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(短編集)
小説日本芸譚
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【この小説が収録されている参考書籍】
小説日本芸譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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サスペンスもので世間に知られている松本清張先生ですが、新聞記者であった経験を活かした緻密な事実の裏付け力と人間の心理を読み解く洞察力は、流石と思わせるものがあります。とりわけ「利休」は、秀逸でした。これまで、色んな作家さんの利休を読みましたが、「こういうことだったのかな」という納得感が得られたのは、この小説でした。 | ||||
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名の知られた芸術家は、何を考え、何をエネルギ-にしてるんだろうか、と思う。 運慶。この描き方はどうだ。躍動感あふれる、釈迦如来像も作って欲しかったナ-。 | ||||
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中々手に入らない本を購入できました。 | ||||
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・清張氏、ここまで描くか、無論この本での『芸術家』に関して、である。 止利仏師はさて置き、近代日本を代表する名立たる『芸術家』9人の作意のみならず、作品、境地の表裏について、自らの見立てを前面に、心を漲らせて描いている。「私は美術史についての知識がない」とは、氏の他の作品での言辞であるが、それで描けるでない、高みにおいてである。 小説仕立てにしているので、無論フィクションも混じってであろうが、見立ての域は、恐らく専門家でさえ、無視し難い『芸術家』論の一端に達しているのではないか、また暴き見せる作品に向けた『芸術家』の執念・意地、屈折した心持ちなどには、真偽・正否を超えた、凄みさえ感じる。 改めて氏の着眼・着想から構築を成して、一個の作品に仕上げ行く描写力には、感服させられる。 | ||||
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日本を代表する文化人、美術家をテーマにした短編集。 松本清張だから書ける(許される)小説と言えるのでないのでしょうか。 選ばれたのは、 ・運慶 ・世阿弥 ・千利休 ・雪舟 ・古田織部 ・岩佐又兵衛 ・小堀遠州 ・光悦 ・写楽 ・止利仏師 多分、美術好きは興味を持つ人物ばかりです。 私自身も岩佐又兵衛については辻惟雄氏の解説を論考を読んできたので興味深く拝読しました。 (とは言え、昭和33年(1958年)刊行なので、この本の方が出版されたのは早いのですが) どうしても美術評論家の論考は客観的に説明されるので、血の通った人物像というのはイメージし難いところがあります。清張の描く又兵衛は、忍耐力のある悲運の人物であり仕事をきちんとする人物として描かれています。 私自身は又兵衛を、内向的でその奥に狂気を持つ、そしてその狂気がエンジンとなり驚異的な集中力で絵を描くそんな印象だったので、その差異にやや違和感を感じました。しかしながら小説の中で描かれる彼の人生における時間経過と行間に、自分の考えを照らし合わせることで何かしっかりとした岩佐又兵衛像が自分の中で確立された気がします。結局のところ歴史上の人物像は個々の創造の内にあり、それ以上ではありません。その意味において美術好きの方は本書を楽しめるのではと思います。 | ||||
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満足しています | ||||
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一本一本の小説がとても読みごたえがあった。1冊に何人もの芸術家を取り上げられた小説が入っているが、1冊の本とは思えない重厚感があり満足感があった。、古田織部、小堀遠州は3人で一つのつながった作品となっている。松本清張ならではの対象人物へ迫り方で、人間の持つ業(カルマ)を描いている。人間の持つルサンチマン、嫉妬などの感情がそれぞれの人物に清張が仮託して書いた作品と思われる。取り上げられた人物が本当にこの小説で描かれたような人物だったかどうかは分からない。個人的には小堀遠州がとても面白かった。ほろ苦い読後感があった。遠州は利休も自分の師匠の古田織部も結局、自害に追い込まれたのを見て、自分は絶対に生き延びようと強く決意する。そして、事実、権力者の逆鱗に触れることはなく生き延びることには成功した。