まるで天使のような

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評判

まるで天使のようなの評価:

4.08/5点 レビュー 24件。 B ランク

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平均点4.08pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21〜25 2/2ページ
No.5
(5pt)

悽愴の大団円

以前ハヤカワミステリ文庫で読んだが、新訳で久しぶりに再読し、読後やっぱり深く感嘆していた。

ミラーの他の代表作である『鉄の門』や『狙った獣』といった、均衡を崩した精神が紡ぎだすサイコサスペンスを念頭にして読み始めると、ちょっとアテが外れる。夫であるロス・マクドナルドが書くような、依頼を受けた探偵がこつこつと調査を重ねる、私立探偵小説のスタイルをとっているのだ。

しかし作品の重要な舞台となる、一般社会から隔絶した山奥で特異な共同生活をおくる宗教団体が、いかにもエキセントリックな心理の病巣を秘匿しているようで、リュウ・アーチャーやフィリップ・マーローが導くような結末には到るまいことを予想させる。そして期待どおり、真相の際までたどり着いた探偵から犯人へと視点が切り替わったクライマックスは、まさにミラーの真骨頂。

自らの罪業によって、少しずつ病み壊れていった精神のレンズが映しだす、倒錯した世界の像。不穏にぶれ、不気味に歪む焦点の混濁に、崩壊してゆく人格の悽愴がうかがえる。そして堰を切ってなだれこんでゆく、巧妙にして哀切なラスト数行のカタストロフィ。登場人物の悲痛な叫び声が、あたかも幻聴のように読後の耳に長く残響し続ける、ミラー中期の傑作である。
まるで天使のような (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: まるで天使のような (創元推理文庫)より
4488247091
No.4
(5pt)

「さむけ」といい勝負してる

マーガレット・ミラーの数多い傑作中でも特に傑出した1冊で、ある意味、夫君ロス・マクドナルドの作風と思いっきり接近してます。
 探偵のキャラクター、登場人物の陰影、ラストの恐るべき衝撃などロスマク作品と似たところがあり、完成度は「さむけ」と同等です。
 ただし、とっつきやすい作風ではないので、手当たり次第にミラー作品を何冊か読んで免疫を作り、忘れたころに再読すると真価がわかると思います。
まるで天使のような (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: まるで天使のような (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
B000J7F9RS
No.3
(5pt)

ラストは「さむけ」がする

異常心理ものを得意とする作者だが、本作は人間の愛憎・運命をミステリ的手法で描いた傑作。文学的にも優れていると思う。
ある事情から新興宗教団体に紛れ込んだ探偵。そこで人探しを頼まれる。そして、それとは別に描かれる浮浪者の姿。いわゆる交差型のストーリーで、複数流れる話のどこに接点があるのか読者には分からない。そして、最後に待っているカタストロフィ。私は、目前の壁が崩れるかのような衝撃を受けた。「さむけ」を感じた程。
精緻な描写と大胆な仕掛けで人間の運命を描き切った作者の最高傑作。
まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4) Amazon書評・レビュー: まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)より
4150722048
No.2
(5pt)

衝撃のラストが忘れられません!

話のあらましはこんな感じ。私立探偵ジョウ・クインが、たまたま立ち寄ることになった新興宗教団体の共同生活場所で、奇妙な依頼を受けます。「パトリック・オゥゴーマンという男を見つけてもらいたい」オゥゴーマンの身辺調査を始めたクインは、過去に起きた事件と遭遇。さらにこの事件の謎を調べていくうちに、登場人物たち相互の緊張関係や愛憎が浮かび上がってきます。果たして五年前の事件で、パトリック・オゥゴーマンに何があったのか?読んでいてじわじわっと来たのは、登場人物たちそれぞれの愛憎関係が徐々に明らかになってくるところでした。彼らの心の中にある愛憎、そこから生まれる緊張感。静かなんだけど、強くて深かった。本書の二年後に書かれたロス・マクドナルドの名作『さむけ』に通じる味わいも感じました。そしてエンディングがあああ!いやはや凄かったこと、衝撃的だったこと!げっ! こ、これは何とまあ………(絶句)心底震え上がりましたってば。主人公クインの気の利いた台詞も面白かったし、文章がまた見事でした。抑制の利いた押さえたタッチで、話の緊張感をひたひたと盛り上げ、エンディングまで引っぱっていく辺り。うーん、うまいなあと思いました。
まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4) Amazon書評・レビュー: まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)より
4150722048
No.1
(5pt)

荒野に降り立つ天使

 マーガレット・ミラーの最高傑作の一つ。邦訳は最初ミステリ雑誌に掲載されたが,この作品を雑誌で読んだ時の衝撃は忘れられない。 賭博で無一文になった私立探偵が,ヒッチハイクをするが,砂漠の真ん中で降ろされ,運転手の助言に従い,あるカルト教団の施設に泊めてもらう。翌日町に戻る前に,探偵が教団内の一人の女性に人捜しを頼まれたことから,過去の忘れられた事件の真相が明らかになっていく。 マーガレット・ミラーの描く探偵は,夫君ロス・マクドナルドの小説で活躍するリュー・アーチャーよりも,ポール・オースターの作品の登場人物を連想させる。 最後の一行で明らかになる真相は,悲嘆と絶望に満ちている。 
まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4) Amazon書評・レビュー: まるで天使のような (ハヤカワ・ミステリ文庫 41-4)より
4150722048