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(短編集)

たったひとつの冴えたやりかた



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【この小説が収録されている参考書籍】
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)

たったひとつの冴えたやりかたの評価: 4.00/5点 レビュー 50件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 21~40 2/3ページ
No.30:
(4pt)

文体がちょっと古いかな

やっと読み終わりました。面白いのですが、翻訳がマイナス1です
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
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No.29:
(4pt)

子供でも読みやすい

予期せず脳みそに寄生した微生物の様な宇宙人と友達になる少女の話。
最終的には脳に致命的に有害であり周囲に感染するという事が判明し、共に死を選ぶ。

最後の「人類への感染を防ぐために自ら死を選ぶ」というのを書きたいがために、宇宙の辺境に舞台を設定した様な話。
他にも短編が数編。

「グッドナイト、スイートハーツ」
バウンティハンターが宇宙海賊と対決して、元カノとそのクローンを救って、両手に花…の所を、あえて死んだふりをして立ち去る。自由で身軽な人生とはこういうものさ、という独白はニヤリとさせられた。

単行本にするにあたり、短編と短編の間に話が付け加えられているのだが、これは蛇足だったと言わざるをえない。

有名な小説なので、読んでみるといい。短かくて読みやすい。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
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No.28:
(5pt)

SF中篇小説の名作。読者の年齢や経験で、多様な読後感をもつことができると思います。

(他の方のレビューに参考になるものがたくさんあるので、少し違う観点でレビューします。)
1980年代なかばに発表されて評判の高かった本書は、その後に作者が女性だったことが明かされたり、作者の衝撃的な自殺によって、発刊当初とは微妙に違った評価を受けるようになったようです。
作者の他の作品を見ると、本書のようなおとなしい内容の作品はほとんどなく(本書収録の作品も悲劇的結末ではありますが。)、ちょっと異色の作品に分類されるような気がしました。

本書の3つの作品は、図書館で記録を読んでいるような体裁をとっていることから、どこか他人事を扱ったお話のようにも私には受け取れましたし、
本書タイトルにもなった第1作目は、「たったひとつの冴えたやりかた」で物語を終わらせる(=自身とエイリアンの人生も終わらせる)には、このように、10代の少女を主人公にしなければ表現できなかったのだろうと想像しました。
この主人公を、若さみなぎるお兄さんや頭脳明晰なおっちゃんにすると、おそらく物語が成り立たなくなるような気がします。

今となっては想像するしかありませんが、作者自身は、この作品を発表した頃には既に「悲劇的な自分の人生の幕引き」を考えていたようにも思います。
作者が自身の作品について語った際に「作品には自分の人生や経験を含めている」と述べていたそうです。
本書の3つの作品が、どこか他人事の体裁をとりながら、無垢な女の子を主人公にしたり、宇宙人との交渉を数少ないカタコト単語でネゴしたりと、どこか重々しさを感じさせないような筆致にしているのには、作者が近い将来に「たったひとつの冴えたやりかた」で人生の幕引きをする意図があったのではないかと感じました。

ただ、中高生でも読めそうな物語(おそらく少女を表紙挿絵に使ったことも含めて)なので、このような深読みをすることなく涙をあふれさせながら読むのももちろんアリだと思います。
色々な読み方ができるという意味でも、名作SFと言っていいのではないかと感じました。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
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No.27:
(4pt)

「大星溝」には意味がある。

この本は3つの中編が合わさって一つの作品になっています。お話としては関係なさそうに見える3つの作品は、「経験豊かな司書が注意深く選んだ」だけあって、根底にいくつかの同一のテーマを有しています。是非、最初のお話だけではなく、3作品ともお読みください。自分の事をわかってもらう事の奇跡と、解ってもらえなくても前に進む事の大切さを私は感じました。ただ、最初に読んだ時の、川原由美子の装丁があまりにも気に入っていたので、今回の装丁変更で星ひとつ減点させていただきました。内容は文句なしの星5つです。少なくとも私にとっては。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
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No.26:
(3pt)

