あの日東京は快晴でしたね。そんなことを懐かしく思い出しました。 ほかに印象に残ったのはキャンディーズ解散コンサートを絡めた物語です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
混紡等に問題はありません。面白い内容のホンダと感じつつ読み終えてしまいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
オリンピックの身代金を読んでいても思いましたが, 自分はこの時代をリアルタイムで生きたわけではないのに, なぜこんなにも情景が浮かぶのだろう,と不思議に思いました。 久雄の行動に自分にも思い当たる節があって少しどきりとしたりもします。 どの作品を読んでも情景描写などがシンプルで読みやすいし, いつのまにかひきこまれます。この人の作品を読んでいると他のほとんど小説が すべてリアリティがない,変にこじゃれた文体,話し言葉に見えてきてしまう… | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
奥田英朗の作品はかなり当たり外れがある、というのが実感だが、本作は「当たり」です。 丁度奥田氏の青春時代と作品の年代が一致しているので、まったくその通りとは言わない までも、自叙伝に近い感覚なのかな…と思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1人の青年が東京に上京し80年代の時代と共に生きる青春の日々を描いた作品で面白かったです。 主人公の田村久雄の社会人になりたての奮闘してる話、大学生時代の淡い恋の話、 社会人としての壁にぶち当たる話、30代目前の青春が終わりを告げる話などがあり、 キャンディーズ解散、ジョンレノン殺害、ベルリンの壁崩壊、バブル景気と80年代を生き少しずつ大人になる主人公。 さすが奥田英朗ですね、直木賞を取った空中ブランコより『マドンナ』そしてこの『東京物語』の方が面白いと思いました。 奥田英朗作品これからも読みたいです、お勧めな一冊です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
携帯電話やインターネットの無い時代。今よりも全然不便だけれども、今よりも人々がギラギラしていて、夢を持ち、貪欲に、不器用ながら一生懸命に生きていた時代。そんな、70年代〜80年代の若者達の姿が垣間みれる良作です。 私も広告業界にいるので、主人公の仕事っぷりに同調しながらも、当時はそんなに酷かったんだ!と思わせられる所も多々あり、章の所々に散りばめられた、ジョンレノンの事件やソウルオリンピックの話などの時事ネタも、その当時を邂逅できて思わずニヤリ。 文体は無骨な感じがしながらもクサくなく、とてもうまいと思い、この青春物語にぐいぐいと引き込まれながら読了しました。 作者の作品はこれが初見だったのですが、他の作品も読んでみたくなりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある一定の年代の人間にとって、どうしようもなくツボに嵌る作品というものがある。 この「東京物語」は1960年前後生まれの男性にはグッとくる作品である。 生まれた時代が違っていたり、同年代でも女性だったら大した感慨も抱かないのかも しれない。 話は奥田英朗の自伝的小説?で、主人公・田村久雄が大学入学で上京してくる頃からの 10年後までを6つのエピソードで綴っている。 自分は当時、東京ではなく地方都市で過ごしていたし、職業も全く違うけれども、 全てのエピソードに懐かしさでいっぱいになった。 中でも恋愛絡んだ「レモン」「彼女のハイヒール」が特に好きだが、全エピソード秀逸。 そういえば、先日スーちゃんが亡くなったが、キャンディーズの解散コンサートの場面 も出てくる。 「最悪」や「邪魔」で好きになった作家さんだが、本作や「ガール」「家日和」の ような普通を題材にした作品や、伊良部シリーズといった作品まで、バラエティに 飛んでるだけでなく、そのほとんどが高水準。今一番好きな作家さんかもしれない。 それも、同世代の同性からだからなのかもしれないが・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青春小説というと、集英社、というイメージがあるのはなぜだろう。原田宗彦のエッセーを数多くだしていたからだろうか。 余談はさておき、短編小説集という体裁だが、完全に主人公は作者自身。中京圏から上京して駿河台の大学の文学部に入ってから、仕事をしている20代最後までの話。 いずれもキーは日付や歌にまつわる思い出。これが基調低音に流れているので、たぶん、作者の独善になりやすい青春記ながら、読者も何とか伴走してくれるだろう。 1作目。すでに大学を中退して働き始めていた1980年12月9日。そうジョン・レノンの暗殺されたことが報じられた日です。思い出の曲をふと口ずさみながら、仕事に追われる主人公がいる。 2作目。1978年4月4日。そうあのキャンディーズ(宝くじの森三中ではない)が引退コンサートを後楽園球場で開いた日。上京したばかりの主人公はあちこちと歩き回ったあげくに、後楽園に引き寄せられていく。 