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最後の巡礼者
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最後の巡礼者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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一気に読んでしまったー。 面白かったー! 他の方のレビューにある通り、もう少し丁寧な登場人物紹介が欲しかったのと、第二次世界大戦時の、ノルウェー、スウェーデンのドイツとの関係などを軽く書いておいてくれたら、親切だったなぁと思います。 が、面白かった! | ||||
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訳が不親切というのは本当だろう。まず、覚えにくい登場人物の一覧がない。ぶっきらぼうな文章は原文のせいもあるのだと思うが、読みやすくしようという配慮がないのは翻訳者(複数)の姿勢だろう(新聞記事の紹介のあと改行しただけでいきなり捜査会議になったりする。「が」と「は」に配慮がない)。さらに。第二次世界大戦時の北欧は情勢が複雑で、ノルウェーはドイツに完全に占領され、スウェーデンは中立を保っていた。そのような状況は説明がなければ大方の読者にはわからないはずで、せめて後書きででも基礎知識として提供すべきだったのではないだろうか。これほどの傑作が日本で評価されなかったのは翻訳者に責任があると思う。竹書房も続きが出しにくいのだろう。残念。 | ||||
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ノルウェイのミステリーといえばジョー・ネスポとサムエル・ビョルクくらいしか読んでいない気がするが、本書は「ガラスの鍵賞」他、北欧ミステリーで三冠を挙げた警察小説であるらしい。それも本邦初訳となる作家。それにしてもぐいぐい読める本とは、こういう作品のことを言うのだろう。 2003年の猟奇的殺人事件を捜査するオスロ警察のトミー・バークマン刑事。1945年戦後に起こるミステリアスな殺人。1939年に始まるイギリス籍ノルウェー人女性アグネス・ガーナーによるスパイ活動の物語。これらが、場面と時代を変えて語られてゆく。最初はわかりにくいジグソーパズルの断片に見えるものが、次第に一枚の絵を完成させてゆく、そのストーリーテリングが何と言っても素晴らしい。 特に、バークマンとガーナーという二人の異なる時代の男女主人公が、それぞれの物語を紡いでゆく話法にはがつんとやられます。この辺りから、物語の加速感が半端ではなくなる。 最後には二つの世界がやがて一つになり、現在の殺人事件の真相に繋がってゆくという構成である。ある意味で北欧圏に戦後を生きた人々にとっては、このような戦後処理とそのどさくさにまぎれた犯罪とは、王道とも言える主題の一つなのではないだろうか。 これが作者デビュー作というが、相当な手練れとしか思えない小説作法ぶりである。ナチのヨーロッパ侵攻。これに対抗する英国との狭間にあって、屈した国、屈する間際だった国。それぞれがそれぞれの形で第二次大戦の洗礼を浴びたのだ。その光と影の中で生きた人間たちが、寿命を迎えようとするそんな現代。埋没した時代の証言者たちにとっては最終機会と言えそうな、そんな現代に。 ナチ党員だった者、そうでなかった者の、隠れた闘争が引き金となり、その渦中にあって恐ろしいばかりのスパイ活動に身を投じたガーナーの苦しみ。その周囲で政治的、あるいは経済的理由で起こったいくつかの殺人とその犠牲者たち。現在に起こった冒頭の猟奇殺人の画面の裏で、フラッシュバックさせながら読者は様々な時代の断片を見せられる。 徐々に明かされる真実のめくるめく多重構造には驚かされる。それ程、ミステリとその背後の迷宮地図が精巧に構築されているということである。それでいて人間的な強さも弱さも曝け出された、現在のヒーローと過去に生きたヒロインとは、感情を引き毟られるほどにスリリングで危うい。二人の物語が交錯する最終インパクトへのスリリングな疾走感は早朝にエネルギッシュである。つまり、ぐいぐい読めるのだ。 ツイストにツイストを連ねるサスペンス。歴史の厚みと闇の暗さをすべて重ねつつ、迎える大団円。予想外の真実。秀作である。 刑事バークマンのシリーズは既に四作までが刊行されているそうである。続編翻訳が大いに期待される作家が、また一人。 | ||||
