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等伯
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等伯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
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上巻で最愛の妻を亡くしましたが、下巻でも様々な身近な人物が亡くなっていきます。そのたびに苦しむ等伯ですが、単行本の表紙にもなっている代表作の『松林図』にすべてが結集しています。 この『松林図』は有名な割りにいつ・どこで描かれたのかが謎なのですが、作者の解釈はなかなか面白く、畢生の大作と呼ぶにふさわしい背景がちりばめられています。 また、最新の研究もとりいれたエピソード(永徳の信長像の話)などもあり、最初から最後まで一気に読んでしまう面白さでした。 | ||||
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直木賞受賞作品。 日本経済新聞社の朝刊に連載されていたこの小説を欠かさず読んでいた叔母から薦められていましたが、ようやく紐解くことができました。 長谷川信春(等伯)が、絵師として大成するまでに影響を与えたと思われる多くの人物が登場しますが、なかでも、私は、義父宗清、日堯上人、妻静子の描き方に興味を持ちました。 この三人に共通するのは「捨身施」という思想。 インドの神様が、キツネと猿と兎に食べ物を求めたところ、キツネは魚を捕り、猿は木の実を採ってきた。けれども、兎は何も持ってない。すると、兎は火の中に飛び込んで、その肉を提供した。 「命」を施すという崇高な寓話ですが、要は、「身を捨てて人のために尽くす」。この三人からは、そんな生き様を強く感じさせられました。 私は、恥ずかしながら、これまで「絵画」を観て感動したことがありません。 しかし、この小説では、「優れた絵には、人の心を動かす力がある」と書かれています。 信春が描いた「白の法衣をまとった日堯上人のご尊像」「黄櫨染をまとった日しん」、そして、牧谿の「観音猿鶴図」を観てみたくなりました。感受性に乏しい私の心も打ち震えるでしょうか。 下巻では、等伯の代表作「松林図屏風」と息子久蔵の「桜図」が登場すると思うのですが……もう少し、信春の迷いとか、葛藤とか、心情が掘り下げて書かれているといいのですが……上巻は、淡々とした描写に終始し過ぎていたように思います。 | ||||
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著者の作品を読むのは初めてでしたが、あっという間に読み終わってしまうほどのめりこみました。 上巻では、能登七尾に住む絵仏師の等伯(33歳)が、自分より年下なのに才能あふれる狩野永徳の存在に焦燥感を感じ、なんとしても都にでて絵師として大成したいという願望、自分の軽率な行動のせいで養父母を死なせてしまったという罪悪感、延暦寺焼き討ちに巻き込まれる中で目にした地獄絵図、そして最愛の妻に先立たれる悲哀と、様々な人生の困難が立ちふさがってきます。 次はどうなるんだろう?というスリリングな展開、心血注いで描いた絵が認められたときのカタルシス。さらに作者お得意の歴史小説の側面もあり読み応え抜群でした。 この本をお薦めできる人は、等伯や日本画史に興味がある人はもちろん、戦国時代好きな人でも面白く読めます。重要人物の一人、近衛前久もこれまでの固定観念を覆されるような絵がかれ方でした。 | ||||
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願わくば智積院で、等伯が鶴松のために描いた浄土絵を観てみたい・・・ 絵を手がかりに等伯の人生を紐解いていく安部さん。絵を文章だけで感じさせる筆致は相当なものだが、それもやはり、等伯の絵から迸りだす魅力と迫力があればこそだろう。 等伯の苦難の人生は悪役がなければ光らない。ということで、安部さんは上巻で信長を第六天の魔王に擬したのに続き、下巻では狩野永徳や石田三成を悪役として等伯に対峙させる。史実に対して脚色しすぎのところもあるが、大衆小説としては許される範囲だろう。 京都の智積院を訪れるのも、国立博物館所蔵の松林図が再び展示されるのも、いつになるかわからない。文章で感じるだけでなく絵そのものも観てみたく、ネットで画像検索しようか、美術本でも手に取ってみようか、と思わせるほど、安部さんは読者を等伯の世界に引き込んだ。その筆力が評価されての直木賞受賞に、拍手を送りたい。 | ||||
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日経連載時から気になっていた本書が直木賞をとったということで、早速購入して読んでみることにした。 長谷川又四郎信春は能登七尾で評判の絵仏師である。家業も順調で何の不自由もない。しかし、燃えるような焦燥を抱いて、都で絵を学びたいと思っている。その焦燥が信春を不幸へと突き動かし・・・というところから、物語は始まる。しかも都には、新時代を拓こうとする魔王信長がもたらす戦乱が待っていた。 等伯は故郷能登周辺にもいくつかの作品を残しているが、余り細かいことはわかっていない。故にこそ、筆者は絵を手がかりにスケールの大きい流転の物語を仕掛けていく。燃えるような焦燥がこの稀代の絵師を導いた、という安部氏の見立て。面白いです。松林図の境地に至る下巻が楽しみ。 | ||||
