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(短編集)
作家の人たち
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作家の人たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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私は日本の作家の「本格ミステリー」というものをほとんど読んだことがありません。若いころからル・カレやフリーマントル、レン・デイトンの諜報小説の大ファンで、日本の作家では阿川弘之、北杜夫、志賀直哉、吉村昭などのファンです。「作家の人たち」という題名が気に入ってこの本を買いました。倉知氏の作品は初めて読みました。その立場からの感想。 コメディとして読むには少々ペシミスティックに過ぎる、何か絶望感の漂う短編群に続いて最後の作品、これは強烈だった!この作者はいったいどういう意図でこの本をつくったのか。作家の意図を想像するのは野暮だが、読んでいる側がおおおと思った時点でその意図は成立している。 とらえかたはいろいろと思いますが、これは物を作る人、書く人のリアリティがものすごくあふれている本です。僕も物を作る職業なので、ところどころ心が痛くなるほどのリアリティを感じました。しかしそれをただちに突き返すようなクールさも同時に感じられ、なかなか渋い作品群です。 この本の最後の「座談会」は僕はごまかしだと思う。と言うか、作者の照れ隠しだと思う。座談会を読むと作者はこの本のストーリーに出てくるような、ものを作って産み出す苦しみはあんまり経験していないようにも読めるが、とんでもないことだ。本編の作品を「座談会」でごまかすことに失敗していることは、本編自体が証明しているw たぶん、「本書くのは苦しいことだってあるんだぞ!だけど同時に楽しいんだぞ。だから僕は負けないぞ!僕はやっぱり作家業が好きなんだ」宣言の本。 自己憐憫の表現について、イギリスのブライアン・フリーマントルのチャーリーマフィンシリーズの初期のものやレン・デイトンのバーナードサムソンシリーズが秀逸だけれど、若いころそれらの作品を読んですげーと思ったことをこの本「作家の人たち」で思い出した。 僕は倉知氏に、現在の世界情勢をシビアに見据えた、新しい時代の諜報小説を書いてほしい。取材しないとだめよ。ワシントンDC、ニューヨーク、北京、モスクワ、ベルリン、ロンドン。エリートハッカーが簡単に物事を進めている中で四苦八苦しながら自己憐憫に浸りながら逆転満塁ホームランを放つヒューミントのだらしない日本人外交官を描いてほしい。あと、倉知氏の作品は英訳して海外で売ることも考えるべきだ。ところどころにでてくる目的合理性への言及、それを喪失する絶望感、この文脈は世界に通じる。 編集の人たち、気合入れてがんばってくださいw | ||||
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奥付にも記されていないから副題ではないが、表紙の左側にある“俺の本は全く売れない。”というコピーをタイトルにした方が、インパクトがあって好かったじゃん。 『小説幻冬』二〇一八年五月号から、同年十一月号までに掲載された七作を所収。 令和を生き抜かなければならぬ多くの売れない作家たちと、日に日に厳しさを増す大衆小説(今はエンタメか)や出版社の状況を、様々な立場からユーモラスに描いたの短篇集。 図らずとも筒井康隆:作『大いなる助走』の格調をもっと下げてしまい、結果的に敷居を低く設定することとなり、著者の作品中では充分に人口に膾炙する一作となっているかも。 第一話「押し売り作家」の“冴えない容貌の中年男”、“背が低く小太りの体型”、“腹回りがだぶついているのに全体的に貧相な印象”、“頭頂部も薄く”、“ぱっとしない外観には、そこはかとなく小物感が漂っている”という部分は著者自身に間違いないはず。 そして、その男が、あちこちの出版社へ持込みを掛けているのかと思いきや、意外と言って好いオチは、近そうなポジションに甘んじて、悩み苦しむ決して少なくはない同輩たちへ“連帯しよう”というささやかな呼び掛けだと解釈可能。 第七話「遺作」の“書きたくて仕方がない”、“書きたい”、“書きたい”、“書きたい”、“書きたい”という連呼は、小説ではないものの、巻頭記事以外はさして読まれもせずに捨てられる運命の雑誌をメインに細々と生計を立てている我が身にも思い当たり、他にも一生に一冊さえ単行本を出せない使い捨てライターって、それこそ掃いて捨てるほどいる。 著者は気付いていないだけで、幸福な作家さんだと思うよ。 | ||||
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半日程で読み終えました。 本書は筆者からの遺書で、ラブレターで、最高の玩具です。 倉地さんの今回の単発モノは当たりでした。 | ||||
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内容は面白いです。 ただ、同じような言い回しや訳のわからない持論が書かれている文章が多々あり、それらは斜め読みしても問題ないです。もちろん、このような同じ言い回しや意味のない持論がストーリー上必要不可欠なのは確かです。読めばわかります。まぁそれでも文章の水増し差加減は拭えないですけどね。 小学生の読書感想文にやたら本のあらすじや内容が書かれているあれと同じです。人に感想を伝える上で本の内容を書かないと説明できないという言い分はわかります。でもそれを長々書くのは違うと思いませんか? | ||||
