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(短編集)
流浪地球
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流浪地球の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「老神介護」はひどいひどい出来で、読むに堪えない作品集だった。 「老神介護」の「訳者あとがき」では、およそ信じられないことがしれっと書かれ ている。なんと、一つの作品に複数の原稿が存在し(訳者はどちらが正しいかと著 者に尋ねもしなかったらしい。これも信じがたい手抜き。)、訳者が「適当にみつ くろって」(こんな表現はなかったが、事実上これと同じこと)完成させたらしい。 「老神介護」は発売日に予約して読んだが、すぐに捨てた。持っている価値もな い。レビューも書いたが当然☆は一つ。 しかし本短編集は、6つの短編からなるがその質は遥かに高い。作品としても 完成している。(ただし最後の短編は「剽窃」とも思える。これは後述)。星雲賞を 授賞し、日本のSF作家が賛辞を贈った。 だが最後の一作でこの評価も一変する。 個々の短編を詳細には紹介しないが、一つ一つの短編で気になったことを記す。 「流浪地球」。大きなスケールのSF。地球そのものを宇宙船として、太陽系外の 移動のために利用するアイデア。アイデアそのものは古くからあり、必ずしも著 者のオリジナルとは言いがたいが、細部にわたって組み立てられている筋立てで、 かなりリアリティがある。 ただ、住民が動揺していくのは理解できるが、どうにも人間の行動を単純化し すぎ。また、指導する側とされる側が明確に線引きされ、分断されていることが 前提となっている。意地が悪い言い方をすると、「中国的統治方法」は全ての世 界に一般的なものではない。著者の政治感覚は中国そのものから抜け出していな い。 「ミクロ紀元」。アイデアは面白いが、小さすぎる生物に「知性」が存在しうるか は疑問のまま残る。「ミクロの決死圏」を敷衍したかのようなアイデア。 「呑食者」。終わりにネタバレがあるが、どうにも興ざめする読者も多いだろう。 この作品に登場する「水晶体」の存在意義がよく分からない。ここでも物語のスケ ールは大きく、惑星自体を取り囲む宇宙船が登場する。著者の特異な分野なのだ ろう。ただ、「希望」のために諾々と命を差し出すのは、実にアジア的。 「呪い5.0」。著者自身が登場する。WindowsのXp、Vistaも出てくる。 「三体」を千倍した「三千体」という偽書も。著者はかなり楽しんで本作品を描き出 したのであろう。「盲流」(農村から都市に流入した労働者の群れ)という表現が かなり気になった。おそらくはかなり差別的な表現となるのでは。また「精神病」 に対するこれまた差別的な理解を感じる。かなり不快だった。アイデア倒れで、 おそらく著者にはプログラミングの素養はない。 「中国太陽」。富と貧困、教養と無学、田舎と都会、最新テクノロジーと旧来の 技術。全てが渾然となった中国独特の「混沌」。この混沌の中で生まれたドラマは 劇的ではなく、そして非情さも感じる。中国における「生命の軽さ」を彷彿とさせ る。都会と田舎という構図はどうしても現代中国の文学には欠かせないのか。 「山」。エイリアンとの開港が全ての初めとなる。出だしは非常に非科学的。大 きな重力を持つものどうしが接近した場合、一定の距離まで近づいた時点で双方 とも崩壊する。これが全く無視されている。 一番驚いたのが、本作品のアイデアは二番煎じであること。この「個体世界」の モチーフは(おそらく50年以上前に)すでに出されている。似通っているという よりも全く同じアイデア。外国の作家の作品を高校生時代に読んだ。それと同じ。 これは「偶然同じアイデアとなった」のではないだろう。 どうにも納得できず、「訳者あとがき」を読んだが、 「エイリアンが語る彼らの世界の物語がまたとんでもない。読みながら英国SF の鬼才バリントン・j・ベイリーの某作(…)を思い出しました」とある。 訳者もかなり気が咎めているのがよく分かる。 何故「某作」と書くのか。はっきりと「アイデアは同じ」といえばいい。 短編はアイデアが命となるので、この作品は謗られても仕方ない。 「ゴッド・ガン」という本を参照のこと。ベイリーの短編集です。 この一作だけで本作品集の評価は最低となる。 と書いたところで新しい情報です。 訳者は(おそらく意図的にミスリードするために)「ゴッド・ガン」という作品集 を紹介していますが、酷似している作品は同じバリンン・J・ベイリーの作品集= 「シティ5からの脱出」収載の「洞察鏡奇譚」です。Yahooの知恵袋でこの酷似して いる作品を教えて下さいと投稿したところ、一日もたたずに回答をいただきました。 「瓜二つ」です。 アイデアが重なることはままあることですが、これは偶然とは思えません。 そして呆れるのが訳者の対応。わざと余り似ていない、同じベイリーの違う作品 を紹介しています。上記で「意図的ミスリード」と書きましたが、訳者の良識を疑い ます。呆れ果てました。 | ||||
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