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ノルウェイのミステリーといえばジョー・ネスポとサムエル・ビョルクくらいしか読んでいない気がするが、本書は「ガラスの鍵賞」他、北欧ミステリーで三冠を挙げた警察小説であるらしい。それも本邦初訳となる作家。それにしてもぐいぐい読める本とは、こういう作品のことを言うのだろう。 2003年の猟奇的殺人事件を捜査するオスロ警察のトミー・バークマン刑事。1945年戦後に起こるミステリアスな殺人。1939年に始まるイギリス籍ノルウェー人女性アグネス・ガーナーによるスパイ活動の物語。これらが、場面と時代を変えて語られてゆく。最初はわかりにくいジグソーパズルの断片に見えるものが、次第に一枚の絵を完成させてゆく、そのストーリーテリングが何と言っても素晴らしい。 特に、バークマンとガーナーという二人の異なる時代の男女主人公が、それぞれの物語を紡いでゆく話法にはがつんとやられます。この辺りから、物語の加速感が半端ではなくなる。 最後には二つの世界がやがて一つになり、現在の殺人事件の真相に繋がってゆくという構成である。ある意味で北欧圏に戦後を生きた人々にとっては、このような戦後処理とそのどさくさにまぎれた犯罪とは、王道とも言える主題の一つなのではないだろうか。 これが作者デビュー作というが、相当な手練れとしか思えない小説作法ぶりである。ナチのヨーロッパ侵攻。これに対抗する英国との狭間にあって、屈した国、屈する間際だった国。それぞれがそれぞれの形で第二次大戦の洗礼を浴びたのだ。その光と影の中で生きた人間たちが、寿命を迎えようとするそんな現代。埋没した時代の証言者たちにとっては最終機会と言えそうな、そんな現代に。 ナチ党員だった者、そうでなかった者の、隠れた闘争が引き金となり、その渦中にあって恐ろしいばかりのスパイ活動に身を投じたガーナーの苦しみ。その周囲で政治的、あるいは経済的理由で起こったいくつかの殺人とその犠牲者たち。現在に起こった冒頭の猟奇殺人の画面の裏で、フラッシュバックさせながら読者は様々な時代の断片を見せられる。 徐々に明かされる真実のめくるめく多重構造には驚かされる。それ程、ミステリとその背後の迷宮地図が精巧に構築されているということである。それでいて人間的な強さも弱さも曝け出された、現在のヒーローと過去に生きたヒロインとは、感情を引き毟られるほどにスリリングで危うい。二人の物語が交錯する最終インパクトへのスリリングな疾走感は早朝にエネルギッシュである。つまり、ぐいぐい読めるのだ。 ツイストにツイストを連ねるサスペンス。歴史の厚みと闇の暗さをすべて重ねつつ、迎える大団円。予想外の真実。秀作である。 刑事バークマンのシリーズは既に四作までが刊行されているそうである。続編翻訳が大いに期待される作家が、また一人。 | ||||
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レビュータイトルの通り、第2次世界大戦下を舞台とした諜報員・アグネスを中心としたスパイ小説なのか、恋愛小説なのか、はたまた、現代の警察小説なのか。よく言えば、てんこもり。悪く言えば、どれも中途半端。特にアグネスの活動のポイント(英国への貢献)が分からないし、恋愛も結局、その美貌に翻弄された軍人たち。警察小説としても、行き当たりばったりのわずかな情報でスウェーデン、ノルウェー、ドイツを駆けずり回る、もう一人(シリーズの)主人公。アグネスの上司にあたる凄腕諜報員の活躍も特にないし・・・十分面白い小説なんだけど、そこまで面白いかと言われれば疑問。ただ日本人にとって第2次世界大戦下の北欧各国の対応は興味深かった。 | ||||
