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氷点



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氷点の評価: 4.47/5点 レビュー 157件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.47pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全139件 41~60 3/7ページ
No.99:
(5pt)

やっと!

有難う御座いました。
やっと読みました。
何年前から読みたいと思っていましたが、
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.98:
(5pt)

【猿のごとく読み、人のごとく考える・その385・378冊目】

・サノーさん一言コメント
「繰り返される愛と憎しみの連鎖。それが原罪かと問いてくる著者の魂魄」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「複雑な人間の感情を、数奇な運命をたどる少女と共に学びます」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】

・サノーさん、ウノーさん読書会

サノーさん(以下サ):読んだ直後のコメントは「ここまでやるか!」というものだった。
ウノーさん(以下ウ):徹底的に、人間の「裏と表」「愛と憎しみ」「罪と罰」「絶望と希望」を描き切っています。
サ:出発点は辻口家に起こった「悲劇」からだ。
ウ:全ての「歪み」が、そこからスタートします。妻の夏江の不義の間に、次女・ユリ子が殺され、その犯人である「佐石」も、留置場で自殺、行き場がない父・啓造の怒りと憎しみは、妻に向かい「最初の復讐」が実行されます。
サ:そこに向かう葛藤、人としての罪の意識も、全ては「伏線」となる。
ウ:その「始まり」からは、「殺人犯の娘・陽子」が軸となり、「許し」を得られない登場人物たちの「愛憎劇」が繰り広げられます。
サ:凄いのは、全ての行動や事件が「単に愛情」「単に憎しみ」から起こるのではなく、その裏にある「人間の矛盾」が見事に描かれていることだ。
ウ:「人間は生まれながらにして罪びとなのか」という問いかけが、クリスチャンである著者から迸っています。
サ:陽子を巡る人間模様、それぞれの「事情」が複雑に絡みながら、「罪びとたちの行進」は続いていく。
ウ:啓造が「洞爺丸」で遭難したとき、物語は終焉に向かうのか、と思いきや、そこからまた、新たな展開が繰り広げられます。
サ:「許しを得ない」ということが、これほどの連鎖を生む。これは、けっして、フィクションのなかの話だけではない。
ウ:そして「高木の告白」に、全ての人が驚かされるわけです。
サ:この本は、愛憎劇のドラマとして読むこともできるが、複雑に絡み合った伏線が一点のフィナーレへと結びつく「ミステリー」としても読むことができる。
ウ:そして、「許し」へと昇華する「希望」を見出す物語でもあるわけです。この点が、傑作としての賛辞が集まる理由だと思います。
【了】
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.97:
(5pt)

文学的でありながらも純粋に娯楽として楽しめる傑作

『氷点上・下』『続氷点上・下』半月掛けて読了。
最初はページ数に若干の後込みもありましたが
流石は名作、最後まで一遍に読ませる力がありました。
とは言えあまり書くことはありません。
僕だけに限った話ではないのでしょうが基本的に感想、レビューとは
如何にケチをつけるかだと思います。
良い作品に対して唯々「ここが良かった」と言っても仕様がないし
楽しめた作品にケチをつける事も野暮な気がします。
が折角なのでムリくり捻り出してみます。

最初は夏枝と村井の逢瀬から始まり
序盤は所謂「昼ドラ」的な展開で正直あまり気乗りせずに
読んではいたが、繊細な心理描写に何時しか引き込まれ
最後は【原罪】とそれに対する【赦し】とは何かとする
深みのあるテーマに及びます。
とは言え僕が一番惹かれた魅力は登場人物の一人一人の個性です
【堅物で真面目であるが故に大きな罪を犯す啓造】
【狡猾で何を考えているか判らない飄々とした村井】
【豪快に振る舞いながら思い遣りを持ち合わせた高木】
【啓造の息子らしい真面目さと、若さ故の直情さがある徹】
【爽やかで優しい好青年の北原】
【達観しながらも優しさを感じさせる辰子】
【女性の魅力と醜さを強く持ち合わせた夏枝】
そして一番のキーパーソンである【陽子】
彼女は嫌味なぐらい偽善的で好きではなかったが
最後はその『潔癖』が『赦し』を妨げる事に言及され
著者の思惑通りなのかと納得。
人物の行動それぞれが『善悪』で割り切る事のできない
表面的で終わらない深みを感じさせます。
また啓造が年頃の陽子に欲情を駆られる件は
継子を育てる上で避けては通れぬ事とはいえ
嫌な展開を想像してしまったが下衆の勘ぐりだった様で
『陽子に優しくなったのは本当の愛情でない』とする
結論の布石となり、女性作家でありながら男性の心腹も描写しつつ
『善と悪』『男と女』どちらにも偏らないバランス感覚が凄く好きな作風です。
唯一の不満点は宗教は金儲けの道具に過ぎないと思っている
無神論者(と言う程ではないが)な僕からすれば
洞爺丸事件の宣教師、キリスト絡みの一節は要らないかな。

