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24人のビリー・ミリガン
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【この小説が収録されている参考書籍】
24人のビリー・ミリガンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 1~20 1/3ページ
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この本の最大の問題点は、文体と、構成だと思う。 この本では、あとがきに相当する部分を除くと、すべて一人称視点で記述されている。そのため、すべての記述を読者は事実と捉えがちになるが、本書(上下巻をまとめて)の7割を占める ビリー・ミリガンの伝記の部分は彼の記述を筆者が一人称で物語形式で描いたものであり、事実かどうか見極められたものではないと考えるのが妥当だと思う(たとえば、下巻の一部では彼の恋人の名前が一文字だけ変わっている箇所があり、これが誤訳なのかミリガン自身が語った事なのか謎である)。 本書の構成は、先ず、ビリー・ミリガンにとって一番大きな転機となる裁判を描いており、全体の2~3割を占めている。ここでは筆者は資料に基づき関係者それぞれの行動を一人称で描いている。次に、ビリー・ミリガン当人が語った内容に基づく、彼の視点から見た人生、少年期から先に述べた裁判までの人生を筆者は描いている。これが約7割。最後に、筆者は筆者の視点から見た裁判後のビリー・ミリガンの人生を1991年ごろまで記述している。 本書から私が思ったことは、人間というものは、自分が耐えがたいと思う環境に置かれると、気を失うということである。もちろん、気を失ったままでは生きていけないので、耐えがたい環境に適応した異質な精神的制御装置が本人自身の意識と別に作り出される。それが『多重人格』ということである。 こういうことは『多重人格』という名前が付けられるほど特殊なことではない。殆どの人は、自分が嫌なことに出会うと、それを理解し認めようとするよりも、(残念なことだが)忘れようとする。その極端な例が『多重人格』だと私は思う。ビリー・ミリガンは過酷な環境に置かれて『多重人格』を持つようになり、違法行為を行ったのであり、彼を非難する人は自身が自分に都合の悪い事を忘れ去り(無視していて)、そのことが誰かに被害を与えている可能性を無視している。そういう人は本書のあとがきの中に大量に描かれている。 本書は1992年出版の『24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者の記録』の装丁を変えたものである。1994年出版の『ビリー・ミリガンと23の棺』は、「あの」裁判を終えた後にビリー・ミリガンが当時のオハイオ州司法から受けた迫害を記述しているものらしく、いつか読んでみようと思っている。 | ||||
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多重人格について学ぶためにも参考になる本だと思います。ただ、本人が書いているわけではないと思いますので、著者側の主観が多く入っているような気が致しました。登場人物の表面だけが大きくクローズアップされ(人数が多いので仕方がないかもしれませんが)ている感が否めません。脳から命令する声がする等話される人がいますが、このようなパターンもあるのだなと納得出来ました。 | ||||
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Netflixでも実写化されていてすごく面白いし興味深いです | ||||
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発送も早く、大変きれいなお品でした。ありがとうございました。 | ||||
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次回作は気になりますが、この文体が続くなら読みたくないです。 視点がビリー・別人格・現実にいる人の間で予告なくコロコロ変わるのと、急に時間が過去や現在に飛ぶのでわかりづらいです。 いつの誰の何の話なのか分からなくなります。 日本語がおかしい部分も気になります。 翻訳は間違ってないのかもしれないけれど、日本語として間違っているんじゃないでしょうか? 翻訳もっと頑張って欲しいです。 | ||||
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本その物は値段相応ですが 郵送の際、ビニール袋のみでしたので 袋が破れて本が擦れて潰れていたのは 残念です。 | ||||
