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囚われの山
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囚われの山の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 1~20 1/2ページ
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人は過ちを犯す。 日常ならまだしも、死の恐怖にさらされたなら、なおさらだ。 軍も過った、仕官も過った、無論若い兵卒だって、そしてやはり村人も過ったのだ。 そういった人びとの過ちの積み重なりにさらに軍の事なかれ主義が覆い被さり、知られてはいけない秘密は降り積もる八甲田の雪の中に永遠に閉じ込められていくのだ。 今となっては真実は分からない。 自分にだってあっておかしくない人間の業が、ジャーナリストの業により、ジャーナリズムだからこそのペンの力で雪の下から掘り返される、人間の裏側が悲劇を呼び、それをなかったことにするためにまた悲劇を呼ぶ、実に怖い話。 | ||||
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史実をなぞりながら、現代の登場人物を織り交ぜた描写は、実際に現代や遭難当時の八甲田を訪れたかのような感じで読み進められた。 それぞれの登場人物の絡みも面白く、最後の描写には「そうきたか…」と驚きをもって本書のイメージを記憶にとどめおかれた。 読んでよかった。 | ||||
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八甲田山の兵士たちの描写は素晴らしかったです。 でも最終的に斎藤美奈子『妊娠小説』を思い出しました。八甲田山は家庭小説の序章だったのでしょうか(はハーレクインとか海外ロマンスにもこういうプロットはあると思うよ)。 兵士たちのパートの評価だけなら5点でした。残念すぎる… | ||||
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八甲田山雪中行軍遭難事件と言えば、日本最大の遭難事件として余りにも有名だ。 そして、本書の著者・伊藤潤氏はメディアでもお馴染みの歴史小説家でもあるので、その伊藤氏が如何にしてこの事件を描いたのか興味を以て本書を手にしてみた。 だが、結論から言うと、凄く良かった部分があった半面、申し訳ないが非常に残念な部分もあったので評価は平均点と言う所か。 さて、本書は現代の雑誌記者が八甲田山雪中行軍事件の謎を追う設定で物語が展開する。 サスペンスなので結末を詳しくお伝えする事は出来ないが、構成としては、歴史雑誌の売り上げを伸ばすべく八甲田山遭難事件の謎を取材する主人公を軸にした現代パート、そして実際の雪中行軍の詳細を描いた歴史パートが並行して展開する。 先ず、素晴らしかったのは何と言っても遭難の実態を描いた歴史パートだ。 冬の八甲田山の恐ろしさ、体力の限界と死への恐怖、次々と倒れていく同僚とそれを見捨てざるを得ない状況、真の絶望…言葉では言い尽くせない程に人間の極限を描き切っている。 また、とかく当時の軍隊にはマイナスのイメージしかないが、彼等なりの考え…それぞれの立場や責任感、国に命を捧げる姿勢などが感動的に表現されており、決して美化している訳では無いにも拘らず、思わず涙してしまう程の悲壮感があるのだ。 「天は我々を見放した」…正しく、その絶望感を肌で感じる程の臨場感は圧巻でもあった。 因みに、参考資料を良く精査した上で歴史パートを描いているので、この事件の実態を知る事が出来るし、改めて冬山で何が起こり得るのかという事にも詳しく言及している所からは、自然の脅威について多くを学んだように思う。 これに対して、この物語の主人公である記者が登場する現代パートは正直言って期待外れ。まるで時代遅れのサスペンス・ドラマのような展開だし、そもそも登場人物に魅力が無い。特に”バブル期”を彷彿とさせるようないで立ちで色仕掛けでのし上がった女性編集長には嫌悪感を覚えるし、そんな嫌味な女性に翻弄される主人公も情けない。 勿論、彼等は彼等なりに様々な葛藤があるようなのだが、その描写が十分ではないので、残念ながら共感は覚えられないし、然も結末の後味も悪いのだ。 そして、何よりも頂けないのは、結婚生活の破綻や仕事の不満など、所謂「誰もが抱える現代的な悩み」(勿論、こうした悩みを軽んじる積りは無いが…)と、かたや前代未聞の壮絶な雪中行軍をした兵隊達の苦しみを、まるで「同列」であるかのように扱っている点だ。 因みに「知り過ぎた者を抹殺する」展開も定番過ぎて新鮮味に欠けるので、無理にミステリーにしなくとも良かったのではないか…とも思うが、謎が解けた時に名も無き一兵士が”任務”を終える瞬間は良かったので、その一場面を書きたかったのかもしれないと思うと、そこは許容範囲であった。 …と、少々辛辣な事も書いてしまったが、これはあくまでも私個人の好みの問題なので、決して作品の優劣を言っている訳では無いと言う事を明記しておきたいと思う。 | ||||
