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パラダイス・ガーデンの喪失
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パラダイス・ガーデンの喪失の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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葉崎市の崖の上にある庭園〈パラダイス・ガーデン〉は兵藤房子が母親から受け継いだ大切な個人の庭園だ。そこで、自殺と思われる身元不明の老女の死体が発見された。第一発見者の房子は、やる気があるのかないのかわからない警官に自殺幇助を疑われ、打ちのめされる。 この事件をきっかけに、それぞれの人物が抱えて、図らずも多くの人間を結び付けていた様々な秘密が破綻し始める。 架空の町、葉崎市に繰り広げられるミステリーだが、読み始めた瞬間からしばらくの間、とっちらかった多くの人間の登場に、こちらも右往左往しながら読み続け、大分進んだ頃にやっと読書のリズムも登場人物の把握もできていく、という相変わらずのパターン。 いつもながら、全てが収束していく構成は見事と言わざるを得ない。しかし、このパッチワークを完成させていくような、またはパズルを解いていくような構成が快感となるはずが、今回はこちらの能力の衰えか、話がつながってくるまで、読み続けるのに結構苦労した。 | ||||
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今まで読んだ推理小説の中で最も面白かった。1枚のキルトが仕上がるように、パーツが揃っていき、全体像が明らかになっていく展開の巧みさ。 警察内部の姑息なパワゲームも笑止。人物描写も巧み。 | ||||
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架空の町「葉崎市」を舞台に、同時多発的に様々な事件や出来事が進行する。場面展開も目まぐるしく、登場人物も多く話の整理が大変でした。 しかし、主人公の女性警官をはじめキャラクター達が秀逸で、文体も読み易くユーモアもたっぷり。色々な要素が絡み合い複雑化した事件が解き明かされつつも、もうひと捻り欲しかったと思っていたら、ラストでしっかりと期待に応えてくれました。 | ||||
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元々好きな作家さん 最後まで楽しく、ワクワクドキドキしながら読めた | ||||
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面白かったです。他の作品も読みたくなりました。 | ||||
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「殺人鬼がもう一人」以来か、若竹七海氏新作発刊! 久々の葉崎シリーズだ。 あらすじを読んで同シリーズの第1作「ヴィラ・マグノリアの殺人」連想していたが、数段レベルアップしていることはいうまでもない。 またコロナ禍の現況を取り入れ、時節に適した作品を生み出す辺り、さすが若竹氏だ。 全ての章がキルトに由来する。1章「パッチワーク」即ち“小布を縫い合わせること”から始まり、2章以降はそのパターン名が呈され、各章の扉にはその名の図柄が描かれている。ラスト10章「キルティング」にて一連のパッチワークが“縫い合わされて裏打ちされて”、本作全体で一つの見事なキルト作品の体をなしている。 最近流行りのミステリー作品はというと“叙述トリックもの”が多いように思う。 “叙述トリック”という技法は、誰が最初に使ったかは知らないが、「アクロイド殺し」等アガサ・クリスティによりメジャーとなったと認識している。従って以降はどんなに名作でも二番煎じ的印象が拭えない。 いずれにせよ、産みの苦しみはあるものの一旦読者を騙せばあとは作者に都合よく進められる叙述トリックものより、読者に対して作中の探偵なり刑事なり謎解きする人と同等の手掛かりを与える正統的ミステリーの方が書く方が手間が掛かるのではないだろうか。 この点、本作の若竹氏は読者を目眩ますことはせず、些細な事柄を丁寧に描いていく。