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ビッグ・ボウの殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)

ビッグ・ボウの殺人の評価: 3.90/5点 レビュー 10件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.90pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

世界初の長篇密室ミステリにしてこねこねくちゃくちゃ小説w

<ネタバレ注意。犯人ばらしてます!>
 1891年といえば、『ストランド・マガジン』7月号から『シャーロック・ホームズの冒険』に収録される短篇の連載が始まった年である。ホームズに関しては、『緋色の研究』と『四人の署名』の二中篇はすでに世に出ていたが、彼の知名度が高くなったのは、各短篇が掲載されてからだった。
 ということで、本書はいわゆる"シャーロック・ホームズのライバルたち"と呼ばれた後追い群とは一線を画している。【注1】 【注2】

 というか、奇矯な探偵のキャラに頼った冒険譚ではなく、長篇密室ミステリの元祖とされる作品である。
 わたしはその手の密室ミステリの元祖は『黄色い部屋の秘密』だと漠然と思っていたが、本書の方が15年以上早い。
 そんな黎明期の作品でありながら、密室を構成する手段があれやこれやと出てきて感心した。磁石で掛け金を操作するなんてのまであったw

 ただし総合的な面白さという点では、もうひとつという感想。
 全篇皮肉めいたユーモラスな語り口で、それも特長ではあるのだが、全体がそのようである分各キャラの魅力が薄くなっているような。二人の探偵が推理を競うのだが、両名ともすでに名前が浮かんでこない。いや片方はグロスマンだったか……。

 本書は密室トリックだけでなく、犯人の動機に関しても現代的な印象がある。
 残忍な事件が起きると、よく現代の社会問題と結びつけて論じる人が出てくるが、百年以上も前からこの手の殺人犯はいたということか。
 現実にこの三年前、切り裂きジャックがロンドンを騒がせたが、あれだって明らかに、痴情のもつれや金銭目的ではなかった。

 ただ惜しむらくは、どうも横溝正史が言ったところのこねこねくちゃくちゃ小説になっているところ。
 この構成でいけば、後半を少し変えるだけで、犯人は下宿の大家と元刑事のどちらにでもできるようになっていた。
 思わせぶりな墓の前で雨に濡れ立ちつくす下宿の大家の描写は、レッドヘリングというよりは、どちらにでも犯人役を振れるその名残に感じた。

 本書はいまだロシア共産革命の二十年以上も前で、劣悪な労働環境に多くの問題抱えた時代だからだろう、二人も登場する労働運動指導者なる人物がいずれも高邁な人物として描写されているのが微笑ましい。

 【注1】本篇中に「モルグ街の殺人」には触れられているが、ドイルの前衛作品には触れられていない。というのも、当時の時点ではシャーロック・ホームズがさほど意識されるほどの存在にはまだなっていなかったとの傍証になるだろう。

 【注2】上の注を書いたあとで、「普通の人は、簡単な暗合文の中から“e”なる文字を見つけ出してみせるだけでも、感心してしまう」(P.207)という一文にでくわしてドキッとしてしまったが、『黄金虫』 (1843)の方だろうw
ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)Amazon書評・レビュー:ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)より
4150734518
No.2:
(3pt)

うーん、でもなあ…

古典的名著らしいのでやっと読む気になって読んだのですが…。時代的に言えば、1880年代だから明治10年代ですな。マルクスやエンゲルスなどの活躍で労働運動が盛り上がっていく時代ですね。裁判の証言が事実であると言う前提で読んでいる読者にとっては、罠に掛けられた気持ちになります。しかも、極めて後味の悪いものです。殺害方法にしても、犯行を目撃もされず、返り血も浴びずにできるのか疑問が残りますね。まあ、指紋検出法や司法解剖のない時代とは言え、アンフェアーな作品だと私は思いますね。密室の構成についてはあの時代に画期的なものだとは思います。アイデアに星3つです。皮肉な落ちも良かった。
ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)Amazon書評・レビュー:ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)より
4150734518
No.1:
(3pt)

ようやっと

名前ばかり有名で、ずっと品切れ状態で読めなかったこの本、どの案内本にも、「ミステリの歴史に残るトリック」だの「密室トリックをいち早く使用した古典」だのと紹介されていて、「そのトリックとは何だ!」と一人やきもきしていたのですが、ようやっと読むことができました。そのトリックとは・・・、いや、これは書けません。ぜひ一度読んで驚いてください。 今読むと、ちょっと古めかしい内容ですが、19世紀末のロンドンの労働者階級、そこに巻き起こった労働運動がテーマで、なかなか読み応えがありますよ。
ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)Amazon書評・レビュー:ビッグ・ボウの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 サ 4-1)より
4150734518

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