短編の名手によるジュブナイル小説

60末~80年代初頭に書かれた数々の短編の衝撃を期待する人にとっては大甘の作品である。

「愛はさだめ、さだめは死」
「故郷から10000光年」
「老いたる霊長類の星への賛歌」などの傑作群を期待して読むと肩透かしを食らう。

私見だが、これは老齢になった著者が十代の少年少女のために書いたんじゃないだろうか?
初期作品の凄さと比べてしまうと「まあ子供向けだね」としか反応できない。
これと世界観を同じくする長編「輝くもの天より堕ち」は全く子供向けじゃないのだが・・・・

あまり小説を読まない人たちがタイトルの語呂の良さで有名な本書だけを読んでティプトリーの作風を誤解しないように書いて置く。
SF界での高い人気の理由は内容が非常に過激だったからである。

若い頃から高い知性と才能の持ち主であったティプトリーは母親と仲が悪く、家出して画家になる。
それから第2次世界大戦の時に陸軍に入隊。
戦後、同僚と結婚して退役するが、軍は優秀な者を簡単に手放したりしない。
軍の要請で嫌々ながらもCIAの設立メンバーとして活動しなければならなくなる。
数年後、なんとか逃亡同然に引退。

その後はジャーナリストを目指したり養鶏場を経営したりする。
それから科学者を志して大学に入り実験心理学を学んだ。
だが博士号を取ったあと、それまでの無理が祟って心臓病を抱えてしまう。
長年の努力が実って学問的キャリアの頂点に向かおうとした矢先に研究者を引退しなければならなくなってしまったわけだ。

そこで、やったのがSF小説を書くことだった。
匿名で破茶滅茶なスラップスティック・コメディを書き飛ばした(どうも、ストレス発散か、やけくそ半分だったらしい)。
ティプトリーは十代の頃からSFを読んでいたからだ。
60年代の末にそれらギャグ短編(『セールスマンの誕生』など)がいくつか雑誌に載ったあと、科学的でありながら同時に極端に暴力的・性的・政治的な作品を次々に発表してアメリカのSF界の度肝を抜いた。
ティプトリーは容赦なく性と暴力を描きながら人類を根底から批判し、スラップスティックを書いてファンを笑わせた。

どこの世界でもパワフルで個性的な人物は生きる伝説になる。
内容の科学的高度さと性的過激さ、それに圧倒的な小説技巧によって、ティプトリーはハーラン・エリスン、ジョン・ヴァーリー、サミュエル・R・ディレイニー 等と同様に恐れられ、尊敬された。

しかしながらSFファンだけではなく作品を掲載している雑誌編集者たちですらジェイムズ・ティプトリー・ジュニアには会った事がない。
彼らは協力しあって本人に会おうとするが、デビュー作から10年近くの間、彼は謎の男のままだった。

1977年、前年の母親の死を伝えた本人からの手紙からファンたちの情報協力によって遂に彼の正体が突き止められ、62歳の女性心理学者:アリス・ブラッドリー・シェルドン博士である事が暴露される。
誰もが作品の内容からアウトドア派の筋肉質な軍人タイプの男を想像していたためにSF界だけでなくフェミニズム思想家たちの間にも衝撃が走った。
若い頃のアリスが銀髪の美女だったのも大きな話題になった理由だろう。

「たったひとつの冴えたやりかた」に入っている作品は1985~86年に書かれている。
すでに70歳だった訳だから過激さには飽きてたのかもしれない。
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No.25:
(4pt)

子供に買いました

某理科雑誌に紹介されていたので、子供に買いました。
内容は悪くないのですが、ちょっと子供が読むには暗い展開かなぁ。
ウチの子は小学6年生ですが、中学生以上の内容だと思いました。
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No.24:
(5pt)

文体の時代感

およそ25年ぶりに読みました。

確か、1話目を最初に読んだのは高校生のとき、その頃毎月購読していたSFマガジンで読んだように思います。
そのときとても感動し、しばらくこの話で頭の中がいっぱいだったのをよく覚えています。

改めて読んでみると、なるほど、当時感動したのがよくわかるというか、今読んでもとてもよい話です。
他の方のレビューに詳細が書かれていますが、3話とも共通となるベース部分があり、そのベースの上に「見た目は違う」話群がきれいに成立しています。

