■スポンサードリンク
インストール
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
インストールの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.61pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全79件 61~79 4/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若年の作家が書いた割に上手い文章で驚かされます。ただ,なんかもったいない感じがします。 それは主人公や脇役に魅力をあまり感じない点です。それが物語をなんだか印象が薄く心に残る事がない原因ではないでしょうか? 等身大の女子高生を主人公に見立ててるんでしょうがどうも中途半端な感じがします。 それならば思い切ってこんな女子高生いないと思わせるような主人公にしてもよかった気がします。 そうなると物語もかなり変化するから作品の原形は留めないかも知れないですが… | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
綿矢りさの小説を読んだ人の全員が指摘するその文体。染み入るようで良いという意見と、軽いだけという意見。十人十色だから様々な意見があるのは当たり前だと思う。 ただ文体だけに注目が集まっているかんがぬぐえない。たしかに綿矢りさの特色は文体である。しかし文体で読ませているのかと言えば、それは違う。綿矢りさは小説を書き、それを文体という流れに乗せているのだ。 綿矢りさ作品では事件が起きない。退屈といえば退屈だし、逆に新鮮なのかもしれない。しかし知らない男の子との交流やクラスでの孤立は立派な事件だ。所詮、子供の感性。そう言われるかもしれないが、大人の世界は絶えず誰かが死んだり燃えるような恋のオンパレードなの?と訊いて、いったい誰がうなずくだろうか。 小説はフィクションだからゆえの面白さがある。そしてそれと表裏一体に現実に向き合う面白さもある。綿矢りさは電脳化された我々に「インストール」という作品で異議をとなえた、なかなかの作家である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
とにかく文章がすごい。結構長めの文章を軽快に、滑らかに、テンポ良く連ねていく独特の文体は一読の価値があると思う。内容に関しては好き嫌いはあっても文章のすごさに関しては議論の余地はないんじゃないかと思うぐらい。読んでて気持ちいいので是非お試しを。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普段、あまり本を読まない私ですが、この本には凄く引き込まれた。 読んだのが当時17歳で、尚且つネット経験があったため、余計共感できた。 特に、17歳の女の子に読んで欲しい本。 こんな、変わった生き方も出来るんだ、と視野が広く持てると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
どうしても蹴りたい背中には劣る。ストーリー展開が結局、再インストールかよって思った。もう一捻りあったほうがよかったのではないか、と思わないではない。 しかし、問題はそんなところにはない。安易な解決を高橋源一郎は「初々しさ」と表現している(もちろん、解説には悪いことは書けないから)が、そんなことはこの話には問題ではなくて、綿矢りさの真の価値はその文章力にある。リズムがあふれたテンポ、滑らかな変化と独特の言い切り描写を神秘的なほどに美しくする。だが、インストールに限っては、素晴らしい文章があるかわりに鼻につく文章もあった。そのあたりがまだ未熟であるが、それに目をつぶり文藝賞受賞させたことは日本の文学界において非常に価値のあったことと思う。 書き下ろしのYou can keep it。書き下ろしつけて発売するなよ。単行本買った人がかわいそうだろと思うのだが、安いから許そう。 初の三人称。初の大学生。初の男主人公。 さて、文体は洗練されているが、何でしょう、この妙な浮遊感は? すんなり主人公の中に入っていけない。主人公の存在自体がはっきりいって希薄だ。意味をとりにくい文もあった。これはわざとなのか、三人称の書き方がわかっていないゆえの失敗なのか、それすらわからない。 わからないが、綿矢りさは天才である。どうか、どうか、甘んじないで書き続けてほしいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
出てくる表現の仕方は、うまいと思う。そしてそのうまい表現に引きずられてずんずん読んでいってしまう。そして読み終わる。・・・すると、なんか物足りないような、いっぱい食べたはずなのにおかわりをしたいような、そんな気持ちになる。もっと読みたい、というのではなく、なんかまだ小腹がすいてるような、そんな感じになる。繰り返すけれども、表現の仕方はうまいと思う。でも、読み終わったあと、なんか足りないような、満足できないような、そんな気持ちにもなる。でも、あの表現を体験するだけでも価値はあると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ものすごくおもしろかった。 綿谷りさと金原ひとみ氏が芥川を同時受賞した時は、下記の人のように「話題づくりかァ。」でも、話題づくりをしなければ”文学が死ぬ”という日本の現状を危ぶみ影で盛り立てようとしてる人がいるのは事実で。正直当事は、フラッシュを浴びまくる彼女らをブラウン管の向こうに見ながら、『文学』に携わってる人たちの情熱(?)あるのかわからないがミタイなのを感じてたわ。 そして、どうもこの本を読まないでいた。 同居する姉が 大人買いと称して文庫本をまとめ買いしてきた中にあったので、義理的に読んでみた。 ら、今話題・ベストセラーの本々の中で、いっちばん、夢中になれたわ。 若い(?)才能というのはこういうことなのかもしれない。 アトガキに、高橋源一郎も述べていたが。 