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恋とか愛とかやさしさならの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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この小説は、恋人関係にある新夏と啓久が、啓久の盗撮現行犯逮捕をきっかけに二人の関係が大きく変わる様子を描いている。性欲に関して、女性が男性に抱く嫌悪感やおぞましさが繊細に言語化されており、多くの男性読者は読後に自らの認識を深めるきっかけとなるだろう。 例えば、新夏が生理痛で苦しんでいる際、啓久がナプキンの材質や昼用、夜用、羽根の有無などを細かくヒアリングしてくるシーンでは、新夏が「気持ち悪い」と感じる心情が描写されている。生理痛は制御不能で身体的な負荷を伴うものであり、その痛みを労わってもらうだけで十分だと考える新夏には、啓久があまりにも生理用品に詳しい事に、それ以上立ち入らないでと拒絶反応を起こす場面には考えさせられる。 新夏が見知らぬ中年男性から付き纏われるシーンでは、得体の知れない男性とその性欲に対して感じる恐怖がリアルに表現されており、女性視点から見た男性への恐怖が非常に鮮明に伝わってくる。 また、性加害に対しても、啓久の姉や同僚の葵、転職先の先輩女性などを通してそれぞれの女性の見解があり立場が変わるとこんなにも捉え方が違うのかと興味深いところもあった。ただどの女性も根底には性加害に対して寛容な考えはなく侮蔑の対象である。 啓久の盗撮の被害者となった女子高生を突飛なキャラクター設定にしたのは、読者が被害者側へ必要以上に感情移入せず、あくまでもフラットな立ち位置から女性と性加害のテーマを考えて欲しかった著者の意図があったのかなと想像する。 物語の顛末として結局、新夏と啓久は別れるし、結末もよくわからない感じでもやっとした読後感があるものの、全体を通して一穂ミチがここまで女性の心理を言語化したのはすごいなと思った | ||||
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