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(短編集)
東京物語
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東京物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全86件 41~60 3/5ページ
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多くのレビュアーが紹介しているように、名古屋から上京した青年の、1980年代の諸事諸相を描いた連作短編集。主人公を同じとする計6つの短編は、それぞれが違った年月における「或る1日」の顛末を淡々と描き切るというスタイルで、著者らしい器用さを駆使し、物語としての流れも展開もディテールも水準以上にあるとは思う。けれど、ほぼ同時代に同じように上京し、さらにバブルの有象無象をも見聞きしてきた評者の身からいえば、著者はどちらかといえば、業務上の能力に長けた、やや軽薄で、あの頃からやたらと目立ち始めた「ギョウカイ人」にとどまるのではないか、という距離感は残る。もっとも、読み手にそう思わせる筆致で描いた創作です、と言われてしまうなら、それはそれで著者の勝ちということかもしれない。 | ||||
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いつの時代も 若い人間は 何者かになろうとあがく。 あがくのをやめたとき、 本当の大人になり、 社会と同化していくんだろう。 あきらめない。 | ||||
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私の場合、物語の時代とは20年以上ギャップがあるが 上京、就職という経験をしているので、とても楽しめた。 特に2話目の上京直後の田舎者振り、意地張ってはいるが寂しかったり、 精一杯オシャレしようとしたり、雑踏を歩けばやたら人にぶつかったりというのは 上京直後私も経験したので微笑ましいような、こそばゆいような気持ちで読めた。 上京し、東京の人、車、情報、仕事などの密度に圧倒されながらも 若者ならではのいい加減さで、逞しく成長していく主人公に共感することができた。 また、東京に順応しながらも心の隅で郷土を気にかけているのも 上京人に共通しているように思う。 完全に主人公と同世代の人が読めば当時を懐かしむことができる。 私は時代はずれていたが上京というモチーフに共感し、楽しむことができた。 ただ、上京直後、主人公と同じくらいの年齢で読んでいたら、 「もう少し真剣に悩んでる生きてるぞ」くらいには思ったかもしれない。 人はその時その時はあくまで真剣に生きている。 この物語は筆者自身が自伝的に自らの青春時代を俯瞰した視点で描かれているので、 主人公と同じ年齢くらいで読むより、30歳以上になり、その時代を俯瞰して見れるようになってから読むのがお勧めだ。 | ||||
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主人公久雄とは5歳違い、社会に出るのも4年ぐらい遅いので、 彼が経験するかれこれは、私とは10年ぐらい違うのだけれど。 なんか、あったなぁ、と。かなりコンテンポラリってしまいました。 キャンディーズ解散・ジョンレノン暗殺・江川卓の初登板・名古屋五輪落選・ 北の湖引退そしてベルリンの壁崩壊と 世界史的に重いものも今や忘れ去られているできごとも、 昔を思い出すときって、そういうエピソードとリンクしてるものです。 あるなぁ、あるよ この頃、同業の人間とよく交わすのは、 コンピュータが来て、返って仕事がきつくなったよね、ってぇのと、 昔はこういう制作現場は超ヒエラルキーで、ってやつ。 年寄りは若い人に、若い人はなんでも喰ってやろうと、 手ぐすね引いてピラミッディな関係式があったものです。 いまやパソコンがベテランの自信も技術もないがしろにしているところは 事実ある。 おかげで烏口のひけない私がいまだに業界に残れているのだが。 久雄はあの80年代の徒弟制を生きてやがて一人前になっていく。 途中寄り道した恋が実らないのもミソである。 いまどき、多くのプロダクションの社長はこんな感じだろうなぁ。 | ||||