それ相応の名声も得た。表向きはなかなか良い人生だった。しかし、遠州は晩年、そんな自分の生き方にむなしさを感じる。信念を貫いて自害に追い込まれた利休や織部に少し嫉妬するような微妙なモヤモヤした感情を抱く。だからといって遠州は自身の人生を全て後悔しているということでもない。この辺りの人間が抱く割り切れなさを描く部分は清張ならではある。清張の人間観察眼の深さと鋭さが遺憾なく発揮されている。遠州は庭園デザイナー、茶人などの文化人としては成功して名声を得た。だが武士としては家康から全く評価されなかったこと、そもそも自分は武士と見なされてなかったことに引け目とやりきれなさを感じていた。運慶も読みごたえがあった。死ぬ直前になっても、そして自分の率いる一門が大成功を収めたというのに、まだ快慶への嫉妬と名声への渇望感から穏やかな心境には至らない。本当の運慶のことは分からないが、世間にはこのような成功者は多いだろうと思った。雪舟も面白かった。雪舟の場合、良き友人がいたので、何となく全体的に全部の作品の中でもっとも読後感が暖かい気持ちというか、少しほっとした気持ちになれた。『光悦』は光悦の傲慢さ、偽物ぶりを他人の目を通して語らせた作品だった。光悦に対しては全く同情心を持てないが、職人の目を通して描かれる偉大なる超俗物の光悦にも少し哀れさを感じる部分があった。しいていえば止利仏師だけは、少し拍子抜けだった。とても作品としては面白い手法であり、清張自身が調べても全体像をつかめなかった苦労がそのまま作品になっていたが、この作品のみは人間の内面をえぐっていないという部分ではやや拍子抜け感が否めない。全体を通じてとても読みごたえがあった。 | ||||
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紙が黄色くなっているような古いものでしたがしわもなくきれいでした。届くのも時間かかりませんでした。ありがとうございました。 | ||||
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かなり、難しく理屈っぽい内容。是だけを最初に読んでいたら、間違いなく最初で挫折していたろう。小生、幸いも漫画へうげもの を読んでいたので辛うじて最後まで読めたけど。清張作品としてはかなり読みにくい作品。 | ||||
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妻のリクエストで購入しました。本の汚れも少なく気に入ったようです。ありがとうございました。 | ||||
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清張さんの力業。様々なジャンルの(今の言葉で言えば)芸術家の創作と生の一瞬を切り取っている。「運慶」から「写楽」「止利仏師」まで全10篇。必ずしも佳篇ばかりとは言えず、「これはちょっと・・・」というものもある。しかし、この難しい形式(小説なんですよ)とテーマに敢えて挑んだ清張さんの意欲、気概と自信は大したものだと思う。この種の連作短篇小説は極めて珍しいのです。清張ファンならもちろん必読。 | ||||
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大変面白かった。江戸時代の文化人を中心とした小説日本芸譚として「運慶」、「世阿弥」、「千利休」、「雪舟」、「古田織部」、「岩佐又兵衛」、「小堀遠州」、「光悦」、「写楽」、「止利仏師」の10作品、火の縄そして私説・日本合戦譚として「長篠合戦」、「姉川の戦」、「山崎の戦」、「川中島の戦」、「厳島の戦」、「九州征伐」、「島原の役」、「関ヶ原の戦」、「西南戦争」の9作品。 一般文学通算43作品目の読書完。1973/12/15 | ||||
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歴史上の芸術家十人をモチーフとした短編歴史小説。著者自らが、後記で「ここに収めた主題の美術家たちは、私なりの勝手な解釈の人間である。私は彼らを復原しようと試みたのではない。それは小説の機能ではないし、不可能である。ただ、私の頭の中に出来上がった人物を書いたというだけである。だから、これは一つの歴史小説としてうけ取って頂きたいのである」と書いている。 「運慶」は快慶に対する嫉妬を、「世阿弥」は義持・義教将軍に対する恨みを、「千利休」は秀吉に対する葛藤を浮き彫りにするといった手法で、ライバルとの相克を描いている。 「千利休」と「古田織部」は併せて読むことで、表裏から見た人物像が浮かび上がる。その構成は見事としかいいようがない。 「そうだ。秀吉も利休の茶のあまりに見事な完成に反撥しているのだ。一つの芸術が鵜の毛の隙も無く完全な姿で完成すると、それと叩き壊したい衝動が起る。その発作に苛立つのである。秀吉の自我とはその形であろう。」 一職人から見た陰口をそのまま物語にまとめた「光悦」は、他の作品と一線を画して面白い。 「写楽」の苦悩も興味津々に読めるが終わりがちょっと平凡すぎるか。 「止利仏師」は、著者が調べた挙句、「人間の手がかりを得ること」ができなかったため、「とうとう出来なかった。」ことを小説にしてしまったもの。短編小説の最後にしては、いかにも残念な終わり方だと思う。 | ||||
