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ある男



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【この小説が収録されている参考書籍】
ある男

ある男の評価: 3.97/5点 レビュー 264件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.97pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全191件 181~191 10/10ページ
No.11:
(4pt)

「マチネの終わりに」から通奏する時間の概念

多様性が叫ばれるほど、アイデンティティが際立つ。それは複数のロールの掛け合わせとされるもの。例えば、日本人であり、弁護士であり、マイルス・デイヴィス好きであり、夫であり、父親であり。それぞれを巧みに演じ分けることで、人は社会を生きている。まるでSNSのアカウントを切り替えるように。

もしも全ての役を降りたとしたら、そこで初めてアイデンティティも失われるだろう。その時、人生の幕は閉じてしまうのか。

平野啓一郎さんは本作を「マチネの終わりに」に続く愛の物語という。通奏するのは時間の概念と繋がり。親と子という役回りにおいて、否が応にもアイデンティティは継承されていく。

データとテクノロジーが作り上げる信用社会を目の前に、セキュリティと忘れられる権利が交差する具体作だ。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.10:
(5pt)

お互いが築いてきた事実を愛したい。そう思えた

夢中になって読みました。平野啓一郎さんの作品でもっとも文章が読みやすくつくられた作品かもしれません。面白かったです。読み終わったあと、里枝とXの愛のあり方について深く考えました。背負っている背景・生まれもったものだけでなく、その人と話した時間、触れ合った時間が大事だと。二人が形成していった信頼関係がとても美しかったです。城戸がXを通して教えてもらった愛のかたちはとても尊いものだったと感じました。
序章がとても魅力的で、読み終わったあともう一度序章を読むことをおすすめします。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.9:
(5pt)

Love others to love yourself

人は人生を生き直すことができるのか?人は人を愛し直すことができるのか?そして、それができたとするならば、人生にとって、愛にとって、過去とは一体何なのか? 

 『マチネの終わりに』のなかの「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」という台詞(本が紹介される際に最も引用されている箇所)に込められたテーマが別の物語を使って変奏され、さらに深く追求されてゆく。

 その主題以外にも、小説に含まれる多数のトピック(東日本大震災・ヘイトスピーチに代表されるような近年の日本を覆う排外主義・犯罪の被害者遺族と加害者家族両方が背負う厳しい現実・中年の危機と夫婦の倦怠、など)は、主題を補助するための伴奏ではなく、副主題と言えるような重要性を持って、小説にポリフォニックな拡がりをもたらす。

 ある男の隠された(隠そうとした)人生にのめり込んでいく城戸章良という弁護士の姿を追った今作は、主人公が知り得たものと同じだけの情報しか読者に与えられないミステリー仕立てになっており、読者は最後まで途切れることのない緊張感に導かれながら、ストーリーテリングの面白さと圧倒的な知性に裏付けられた濃密な読書体験を味わうことができる。加えて、唐突にも思えるような第21章のエピソードは、小説が終わっても解決されることのないもうひとつのミステリーとして、小骨が喉に刺さったような余韻を残す。

 作中人物の少年が書いた、<蛻(ぬけがら)にいかに響くか蝉の声>という俳句はこの小説を端的に優れて表現しているように思える。過去は蝉の蛻のようなもので、登場人物たちはじっとその蛻を見つめ続ける。そして、作者である平野啓一郎は、その蛻に少しだけ彩色して、そっとわれわれに差し出してみせるのだ。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.8:
(5pt)

大傑作!

ミステリーっぽいけど、アイデンティティとは何かを問いかける文学作品です 。「空白を満たしなさい」とか、平野さんの「分人」についての作品も読むといいです。
心に残ったフレーズは、「存在の不安」と「蛻にいかに響くか蝉の声」
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.7:
(5pt)

こういう作品に出合えるのが読書の喜びです

「ある男」は全くの別人だった。かつての依頼者に事故で亡くした夫が別人だったと相談を受けた弁護士が、彼は何者だったのか調べ始めます。「ある男」の素性に迫っていくなかで起きる出来事や、彼や弁護士の生い立ちにまつわる話にいろいろと深く考えさせられる内容でした。けして穏やかな話ではないのですが、不思議と気持ちは波立たず、まるできれいな景色をひとり眺めながら物思いにふけっているような居心地の良さを感じる文章でした。
あと、冒頭作者の「波乱万丈の劇的な人生を歩んできた人の話・・・それが書ければ、私の本ももっと売れるだろうが。」というつぶやきにクスリとさせられ、妙に心に残ってしまいました。
とても面白い作品(こんな表現しかできないのが恥ずかしい)です。ぜひ読んでください。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.6:
(5pt)