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説明が冗長で、文章にクセがあるように思う。 そのため、読み始めてしばらくは、読みにくくて内容に集中できずにいた。 でも、内容は大変興味深くて、文章に慣れるころには、話に没入していた。 とても衝撃的なことばかりで、なぜそうなったのか? なぜそんなことをしたのか? と気になることばかりだが、説明がないことも多くて少々モヤモヤが残る。 でも、ほぼノンフィクションらしいので、説明できないことも多いのだろう。 モヤモヤが残るが、だからこそ現実的に感じられて、内容がよけいに胸にキた。 | ||||
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面白い! | ||||
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小説ではなく「報告エッセイ」ですね。 ①逮捕・多重人格では?→②結果→③多重人格になった経緯・治療→④現時点の状況報告で〆(続きが出てます) へっぽこ丸さんのレビューの通りだと思います。事前に動画閲覧・読んでる最中はwikiいるのでは?と思うレベルでカタカナ人名が出て来ます。が、面白いので1日で上下読破しましたしお勧めは出来ます。 ただ、小説ではないです。第三者(作者)が事実と経緯・シチュエーションをズラ~っと書いているだけなんです。 +日本語訳が意図的なのか、漢字で書けばいいのにひらがなでかいてあるかしょがたたあったので(これは意図的なのか?)と読みにくい箇所が大量にありました。本報告書に集中してるのにそちらに気が散ったのはイラっとしましたね。ただ、面白い。これは「実話ということもあり」お勧めです。 読むきっかけはyoutubeで昔の売上ランキング番組が出た→ノルウェイの森とかコレが出てたのを思い出して動画見たら興味持ったのでキンドル購入、という経緯です。 | ||||
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未だに心に残ってる作品です。おすすめ | ||||
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面白かった | ||||
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24人も性格があるのかと思いました。面白かったです。楽しく読めました。。 | ||||
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約2ヶ月(上巻約1ヶ月、下巻約1ヶ月)かけて読み終えることが出来ました。 もともと私は読むスピードが遅く、他の小説なども同時並行で読んでいたので結構時間がかかりました。 簡単ですが私が思った細かい各項目の評価は以下の通りです。 ストーリーの面白さ度 ★★★☆☆ 途中で読むのを止めようと思った度(挫折度) ★★★★☆ 訳のセンス度 ★☆☆☆☆ 読みごたえ度 ★★★★☆ おすすめ度 ★★☆☆☆ 昨日やっと読み終わることが出来ました。たまに、とある小説を読んだ読者が、残りページ数がわずかになってこの小説を読み終えてしまうのが寂しいというコメントを見かけることがありますが、私は全くそのような気持ちはなく、下巻の途中からは早く終わってほしいなあという不純極まる気持ちで読んでいました。それでも何とか読了することができましたので、その理由などを書いていきます。 ストーリーの面白さ度 この物語を読むまえに、あらすじを頭に入れておくことをおすすめします。最大の理由は海外(アメリカ)を舞台にした話で、登場人物が兎に角めちゃくちゃ多く(医師、看護師、弁護士、検察官、裁判官、ビリーの家族、ビリーの恋人、ビリーの他の人格)人名がカタカナ表記で全員の名前をなかなか覚えることができず、読むのに苦労したためです。 私はYouTubeでビリーミリガンに関する動画を視聴し好奇心を高めてからこの本を読みました。また他の方のレビューやウィキペディアも非常に参考になりました。 やはりこの物語のテーマは多重人格にあると思います。主人公であるビリーは自分の人格もカウント数に入れると全部で24もあり、(タイトルのとおりですが)まるで人間同士が話し合っているように人格同士で口喧嘩したり協調していたりする様子はとても興味深かったです。よく漫画などで脳内に天使(良い自分)と悪魔(悪い自分)がいて両者がやりあっているイメージでしょうか。 そもそも実話であり小説ではなく、エンターテイメントとして読むべきではないかと思いますが、興味をもって読みました。 途中で読むのを止めようと思った度(挫折度) 訳のセンス度 これは一緒に述べた方が良いかと思いますが、先ほども少し言及したとおり登場人物が多く誰が誰だか分からなくなり読むのに本当に苦労しました。