とにかく半世紀前の作品が色褪せずに現代でも楽しめるのは凄い事で
年下の人懐っこい男子、優しい兄、爽やかな好青年、知的なロマンスグレーなど
何気にイケメンばかりで男達の友情、葛藤もあり
『原罪』『赦し』『贖罪』などと難しく気構えせずに
軽い気持ちで読んでも楽しめると思います。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.96:
(5pt)

雑食ではありながら、重い本はあまり読まないのですが、塩狩峠は高校の先生におすすめされて一日で読了してしまいました。

おかげで、翌日の単語テストは散々だったことを覚えています(笑)
それ以来、何度か読み返していますが、その度に心を打つシーンがなぜか毎回少しずつ異なります。
もちろん、ラストの主人公のあのシーン(ネタバレ防止のため内緒にしておきます)は毎回目頭が熱くなりますが、それ以外にも随所に心に突き刺さる一言が散らばっています。

もっともっとおすすめポイントはあるのですが、これ以上言うとネタバレしてしまいそうなのでこの程度にしておきます。

もし、小説は少し重いという方がいらっしゃれば映画にもなっているようなので、そちらから試すのも良いかもしれません。
私は映画は見ていないので、どの程度小説に忠実なのかは知りませんが……。
また、塩狩峠以外にも「道ありき」に始まる三浦綾子さんのエッセー三部作や歴史小説「細川ガラシャ婦人」もおすすめです!
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.95:
(5pt)

知り合いの勧めで

知り合いの勧めで今頃になって読みました。

もっと早く読んでおけばよかった。

衝撃的な1冊、(あ、上下巻で2冊ね)でした。

この2冊で約20年の内容が込められています。辻口家の長い年月の間での

恨みや嫉妬からの攻め心や、罪の意識からの許す気持ちへの心変わり等が

手に取るようにわかります。

そんな中、この主人公の陽子が前向き過ぎて、読んでいる私の心が洗われる

思いでした。

このような主人公を描ける何んて・・・。

作者の持ち合わせている善の気持ちが読む者を震わせるのでしょう。

内容もそうですが、作者にも感動しています。
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.94:
(5pt)

知り合いの勧めで

知り合いの勧めで今頃になって読みました。

もっと早く読んでおけばよかった。

衝撃的な1冊、(あ、上下巻で2冊ね)でした。

主人公の陽子が前向き過ぎて、読んでいる私の心が洗われる思いです。

作者の持ち合わせている善の気持ちが読む者を震わせるのでしょう。

内容もそうですが、作者にも感動しています。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.93:
(5pt)

昭和の小説

昭和の香りが漂う小説です。
北海道の自然と対比する美少女が、
透き通った氷点下の空気を感じさせてくれます。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.92:
(5pt)

オモシロイ‼︎

久々に小説を読んでひっくり返った。
続きが気になって仕方がない。
文字を追う感覚を無くすほどの没入感。
面白すぎる。

テーマはキリスト教の原罪。
生きていることはただそれだけで誰かを傷つけていることもありうる。
人は生まれながらに罪を背負っている。

それぞれの立場で悩む登場人物たちの心の機微をよくもここまで読者が共感できるように描けるもんだと感心するばかり。

テーマ。
プロット。
熱量。
間違いなしに三冠王。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.91:
(5pt)

原罪について書かれたとてもいい本だと思いました

人の憎しみとはこのように深く、激しいものなのかと思わずにはいられません。
夫から妻への憎しみだけではありません。人の間にうごめく憎悪の感情がこの小説にはたくさん出てきます。
もっと素直に話し合ったら、もっと感情を表に出したらと思うことがたくさんあります。
しかし、沈黙が美徳とされる日本においては、話しすぎること、感情をあらわにすることは美徳とはされないのですね。

いろいろな引用文がありましたが、その中でも気になった文章があります。

「なにを考えているのかわからない、というのは思慮深いということである。」
「秘密を持つということは大人になったということである。」

2つ目の「秘密を持つということは大人になったということである。」
この文章はこの小説における一番重要なことではないかと思うのです。

この小説における一貫したテーマはキリスト教における人間の原罪。
原罪とはエデンの園で神との約束を破ってイブが禁断の木の実を食べて、アダムにも食べさせてしまったことです。
その結果、裸でいることが恥ずかしくなってしまったことです。

裸でいることが恥ずかしい。それは心が裸になることも恥ずかしいと思うことにもつながります。
そしてその姿を隠すことになるのです。裸の姿を隠し、神に対してもうそをついた罪を隠し、
そしてついには自分の感情さえも隠すことによってお互いがお互いを疑い合って生きていってしまうことになるのです。