ただし、やはり翻訳の文体、特に1話目の文体が気になります。
当時高校生だった自分(すなわち、発表当時、1話目の主人公と同年代だった自分)にはよくわかりますが、80年代の雰囲気が全開です。
今となっては妙に大き目の服装や、当時の髪型までが想像されます。

このため、当時、本当に自然だった文体が、今となっては若干異常な感じがするのが否めません(もちろん、これは80年代を実際に経験しているが故のことかもしれません)。

2話目、3話目は1話目よりも文体の違和感はありませんが、細かいところにどうしても80年代の空気が染み出しています。

とはいえ、これは当時の翻訳が最上を目指してなされたが故のことだと思います。
そしてなによりお話自体は素晴らしいです。
是非、読まれることをお勧めします。
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No.23:
(4pt)

幕の内弁当的に楽しめる、侮れない内容。解説がビターな味わい。

3つの中編と、それを紹介する図書館でのやりとりで都合4種類の物語で構成されている。
 「あっ」というテクノロジーで感心するようなハードSFでもないし、人類の存在に関わるような問いかけをする感動作品でもないが、全体を通して「SFは面白い、楽しい」と感激するような作品だった。
 ひとつ目は、ジュブナイル的な導入から異星人との遭遇、そして驚くべきエピローグ。
 ふたつ目は、スペースオペラ的舞台設定とメロドラマ的人物設定、そしてマッチョなエピローグ。
 みっつ目は、ハードSFっぽい設定から、異星人との交流、そして大団円。
 そして最後に、図書館でのシーンで、「これは!」という事実に気がつくオチ。
 一冊で、色々な楽しさを含んでいる、ボリュームたっぷりな幕の内弁当的内容です。表紙や挿絵の少女漫画的な絵を舐めているとひっくり返ります。
 最後のデザートとも言える訳者の解説は、かなりビターな味です。これは最後に味わっていただきたい。
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No.22:
(5pt)

泣いた

表題作である「たった一つの冴えたやり方」は、やんちゃで向こう見ずだけど、勇気のある少女のお話。
溢れんばかりの好奇心と勇気をもって、明るく晴れやかに自己犠牲の道を突き進む力強さと、シーンが強烈に頭に焼き突くような文章。
最初はとっつきにくいかもしれませんが、後半に近づくに連れて恐怖と不安と悲しさと苦しさが押し寄せてきます。
けれども確かに名作でした。
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No.21:
(3pt)

なんとなく、先は読めてしまうのですが

SFならではのこ難しい設定や説明が少なく、物語としてすらすら読めました。
あまりSFを読まない人でも抵抗なく手に取れる本だと思います。SF好きにはもの足りないかも?
名作とまでは思えませんでしたが、素敵な物語でした。。
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No.20:
(4pt)

表題作は是非、二度読みを

わお!表紙が新しくなってる。このデザインなら買いたいですね。私が持っていた(友人に借りパクされました)のは以前のバージョンなので、正直なところ男が一人で持って歩くのはちょっと…という感じでした。まあ、表紙のデザインが良くなったのはまず何より。

時間がない人でも、表題作「たった一つの冴えたやり方」だけでも読んでいただきたい。それも、少なくとも二度は読むべきです。
一回目は、天真爛漫な少女コーティーのちょっと切ない宇宙探検ものとして、普通に読んでください。
二回目は、ティップトゥリーJr.の破天荒な人生と、晩年と、凄惨な最期を知ってから読んでください。ウィキペヂアで簡単に見るだけでも十分です。

お話に対する印象が、ガラリと変わるはずです。今から読もうとしている方の興を削ぐのも難ですので、細かいことは書きませんが…。

二つ目、三つ目の話ももちろん面白いのですが、表題作だけでも一冊分の価値があると思います。未読の方は是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
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No.19:
(4pt)