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前の方のレビューを見ますと良い本だと思われますが、読み進まないのは翻訳が良くないと自己判断致します。いつもは内容が良いとあっという間に読み終わるのですが。 あくまで自己判断です。 | ||||
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「最後の巡礼者 上・下」(ガード・スヴェン 竹書房文庫)をいつものように北欧の登場人物の名前の長さに辟易としながらも(笑)、一気読みしました。 ノルウェー産スリラーと言えばジョー・ネスボの名前を想起しますが、今までそれほど馴染みがあったとは言えません。翻訳も少ないため、私にとっては、その翻訳がドン・ウィンズロウを始め幾多の傑作スリラーを訳出している田口俊樹さんだったことが、読書のきっかけになったと言っていいでしょう。(訳者あとがきによると)本書は英訳本からの重訳だそうですが、第二次世界大戦のもう一つの歴史の闇を照射しようとするスカンディナビア産の傑作スリラーだと思います。(尚且つ、作者の処女作だそうですから驚きました) 2003年、富豪のクローグが自宅で惨殺されて発見されます。時系列が直ぐ様逆行し、1945年、捕虜収容所にて、ノルウェーのレジスタンス組織のリーダー、カイ・ホルトがゲシュタポの将校・ヴァルトホルストを尋問しているシーンから幕が上がります。2003年に舞い戻り、オスロのノールマルカの森で三体の白骨死体が発見されます。オスロ警察刑事・バーグマンは、戦時中の失踪人届けから被害者の名前を特定し、ノルウェーでの捜査を開始しますが、クローグの惨殺事件とその白骨死体の発見に関連性があることを疑い始めます。以降、そのバーグマンによる地道な捜査と1945年、ストックホルム、その後「どうしたらこんな世界で生きていける?」と呟くカイ・ホルトから三体の白骨死体となった犠牲者のひとり、ファシズム政党の党員でもあったアグネスへとその視点が変わりながら描写される戦時下でのノルウェーでの過酷な活動が、ほぼ交互にカットバックしていきます。より詳細なストーリーは、お読みいただければと思います(笑) 早いうちに過去の事件の真相が明かされていて、その真相に迫ろうとするバーグマンの捜査過程が追いつく形になりますので「倒叙ミステリ」のようにも見えますが、物語は、横たわる長大な歴史の闇に翻弄されながら試行錯誤を重ねるバーグマンの<Why-Done-It>へと辿り着こうとする辛抱強さと浮き上がったいくつかの謎に対する鮮やかな<Who-Done-It>によって、不自然さの少ない見事な結末を用意していると思います。 2019年3月に読んだ「戦場のアリス」によって女スパイ・イブの第一次大戦当時のレジスタンス活動を垣間見たりもしましたが、今回は、第二次世界大戦下でのスカンディナビアの対独活動を生きたアグネスの弱さと強さが物語に震えるようなサスペンスを与えており、一方では(ハリー・ボッシュのように)私生活に思い悩む刑事・バーグマンという現実的な視点を配することによって、私たちがあまり知ることのなかったノルウェーでの対独活動、エスピオナージュの複雑性がその歴史の闇の中から輻輳しながら、蜃気楼のように立ち昇ってきます。 ノルウェー、隣り合うスウェーデン、ドイツ、英国を舞台に、「素敵なあなた」と「最後の巡礼者」がアンヴィバレントに交差し、「狡猾なハンター」がその眼差しを向け続けた戦時下のノルウェーを生きたひとりの女性の悲しみを背負いながら、「常に率直で前向きなものの見方ができる人間に。たまに困難に直面してもそういう姿勢が変わらない人間」でありたいと願うバーグマンが辿り着く真相には、希望と絶望の間をたゆたいながらも、何故かそっとため息をつくことになると思います。 繰り返します。今までに読む機会が少なかったノルウェー産の傑作スリラーだと思います。 | ||||
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