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見知らぬ人
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見知らぬ人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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重層的と解説に書いてあったが、重奏的でもあった。複数の登場人物の視点から物語でもある。 主要登場人物がみな女性であることにも注意したい。 そして、まさかという犯人。自分の読みは見事に外された! カー刑事の続編、The Postscript Murders の翻訳がとても待ち遠しい。 | ||||
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「犯人を絶対に当てられない」というキャッチ・コピーのミステリ。勿論、当てる気満々の気合いで読んだ。「見知らぬ人」という書物(怪談)を執筆した作家ホランド(故人)のかつての邸宅であるタルガースという中等学校を舞台に、ホランド研究者で英語教師のクレアがホランドに纏わる謎を追いながら同僚エラの殺害事件に巻き込まれる姿を描いた作品。まず、ホランドが妻のアリスを殺害したという噂があり、アリスの亡霊がタルガース校に現れるという設定があって怪談作家に相応しい雰囲気を醸し出している。 物語は日記という形式のクレアの一人称で進み(一人称の記述主体が犯人という古典ネタへのミス・リードか?)、作中には「見知らぬ人」の内容そのものの作中作が挿入され、実際の事件の進行はその作中作に則している(即ち、作中作に伏線が潜んでいる可能性がある)。また、日記は必ずしも時系列に沿っておらず(回想シーンもあるのである程度止むを得ないが)、警察の捜査過程の記述も重複している(即ち、途中で三人称に切り替わったという事だが、それでは、それまでのクレアの日記は何だったのかという疑問が膨らむ。客観的事実と照合せよという示唆?)し、女性刑事のカーが実はレズ(邦訳ではゲイ)であるという確かに錯綜した創り。更に、カーがタルガース校出身で、カーのかつての(男性の)恋人が現在はタルガース校の教師という風に眩惑要素を散りばめている。続いて、クレアの娘のジョージアの一人称で幾つかの人間関係が紹介される。それに、クレアの一人称が続き、"多視点・多語り口"趣向という事か。そして、ホランド研究者の大学教授ヘンリーとクレアのデートの夜、2人はリックの死体を発見し、今度はカーの一人称が始まる...。 全体として、(イギリスの)戯曲・小説を中心とした衒学趣味が目立って(特に日本人には)読み難い上に、サスペンスが盛り上がるのは終盤数十頁だけとあっては、幾ら意外な犯人が目的とは言え、"多視点・多語り口"趣向は失敗していると思う。犯人は確かに意外だが、明かされる動機程度の理由で連続殺人を犯すとは既に狂気の域で、意外な犯人と言うよりは作者の手前勝手な無茶な犯人と言って良く、キャッチ・コピーが虚しい駄作だと思った。 | ||||
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3人の語り手と日記という4つの視点を配した、凝った構成のミステリです。 ところどころ、各視点で語られるエピソードが重なっているので、このとき相手はこう思っていたのか、この出来事の背景にこんなことがあったのかという、重層的に描かれる物語が本作の読みどころでしょうか。 こう書くと文学趣味が濃厚な読みにくいミステリと思うかもしれませんが、本書の場合、視点人物と出来事の順序さえ間違えなければ、双方の心情や背景が読者に全て開示されるので、内容の理解は容易だと思います。 恐怖小説の見立て殺人というポイントが、物語の焦点からずれているのが残念ポイントですが、視点人物の関係性が事件の進捗に連れて徐々に変化していく際の心理描写の巧みさなど、読みどころも豊富だと思います。 秋の夜長にじっくりと読むのにふさわしいエンターテイメントミステリだと思います。 | ||||
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いろいろ賞を取っているというし、宣伝の煽りも大傑作を予想させたので、読んでみたが、正直なところ期待外れ。難度の高い犯人当てと言うけれど、この動機ではふつう当てられないし、解決を読んでも納得感より「そんなのありかよ」の感じ。新本格とかを期待してはいけません。 三人の日記形態でストーリーが進むのはいいとして、あまりその手法がミステリ的に活きているとも言えない。 ゴシックロマン風の装いはまあわるくないが、全体としてミステリとしては弱いです。ミステリを素材に女性心理を書きたいんじゃないかな、この作家は。そのへんが男性読者には、なんというか、うざいというか、めんどくさいというか。 まあ好みによって評価は分かれるでしょうが、ミステリ技術的には☆三個。 | ||||
