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(短編集)
しあわせの理由
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しあわせの理由の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 21~35 2/2ページ
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グレッグ・イーガンの短編集。 確かな知識と世界観に支えられた硬質なSF。 人間の深層に触れる作品群だ。 装丁もおしゃれで手にもって楽しい1冊となっている。 読み終わると世界の不思議と宇宙の神秘、人間の恐ろしさに愕然とする作品となっている。 | ||||
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短編ですが、世界観、ストーリーなどがしっかり作り込まれておりハマります。アシモフぐらいあるのでは?と思いました。 | ||||
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表題作の「しあわせの理由」は、この短篇集の最後に収録されており、最終的には読み手も少ししあわせな気分にさせてくれる。 ただし、その内容は紹介にあるような「脳内の化学物質によって感情を左右されてしまう」だけではない。 “神経回路を移植される”ような手術を受けた自分は、自分のままなのか。“自分の嗜好を制御できるコントロールパネル”を持った自分は、自分のままなのか。そして、しあわせなのかを考えさせる。 1つのネタだけで終わらず、次々にネタ(存在や自己のあり方に対する問いかけ)を繰り出してくる。 イーガンを初めて読んだが、本当に面白かった。 ボーダー・ガードは、量子サッカーの描写が楽しいだけでなく、最終的に明らかになるテーマに驚いた。 最初の「適切な愛」の脳移植の描写は苦手だった。読むだけで内容をグロテスクに想像してしまったのだ。 それ意外は本当に楽しめた。 | ||||
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理系の専門用語が説明無しに多く用いられますが、あくまで小道具的な使われ方が多く 作中での意味合いは何となくわかるので、知らなくても特に問題は無いと思います。 美・道徳・宗教・幸福など一般的に尊ばれているものに対しての皮肉っぽい 思考実験のようにも感じましたが、文体は固くないので一般小説として読んでも 十分楽しめるかと思います。 | ||||
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主人公が体験している異様な出来事の中にいきなり放り込まれる感触があって、収録短篇の多くが、私にとっては、かなりとっつきづらい印象がありました。でも、そこを我慢して読んだ甲斐が十二分にあったSF短篇集。 途轍もない状況に置かれた主人公の“心”あるいは“意識”がどう反応するか、とか、こんな異常な事態に直面しても人間はなんとか折り合いを付けてやっていけるのだ、とかいったことが、実に深いところまで掘り下げられていたところ。すげぇなあと、ちょっと呆然としてしまった。 イーガンの短篇の味わいについて、SF作家の山本 弘が『』のなかで、<いずれも唖然となるような途方もないアイデアを用い、愛、信念、信仰、自由意志、アイデンティティ、生と死といった、我々がごく当然のものと考えている概念に、強烈な疑問符を叩きつけてくる。>と書いているんだけれど、まさにそのとおりなんですね。「もしも、不死の未来が実現したら」とか、「自分の感情、脳の状態を意識的に操作できるようになったら」といった状況を、主人公の心理とあわせて緻密に描いていくなかから、私たちが普段当たり前のものとして受け止めている「生あるものは必ず死ぬ」とか「人間の感情は本能的、自発的に湧いてくる」といった真理が揺らいでくる。人間の根幹と深く、密接に関わっているが故に見えにくかった箇所に光を当て、目を見開かせてくれる。そう言ってもいいかな。 『』に続く第二短篇集にあたる本書のなかでは、とりわけ、「ボーダー・ガード」と「しあわせの理由」の二篇に心を揺さぶられましたね。読み進めている途中から、あまりのヴィジョンの途方もなさに、「わおっ! わああああっ!」てな感じで絶叫したくなっちまいました。 | ||||
