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罪の壁
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罪の壁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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緻密に計算されていて完成度が高い作品と思いました。舞台もイギリス、オランダ、イタリアと転々と変わり、面白く読めます。兄の死の謎を追うミステリーでもあり、主人公の成長を描く青春小説でもあり、どの角度からも楽しめます。特にイタリアに移ってからは、1950年台に作られたヨーロッパ映画(太陽がいっぱい、みたいな)を見ているような臨場感がありました。逆に言えば、そういう映画を一度も見ていないと、時代の雰囲気が掴みづらいかも。 | ||||
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イギリスの考古学者がオランダで亡くなり、その弟が不審に思い調べ始めるが・・・というお話。 CWA賞の記念すべき第一回受賞作という事で、その事実がありながらも、長い間翻訳されなかったという曰くのある作品だそうです。話はこの後のイギリスで書く人の多くなる犯罪小説で、社会や世論を意識した日常の犯罪を克明に描く、という感じの内容でこの後書く作家はポリティカル・スリラーにしたり、サイコ・スリラーにしたり、という後続の作家に影響を与えたかもしれないという見識も頷ける作品でした。 またイギリスの犯罪小説(イギリスの場合、クライム・ノベルというよりもこの方が似合う様な気がしますが)特有の暗さや透徹とした視線の雰囲気や気分に溢れていて、舞台はイギリスではないですが、イギリスの作家特有の資質がうかがえ、こちらも後続の作家への影響が伺われる様な気もします(イギリスは曇りが多く、霧も多く、常に曇天というステレオ・タイプなイメージを引きずっているだけで、あんたの勘違いと叱られるかもしれませんが)。 解説で三橋さんが詳述されてらっしゃる通り、第二次大戦が終わって間もない頃という事で、イギリスも一応戦争には勝ったけど、終戦直後は国民全員疲弊していた、という推理小説(「カマフォード村の哀惜」エリス・ピーターズ著)も読みましたが、この小説も戦争の疲弊を引きずっている印象があり、やはり戦争がただやるだけでなく、勝っても相当ダメージが残るらしいのも判りました。 推理小説としての謎ときも今読んでも結構良く出来ているので、私みたいに推理小説を好きで読んできた輩には読んでいる間はとても楽しかったです。二読三読できそうなので、また読み返したいです。★は限りなく5つに近い4つという事で。 ウェストレイクの「ギャンブラーが多すぎる」という作品に、もう娯楽小説の新規の紹介は難しいかも、と書きましたが、この版元の「ヒドゥン・マスターピース」という枠組みで娯楽小説の埋もれた作品を紹介してくださるという事で、期待するし、応援します。あまり売れたりはしないと思いますし、90年代みたいな活況を呈する事はもうなさそうですが(ポール・オースター氏のデビュー作が年末のベストテンで意外に健闘しましたが)。ラインナップにはロス・トーマスの未訳の作品もあるそうで、個人的に今からわくわくしております。 この作品も著者の著作リスト等も詳しく掲載されており、担当の方々の尽力に好感が持てました。まだこういう作品が好きな人が出版社にいらっしゃる様で、個人的に嬉しいです。 色々な意味で意義のある小説。機会があったら是非ご一読を。 | ||||
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