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雪中行軍の題材は好きで、青森の酸ヶ湯温泉にも5年程通いつめました。そんなわけで本作品をワクワクしながら読んだのですが、クライマックスシーンで『えぇ~?それは無いよぉ。』とガッカリし、ラストシーンで『はぁ?なんだこの終わり方?』と怒りすら覚えました。詳細は星1つのレビューに全面賛同です。 | ||||
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伊東潤氏は時代物、とりわけ戦国期の歴史小説に多くの佳作をものしているが現代史を取り上げた(と言っても明治時代だが)洞察鋭いこのような作品もあるのかと刮目しました。 この小説を読んだ後、更に映画を観たくなりDVD「八甲田山」をAmazonで購入しました。 | ||||
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文庫本の帯に「120年前の大惨事に雑誌編集者の男が辿り着いた”真実”とは?」とあり、筆者にとっては新田次郎氏でイメージが確定している「八甲田山」をどのように新たな作品として成り立たしめるのかという興味で本書を購読。 現代パートと往時パートの対位に引っ張られて面白く読んだ。田代温泉へ向かう編集者と一等卒を重ね合わせるところなどはベタなほどに外連味のない王道だ。安易に描かれると鼻白んでしまうところだが、素材が正統ど真ん中なのであまり気にならない。それにしても最後のオチからすると主人公編集者と編集長の仲はその後も継続的だったのかと思ってしまう。 ここまで著者を聞いせずに読んだが、改めて著者名を確認すると、比較的的最近に著者の「歴史作家の城めぐり 〈増補改訂版〉」 (幻冬舎新書)を読んでいた。軍事・歴史マニア的indexと物語戦国東国史が絡み合って楽しかった。本作品の現代劇パートの一件紋切り型な展開のようでそれに留まらないところと似ているように思えてしまう。 | ||||
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最後は幽霊話とは 陳腐な結末に落胆します。 他の作品は読みません。 | ||||
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この事件をあまりよく知らなかったのであまりの壮絶さに自分も読みながらグッタリしてしまった、すごい緊迫感と絶望感 文章や登場人物の描き分けがうまいのでスラスラ読めた 戦争が背景にあるときの人間の命の軽さにとても胸が痛む、面白い小説でした | ||||
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本作読了時(単行本)は、まずかなり複雑な思いに囚われた(←タイトルのとおり)。本屋の棚で見かけた時は、その昔の新田次郎版をアップデートした剛直な遭難実録をイメージしたところが、「一人足りない!」という歴史ミステリー。そして、なぜか現代の視点人物へと頻繁に話が戻り、そして、ある意味で驚愕の大団円へと至る。もちろん、ストーリーのクオリティは極上。しかし、作者の名からイメージされる内容とあまりに違った展開に、大いに戸惑ってしまったのである。同じような思いを持った読者は多かったようだ。しかし、マーケットがその答えを出した。当作は、かなりの売れ行きだったと聞いている。歴史小説の枠を広げ、新しいエンターテイメントを作る。作者は、この挑戦に成功した。そして現代劇へも活躍の場を広げ、傑作「修羅奔る夜」をものしたのである。成功し、あるひとつのカテゴリに囚われた作家が、その桎梏を引きちぎるまでのドキュメントでもある本作、閉塞感にあふれたこの現代を生きる我々にも意義深い一作である。 | ||||
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八甲田山遭難事件という興味深い題材にも関わらず、2つの謎のうち、1つ目は当時の国情ではさもありなんという謎でもなんでもない内容。2つ目の謎も結論ありきで「そうはならんやろ(笑)」という感想。 何より「しょうがない。この世の思い出に教えてあげましょう」はさすがにセリフが陳腐でクライマックスにも関わらず興醒めした。 | ||||
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伊東潤氏の作品は何作か読んでいて、中でも「巨鯨の海」「国を蹴った男」「戦国無情 首とり」等は繰り返し繰り返し読むほど好きなのだが…この作品には心底失望しました。 本作はかの有名な八甲田山雪中行軍遭難事件を扱っており、過去パートと現在パートが交互に展開される特徴的な構成となっている。 過去パートの主人公は行軍に参加した一兵卒、現在パートの主人公は事件を取材する雑誌記者… おぉ面白そうじゃないかとの期待は、設定・人物描写・セリフ回し・ストーリー展開の全てが陳腐すぎる現在パートによって粉々に打ち砕かれます。 離婚寸前でキャリアにも行き詰まり気味の記者、美しく腹黒い編集長、独善的な社長… これらの面々が繰り広げる昼ドラまがいの茶番劇が、まるで船越英一郎主演の2時間ドラマのようなクライマックスを迎えた瞬間に私の失望は頂点に達しました。 過去パートは決して悪くないどこらか、少佐と大尉の人間関係などかなり面白いだけに痛恨の極みです。 こんなもの本棚スペースのムダ使いだ! ゴミ箱に捨てろ! さぁ新田次郎でも読もうぜ | ||||