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なかなかに評価が分かれそうな話ですね。 出版に関するあれこれを多少知ってたら結構面白く読めると思います。「持ち込み歓迎」とか「らのべっ!」、こういうこと実際ありそうでなかなか……気軽に賞に応募しようとする作家志望には刺さりそうですね。作者が「冗談です!」と言ってるのでまあそういうことでいいと思いますが。 短編の端端で出てくるタレント本批判や実在の作家の描写は笑ってしまいました。 アマゾンではあんまり評価高くないみたいですが、個人的には好きな一冊です。 | ||||
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読んでみたけど、よほどの作家業マニアしか喜ばない情報が多く、 素人でも印税は10%固定なの知ってるし、出版社の応対も、 結局は売れるか売れないかで判断しているので、 暇つぶしに読むならいいけど、普通はオススメできない本でした。 本屋や図書館で手に取って、少し読むだけで僕の言ってることが分かると思いますよ。 | ||||
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すべてにおいて「中途半端」である。 よく言えば「微温的」、悪く言えば「生ぬるい」。 「本格ミステリ作家」だと認知されている、倉知淳の新刊『作家の人たち』は、「本格ミステリ」ではなく「出版業界内幕小説」短編集である。引っ掛けでもなんでもなく、本当にそのままそうなのだ。 しかしまた、本書はまぎれもなく、倉知淳の小説である。 つまり、「ユーモア」小説であって、「暴露小説」や「告発小説」「批判小説」あるいは「痛々しい私小説」などではない。 「暴露小説」「告発小説」「批判小説」「痛々しい私小説」といった要素をすべて含みながら、しかし「ユーモア」のコーティングの中で無難に自足している、そんな生ぬるい小説集である。 ミステリ業界を告発した、ミステリ作家の本としては、東野圭吾と同期の江戸川乱歩賞作家である森雅裕の『推理小説常習犯 ミステリー作家への13階段+おまけ』がある。 この本では、「新本格ミステリの仕掛人」としても知られた、講談社文芸第三部の名物編集者であった宇山日出臣が実名で批判されていた。森は、性格的に癖のある作家で、方々で悶着を起こして、消えていった作家であるが、彼のストレートな怒りや批判や正論には、その作品の主人公たちに通じる清々しい反骨心もあった。 また、本格ミステリ作家の「自伝」としては、森と同じく江戸川乱歩賞作家であった岡嶋二人の片割れである井上夢人の『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』がある。 もう一人の片割れである徳山諄一についての描写が客観性を欠くものではあるものの、自伝とあればその当事者の主観性からして致し方もなく、それだから当事者としての痛々しさは十二分に伝わってくる、人生の重みを感じさせる一書だった。 しかし、本書にはそういう突出したものが、何もない。すべてにおいて「中途半端」なのだ。 それが、倉知淳の個性だと言ってしまえばそれまでだが、それでは「売れない作家」になってしまっても仕方がない。これでは、読者からペッと吐きだされても仕方ない。 本短編集の締めとなる「遺作」の語り手のように、自身に絶望して自殺することも「ないだろうな」と思われてしまうところが、救いがない。その一方で「遺作」の語り手のように、救いのない時間を蜿蜒と生きてしまうのだろうなと思うと、それはそれでまったく救いがない。 たぶん、倉知淳は、本当の意味での「自覚」を欠いているのである。 『わたしはあなたのわざを知っている。あなたは冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。このように、熱くもなく、冷たくもなく、なまぬるいので、あなたを口から吐き出そう。あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、目の見えない者、裸な者であることに気がついていない。そこで、あなたに勧める。富む者となるために、わたしから火で精錬された金を買い、また、あなたの裸の恥をさらさないため身に着けるように、白い衣を買いなさい。また、見えるようになるため、目にぬる目薬を買いなさい。すべてわたしの愛している者を、わたしはしかったり、懲らしめたりする。 だから、熱心になって悔い改めなさい。』 (ヨハネの黙示録) | ||||
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作家に出版社,編集者など,厳しいと言われて久しい出版業界が舞台のコメディで, あの作家,あの文学賞と,元ネタがバレバレのもじり具合に思わずクスリとなったり, かと思えば,笑っていていいのか,さらりと生々しい話を描くブラック寄りの一冊です. ただ,『黒め』の割にはスッと入り,進んでいく様子は読みやすくていいのですが, どの話も流れやオチまでがわかりやすく,特別な何かまではというのが正直なところ. このほか,カバーにチラホラとネタバレがあり,それが少しばかり気になったことと, 『そういう話』を書いておきながら,巻末で批判性やメッセージ性を否定しているのが, そのお断りとお詫びの言葉が冗談っぽいぶん,ちょっとズルく見えて違和感が残りました. | ||||
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