3作目 1979年6月2日。巨人に強行入団した江川の初登板日。筆者が所属する演劇部での出来事、あの当時の演劇系のサークルは「ドラマツルギー」とか、観客論とか、妙な論議をしたものだ。状況劇場、早稲田小劇場、赤テント、黒テントの残党、鈴木忠志、太田省吾……。筆者以上に変な方向に連想が連なる。 そう、あのとき私は若かった。見てきたものに即感動し、感化されていくのであった。 などなど、配列が絶妙で、最後はバブル崩壊前夜の物語。1989年11月10日。ベルリンの壁崩壊の日に京王プラザHでやった仲間内の宴会の話で締めくくられる。 携帯電話のない時代。電話も下宿なら「呼び出し」だった時代。PCのない時代。 でも時間だけはあって、矢鱈に麻雀とか、不要不急のことに熱中した時代。 その時代の記憶を持つものにとって、あるキーを提示されると、作者の語る世界と同時に「あのとき自分は……」スイッチが入って、別の読みが始まる。 同世代作家ものを読む時の幸せ感だろう。 ただ、それは後世には単なる風俗スケッチの掌編に成り下がる危惧を孕んでいるのだが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私はちょうど今アラサー世代である。夢と現実との折り合わせをする年頃だ。本書で最後の章の一文がとても心に残った。30代は夢をあきらめるのではなく、人生が始まるのだ・・という一文。(正確にこうだったか不明。)主人公:久雄の友人の結婚式前夜に男だけで盛り上がるバチェラーパーティーでの一幕だ。 物語は、私がちょうど生まれた80年代の、久雄の青春を、歴史的な出来事(ベルリンの壁の崩壊)や時代を象徴する印象的な出来事と共につづられている。そこがまた、この時代の若者はこんな風に過ごしていたんだ。となんとなく想像がつきとても気に入る所だった。 そういえば、自分の青春時代、ワールドトレードセンタービルがテロで崩壊した。あの時の自分は何をしていたっけ?と思った。 私はちょうどいま若者と大人との境の世代で、青春の夢を追う人あり、家庭を持つ人あり、自分の道を決める人ありと、良い意味で人生を決めはじめている。最近、こうやって大人になってくのかなぁと思っていたときに、本書を手に取り、ちょうど今の自分の心情にあっていたし、また久雄やその仲間もこうやって大人になったんだと、背中を押してくれた。 20代後半の方には是非お薦めしたい小説だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
吉田修一さんの横路世之介さんを読む前にぜひこちらを読んでほしいです。 面白さ、ユビークに力点をおいてるがまったく違うので、本当におもしろく、手が止まりません。 これぞキャンデーズ時代である、バブルの時代で、でたらめの時代です。 おもしろくて大笑いした後、私は反省しました | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
家日和やイラブシリーズが好きで買ったが個人的にはいま3の出来。世代が異なるせいか、主人公が馬鹿にしか感じれない。主人公の久雄が生意気で自信過剰でかっこつけなだけに思える。生理的に気持ち悪いタイプ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
6章立てで、それぞれの章で、主人公の10代終わりから20代終わりまでのある1日を切り抜いて描いています。 1章目が他の奥田作品と比べ、ちょっとストレートに入ってこなかったのですが、全部読み終わると、なるほど、と思いました。 同時代を生きてきた読者にとっては、懐かしい出来事が満載。 80年代、そうですね、日本は大きく変わりました。世界も変わりました。 主人公も、東京という町の中で、誰もが経験する青春時代を過ごし、やがて自分の生き方を見つけ、大人になっていきます。 それでも20代の終わり、友人に「まだ何かになるつもりでいるんだ」と言われ、ドキリとする主人公。 東京を舞台に自分の可能性を広げていくたくさんの若者に重なると思います。 自分らしく生きる人のために、東京はピッタリの町なんだなと改めて思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分はバブル時代を経験していません。 なのにこの作品を読んでいるとどこか懐かしく、切なくなります。 派手などんでん返しのようなものはないし、腹を抱えて笑うような事もないけど、とにかく心に何か残る。 すばらしい作品だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の経験をふんだんに取り入れた物語。 大学生から、社会に出て30歳になるまで。 浪人して、サークルに入り、中退して、就職して、恋愛して。 特に、最後の一編「バチェラー・パーティー」がよかった。 対外的にはもう大人だが、内面的にはまだ子供。 P341「精神的なモラトリアム」という言葉が、とても印象的だった。 これらの物語が、その時代を象徴する出来事とともに語られる。 年代は被っていないものの、共感することが多かった。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!