紙に書き出して人物相関図的なものを作成しようとも思いましたが、それを作成するのも面倒くさいと思い止めました。 唯一ありがたかった点としては文庫本のそでの所にビリーの全人格の名前と簡単な性格等を一覧にまとめられていたことです。 24人格がありますが、その中でもよく登場する人格(主にアレン、アーサー、ダニー、トミー、レイゲン等)とほとんど登場しない人格があります。 私は上巻の最後までアレンとアーサー、ダニーとトミーを必ず混同しこの4人が出るたびに、逐一そでの人格一覧表をみて性格を確認しました。(私はカタカナを覚えるのが苦手なのです。) なので、そでの人格一覧表がなかったら確実に挫折していたと思います。 あとは訳にも苦しみました。 私は英語で書かれた原文を読んでいないので分かりませんが、また小説でないので仕方がないかとも思いますが、とにかく文章の流れが悪くこの場面では何か作者は言いたいのか理解するまでに時間を要しました。というのもどうでも良い(と私は思いますが)内容が話の本筋にふいに挿入され、何かこれも意味があるのかと思いつつも結局なにも意味がなかったと後になって気づくことが頻繁にありました。事実を記録として残す意味では必要かも知れませんが、いろんなことを覚えておきながら読んだので苦労しました。 あとは訳仕方もおそやくは唯ひたすらに直訳したと思われるような訳で前後の文章の繋がりを考えて、もう少しこなれた訳にしてほしかったなあと思いました。(訳者のかたに文句を言って申し訳ありませんが) 英語で読んでも同じだったら本当にすみません。 読みごたえ度 ページ数も膨大で登場人物も多く、30年以上も前のアメリカの話で時代背景の知識もなく、訳にも苦労しましたが、多重人格に悩むビリーの葛藤や家族や医師などの助ける様子などは今読んでも悩みを共有でき多重人格に関する見聞を少しは広く出来たのではないかと思いました。 あとは、読了できたことで登場人物が多く登場する海外フィクション、海外小説への免疫もついたかなと思いました。 ですが続編もあるのですが(タイトルは23の棺)読むか読むまいか躊躇っています。 以上のことから読んで面白かった箇所もありましたが、全体的に読むのに苦労したので おすすめ度は星2とさせていただきました。 | ||||
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絶賛投稿ばかりなので、あえて違う視点で。 初版は1992年であり、アルジャーノンやらジェニーの中の500人やらFBI真理分析官やら、多重人格や猟奇殺人などの心理分析が進むにつれ、当時は絶大なインパクトのあったこのジャンルの作品も、今はそれほど珍しくも無くなった。 買ったのはもう相当前だが、中古本に売りに出すために再読してみると、やはり1人の人間が24人もの人格に分裂し、各人が外国人設定や色んな特殊能力を持っていると言うのは、この分野の先駆け的話題作として興味を引く題材であると思う。 だがいかんせん、文章力が低すぎる。原文を読んでないので、元の筆者の文章力が低いのか、日本語訳が酷いのかわからないが、日本語として不自然な部分が多すぎて、作品のテーマ本来が持つ読書の面白さが半減している。 例えば最初から最後までずっとだが、大量の登場人物が出てくるので、誰が誰だかすぐわからなく上に、一瞬出てくるだけのモブのモブみたいな人物にまで、本筋に関係ないどうでもいい説明が多すぎる。例えば主人公を護送するだけの一瞬だけ出るモブにさえ、作品を読み進めるのに全く不要な身体的特徴やそれ以外の補足情報まで加えられているので、木を見たいのに、枝葉末節まで無理やり見せられ、視界が定まらずどこを見ているのかわからなくなり疲労困ぱいと言ったところだ。いちいちやたら長い修飾語句付きで「〜〜〜〜な誰々」と言った感じで初出のモブが紹介されるが、一瞬で消えるので、あれ?今のやつあんな説明なんに為にしたんだ?と混乱するだけ。そういうのがやたら多い。 また原文を読んでないので断言は出来ないが、日本語として不自然な箇所が多すぎる。おそらくこういう英語をこう訳したのだろう、と推測できる不自然な訳が大量にあり、純粋に話を読み進めたいこちらの読書欲をひどく損ねる。 また所詮他人が書く(=知らない部分は述べられない)というこの手の作品に共通しているが、なぜ各人格が、外国語のアクセントや、縄抜け、銃、格闘技、爆薬の扱い他の、特殊技能や知識を身につけたかが不明である。もちろんその人格になってる間に、本やTVで地味に独学し特訓した可能性が大だが、多重人格モノって大体が突然特殊能力やその人自身が知るうるわけない知識(一度も外国行ったことないのに、本やTVで知りうる以上の現地情報を知ってるとか、学んだことさえない言語や特殊技能を使いこなせるなど)、いやいや、別人格にしても、全く触れたことないものどう覚えたんだ?と読者は不思議でならないが、そういう謎は語られない。