大人にも読んでほしい作品

様々なエイリアンや惑星がでてくるので、スターウォーズのような雰囲気を想像しながら読みました。
舞台は宇宙ですが、ヒューマンドラマなので、大人にも読んでほしいと思いました。
表題作は、少女の軽い語り口で進行しますが、とても考えさせられるお話でした。
1986年の作品らしいのですが、そのときにこんな事を作者は考えていたのかと思うと、作者自身への興味も湧いてきます。
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No.18:
(5pt)

切ない・・・。

素敵な物語です。カバーは昔のほうが少女漫画みたいでよかったな。
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No.17:
(4pt)

よかった

この本は中編集みたいなものなんですが、やはり表題作の「たったひとつの冴えたやり方」が一番面白いです。
他の二編も構成のうまさといい、なかなか楽しめます。
SF的な用語は結構出てきますが、話の本筋がわかれば問題ないと思いますし、SF嫌いじゃないなら一度読んでおいて損はないんじゃないでしょうか。
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No.16:
(3pt)

ハンカチ不要

宇宙飛行士なら、自分が異星の未知の病原体に冒されたらそれを食い止める手段を講じなければならないのは当然。
コーティは宇宙飛行士として当然の行動をとったまでのことだ。
若い女の子だからかわいそうに思うだけ。
だからナイーブな読者諸君よ、何も泣くことはない。

最後の「衝突」がいいので大盤振る舞いで星三つ。
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No.15:
(4pt)

引き込む上手さ

私は収められている三編を「二重の決断」の物語として読みました。
ストーリーにはこの二度の「決断」を際立たせる為に緻密な伏線が張られています。

一度目の「決断」は生命に関わるもの。その際、自分(達)の命より、他人(友達、昔
の恋人、異星人)の命の方を優先します。

二度目の「決断」は一度目より大きなもの(地球全体、人類、自由)の為に行われるもの。
この構造が三編とも、貫かれています。

第一話
一度目の「決断」 コーティーが初期の段階で頭からイーアを出さなかった事。
二度目の「決断」 コーティーが被害を拡大させないために行った事。

第二話
一度目の「決断」 レイブンが二着しかない宇宙服をどうするか、決めた時。
二度目の「決断」 レイブンがイリエラ達に付いていくかどうかを決めた時。

第三話
一度目の「決断」 アッシュ達が異性人を救うために相手の戦艦に乗り移った時。
二度目の「決断」 アッシュが異星人への信頼を示す為、カプセルに入る事を承諾した時。

ただ、第一話の「たったひとつの冴えたやりかた」は強引な読み方も出来ます。
コーティー=作者自身。イーア=現実の夫、と置き換える読み方です。少し、切なくなりますが…。

それにしても三編とも、見事なストーリーテラー振り。上手いなー。
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No.14:
(2pt)

先入観ありき、で読んだからかもしれないが

作者の死亡方法とタイトル、及び
『この小説を読み終える前にハンカチがほしくならなかったら、あなたは人間ではない』
とまでいわしめた作品ということに興味をひかれて、この本を手に取りました。
率直にいって残念。少しも感情移入できませんでした。

*以下、内容の核心に触れている部分があります。

主人公とエイリアンの関係に関して
主人公が肉体的快感、情動を動かせる相手に寄生されているにもかかわらず
二人の関係を”友人”と表することが疑問。
私には一方的な関係に思え、二人の会話が虚ろに聞こえ、
単純に二人の”友情関係”を認める気にはなれませんでした。

最終的な決断に関して
・主人公は結局死が見えている(脳が食べつくされる)。 
・エイリアンは生存が可能だが、”友人”である主人公が死んでしまうことになる
・エイリアンの生存は他の生物にとって、危機になりかねない。
という条件下で、「たった一つの冴えたやり方」を選択するわけです。
エイリアンは生存か、死か というジレンマを抱えますが、
主人公はどのように死ぬのか、という判断を迫られていますが、ジレンマは存在しません。
彼女は被害を拡大しないこと、を選択しますが
もとより彼女は死の運命にあるわけですから、自己「犠牲」ではありません。