あたかも素晴らしいキルト作品を緻密なパッチワークで作り上げるが如く。やがて一見無関係に見えた些事が繋がっていき、事件の真相を浮き上がらせる。 ただこのパッチワークのパターン、あるものは自己完結し、あるものは終わりがない。各人物にまつわるエピソードも一件落着したものもあれば、結末がはっきりしていないものもある。ここまで描いたら最後まで描き切って欲しいと思う向きもあるかもしれない。 個人的に気になったのはラストのエピ。まるで会心の出来のキルト作品に作者が自分の名前を刺繍したかのよう。なくても良かったと思う とはいえ、若竹氏は“和製アガサ・クリスティ“のような作家でリスペクトしている。ファンとして彼女の作品があまり映像化されていないのを残念に思う。おそらく細く張り巡らされた伏線回収等、映像化が面倒なのだろう。 しかし、本作は是非映像化して欲しい。 サンバイザーで顔を覆った“仮面ライダー”のようなヒロイン二村役、演じるとしたら誰だろう。 やはり天海祐希さんか。原作では小太りの中年女性だが、冴えない葉村晶を目鼻立ちクッキリ、スタイル抜群のシシドカフカさんが演じたように、天海さんなら美しさを意識させずユニークな二村を演じてくれるだろう。 個人的には松たか子さんもいい。 | ||||
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面白かったです。読むキルト。 コロナ禍の葉崎はやはり葉崎。 登場人物の名前が気になり、他の若竹作品をチェックし、まんまと著者サマの術にはまったような… | ||||
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若竹七海を読むのは、「不穏な眠り」(2019/12月)以来になります。短篇「水沫隠れの日々」がピカイチでした。 「パラダイス・ガーデンの喪失 葉崎市シリーズ」(光文社)を読み終えました。舞台は、コロナ禍後の我が国、湘南、鎌倉近くの「葉崎市」という架空の町。(とは言え、似た名前の町がすぐさま想起されることになりますが、相模湾、半島、マリーナ、トンネル、海と山に囲まれた美しい場所。)主人公は、葉崎警察署刑事課総務担当警部補、二村。彼女は、同じ姓でも矢作俊彦のヒーローとは異なり、マスクにフェイスシールドを重ね付けした出で立ちで登場し、我々の度肝を抜きます(笑)。 事件は、丹念に手入れされたガーデニングの名所「パラダイス・ガーデン」で死体が発見されることをきっかけに、葉崎市で<生業>を営む人間模様、その家族に纏わるあれやこれやが複雑に絡まり合い、中盤、或る場所でダイナミックな事故が発生するやもう一つの事件が発生し、巧緻な伏線が張られた物語がよりその複雑さを増して、巻置くあたわざる物語へと進行していきます。 少しスラプスティックで、若竹七海らしいシニカルな笑いと日常に溢れた筆致は、快調だと言っていいでしょう。果たして、その死体は誰?犯人は?発生したもう一つの事件の背後には何が隠されているのか? 市井の人々の耳のいい会話とさり気なく撒かれた伏線が、ページを追う毎に回収されていく快感とは逆に複雑過ぎるストーリーの合間に流れる女性たちの喜怒哀楽がこのパズラーの読みどころだと思います。よって、ストーリーの詳細を語ることができません。 主人公、二村は目端のきく優れた探偵でありながら、大らかさに満ちており、好感が持てますが、そもそも彼女は錯綜する町の背後で蠢く陰影に満ちた女たちの歴史を華やかなフラワーガーデンの明るさの下にさらけ出そうとする「狂言回し」としての役割も担っているのでしょう。分野は異なりますが、ロス・マクドナルド・ストーリーのリュー・アーチャーのような透明な存在と言ってもいいのかもしれません。その姿に惑わされてはいけない(笑)。 誰にでも書けるものではないユーモアに満ちた文体とこのコロナ禍後の日々を生きる女性たちへのデリケートな視点故に、(大げさかもしれませんが)彼の国のアン・タイラーの著作などを想起したりもしました。タイトルは、「パッチワーク・プラネット」。様々な立場に居る女性たちの思いが紡がれたキルトのような小さな歴史が葉崎市という明媚な町を作り上げています。永遠にして刹那の庭。 欠点を挙げるとすれば、ストーリーをいじり過ぎているところにあるかもしれません(笑)。 | ||||
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