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ピカデリーの殺人
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ピカデリーの殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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「毒入りチョコレート事件」や「試行錯誤」に登場するチタウィック氏が毒殺の犯行現場を目撃する事件を扱った本作。 バークリーにしてはゆったりとしたテンポのストーリー展開で、前半1/3はやや冗長な印象。 とある出来事がきっかけで、チタウィック氏が本格的に調査に乗り出してからは面白くなるが、全体としては地味な作品であることは否定できません。 とはいえ、プロットにひねりを利かせるバークリーらしさは健在で佳作といってよい出来だと思います。 | ||||
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この著者の推理小説では、主に、シェリンガム氏とチタウィック氏が活躍するらしいですが、チタウィック氏の登場する話を読むのは、自分はこの本が初めてだった。 “……アンブローズ·チタウィック氏は赤ら顔で、体つきはいくぶん丸っこく、はなはだ寸詰まりの鼻に金縁の鼻眼鏡をかけ、髪は昔より薄くなっていて、……“という描写(P14.6行目~)でわかる通り、ホームズやウィムジー卿とは程遠い、地味で目立たない中年男であり、“捜査活動は苦手“で自分の伯母の小言や干渉をかわすのにも手こずるという、ホントにこんなんで探偵が務まるのかと思うような、頼りなくひたすら地味な男。……逆に、"頼りなくひたすら地味である“ことに、作者バークリーが"美“を認め、追求しているらしい。……ひたすら地味で、目立たないし、時として"間抜けな“役回りも引き受けるんだけど、推理となると、常人を圧倒する鋭さを見せる。……この"美学“に感銘を受けて、同じアントニイ・バークリーの著書を集めることになりました。 話の方は、チタウィック氏が、ロンドンのピカデリーのホテルのラウンジで、男が婦人のコーヒーカップに何か入れてるのを目撃し、その後その婦人が死んでいるのが発覚する……という出だしです。……犯人は、筋に沿って二転三転。……ちょっとヒネリすぎじゃないかなと感じました。 が、話があちこち飛んだりしなくて、登場人物も少なくて、話の筋も分かりやすく、トリックもしっかりしていて、面白い。……"黄金期“の名作と言えるでしょう。 チタウィック氏は、自分もまんざら嫌いでもない女性(既婚)に想いを寄せる青年の、報われない想いを痛ましく思ったりして、ほんとに"いいヤツ“で、心で応援したくなる。……今読んでも、全然古い感じがしない。 | ||||
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あるホテルのラウンジで老婦人が毒殺され・・・というお話。 この時代に書かれた推理小説としては、抜きん出て良く出来ているとは言えませんが、謎を巡る文章はサスペンスフルで、最後まで飽きずに読めました。 動機もこの時代のありふれた感じの物で、特別感心はしませんでしたが、今現在でもありうる事として納得できました。 主要キャラも良く書けており、特に主人公のチタウィック氏が生き生きと描かれており、好感を持てました。 今現在に流行っているミステリと比較すると若干食い足りなさもありますが、十分面白いと思います。 黄金時代のイギリスの推理小説の醍醐味を味わえる佳作。機会があったら是非。 | ||||
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序盤はいまいちかと思う展開だが、後々になって大事になるので、じっくり読んだ方がいい。 読み流していたため、推理をしていく中で読み返してしまった。 無駄がない。 推理小説だが、人物が生きているのが好きで読んでいる。(アン・ペリーなども) 表紙の絵も、とてもいい。 | ||||
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私がミステリを読み始めた頃、<創元文庫>に入っていたバークリーの作品は、「毒入りチョコレート事件」、「試行錯誤」、「殺意(アイルズ名義)」、そして本作だけだった(「第二の銃声」、「ジャンピング・ジェニィ」等が入ったのはずっと後)。それ程に昔から定評のあるチタウィック物の傑作である。内容はチタウィックが「ピカデリー・パレス」で偶然目撃した老婦人の毒殺(かも知れない)事件を扱ったもの。「毒入りチョコレート事件」や「第二の銃声」の様な大掛かりなミステリ的趣向さえ無いものの、チタウィックの穿鑿好きな人間観察眼と作者の諧謔精神に富んだ人間観察眼・社会風刺とが重畳して、如何にも作者らしい雰囲気を醸し出している。「毒入りチョコレート事件」にも登場し、チタウィックとは知己のモーズビー首席警部が事件を担当するので、読者は安心して物語に浸れる。 事件構造は一見単純で、老婦人と同席していた甥が遺産目当てで毒殺したのか、老婦人が自殺したのか二者択一(あるいは別人が甥に変装したと仮定すれば三者択一?)で、作者が追求し続けた<多重解決>ものの一種と言えるが、作者の主眼は"そこだけには無い"様である。伝統的英国貴婦人としてチタウィックを支配する伯母(笑いを誘う)、目撃証人としてのチタウィックの(主に女性の攻撃による)困惑・狼狽振り(これまた笑いを誘う)、それによるチタウィックの捜査開始、玄人としてのスコットランド・ヤードに対する素人のチタウィック流の捜査方法の丹念な描写、といったチタウィック自身の物語にもなっているのである。作者の作品中でこれ程チタウィックの名前が頻出する作品は他にはない。 チタウィックのファンの方にとっては必読の作品だろう。そして、チタウィックの捜査方法も作者らしい捻りとウィットが効いている。着実に推理・証拠を積み重ねて行く手法はクイーン流、「***」の部分はチェスタトン風という様な遊び心に富んでいて、まさにミステリ黄金時代の香気が漂っている。上述した通り、"ハデさ"こそないものの、作者の代表作の1つと言って良いのではないか。 | ||||