整理します。
エイリアンはジレンマを抱え、死を決断した。
主人公は死ぬ方法を、大勢を救う方法にした。
ここだけを見れば、”どちらも冴え”ていて”高潔”なやり方に見えるのですが
主人公が死ぬ前提を作ったのはエイリアンであると言うことを、忘れてはなりません。
つまりもっと彼女は、エイリアンを責めていいはずなのですが
この本にそういったシーンはでてきません。

この本ではその答えを、二人が友人になっていたから、というところに着地させようとしているように見えます。
そこで先ほど書いた「主人公とエイリアンの友人関係が疑問」、という部分と関わってくるわけです。
異星間交流において、寄生のような状態がさして珍しいものではない、という記述もないし
主人公が責めてもしょうがないと思っていた(=達観していた と思うには
最初の出航の動機からして彼女はあまりに幼く、奔放です。

以上
友情関係に疑問、主人公の謎の達観
によって、のめりこむことができませんでした。
もっともSFになれていて、設定を違和感なく感じられる方には違った物語に感じられるだろうと思います。
減点式で星2つとさせていただきました。
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No.13:
(1pt)

冴えてる・・・のか?

手に取る人を選ぶ、かわいらしい?この表紙。思い切って読んでみてから、まさに読者を選ぶ内容だからこそのカバーイラストなんだ、ということがわかりました。
一作目しか読んでいないうえでの感想ですが、タイトル作の主人公は昔のコバルト文庫を思い出すキャラで、読む人によってはハードルがそうとう高め・・・。
少女らしいというか、ガキっぽいモノローグ・・・、「も!消えちゃってよ」とか、「ぎゃは」とか、しゃべり方が古くさいのはしかたないとしても、イラッとするのは私だけ?
このポジティブ元気少女にいくらかなりとも共感できれば、そりゃあラストに感動もするのでしょうが、キャラがダメだともう全部ダメ。そういう意味では正しいキャラクター小説なのかもしれません。

ノリに乗れないままだと、売りである「友情」も、エイリアンが親友というよりけなげなペットのように思えてきて、なんかひっかかります。この地球外生命体に、あなたはそれで本当にいいのか、と問いたくなります。
だいたい、変わった生き物でもいい奴はいるんだ!っていうの、ちょっと無邪気すぎない? そういう前向きで単純な考え方も必要だけど、未知とか異端とのお付き合いという問題を徹底して問題にしない話は、今どきいい大人が素直に読んだらやりきれないです。徹底しすぎて、夢物語と読むこともできませんでした。
子供同士が努力を必要とせずに友達になるようにしてしか、宇宙人と友好的な間柄になれないのだ――という、逆説的な?メッセージは得たような気がしますが。

そして、美しいイメージで終わるラストですが、主人公の選んだのはそんなに「たったひとつの冴えたやりかた」なのかどうか。驚きもないし、もはや人間らしくもないし・・・。
表紙と、自分が何を求めてこの本を読むか、の相性をよく見極めて読めば、「冴えてる!」と思える読後感が待っているのかもしれません。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
4150107394
No.12:
(5pt)

純粋で冴えた愛情

まず邦題がいいですね。
SF好きなら共感すると思うのですが、ぐちゃぐちゃにならずに明確に愛する友達のことを考え、愛するたくさんの人々を考え、冴えたままたったひとつのやり方に突っ込んでいく。
一見非情なようで、最も純粋な愛情を感じます。それ故に感動できました。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
4150107394
No.11:
(4pt)

チョーせつない!

SFなんてスターウォーズとかしか知らなかったから、
本屋さんでまよったけど、可愛らしいイラストだなあーって
つい買っちゃいました(ハート)

ドキドキハラハラの冒険小説かと思ったら、一転、うるうるきちゃった(涙)
チョーせつなくて、せつなくて・・・。
友ダチがみんな読んでるケータイ小説なんて、
全部まとめてリフトの向こうに捨ててやるぅーーー!!!

という女子高生がたくさん出てくることを、この表紙に願います。
僕としては、この表紙のせいで、なかなか手にとれなかったんですけど・・・。

ストーリーテリングとして最高です。
ティプトリーが悲劇的な最後を迎えなかったら、
このシリーズもっと読めたかも、しれませんね。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)より
4150107394

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