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本書は美術史家としての清張の独壇場である。その清張がついに止利仏師を小説にすることをあきらめた。あきらめた経緯を小説にしているのだから、おもしろい。ひらきなおったのである。あの清張の調査能力が限界になった。”止利”という名が独立した個人か、あるいは職人集団の名称かもわからない。そこで思い出したのが、白川静・藤堂明保の漢字論争である。甲骨文や金文を彫り込んだ作者は、不特定多数の集団ではなかったのか。そんな集団が統一した漢字の哲学をはたしてもてるものなのか。そもそもそんな統合司令本部の機能を想定すること自体が可能なのか。そうなるとすべての解字作業は付会ではなくて、牽強付会になる。過去の芸術家(画家や彫刻などの)の絵解きと、漢字の起源というのは、どこかでつながっている。漢字が象形と呼ばれる”絵”を文字にした経緯があるからだ。「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本を読むことをお薦めする。止利仏師ならぬ17世紀のオランダが生んだ偉大な画家・フェルメールが、漢字という絵の中でどう位置づけられるかという、前衛的な記号論がこの本で展開されている。またもし清張だったらフェルメールをどうみるかの試みもなされてもいる。 | ||||
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松本清張が日本美術史上に名を残す十人の芸術家を題材に、その芸に打ち込み美を追い求めるひたむきな、そして時に執拗に迫る姿を、松本清張が得意とする綿密な時代考証を元にドラマチックに描き出している。 運慶、世阿弥、雪舟、古田織部、小堀遠州、光悦が特に優れている。特に古田織部は井上靖「本覚坊遺文」「利休の死」、野上弥生子「秀吉と利休」の上を行く、利休を題材とした小説の最高傑作と思った。 | ||||
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この小説には10編の短編が収められており、読み終わってから振り返ると、実は1本の中編と7本の短編に分けられることに気がつきます。つまり「千利休」「古田織部」「小堀遠州」の短編3編を合わせて、1本の中編として読めるということです。 町人としての茶湯を完成させた千利休。 それを打ち崩し、武家の茶湯に立て直した古田織部。 織部亡きあとを継いだ小堀遠州。 そのような流れがこの3編にはあります。 文庫に収録の順番で読んでゆくとそれぞれの間に他の短編がはさまりますが、この3編は続けて読んだ方が、町人と武家の違い・師弟関係の根底にある残酷さがよくわかり面白いような気がします。 ここからは全くの私見になるのですが… 古田織部を主人公にした『へうげもの』(作・山田芳裕)という漫画がありますが、作者はこの松本清張の小説に着想を得て漫画を描き始めたのではないでしょうか。そう思わずにはいられないほど、両者は歴史に対して切り込む角度が似ていますし、出来事の押さえるポイントが重なり合っています。 この漫画が実に面白く、松本清張の小説の世界観を壊さず、見事に押し広げたものとなっています。 小説を読んで面白いと思った方には『へうげもの』、おすすめです。 | ||||
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「芸術」を極め続けた人たちの「人間」に迫る10編の短篇集です。 運慶、世阿弥、千利休、雪舟、古田織部、岩佐又兵衛、小堀遠州、光悦、写楽、止利仏師の10人です。 室町末期から江戸初期の人が多いのですが、この時代に「芸術」を極めようとすれば、彼らを庇護する権力者が必要になります。 清張の文章も、そうした彼らの葛藤を描いて行きます。 中には、千利休のように、「町人の茶」に拘り、秀吉の意向と合わず死して行きます。 その弟子である古田織部は、「武家の茶」にそれを移行させます。 こうした短編間の繋がりも興味深いものがあります。 最も意外だったのは、雪舟であれほど苦しんで得た名声だったことです。 最後に取り上げられている止利仏師は、作者のこうした人物の「人間」を追及する苦しみを語る裏話的な小説になっています。 個人的には、前半の3作品が気に入りました。 | ||||
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