この作品では数年がかりで本その他で習得したらしいことがごくサラッと触れられていたが、別人格とはいえ子供がこんなの独学で習得できるか?と言うものが多く、詳細の解明はされていない。 肝心の治療と人格の統合も、一言、「似た人格を統合し、最後は1人にする」だけで、そんな複雑かつ困難を極めそうな過程の詳細がなく工程は不明なで、特に盛り上がりもないし(治療を阻害する周りの酷さばかりが強調)、中途半端が残ったままだ。 そのくせ取材やインタビューで知った情報は、物語としての体裁に関係なく、とりあえず全て突っ込んである感じなので、全然前後の関係で必須感もなく、なぜあえてこの一文入れたんだ?と言うような独立分離した情報や文が大量にあり、前述のように散漫感がものすごい。 「ビリーは目を閉じた。ダニーは見たことのない部屋にいるのに気づいた。怖くなりトミーに変わった。アレンはペンを取り上げ、絵を描いた。昼寝から目覚めるとダニーは鏡に映った顔に怪我があるのに気づいた」的に、ただ観測記録から時系列に人格を連ねてるだけの描写が多く、特定のキャラの出番を追いかけてるオタ以外には、「別にこれ中身ないしいらんだろ?」という散漫描写がとにかく多い。 こう言う余計なものを削除すれば、実際読者が多重人格のビリーミリガンについて知るべき情報は、半分に収まると思う。 時間の欠落がある様々な人格や、数十名に及ぶ関係者から情報を集め、丁寧につなぎ合わせたのはものすごい労力だとは思うが、読み物としての作品の質と言うことを考えると、正直まとまりないし読みにくいと言わざるを得ない。 | ||||
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人間の精神世界や無罪になった性犯罪者に対する世間の圧力、ビリーを支える医者や弁護士の努力など大変興味深く読めました。 | ||||
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文体がソフトで実録モノと言う感じはしませんがすこぶる面白いです。90年代この本をきっかけに映画、ドラマ、マンガなどあらゆるジャンルで多重人格モノが流行ったのも分かる気がします。 | ||||
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妻が猛プッシュしてきたので読んでみた。これはおもしろい。 多重人格というものの認識がかなり違っていた事に気づかされたうえ、不思議な世界を垣間見た感じ。 フィクション作品として出していても面白いと思うが、これはまさかの実話。 (腑に落ちないところは当然あるけども) 400ページもあるからなかなか進まないうえ、登場人物が多くて訳分からなくなりがち しかし、それは読み進めていくうちに分かるようになってくる。 本当に面白いので、登場人物が多すぎて挫折するのだけはもったいないと思う。 | ||||
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外国の方のお話の作り方が 日本人に合わなくて読みずらいと思っていたのですが、 要所要所に感じるものの 作家さんの真実を伝えたい熱量がすごくて 珍しく作品に引き込まれまました。 ビリーという人間が好きになってしまうほどに。 | ||||
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・サノーさん一言コメント 「一人の人間の中に劇場があり、法廷があり、コミュニティがある。それが精神障害であることを証明できるのは誰か」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「狂気という言葉では片づけられない、人間を構成するものの不可思議を知る一冊です」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):読むのに結構なカロリーが必要な「下巻」だった。 ウノーさん(以下ウ):ビリー・ミリガンを「構成」する登場人物だけで、24人もいるわけですから、なかなかに読み応えがあります。 サ:だが、読み進めていくうちに「内部」の登場人物たちによるシーンなのか、外部、つまり「現実界」のシーンなのか、判別がつくようになる。 ウ:「分裂症によって生じた、人物たち」に、自我があり、個性があり、能力があり、感性があり、性別がある、という「確認」について、どう理解したらいいか戸惑います。 サ:精神学の見地から言えば、耐え難い精神への攻撃に対する「防衛機能」として、他の人格が生み出され、育まれていき、ある日、「主人格」の逃避と拒絶により「入れ替わる」というロジックが確認されているが、それだけで説明できる現象ではない。 ウ:まず、それぞれの「内なる異なる人物」において、記憶が異なる、あるいは記憶がないという状況が、生体上起こり得るのかという疑問です。 