こういうプロセスを考えると、これは子供が大人になっていくプロセスと同じではないかと思うのです。
純真無垢であった子供がいろいろ教えられ、大人と子供は違うことを知っていきます。
いつしか大人の世界は思慮深く、子供の世界は浅はかだと思うようになります。
ついには自分の感情を抑え、思慮深くなります。

思慮深くなる。言い得て妙です。

病院長夫妻に引き取られ、大事に育てられた犯人の娘はとてもいい子供に育ちます。
しかし、この娘もある事件を境に思慮を持ち始めます。
そして人を疑い始めるのです。

純真無垢な心とはなにか。
そしてエデンの園で禁断の木の実を食べる前のアダムとイブが持っていた心で、
その約束を破って純真無垢な心をなくしたことが原罪ではないのかと考えてしまいました。

さらにこの小説にはもう一つのテーマがあります。
聖書にもある、「汝の敵を愛せよ」ができるのか。

主人公である夫は、自分の娘を殺した犯人の血が流れている犯人の子供を愛情をもって育てられるのか。
「汝の敵を愛せよ」を実践できるのか。

キリスト教においては、人は神の子であり、人類は兄弟。
同じくこの日本においても子供は授かりもので、天からいただいたもの。

そのように考えると、子供とは自分の所有物ではないのです。
一つの独立した存在で、その心は誰にも侵害できない。

血を受け継ぐと言っても、元はと言えば、出所はすべて同じなのです。
さらに言えば、身体も借り物であり、精神が宿り、その存在を知らしめるためだけの道具。
それは言葉も同じで、言葉は発した瞬間に精神から離れ独立に存在するようになる。
だからいろいろな言葉を使って表現しなければ、その言葉を発した人の本当の意味を知ることはできない。

この犯人の娘も同じことだと思います。
犯人の血を受け継いだのは、単にそれを借りただけ。精神やその存在は天から授かったものなのです。

そのように考えると、たとえ、殺人犯であったとしても、それを犯した人の心は誰もが持っている
純真無垢な心をなくし、憎悪や人を疑う心、つまり原罪を持った心なのだということがわかります。
そしてその原罪の意味を知り、純真無垢な心を取り戻すことがキリスト教の役目なのではないのかと思ってしまうのです。
そして「汝の敵を愛せよ」とは原罪を持った人の心を純真無垢な心に戻すことなのではないのかと思ってしまうのです。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.90:
(5pt)

神との約束(全二巻)。

同情するなら金をくれ!・・・いや、愛をください! 人間は、なんて罪作りな、生まれながらにして。

他人に責任転嫁するのが、苦しみの始まり。 他人に親切にする、人生を明るく楽しむ、カルマを解消して、ダルマにするって、あの世で決めてきたはずなのに。

自分をゆるします、他人もゆるします。

不幸のマントラ(真言):“私は悪くない”、“なんで私だけ”、“どうせ私なんか”。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.89:
(5pt)

今を苦しんでいる人へ

今を苦しんでいる人へ 人間の本質と生きる事 人間の弱さについて考えるきっかけになると思います。
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.88:
(5pt)

とてもいい本ですありがとうございます

とてもいい本でした、ありがとうございます三浦文学の傑作だと思います
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.87:
(5pt)

いい本ですありがとうございます

いい本ですありがとうございます、三浦文学の傑作だと思います。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.86:
(4pt)

なんだかなー

うーむ、重厚な話だ。。
読んだ後、なんだか淡い後悔を抱きました。。
なぜこんな悲しいストーリーを読んでしまったのかと。

最初は、
ダンナ:
その決断に合理性を全く感じられない。
復讐するにしたって他にやりようがあるだろ。
「汝の敵を愛せ」ってのも、納得感が相当薄くて、そういうレベルの話じゃない。
無理やりネタ作りやがって。

息子:
シスコン過ぎる!
高校とか大学通ってたら、普通に好きな子とかできるもんだろ。
また無理やりネタ作りやがって。

奥さん:
全体的にこいつ狂ってる。

等々、苦笑いしながら読んでいたのですが、終盤、そういうツッコミが
どうでもよくなるくらい、ストーリーに圧倒されます。。

きっと名作ですが、人には薦める気にはなりませんでした。。
現時点、続編も読む気にはなれません。。

なんというか記憶に残る小説ではありました。。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.85:
(4pt)

おくればせながらの

いまさらながらこの作品にひきこまれました!続編よみたいです。
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.84:
(5pt)