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SF短編九篇を収録する日本版オリジナル短篇集 「ボーダー・ガード」 ローカス賞受賞作 仮想ボールを使って行う量子サッカーというアイディアがおもしろい。 この未来社会においての「死」についての考察が興味深かった。 不死が日常となると、逆に死の魅力はますのか。 小野不由美著「十二国記」シリーズでも不死の王の精神的な衰弱が描かれる。 「移相夢」 データ化した人格はもとの人格と連続して同等たりえるのか。 現実崩壊もの。 「チェルノブイリの聖母」 私立探偵もの。 コンピューター上の宗教というネタが新鮮。 「血をわけた姉妹」 同じ環境で育った一卵性双生児でも差異はもちろんある。 同じハードでもユーザー毎の個性が出るのと類似しているのかも。 新薬実験の正確性を追及する方が目先の命より重要なのか。 つまり、多数の人命の為なら少数の犠牲は当たり前なのか。 新薬実験と同じ遺伝子を持つ双子の人生をからめた話。 「しあわせの理由」 あからさまな言い方をすると、人の気分とは神経伝達物質の分泌に左右される。 その分泌を調整するダイヤルがあるならば、どうなるのか。 神経伝達物質の分泌を調整するということは価値観を変えるということだ。 この基準こそがアイデンティティである。 SF的アイディアを日常生活レベルで描いた傑作。 もし、この価値基準を喪失し、再インストールするとしたら何を基準にすればよいのか。 結局、価値基準とは現在社会の雰囲気と連綿受け継がれてきた文化的価値に強く影響を受ける。 それなら、個人的経験は無視し、多数の人の平均値でよいのか。 「適切な愛」 母性愛がテーマ。 夫の脳を自分の子宮にいれて保護するネタがグロテスクだ。 「闇の中へ」 原子崩壊の確立についての話。 アクション風味。 | ||||
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最後に収録されている短編のタイトルがついた短編集なんですが、その中でも「ボーダー・ガード」が圧巻でした。イーガンの作品に根底に常に流れている、人間の限界に対する慈愛の念をメインテーマにした作品です。読み終えたとき、目に涙がわいてきました。通勤途中の電車の中だったんですが... | ||||
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グレッグイーガンは初めて読みましたが、 読み終わってみて、 昔、教科書に載ってたような☆新一の短編みたいだと思いました。 量子力学とか、医学とか題材は面白いのですが、 話はそれほどでもないような…そんな感じでしょうか。 短編集だから仕方ないのかもしれないですけど、淡々としてる感じです。 | ||||
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いったい我々を構成しているこの現実は本当に現実なのだろうか? この短編群が指し示す先にある「幸せ」とはなんなのだろうか? 我々が普通にリアルだと思っている幸せや不幸せと仮想の幸せ、不幸せは一体なにが違うのだろうか? 解説で坂村教授が書いているように、「中国語の話せない人間の入っている翻訳ボックス」にすぎないのではないだろうか? 村上春樹の「百科事典棒」を思い出した。無限に展開される有限な言説がこの短編にはちりばめられている。 | ||||
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様々なSFの形態があり進化してきましたが、これは現時点でのひとつの頂点といえると思います(他にも頂点はあるが)。イーガンはもっとバリバリのハードかと先入観があり今まで避け気味でしたが、この作品を読んで己の不明を恥じました。 これはSFファンはもとより、むしろSFを毛嫌いしているような方に是非読んでいただきたい。少し今の「常識」に対する見方が揺さぶられるような感覚こそ、「センスオブワンダー」なのではないでしょうか? 表題の短編もお気に入りです。 | ||||
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この本は、現代SFの最高峰ではないだろうか。とにかく今のSFはどれを読めばいいかな?とおもったらこれをよみゃいい、内容の大まかなことはほかのレビューが書いてあるので書かないが、どの章も科学的な書き方がされていて、非現実的過ぎない、また人というものの心理描写が鋭く登場人物の心理がよく分かる。あえて「現代」と制約をつけたのは、古典SFのようなわくわく感がないところか、しかしそれは現代の科学力が進歩しているからだろう。 ついでに言うと、表紙のデザインもグッド! | ||||