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札幌行きの帰省の飛行機用に購入。 画業に命を削る等伯、その才能の為に一族の命も預ける。 一途な等伯を揺れ動かす兄の武之丞。断りきれない等伯。。 狩野との今後の関わりや久蔵のことも気になり、下巻購入。 狩野永徳との確執も結局、それぞれ背負うものがあり、 単純な善し悪しでは片付かぬもの、というのも悲しくもあり。 血縁というだけで弟を利用し続けた武之丞も、最期の所では、 立場の違い、生き方としては認めざる終えなかった。 この歳になるとしみじみ理解でき、落涙を禁じ得ない。 この後も、不幸が等伯に降り掛かる。 そこから生まれたのが、松林図として結実する。 多分、いつかは松林図を鑑賞する機会があると思うが、 万感の想いで手を合わせて拝観させてもらう。 登場人物としては、近衞前久が良かった。 タイトルの筆致は、阿部さんと等伯にかけました。 へたくそですみません。 直木賞受賞おめでとうございます。 受賞当然と思います。 | ||||
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松林図屏風は水墨画の最高峰と言われる。 等伯は水墨画の他にも、仏画・肖像画・山水花鳥画・襖絵や屏風など広範な画業に 巨大なエネルギーを注いだ伝説的画人。 画風も壮麗豪奢、豪放(に見える)な物から精緻、枯淡の境地まで広大である。 それらの根底には、巨大なパッションと精密な計算を同時に感じる。 ・・罰せられるとの制止も振り切って一息に描いた山水図襖(圓徳院)、華麗な金箔の屏風群、 研ぎ澄まされた水墨画、巨大な仏涅槃図(10×6m)、などなど そういう絵を描く人間が、どう育ったのか? どういう生涯を送ったのか? 30才代で能登から上洛 戦乱の渦中に 家族との別れ 数々の人物との出会いと導き 英才教育を受けた、御用絵師集団の後継者狩野永徳との競争 狩野派からの妨害 期待の後継者でもある愛息の死 時に茫然自失と成りながらも、立ち上がって極みを目指し続ける 〜 日経新聞に連載されたが、新聞連載で最も翌日が待ち遠しかった小説である。 『没後400年展』程の規模でなくても良いので、是非また松林図屏風は見たい。 展覧会では、松林図屏風の前で大勢の観客が圧倒され、嘆息しつつ動けなくなっていた。 ネットでも少しは等伯の絵は見れる様なので、ご覧になる事をお勧めする。 | ||||
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蘆雪好きのため、等伯は好みではないのですが、等伯の人柄がよくわかります。 山本兼一のような圧倒する描写とは違い、距離感がありながらも、心情が伝わります。 信長の描写は、裏の歴史を読んでいるようで、面白かったです。 下巻が楽しみです。 | ||||
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1昨年、京都で見た長谷川等伯展の感動が忘れられず手に取りました。 才能の代償にように次から次へと降り掛かる試練の連続の中で 超えるべき課題に対して、どん底に落ちながらもやがて浮上のヒントを得、 誰も見たことのないような境地の素晴らしい作品を完成させる。 このカタルシスはどこかで感じたことがある、と思いめぐらせると 美内すずえさんの大河ロマン漫画「ガラスの仮面」! もちろん文学としての深さもありますし、文句なく面白いです。 そして、今は何とかもう1度等伯の作品の前に立ちたいと願っています。 | ||||
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日経新聞の連載の時から愛読してました。上下ともに購入しました。一気に読了して、とてもすがすがしい気持ちにさせてくれる作品でした。波瀾万丈の等伯の半生ですが、そこに時代の覇者の信長や秀吉を配し、家族の絆、日蓮宗の関連(絵の背景にある宗教性)などを絡め、真実を書き写すためにはどのような犠牲もいとわないという絵師のサガ(性)の苦悩も描き込みながら壮大なスケールで物語が展開します。本能寺の信長横死の背景も出てきたり、歴史と一個人の絡みもおもしろい。しかし、基本にあるのは人はどう生きるべきか、という作者の熱い思いのように感じられます。常にあるのは真実に対する謙虚な姿勢と権力や暴力に対する怒りでしょうか。同じ作者の正成と道誉もいい本でした。こちらもお勧め。 | ||||
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信長が没し許されて京都に戻った等伯は、狩野永徳との 確執を抱えながらも狩野派が手がける聚楽第の襖絵に参加。 次いで大徳寺山門の絵を手がけ、日増しに名声を確かな ものにしてゆく一方で、利休の処断や兄、武之丞の死に こころを揺さぶられるのだった。 親交深く、等伯と名づけてくれた利休居士。 恩人の死のショックで絵が手につかず、自らの画業の 至らなさに苦しむ姿が浮き彫りにされてゆく。 後期の代表作「松林図屏風」に至るまでの物語は、感動! | ||||
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