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喪服の似合う少女
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喪服の似合う少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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予備知識なく読み始めましたが、いきなりロス・マクドナルドへの献辞があって驚きました。中華人民共和国の作家による「私立探偵小説」。時代は、1934年前後。舞台は、上海と対比して描写されるような街、「省城」。 女性私立探偵、劉雅弦の事務所に一人の少女、葛令儀が訪ねてきます。そして、劉は失踪した旧友の捜索を依頼されることになります。地元の富豪、退廃的な映画館、金目当ての縁談、暴漢に襲われる主人公・劉。 そして、その事件はそう、かつてロス・マクドナルドが一作、一作、機を織るようにして注視し続けた「家庭の悲劇」へと収斂していくことになります。勿論、そのストーリーを詳述するつもりはありません。 しかし、ロス・マクドナルドの「運命」から「ブルー・ハンマー」までの道筋を手を変え、品を変え、その人探しのロジックも含めていかにその時代、舞台に合わせて再構築しようとしたところで、少なくとも私の心が震えるようなことはなかったと言っておきたいと思います。 何故か?一言で言ってしまうと、<換骨奪胎>できていないから。必要以上に鬱陶しい<ペダントリー>に加えて"アクチュアリティ"を放棄することによって、ロス・マクドナルドのストーリー・テリングに近づけることはできたとしても、その<米国西海岸>にわだかまるような、飽く迄"アクチュアルな"、生きることへの悲しみが一切伝わってこなかったことに起因していると思います。 この「私立探偵小説」はウエルメイドな<古典>をなぞったという意味合いからは秀作と呼べる<結構>を数多く持っていると言えますが、それは良き「私立探偵小説」を望むものからすると「そこではないんだ」という思いが残りました。 赤瓦屋根が点在する遥かサンタバーバラに想いを寄せつつ、ロス・マクドナルドの著作を愛するものにとって、「あげるものはもうなんにもないのだよ」。 ◻︎「喪服の似合う少女 "Mourning Becomes Eurydice"」(陸秋槎 早川書房) 2024/9/02。 | ||||
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