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ハードSFの旗手であるグレッグ・イーガンの短編集その2です。とにかくすごい作家で、発表する作品ほとんどが、なんらかの賞をとる。内容も、非常に科学的に最先端のきわどいところを取り上げています。 得意とするテーマは、量子力学とアイデンティティ。まさに現代ハードSFの集大成というか、もはやSFのねたは出尽くしてしまっていて、この2点くらいしか真剣に、新しい視点を通して語られる物語もないのかも知れません。で、彼の作品はその新しい視点や、物語の構成方法が、ずばぬけておもしろいのです。 他人の脳みそを、自分のお腹で育てる「適切な愛」。量子論の世界を、緊迫したレスキュー劇として描く「闇の中へ」。記憶やアイデンティティは、データとして転送できるのか「移相夢」。ウィルスハザードをややコミカルに描いた「道徳的ウィルス学者」。などなど、素直に「すごいな」と思える短編が9つも。これはお得だ。 表題作である「しあわせの理由」では、これでもかというくらいに細かいプロットでお話が構成されています。脳内麻薬による幸福感。それが、ガン細胞と一緒に破壊されたあとの、幸福感のない状態。さらに、それを補うためにダミー神経を埋め込まれた主人公の葛藤。しあわせの基準をコントロールできるとしたら、人はどのようにこの世のできごとと折り合いをつけていけばいいのか。 短編集その1である「祈りの海」(テーマはアイデンティティ)と、長編「宇宙消失」(これは量子力学がテーマ)もお勧めです。 | ||||
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グレッグ・イーガンが描く世界は、我々の世界の延長ではない。そこでは物理法則や社会の秩序や、人間の生理や、テクノロジーが、我々のものとは異なる。我々の未来の世界のようでいて、実は大きなギャップがある。読者はその異世界にいきなり、説明もなしに放り込まれることになる。出来事が語られるが、その背景自体が我々からすればすでに異質である。しかしそれはその世界では普通のことなのだから、説明されないのである。それでも読者は登場人物の思考を辿ろうとするが、その登場人物が異世界の人間であるから、ものの感じ方、考え方が我々とは違うのだ。だから無理に自分と共通な何かを引き出して作者が何を言いたいか理解しようとすると、難しくなる。まずは作者のたぐい稀な創造力から生まれた世界に身を浸して、その驚異を味わってみればいい。解放された想像力の前には、常識や科学や技術の限界などないのだということが分かるはずだ。何かを読み取ろうと考えるのは、その後でいい。 | ||||
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自己って何だろう?意識ってなんだろう恐らく現代科学ではまだ解けていないこれらの問いに、宗教などの安易な方法(特定の宗教に信仰のある人、ごめんなさい。たぶん私が安易なだけです。)に逃げることなくあくまでも科学という正攻法(現代人が取りうる真理に近づく為の最善の方法論)を基盤として読者に問いかける作品群。神なき現代の孤独な存在である人間をこれほど真摯に描く文学者はそうそういないのではないだろうか。科学ネタがまずあってとにかくそれを素材に物語をでっちあげよう、というありがちなSFとは一線を画す立派な文学作品だと思います。 | ||||
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イーガンは理系出身のハードSF作家だが、彼の人生への眼差しは科学者のそれというよりも、哲学的な作家(ドストエフスキー、カフカ、ディック等)に近い気がする。イーガンは、合理主義のみで生きることができない人間の心理を、最新の科学的知識を駆使した様々なSF的設定を「背景」として描く。その「背景」は作者にとっても登場人物にとってもニュートラルな「舞台装置」でなく、むしろ心象風景やメタファーに近い。その点がまた文学的なのである。 イーガンは無神論的な合理主義者である。しかし、それでいて真摯に「人間的であること」の意味を問いかけ続けている。そのことが彼の作品に文学的価値を与えていると言ってよかろう。 本書に収められた「チェルノブイリの聖母」、そして表題作の「しあわせの理由」などは、たとえ合理主義的でなくとも個々人が自分の「信仰」や「信念」或いは「思想」を持ち、それに忠実に生きようとすることが人間らしさの根源であると言っているように思われる。 | ||||
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