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レイン・ドッグズ
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レイン・ドッグズの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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1987年の北アイルランドを舞台とする、ショーン=ダフィ警部補を主人公とする警察小説。シリーズ第5弾。今回は古城での密室殺人、つまりハウ・ダニットがメインテーマだが、同時にフー・ダニットも重要な要素になっている。 ウォルフガング=リームのピアノ曲をダフィが聴いていたら、彼に「事件から手を引け」と伝えにきた男がリームの曲だと分かるというシーンがあったけれど、(私はクラシック音楽を聴く方だが)リームを知らなかった。ダフィは現代音楽も聴くのかー。 | ||||
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冒頭のアリの様子や彼女との痴話げんか的なやりとりを読んでいて、途中で止めようかと思ったんだが、何とか読み進めていって、途中から加速度がついていった。まあ、冒頭の財布がなくなった事件も伏線にはなっているし、ベイズの定理(Wikiで読み直したけどさっぱりわからんww)が出てきた時も、後々から誰が考えたかもわかるわけで伏線としては十分に機能している。謎解き自体は単純であるし、さもありなんと納得はできるし、日産のゴーン元会長の逃亡劇を見ているから犯人が逃げたことも、そして、彼がどうなったかもわかる。そうした「事情」を受け入れられるようになることが大人になることだねと私は思う。とは言え、子供がいない私は、子供ができたエイダンと比べて大人と言えるだろうかとも思う^^; | ||||
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ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。 主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれピアノ弾き語りの天才トム・ウェイツの曲名からなっている。 信頼できる常連キャラである相棒クラビーに、新人ローソンを加えた三輪体制となって、本作で迎えるは『アイル・ビー・ゴーン』に続く密室殺人事件。舞台は、お馴染みのキャリックファーガスと、その古城。しかも物語のスタートは、驚くべきゲストをベルファストに迎える。モハメド・アリ! 彼をガードするチャンスを得たショーンは舞い上がる。サービス満点の虚実織り交ぜたプロットをも運ぶマッキンティのペンの冴えは想像力を暴走させては、ますます加速する。 エルロイのようだ。エルロイを師と仰ぐ馳星周のようでもある。リズミカルで、踊るような文体。リズムは緩急を変え、読者を世界の果て、閉ざされた時代へといざなってゆく。ある種の酩酊感を自覚させられる読書感覚。 それでいながら本格推理的トリックにもこだわる。今回は、同じ刑事が、二度も密室殺人に出くわす確率への疑問を、主人公ショーン自身があり得ない確率と意識してやまない。二重三重の罠への疑惑。標的はショーンであるのかもしれない。ショーンの懐疑にはきちんと決着がつく。いつもながらの練りに練られたプロット。 当時の国際事情。南北に分かれたアイルランドのそれぞれに違う法律という罠。フィンランドからの異邦人たち。過去からの使者。ショーンの捜査に引っかかる様々なファクター。さらに少年たちの収容施設の存在と、収容者たちの性被害疑惑が事件に引っかかってくる。史実、事実に絡ませた題材を取り込んでいる。作品の厚み。世界との繋がり。アイルランド史という深海に下ろされた作品という名の錨のようだ。 ショーンにとっては、彼のプライベイト・ストーリーでサンドイッチされた作品であるという点も、注目すべきである。粋な構成。心を打つリズム。やはり最後まで音楽性豊かな作品であるかのような。次作への焦がれるような期待に心が焼かれる。不良青年のような風貌の作者と、不良そのものである刑事ショーン。 本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック賞受賞作。本格ミステリの謎解きをノワールの闇で包み込んで仕上げた唯一無二の世界観と言える本シリーズ。つくづく、はまったら抜けられない世界。この個性をいつまでも! | ||||
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ショーン・ダフィ・シリーズ第5作(2016年)。MVA最優秀ペーパーバック賞受賞作とのこと。私の海外ミステリー読書はリアルタイム(発売日と購入日)から遅れる一方で、本書は発売日にkindle で買ったのに、読了は約1月後となってしまった。 といって、読みにくいミステリーでは全くなく、冒頭のモハメド・アリの登場から、するすると作品世界に入り込めていく。 全体として、1980年代ノスタルジアが楽しい。 本格趣向は、城でのジャーナリスト密室殺人だが、この謎はよく考えられていて、歯ごたえがある。 警察小説としては、適正スピードで快調に進む。 社会派要素としては、北アイルランド訪問中のフィンランド視察団という設定が面白い。青少年収容所の収容少年を使った少年売春という設定は、より面白いが、描写が薄くて、リアリティーは今いち。 一番魅力的だった登場人物は、元スコットランドヤード警部補で、民間警備会社を開業しているアントニー・マクロイ。 しかし、本書で一番よかったのは、主人公ショーンと恋人(元カノ?)エリザベスとのラブだった。ショーンと同棲していたベスは、予定の期限が来たとして、本書の巻頭で、ショーンの懇願を振り切って、同棲を解消して引っ越していく。 しかし、本書の最後で、突然べスから電話があり、旅行に誘ってくる。そして・・80年代の匂いのする、いいお話だった。 | ||||
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2020/10月に読んだ「ガン・ストリート・ガール」に続く新しい翻訳「レイン・ドッグズ "Rain Dogs"」(エイドリアン・マッキンティ 早川書房)を読み終えました。ショーン・ダフィ・シリーズの5作目。 相変わらずトム・ウェイツの楽曲が捧げられています。1987年の北アイルランド。モハメド・アリ。「アイル・ビー・ゴーン」に続くキャリックファーガス城で起こる密室殺人事件。巨大な門楼。魅惑の<落とし格子>。閉鎖空間に降る雪。しかしながら、パズラーとしての密度は「アイル・ビー・ゴーン」、前作「ガン・ストリート・ガール」には及ばなかったと言っておきたいと思います。 むしろ、北アイルランドを出てフィンランドへと事件が拡がりを見せながら、私が今まで知り得なかった英国、アイルランド、EUについてエッシャーの絵を見るときのような閉塞感を感じさせながら、歴史の中からその<国家>の存在を浮かび上がらせようという作者の試みを受け止めることができました。 とてもいい二人の相棒、クラビーとローソン。BMW(ビーマー)に仕掛けられた出来の悪い水銀スウィッチ式の爆弾。そして、恋人・エリザベスとの<本物>だと思えるような(リアルな)恋愛。フェリー・ターミナルの駐車場。リヴァプールの油ぎった雨の中。或る通りを歩き通すショーンとエリザベスの姿に、ヘミングウェイの幾つかの著作や、壮絶な私立探偵小説のエッセンスが覆いかぶさって来ます。たとえ私たちがまだ暗い今日にいたとしても、迎える明日がまっくらだとは限らない。 ショーンはまた、何処へ向かうのだろう? | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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