朝日新聞に再連載してほしいです☆

昔、朝日新聞に連載され
映画化、ドラマ化もされた名作です。

10代の頃にこの小説に出会い、
当時はストーリーの面白さに夢中で読みました。

同じ作品なのに、結婚してから改めて読むと
心に迫るものがあります。
親子、夫婦、親族、様々な人間関係の中で、
真に人を愛することの難しさを知るからかもしれません。

新聞連載は私の生まれる前だったので、
新聞でも読んでみたいです。
再連載されたら、
また多くのファンが生まれるに違いありません♪
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407
No.83:
(5pt)

汝の配偶者を愛せ

結婚していても、他の異性に心惹かれることはある。

たとえ肉体関係はないとしても、それだけで配偶者を傷つけ、
悩ますことが出来るということを痛感する小説である。

他の女性に心を寄せられる夫。
他の男性に心惹かれる妻。

この夫婦の葛藤のようなものは結婚している者でなければ
理解できないのではないか?

憎しみと嫉妬にかられる夫婦の心情がリアルに描かれている。

そして恋をした娘、陽子も傷つけられた相手に怒り、憎しみ
自分を裏切った相手を許せない思いを持て余す。

夫婦であっても、心の中に何をかくして生きているかは
お互いにわからない。

結婚前は気持ちは変わらないと思って、永遠を誓い合うが
実際は多くのカップルが離婚に至る。

氷点のテーマは「原罪」ということだが、私には「不貞」または「浮気」が
テーマであるような気がした。

旧約聖書の時代から、妻の不貞はあるというから、これこそが人間の原罪と
言えるのではないかと思った。

恋人や配偶者の浮気はこんなにも人の心を傷つけると知りながらも
止められないのが恋心というものではないかとつくづく思った。

とはいえ、人の心を傷つけると自分も傷つけられるということを
改めてこの小説から学んだ気がする。
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.82:
(5pt)

名作!

発表から50年以上経った現在でも「氷点」は、文学史上に燦然と輝く名作です。キリスト教の教理である原罪を主題にしたこの作品で、人は誰でも生まれながらに罪を負っていることを作者は訴えかけます。
作品中、読者を最も打つのは、母夏枝の冷たい仕打ちに耐え、父啓造と母夏枝の実の子でないと悟りながらも、明るく健気に生きる陽子の姿です。その陽子が自身の出生の秘密を知ったとき、遺書をしたため自殺を図ります。罪のない陽子が死を選択するという運命の理不尽さには慟哭せざるを得ませんが、光が見えるラストが救いです。
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.81:
(4pt)

お勧めです

私がレビューするまでもありません、本好きならば必読書でしょう
氷点(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(下) (角川文庫)より
4041003393
No.80:
(5pt)

汝の敵を愛せ

「敵って何?」という息子の問いに
「一番仲良くしなければならない相手だよ」と答える父親。

わが子を殺された悲しみの上に憎しみを持って一生暮らすのか?
そんな辛い生き方しかできないのだろうか?
他に生き方があるとすれば、憎まないためにはどうするか?
愛するしかないんじゃないかと思うんだ。というセリフ。

妻の浮気に苦しむ夫。
耐えがたい苦しみと絶望、心の葛藤を見事に描いている。

自分を裏切った妻は、夫にとって敵以上の存在だった。
そんな妻もまた、犯人と同じように許され、愛されなければならないことを
啓造は忘れていた。

そんな妻の不貞を許す気になれない夫に対し、作者は
汝の敵を愛す前に「汝の妻を愛せ」と言っている。

たとえ人殺しの子どもであろうと、その子には何の罪もない。

犯人を一生憎んで暮らすのか?
汝の敵を愛せという言葉を生涯の課題として取り組んで生きていくのか。

古今東西、永遠の課題であるテーマだと思う。

人間は自分の子でさえ育てかねたり、自分の親をさえ邪魔にするもの。

能力のない子は励ましてやればいいんだ。
どんな人間でも拒まずに、一人一人を大事にすることが大切だ。
今の日本にはいろいろな子がいるんだ。
どんな子供とでも友達になるということが大事なんだ。

との元教師である作者の想いもセリフに描かれている。

嫌いだと思っても、その人が悪いというわけではないこともある。
嫌いだと思う自分の方が、悪いことだってあるんだよ。

誰のことでも嫌って、人の悪口ばかり言っている人の方が悪いんだよ。
少しくらい嫌なことは我慢しないとダメだよ。

お金を落として、そのうえ損したといつまでもクヨクヨしてたら大損よ。
一生面白くない面白くないで暮らすタチだね。

足を怪我したら、手はケガをしなくて良かったと思う。
お金を落としたら、拾った人が喜ぶだろうと思う。
拾った人は、おかげで命が助かって、それからいいことばかりあると思ってもいい。

「百年たったら生き返りますからね」
というセリフも、心に残った。
氷点(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:氷点(上) (角川文庫)より
4041003407

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