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実にリアリティ溢れる流れが良いですが、だんだん後半になるにつれて精巧な細工が現れ現実感を失っていくのが技巧派探偵小説の欠点です。(だからリアルを求めて倒叙形式を好むようになっていったのかな?) 小ネタは結構驚きありですが、大ネタの方は途中で見当がついちゃいますよね。1930年作。 | ||||
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本書は推理小説ではありません、タイトルをテーマとした教養小説です...というのは、チタウィック物を読んだことがある人にしか通じない冗談ですが... さて、「毒入りチョコレート事件」「試行錯誤」ではなんだかちょっと影の薄い(?)奇妙な探偵役だった氏が、叔母さんともども大活躍する一遍です。 もひとつ。 読んでいて、途中でなんだか、真犯人やトリック、おおよその動機なんかが分かってしまったのです! 私は推理小説のささやかな愛好家ですが、まず、謎解きは苦手で、江戸川乱歩さんのものを除けば、事前に真犯人を当てた経験は皆無に近い。 しかし! 本作では手に取るようにわかる!! ...いや、ほんとうだろうか、そんなにすぐ分かるはずがない。きっと最後の方でとんでもない背負い投げが... しかししかし、ページが残り1,2ミリになっても、まだ、私の推理は覆されない...! と興奮していたら、あれれ、やっぱりひっかけられてしまいました。まるっきり的外れではありませんでしたが、おもいもよらぬ方が真犯人で... 本作の前にカー(カーター・ディクスン)のものを数冊立て続けに読んでいたのだが、どうみても、バークリーの方が上手だ。 探偵役の印象深さという点でも、アンブローズ・チタウィック氏は、フェル博士やメリヴェール卿やらよりも(ついでにいえばファイロ・ヴァンスよりも)はるかに魅力的だし輪郭がはっきりして、好感を持てました。 バークリー(フランシス・アイルズ)の小説はもっとどんどん文庫化されるべきですね!!! | ||||
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これと違うこわいカバーの本がきちゃって残念でした。けど、チタウィック氏の活躍がおもしろくて夢中で読みました。何度も繰り返される、いろいろな推理で、じわじわと真相にせまるのが楽しかったです。 | ||||
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〈ピカデリー・パレス・ホテル〉のラウンジで休んでいたチタウィック氏は、 年輩の女性と若い赤毛の男の二人連れの客に、いつとはなしに注目 していた。 とそのうちに、男の手が老婦人のカップの上で、あやしい動きをするのが 目にとまる。しばらく席を外してもどってみると、男の姿はなく、老婦人は、 死亡していた。状況からして、男に青酸性の毒を飲まされたと考えられる。 チタウィック氏の証言から容疑者はただちに逮捕される。しかし、夫の 無実を訴える容疑者の妻の悲痛な哀願にほだされたチタウィック氏は 容疑者の無実を証明すべく事件の調査に乗り出す羽目に陥ってしまう……。 『毒入りチョコレート事件』で名探偵として デビューした、チタウィックの第二の事件。 単純明快で疑問の余地はないと思われていた事件が、チタウィックの調査の 進展とともにその様相を変えていき、結末では幾重にも錯綜した驚くべき企み が隠されていたことが明らかになるという、読者を逸らさない筋運びが秀逸。 また、バークリー一流の皮肉な真相も本作では特にふるっており、狡知に長けた 犯人と、その犯人にいいように利用され、最後にはどん底に突き落とされてしまう “被害者”といった構図の意地悪さは無類ですw。 | ||||
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バークリーにしては、まっとうな書き方をした作品です。一見したところ、明白なように思われる事件の真相を覆すというもので、この謎を生み出したトリックは全く良く出来ています。<ピカデリー・パレス>のラウンジで対象者には傍迷惑な趣味の人間観察をしていたチタウィック氏は、偶然殺人の現場を目撃してしまいます。こうして訴追者側の証人となったチタウィック氏だったが、よせばいいのに容疑者の妻の泣き落としに負けて、親切な彼は自分の見たことに反して事件の再捜査を引き受けてしまいます。 こういうチタウィック氏のキャラクターが面白い、ユーモラスな作品なのですが、もちろんそれだけではありません。やや、真相に意外性がなく、事件が複雑すぎるきらいはありますが、テンポ良く話を進め、謎を少しずつ提出してくれるので、それも克服されていて謎解きミステリとしても上出来です。節目に聞かせてくれるチタウィック氏の推理もわかりやすいです。チタウィック氏の推理法は実はロジャーとそう変わらないのですが、持ち前の謙虚すぎる性格のおかげでミスをしないようです。 | ||||
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