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奥田英朗氏とはほぼ同世代だが、出身地も違うし東京で青春時代を過ごしたわけでもなく(あ、いや23〜24歳の2年間だけ浦和在住東京通勤をしたことがあるな)、コピーライターをしたこともない。しかし、主人公の言動や気持ちに共感できるところが多く、懐かしい気持ちで読んだ。6つの短編がほぼ年代順に収録されているのだが、ジョン・レノンが死んだ最初の第1話だけが順番が繰り上がっている。作者の思い入れなのだろうか? 当時のできごとをあちこちに登場させて、昔の記憶を呼び覚ましてくれた。ノグチユミコ氏の表紙のイラストも感じが出ていて非常に良い。 | ||||
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恐らく、書かれている年代と同じ時代を過ごした方には感動もひとしきりなのだろうが、 冷静に読み進めると内容は薄く、ちっぽけな悩みや苦労だけの話で、さして愕くことも得ることも少ないことに気がつく。 半自伝的な内容を読むに、 筆者の青春時代に、もっと人に言えぬような苦悩や激しい憤りなどはなかったのか? と思えるほどの平々凡々は中身は、さらりと考えもなく読めるため、 暇つぶしにはもってこいかもしれない。 話の進め方はまあ上手いが、それは文体の巧さとは別物で、 上手い日記やブログに剛毛が生えた程度。 そのため、今まで深く物語を読み進めたことがない方には、非常にお勧めかもしれない。 | ||||
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本書の主人公・田村久雄は、著者である奥田氏と同じ1959年生まれ。巻末の「解説」も指摘するように、主人公はある意味で著者自身である(決定的に異なるのは、久雄が岐阜市でなく名古屋市出身になっていること)。ゆえに本書は、1980年代を時代的背景として、作家である奥田英朗の誕生・形成史として読み進めることができる。90年代に大学に入学したわたしにとって、本書で描かれている6編に登場する話題にはピンとこないものもただあったが、それでも読んでいて懐かしい感覚に浸ることができる。「古き良き時代」をノスタルジックに想起するというわけではない。ただ、自分史において鮮烈な記憶がない諸事実を知ることで、思わず自分が詳しく知らない時代にタイプスリップしたような感覚になったのであろう。88年のソウル五輪の対抗地が名古屋市であったなんて、今までついぞ知らなかった。 時系列的にいえば、第2編の「春一番」が1978年4月4日で最も古く、締めの作品である第6編の「バチェラー・パーティー」が1989年11月10日で最も新しい。上京してから10年以上に及ぶ久雄の20代を多角的に描き出した一連の作品は、自らの青春時代とのズレがあったにせよ、多くの読者の心をくすぐるのではないか。地方から東京に「上京」すること自体、1つの大きなイベントである。6つの作品のなかで、特に印象に残ったのは、楽しくも淡い学生時代を綴った「レモン」、母親が強引にお見合い女性を連れてきたことから始まる濃厚な一日を扱った「彼女のハイヒール」の2作品。ここでいう学生時代とはむろん大学時代のことだが、この4年間というのは、人生において特別な意味を持っているように思う。卒業してすぐには分からないが、次第にその貴重さを実感できる。いずれにせよ、作家・奥田英朗が生まれるまでの一端を知りたい人は、本書を是非とも読まれたい。その息吹を感じることができる。 | ||||
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コピーライターとして活動している主人公の上京、大学時代、広告代理店時代、企業時、お見合いの話などを収録。 テンポとユーモアがあって読みやすい。 そして、主人公の『誰に気を使うのでなく、素直に生きている』ところに共感と魅力を感じた。 | ||||
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1959年生まれの主人公田中久雄が上京してから30歳になる直前まで、つまり1980年代を描いた連作短編小説です。主人公と同年代の方はもちろん昔を懐かしみながら作品を楽しめると思います。 またそうでなくても、私のように80年代後半生まれで今まさに20代を謳歌している人たちにとっても非常に面白く読める小説です。 この話は各章ごとに読んでももちろん面白いですが、私は一気に読むことをオススメします。まぁ私がオススメしなくても、非常に面白い作品なので一気に読んでしまうとは思いますが… この話がなぜ一連の「長編小説」ではなく「連作短編小説」のような形をとっているのかを私なりに考えてみました。それで思ったのは、その短編によって主人公である久雄の『変わっていった』部分と、『変わらない』部分をうまく見せるためにそのようにしたのではないか、ということです。 音楽評論家になりたいという密かな夢を持って上京した18の頃… 浪人の末大学に入って初めての恋人が出来た19の頃… 仕事に慣れてきて少々天狗になっていた22の頃… 初めてのお見合いでドタバタした25の頃… 同級生の結婚の前日に羽目を外そうとした20代最後の秋… 置かれている境遇は全く違い、周りにいるメンツも違いますが、他人に振り回され毒づきながらも、密かに夢を描いている青年という主人公の「私」は変わらないままそこにいます。 変わっていく自分と変わらない自分、変わっていく世の中と変わらないままの世の中… 本作を通じて人生、青春というものの切なさや大いなる可能性というものを感じさせてもらいました。大好きな一冊です!! | ||||