人の存在ということを改めて考えさせられる。文章がきれいで気持ちよく読んだ。

内容は、ある男が事故死した。
妻が、彼から聞いた実家に連絡を取ると、本人ではないということが判明。
死亡した夫は誰であったのかを、旧知の弁護士に調査を依頼する。
弁護士を中心に話が展開していくのだが、その弁護士も、自分の出自、夫婦関係など、個人的な悩みを持っている。
人の存在について改めて考えさせられる。
いい小説だと思った。
一晩で一気に読んでしまった。
再読してみたい本である。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.5:
(5pt)

読了しました。

「マチネの終わりに」からの著者の読者です。
同世代ということもあり、彼の描く中年の寂寥感についての描写等にいたく共感します。
現代作家の中では文章力が一つ抜きに出ているんじゃないでしょうか。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
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No.4:
(5pt)

正確な言葉遣いに感銘を受ける

面白かった。彼の作品は一度読み始めると、止まらなくなることが多い。「ある男」とは誰か?それを知り知りたくて一気に読破してしまった。もちろん最終的には「ある男」は誰でもよく、もっと教えられるメッセージがある。相変わらず人の心情をあらわす言葉使いがいちいち丁寧、かつ的確で、彼の言語能力にはいつも驚かされる。他の小説家の文章が幼稚に感じてしまうので困るほどだ。読んで損はない。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.3:
(5pt)

真実は人の数だけある

平野氏の作品は、「私とは何かー個人から分人へー」、「マチネの終わりに」に続いて3冊目。読んでいる途中で放置してしまっている本が何冊もあるのに、平野氏の本はサクサク読めます。「私とは何か・・」では、分人という考え方に安堵し、「マチネの終わりに」では、未来の出来事次第で、過去のネガティブな記憶さえも書き換えられるという魔法に救われ、この「ある男」では、分人よりさらに発展した、全くの別人を生きた男を知ることで、自己存在の不確実性を考えさせられました。自分の存在は、他人の記憶という曖昧な場所に住んでいて、その自分は他人の数だけ存在する。そしてそのどれもが、その人にとっては、真実ということ。たとえそれが、本当の意味での真実でなくても。
淡々とした文脈の中に、少しずつ世界が構築され、いつのまにか引き込まれて、自分の人生と混じり合い、溶けていくような感覚。平野氏の小説がサクサク読めるのはそのせいかもしれません。それと、実は、メールレターでの配信、プルーフ版とこの完成版の、3回読んでいます。何度読んでもそれぞれに新たな気づきがあり、結末を知ってもまた違った角度から楽しめる奥行の深さも魅力です。
ストーリーが描く世界、思想、考え方に現される、愛と優しさ。他の作品もぜひ読んでみたくなりました。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.2:
(5pt)

わくわくします

電子書籍より、本で活字で読みたい。楽しみです!
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028
No.1:
(5pt)

再読したい小説

ある男の人生が、そこに関わった人々を通じて重層的に描かれていきます。深い傷を抱えた人間はどうやって生きていけばいいのか、という視点で私は読み進めました。登場人物の心情や言葉が魅力的で、思わず読み返したくなる仕掛けが随所にあり、その都度違った奥行きを感じさせてくれました。

「ある男」は文學界での掲載だけでなく、単行本の発売前に平野啓一郎さんのメールレターやnoteでも無料配信されていました。そういうわけで、既に内容は知っていたわけですが、単行本はさらに書き直されるということで、発売日が待ち遠しかったです。物語そのものだけでなく、本が出来上がるまでの経過を共有させてもらい、発売日まで楽しませてくれるという、小説の新たな可能性も教えてもらいました。

余談ですが前作の「マチネの終わりに」は、本作に通じる大事なテーマを扱っていたのではないかと気づかされました。まだの方は併せて読まれることをお勧めします。
ある男Amazon書評・レビュー:ある男より
4163909028

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