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下敷きとなる(架空の)ヴィクトリア朝時代の小説が存在(横溝正史「悪魔の手毬唄」的な役割)し、教師で母親とその娘、そして殺人事件の捜査を進めるインド系刑事という女性3人の視点をきっちり「公正」に描写する。もちろん登場人物は全員「偏屈で皮肉屋」。 そして鉄則は「登場人物が限定されいて、ながしの犯人は絶対にNG。」であり、「いちばん怪しい人が犯人ではない。」という伝統の決め事があって「シェークスピア、エリオット、ミルトン、チョーサーなどの教養」が織り込まれており、「ハリーポッタ的な幽霊、魔術」も小道具として使用し、必ず「BBCラジオドラマ『アーチャーズ』を聞く」というイギリスのある意味保守的なミステリー。 でもさすがに21世紀なので若い世代はスマホを手放さないし、アメリカ系動画配信を観るあたりでは正直ちょっとほっとした。 | ||||
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以下、少しのネタバレがあります(これが気になる人は、警告なくもっと内容に触れているので、解説は先に読まない方がいいでしょう) 読む前に私が期待していたのは、 ヴィクトリア朝時代の怪奇小説、そしてその作家にまつわる研究が、現代の事件と響きあい密接なつながりを持ってくる話でした。 さらにいえば、せっかく怪奇小説を扱うのだから、超自然的な要素も重要なカギとして出てきてくれればいいなと。 ですが実際には、この怪奇短編や作家のことは、あくまで現代パートで利用される小道具にしか過ぎなかった印象です。 怪奇現象も出てきてはくれたのですが、こちらは完全にメインに絡まないし、大きな意味も持たないただのこぼれ話的なものでした。 むしろ刑事がかつてジェームズ・ハーバートを愛読していたという小ネタの方が、怪奇ファンには嬉しいくすぐりかもしれません。 そういったこちらの勝手な期待こそ外されましたが、ティーンの娘を持つ教師、娘、刑事の三者により、 それぞれにうっすら色眼鏡のかかった視点で物語が進んでいく構成は見事でした。 どちらかというと、ミステリとしてというよりも、現代イギリスの三人の女性の物語として楽しかったなという感想です。 | ||||
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ミステリーも怪奇も大好きで、ゴシックホラー大好きです。でもこの作品は、ミステリーやホラーというより3人の女性が日記で綴る打ち明け話、という感じです。そういう意味では大変よくできたエンターテインメントで、読み手に本を閉じさせません。それぞれの見地から殺人事件や周りの人々の反応、捜査の進捗具合を描き、すごく面白いのです。女性の本音や内面を描くには日記形式は最高です。電車の中の暇つぶしにはオススメです。でも、本の中に友を探すタイプの読者には勧めません。あ、そうか、心の中の本音を知ってしまったら友達になんかなれないってことね。 | ||||
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イギリスの女性作家エミー・グリフィスの日本デビュー作で、2020年のMWA賞最優秀長編賞の受賞作である。 海外翻訳ミステリー苦難の現代日本において、本書は刊行前にすでに重版が決まったらしい。予約が多かったということかな。おめでとうございます。 以下ネタばれないように気をつけてレビューを書きたい。 一、私的感想 〇本書の売りものは、①意外な犯人(つまりフーダニット)、②現代に蘇るゴシックロマン、③三人の女性の視点+α、ということになるだろう。 〇①については、間違いなく、意外な犯人である。そこは褒めたい。ただ、犯人がこの人物であることに説得力があるかについては、ちょっと足りないように思う。特に動機が強引すぎる。伏線も十分でなく、ずるい感も残る。 〇②現代に侵入してくるゴシックロマンは面白い。ホランドの短編「見知らぬ人」もよくできている。 〇③三人の女性の視点は面白いのだが、女性刑事以外の二人の性格が把握しにくい。特に主人公クレア・キャシディの性愛観が分かりにくい。 〇ホロヴィッツと比べると、ちょっと重厚感に乏しい。 二、私的結論 〇他の方がどういうレビューを書かれるか、興味深い。 〇次翻訳作も、ぜひ読ませていただこうと思う。 | ||||
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ミステリとしては驚きはありませんでしたが、私は人物描写が好きでした。3人の女性が順番に語るのですが、特に主人公のクレアに好感が持てました。 クレアは英語教師(英文学教師のイメージでしたが)なので本の話を度々します。最近のベストセラーミステリに辛辣なコメントをしたり。モデルのように美しいそうですが、繊細な性格で日記を心の支えにしています。そこから恐ろしいことが起きるのですが。 イギリス人の日常生活がたくさん描かれているのでイギリス好きにお勧めです。連続殺人物ですが、グロテスクな描写はありません。犯人探しはあまり当たらない気がします。しかしヒントは隠されています。 | ||||
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