サ:記憶のフィールドが「人物別」に同時に存在する、睡眠によって完全に入れ替わるという現象が可能だとするなら、それは新しい脳機能の研究対象となる。 ウ:実際に巻末の付録では、ミリガンの脳波観察の記録もありますが、現代のような高度な観察はできなかったようです。 ウ:この本に頻繁に登場する「同じ人間のなかでの違う人物による討論や闘争」は、どのように記憶されているのか、なぜ、他の「人物」と接触できるタイプとできないタイプがいるのか、修練や習得によって得られるはずのスキル、言語、訛り、男性らしさ、女性らしさが「根底から」切り替えることが出来るのか、疑問は尽きませんでした。 サ:精神病であり病気であるという見識と、通常の人間では利用されない、発動してはいけない「能力」という見識が存在していると思う。 ウ:だから、「人権」という見地からの「法の判断」も揉めることになります。 サ:未知の領域ともいえるが、被害者がいて現実界での出来事でもある。 この境界線について、改めて考えさせられる内容であることは間違いなかった。 ウ:と、同時に、やっぱり「怖い」ですよね。もし、目覚めた時、知らない場所、知らない状況だったとき、「別の人物」になっていない、という確証が得られない可能性があるわけですから。 サ:哲学における「問い」でもあるが、自我とはなにか、自我を構成するものはなにか、人間である以上、考えなければならない。 ウ:そういえば、買った記憶のない虎屋のドラ焼きが、冷蔵庫に入ってましたよ。 サ:別の「人物」になる前に、食べて確かめる必要があるな。 【了】 http://amzn.to/2xYgcXP | ||||
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・サノーさん一言コメント 「自我とはなにか。それが形成され、運営されていることを、どこの誰が認識するのか。単なる精神障害として処理できない事例の、真相に迫る」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「自分が自分であることを、証明する術はありません。法も裁けなかった、人間の罪を学ぶ一冊です」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):世界的ベストセラーとなった『アルジャーノンに花束を』はフィクションだったが、こちらはノンフィクション、しかも「多重人格」というフィクションのような「病気」に迫る一冊だ。 ウノーさん(以下ウ):心理学をやる人は、これを読んでおかないとなりません。自我という認識について、実際に起きた特異事例と研究を知らなければ、話になりませんので。 サ:連続レイプ強盗犯でも、多重人格であると診断された場合は、刑罰・懲罰は課せられないという事実は、多くの人には「法の矛盾と限界」を感じさせることだろう。 ウ:まあ、病院という名の刑務所から出られないのは、懲役刑と同じではありますが、それでも、弁護人へは脅迫や批難の声が上がるくらい「罰」が与えられた印象はなかったわけです。 サ:上巻は、事件の内容と捜査の過程、重人格症の認定と、多重人格の統合的管理者である「教師」の告白が中心となる。 ウ:一人の青年の身体に、24人分の名前、性格、能力、知力、思考が入っているという感覚は、日常の私たちにとって「ウソ」や「演技、思い込み」としか認識できません。 サ:多くの人は、自分の周囲で、一人の人間が「完全な別人に変化する」という状況に、遭遇したことはないからな。 ウ:その「複数で一つの身体」をもつ「人」が「人格」という表現を嫌うことが、この現象の「深度」を物語っています。 サ:「人格という表現では、あたかも存在しないかのように感じられてしまう。だから人間と呼んでほしい」という要望だが、これを受け入れる「素養」は、現代社会には、ない。 物的証拠もあり、被害者からの特定も完了し、自白もある。その状況下で「刑罰」にならないという事実が「多重人格」という事実を証明し、刑法の限界を告白している。 ウ:人が人を裁く行為の、根底を問う事例です。 レイプを実行していたのは「レズビアンの少女の状態」であった。心神喪失により刑罰の除外とする、と言われて、承知できる被害者はいないでしょう。 サ:一種の悲劇であり、救われるものがないストーリーだ。しかし、「犯罪面」をいったん除外し、「精神分析」という観点からすると「貴重な研究対象」であることは間違いない。 ウ:幼児期の虐待、特殊な環境下における特異な事例が重なったことが、この「悲劇」と因果関係にあることは間違いなく、「救われる」とするなら、そのあたり研究と「今後の課題が明確になる」ことです。 サ:それは下巻の軸だな。自我という哲学の根底にある問いが、精神分析とニアミスした事例を学ぶことは、自我を運営する我々全員にとって、有効なことだと思う。 【了】 | ||||
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