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歴史小説でもありミステリーでもある。なかなか、面白かった。 | ||||
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雪中行軍をテーマに、ミステリーとも言える内容。クライマックスがまた凄い | ||||
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小説・映画化もされた所謂「八甲田山 死の彷徨」雪中行軍訓練を、現代の東京の歴史雑誌編集者が再構成・新解釈するという体裁の物語。勿論、行軍に随行参観した大隊長の山口少佐、山口少佐の従卒の稲田一等卒、雪中行軍訓練の有能な企画立案者兼事実上の指揮官だったが山口少佐の随行参観のお陰で腕が振るえなかったとされる神成大尉、やはり随行参観した倉石大尉などの(回想)主要登場人物達の設定は史実のままである。歴史雑誌の廃刊を阻止するためのアイデアとして「八甲田山」を採り上げたという形で物語が始まる。主人公を務めるのは部内ではチョット浮いた存在の菅原。 菅原は出張で青森に飛ぶが、記録上の遭難者数が「200→199」と初報から後報の間で減っている点がまず気に掛かる。混乱から生じたミス(軍では考えられない)でなければ、公にされていない人間が1人居た事になる。また、山口少佐の荼毘の日が他の犠牲者より3日早い事も発見する。その山口少佐の自死についても疑問点がある。1回の出張の"記録だけ"の調査で簡単に問題点に辿り着き過ぎという感が否めないが。また、実地体験という事で、菅原は地元の教師の(偏執的な)小山田の案内で行軍ルートを踏破し、山口少佐が神成大尉に代って実質的な指揮を執っていた(山口・神成が常軌を逸した後は倉石大尉が指揮を執っていた)事や行軍が現地の状況に不案内(軽装で臨む等)だった事などを聞く。 加えて、行軍は「進めば体力を消耗し、その場に留まれば凍死」という絶望的状況だった事も聞かされ、菅原は「八甲田山」に「囚われ」始める(行軍の悲劇と自身の離婚トラブル(に代表される人生)とを重ねあわせている)。しかし、この行軍に依って3年後の日露戦争において日本軍は1人の凍死者も出さず、低体温症や凍傷に罹る兵も殆ど居なかったという(!)。偶然とは考えられない。 菅原の執念で遭難者数の差の謎も解かれる。小山田も「八甲田山」に「囚われ」ていたのだ。「八甲田山 死の彷徨」を全く別の壮大な視座で透緻した秀作。編集者間の争いは頁数稼ぎでムダだと思ったが。 | ||||
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昔の軍の雪中訓練の遭難事故の話はすごくおもしろいです しかし現代編の話がダメですね 安いつまらない話で現代編だけ飛ばし読みしました 昔の雪中訓練の話だけで一作書いてほしかった すごい名作になったと思います | ||||
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120年の時空を超えて展開するストーリーには、圧倒されます。それこそ時の経つのも忘れて、一気に読了しました。 | ||||
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長編小説でしたが週末の一昼夜を掛けて一気に読みました。雪中行軍「遭難事件」となってしまった雪中行軍の「真の目的」を初めて知るとともに、小説の主題である「遭難者人数の食い違い(こちらはフィクション)」を混ぜた読み応えのある内容です。自分も「青森5連隊駐屯地内の資料館」を訪ね、また夏ではありますが実際に八甲田山を歩いているので、その分も自分がこの本に囚われたのだと思います。 ただ残念なのは、読者をグイグイ引き付けてきた小説の結末があっけなく終わってしまう最終章の残り数ページとエピローグでした。主人公は最後のビバーク地から街へ生還できたのかも省かれています。ここを丁寧に書いてあれば「星5」でした。 | ||||
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八甲田山雪中行軍遭難事件に基づくフィクション小説ですが、事件の知識があまり無くても、作品中で丁寧に説明されていますので、読み進めていく上では問題は無いと思います。 史実に作者の想像力が加わり、過酷で悲惨な雪中行軍、軍部の理不尽さや闇などが語られていきます。ラストはミステリー的な要素も含まれ、大変読み応えのあるエンターテインメントで骨太な物語ですが、エピローグは余分だったかなと個人的に思います。タイトルに引っ張られ過ぎた感がありました。 | ||||
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一粒で二度おいしい小説。 『八甲田雪中行軍遭難事件』を、同時代での描写と、現代からの検証としての視点の両方で、多面的に追体験できます。 日清・日露戦間期の旧日本軍の士官や兵卒の心情は、現代の我々からは窺い知れないところが多いです。それを、雑誌編集者の個人的な体験と執念を通じて伝わらせる手法が見事です。 所々に顔を出す南部弁のセリフが、山に生きる人々の思いをよく表現してます。 | ||||
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