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静かな爆弾
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静かな爆弾の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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響子に一緒に暮らすことを断られ、悲しいけれど心のどこかでホッとする俊平。 好きだけれど、突き進むことに躊躇するのは、危険やトラブルにみまわれてもその事実にさえ気づかない響子に対する恐れ。 愛する人をそんな危険にさらさらければならないことへの恐怖にあると思う。 気持ちを紙に書いてコミュニケーションをはかることには限界がある。 咄嗟に出てしまう衝動的な言葉は伝わらないし、早口でまくしたてればスッキリするようなことも書くための紙を探したり、 言葉を選んでワンクッション置いているうちに浄化されてしまうだろう。 そんなことから気持ちにズレが出てきてもおかしくはない。 耳が聞こえないという設定以外に響子の人物像が見えてこないのが残念。人物像だけでなく気持ちも見えてこない。 読者でもイライラするんだから俊平の気持ちが窺えますね 神宮球場の場面は喧騒が押し寄せてくるような感覚に襲われ、また不気味でもあり圧巻。 俊平の仕事の様子が詳細に描かれすぎてることに疑問を感じたけど、タイトルが「静かな爆弾」であることを考えると素直に納得できます。 | ||||
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物語の本線はテレビ局で働く主人公と耳の聴こえない女性との恋愛ストーリーです。 今までの吉田修一作品同様、環境や境遇の違う2人が紆余曲折を経て不器用ながらも恋愛を進めて行こうとする力強さが描かれています。 ただ本作ではシンプルな恋愛ストーリーの中に、タリバンによる仏像破壊の取材の記述を並列させることで、「外部に対する想像力の欠如」を主人公(と読者)に突きつけます。 途中、「大変なんだろうなとは思っていた。ただ、思うだけでその大変さを想像しなかった。」という文がありますが、遠い世界でおこる様々な出来事から隣に座る恋人の思いまで、 人はどれだけ強く真剣に想像することができるのかと問いかけてきます。 ラスト近くで主人公が遭遇する神宮球場の観客が、群衆の漠然とした想像力の無さのかたまりのようで、なんとも不気味に思えてしまいます。 | ||||
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「悪人」で昨年は賞を取り、読者に衝撃を与えた吉田修一氏だが、 今回の小説は、「悪人」以前の柔らかな都会派、というもともとの 作風を裏切らない(それが物足りない人も少なくなさそうだけど)感じ。 公園で俊平が出会った響子は、耳が聴こえない。テレビ局に勤め、会社で、 街で、さまざまな音や声に囲まれて暮らしてきた俊平は、音の無い響子の 世界はどんなだろうと思いを馳せつつ、恋におちていくが… という、一歩間違えばケータイ小説風?陳腐?にもなりかねない 障害を持った異性とのラブストーリー。不謹慎な言い方をすると、 ドラマなどにもよくある王道の設定だ。相手が好きだけど、もしも 彼女が健常者だったら、と考えてしまったり、気を使いすぎて いらだったり、そういう細かい心のひだを端正な文章で書きあげた 美しく品のある恋愛小説。ただ、相手役の女性のキャラがすこし 弱かったので、彼がどうして彼女のために一生懸命になるのかな?と ちょっと途中で考えちゃったりもしました。吉田さんの小説の中だと 「7月24日通り」のコンプレックスを抱いたヒロインなんかは 女性読者が読んでも共感度高いし魅力的なんですが、「東京湾景」の 気まぐれな女性とかこのヒロインみたいな猫系の雰囲気美女キャラは ちょっと類型的なんだよなぁ。そこだけが残念でした。 | ||||
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