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1980年前後に上京してきた主人公が時代背景と共に変わっていく様子が伝わってきました。 バブル期へ向かっていっている時代背景もしっかりと描かれています。 当時はこのような青年も結構いたのでは、と感じました。 この本を読むと、上京してきた当時を思い出して上京後の自分を懐かしく振り返ってしまいます。 | ||||
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78年に浪人生として名古屋から上京した田村久雄がフリーのコピーライターとして地歩を固めるまでの同時代青春グラフィティ。上京した日に後楽園で感じたキャンディーズ解散の熱気、駆け出しのコピーライターとして駆け回るさなかに聞いたジョン・レノンの訃報など、時代々々を感じさせるキーワードを織り込みながら20代を駆け抜けた一人の青年の姿を半自伝的につづった一冊。著者自身が若かりし頃に抱いていたであろう青い気負いがむず痒い共感を呼び起こす。自分史と東京史を重ねたいという欲求は東京に暮らす物書きなら皆抱くものなのかなあ、と思ったりもしながら。 | ||||
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田舎から上京して一人暮らしをした経験がある人には、感慨深い作品です。 自身の経験を思い出して、懐かしく思うことでしょう。 とても軽いタッチで書かれており、読みやすい娯楽作品です。 | ||||
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この奥田英朗初の短編集「東京物語」は、決して派手な作品ではないが、奥田英朗の傑作の一つであるというだけでなく、現在に至る奥田英朗の最大の持ち味を読み取ることができる最初の単行本であるという点においても、注目すべき作品だと思う。 奥田英朗は、小説家としてのデビュー前に、後に「延長戦に入りました」の題名で単行本化されることになるエッセイを連載しており、そこでは軽妙洒脱な奥田節で、しっかりと笑わせてくれている。彼は、非常に短編の多い人なので、その作風の変化を、単行本化の順番で読み取ることは全くできないのだが、少なくとも、デビュー後の「ウランバーナの森」、「最悪」、「邪魔」では、すっかり影を潜めてしまっている彼の最大の持ち味である軽妙洒脱さと、彼が非常に短編の上手い作家であるということを、最初に世に知らしめることとなった単行本が、この「東京物語」であるとはいえるだろう。 ここに納められている6作の中では、「レモン」と「バチェラー・パーティー」の出来が最も良いと思う。特に、「レモン」での、デリケートな女心に鈍感で、自分が女の子に好かれていることにも気が付かないという、いかにも、多くの男性が身につまされそうな田村久雄が何とも微笑ましいし、ほんとはすごく繊細な自分を隠すために、わざと乱暴な口をききながらも、終盤では、すっかり恋するかわいい女の子になってしまうという小山江里のキャラクターも、いとおしくて、たまらないのだ。 ところで、この「レモン」を読んで、物凄く気になったことが、一つある。この「東京物語」は、奥田英朗の自伝的小説とされているのだが、女子学生たちから、「鈍感」、「がさつ」、「デリカシー欠如」と、絨毯爆撃を受ける「田村久雄」と、後に、女心を知り尽くした「ガール」を書くこととなる奥田英朗との間には、あまりに落差がありすぎるのだ。その後の田村青年に、一体、何があったのだろうか? | ||||
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「あの日、聴いた歌」 物語の序章なので「ああこんな感じか」って程度 「春本番」 上京初日の落ち着かなさ、人恋しさ、未来への不安の描き方がうまい 「レモン」 この本の中で一番好きな話、文章だけで小山江里のかわいらしさが伝わってくる 「名古屋オリンピック」 この章の田村はすごいイヤなヤツ、井の中の蛙 健二とのやりとりは寒すぎる チャット常連の悪ふざけ会話みたいでキモすぎ 「彼女のハイヒール」 レモンがよすぎて洋子のイメージ薄い、でも奥田作品全般に虚勢をはる女って 浅く薄いんだよなぁ 「バチェラーパーティー」 郷田の母想いにちょっとグッときた | ||||
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私は1970年生まれなので著者と11歳年齢差があります。著者の青春時代が私の小学生時代と重なるのですがキャンディーズの解散や夢に終わった名古屋オリンピック等、高度経済成長期からバブルに至るまでの時代背景を懐かしく感じることが出来ました。特に主人公が名古屋から東京に初めて上京した時の一人暮らしの心細さや希望や色々入り混じった感覚は、同じく広島の田舎から上京してきた私の心理と同じで、非常に面白く感じました。是非とも今度は90年代以降の東京物語を読みたいものです。 | ||||
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奥田英朗に駄作無し! 読み始めると止まらなくなるのが彼の持ち味。これは名古屋男子の18歳〜29歳の10年間を綴ったオムニバス作品。これもすべてに「青春」がいっぱい。同世代のせいもあり読み始めるとやめられない。いちばん胸がいっぱいになったのは大学1年になって演劇部に入った回で、彼を慕う同い年の女子との話。読後感があまりにも気持ち良かったのでこの話は将来読み返す確信がある。 | ||||
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80年代を青春時代としたわれわれ中年にとって、何かきっかけを与えてくれる一冊である。 作者自身と思える主人公はわれわれと等身大であり、自分自身と重ね合わせて、あのころを思い出してもう一踏ん張りできるかなと思わせてくれる。 40歳半ばの人間が読むのが一番なのだろうが、老若男女すべてにお薦めの一冊である。 奥田英朗って、好きな作家ベスト3には入らないが、好きか嫌いかと問われると必ず好きな作家に入っている作家だと思う。そういう立ち位置にいる作家の面目躍如の一冊。 できうれば、郷田で一冊書いてくれないかな。郷田をサブキャラにしとくのはもったいないと思う。 | ||||
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80年代の東京を舞台に、大学を卒業した青年(著者の分身?)が大人になっていく様子を描いています。6編の短編からなっているのですが、80年代にはまだ子供で、バブルを知らない私には、最初の5編は懐かしいわけでもなく正直退屈でした。ところが、最後の短編がものすごく良くて、読み終えてからこの本の評価が一気に変わってしまいました。最後の1編はちょっと叙情的かつノスタルジックで、6つの物語をうまくまとめています。それ以前の5編を読んでから最後の短編を読むことで、その良さが余計に引き立つのがまた憎いです。読みやすいので、一気に読みきることをお勧めします。 | ||||
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1980年代に20歳代を過ごした者にとっては、大変懐かしい気分になれる小説。 ただの時代背景だけではなくて、主人公の田村、そして周りの人物のセリフや行動が本当に時代を映していて懐かしい気分にさせる。 主人公がロックファンなので、時折話しに出てくるアーティスト(ジョン・レノン、ポリス、ストーンズ、エリック・クラプトン、イーグルス等)が同時代にロックにはまっていた身としてはたまらない。 6編の短編で、年代とともに主人公の成長を描いており、ほろ苦く甘い20代独身男性の心模様を上手くとらえていると思う。 最後の「バチェラー・パーティー」での20代最後の時期の描き方なんて最高に上手い。ちょうどバブルに沸いている時期の話だが、あの時期の空気も上手く表現されている。 90年代に30歳代をどう生きたのか、続編を読みたいと思った。 | ||||
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コピーライターなど作者の経歴が色濃く反映された、 バブル前夜から絶頂期までの「ギョーカイ」人青春グラフィティ。 「あの頃」の世相が悪質なオブジェのように散りばめられ ある人にとっては胸キュンの想い出であり ある人にとっては醜悪な、もう見たくもない過去で 若い人たちにとってはものめずらしい風景であろう。 | ||||
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