完璧な日本語。的確な描写(何を以って的確とするかは定かではないが、)とにかく日本語が巧みですね。 それは彼女のモノの見方に偽りがない、ということですが、、。 それだけで、読む価値はあると思った。いや、難しいことはホントはどうでもよくて、とにかく何か、読ませる力みたいのがあると思いました。 的確な文体・登場人物の人間臭さ/魅力/、ユーモアのある心理表現、笑いあり、そして最後には何故か感動して泣いてしまった。。 笑いと涙そして、最後まで読ませる文体、芥川賞受賞が話題づくりである、と偏見な見方はしないで読んでみるべきでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読まずギライを告白せねばならない。 彼女が芥川賞を受賞した折の感想。 「かあ、話題作りか。これでオッサンオバサン連中はきつくなったなあ。 文学なんてオッサンオバサンが若者にアドバンテージを誇れる数少ないジャンルだったのに。」 若者の文体、若者の日常、若者の価値観、そうしたものが主流になると もはやオッサンオバサンには勝ち目が無い。 英語を学んで、ようやくスタートラインに立てるという絶対的なディスアドバンテージを抱えている日本の学者や研究者のように、異国に近い若者のそれを理解してから勝負しなければならなくなったオッサンオバサンはもはや文学からも見放されたと。 文庫化した。 さすがに批判するのなら読んでからだと思う。 399円は安い、だまされたと思っても腹が立たない。 買った。読んだ。 大騒ぎされていた文体に関しては特に新しいものを感じなかった。 が、ナチュラルだと思う。 すうっとからだに溶け込んでいくようなナチュラルな文体。 もしかしたらそれが新しいのかもしれない。 人が 死なない。 これはポイントが高い。 突拍子も無いような事件が起きない。 これもポイントが高い。 そして何より感心させられたのは 価値観のお仕着せが一切無いこと。 若者にありがちな「私はこうありたい。」「社会はこうあるべきだ。」 という価値観の提示が一切存在しないのだ。 それがこんなにも心地よいことだとは思わなかった。 思うに綿矢りさはよほど大人たちから価値観を(肯定的にも否定的にも)提示されること無く育ったのではなかろうか。 そうした人物が自ら価値観を創設すると、勘違い野郎ができあがるのだが、 彼女はその正極の位置にある。 いや おそれいった。 素敵な作品だった。 表題作もよかったが 併録の 「You can keep it.」がたまらなくよかった。 彼女は素敵だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表題作「インストール」は文藝賞受賞の時にもう読んでしまっていたので、書下ろし「You can keep it.」を目当てに本を手に取りました。 綿矢りさの描く人物像は、どれも「善人でもない」「悪者でもない」という極端さのないキャラクターが面白いと思います。 主役である城島は気の小さいやつだけど、けちじゃない。 城嶋から何でももらってご機嫌な保志も悪いやつじゃない。 そして二人の間にいる三芳もどっちつかずな微妙な存在。 綿矢りさの世界の醍醐味は、この善と悪どちらにも振り切れてしまわない、その絶妙なバランス感覚にあると再認識した。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
テンポも文体もリズミカルで、 気取ったり、変に難しい言い回しをしない、 素直で美しい文章だと思いました。 思春期特有の葛藤というものが鮮やかに描かれていながらも、 暗すぎたり重すぎたりせず、 飽きずに楽しく読ませて頂きました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新しい書き下ろし短編『You can keep it.』について述べてみようと思う。 話としては、『インストール』より短いが、コンパクトにまとまっていて密度が濃い印象を受けた。その時々の楽しみの量は、『You can keep it.』の方が上だったように思う。あるいは「ネットで金儲け」と言うテーマよりも、「淡い恋愛物語」の方がテーマとして単純に楽しかったからかもしれない。ただ、『インストール』の文中で見せた独特で巧みな比喩は減少している。 『インストール』の主人公は女子高生であり、当時の作者と同じであった。それゆえ自伝小説を書くような要領で書け、書きやすかったのではないかと思う。『蹴りたい背中』についても同様だ。 だがこの『You can keep it.』では、男子大学生が主人公だ。すこし自分から離れた人物を主人公とすることに挑戦しているわけだ。いわば主人公と言うキャラクターを、"自分"から離陸させることを試みている。 その"離陸"は小さな成功を収めているように思う。「小さな」と言うのは、僕はこれはこれで面白かったと思うものの、他方で「いや、面白くなくなった」と感じてしまう人が生じている事による。これが万人をもってして、「随分面白くなった!」と言わしめれば大成功と言えそうだが、そうではないからだ。 とは言え、どんどん頑張ってほしいものだ。次回作では作者からさらに離陸した主人公と、作者の才能ともいえる独特の切れ味の表現を両立させた小説を期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何もかもがバカらしく感じる。みんなと同じことをすることが虚しく思えてしまう。でも、自分は特別な存在ではなく、平凡な人間でしかないことも分かっている。 そんな心の葛藤やわずらわしさから解放されたいと思うことは誰にでもあります。 「“エロチャット”という手段を用いていて、作品に暗い影が射すのでは?」とも思いましたが、明るい雰囲気で最後まで読むことが出来ました。 しかし、“明るい”といっても微妙な心理を描いていて、奥行きを感じる作品です。 ラストが前向きなことも好感が持てます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリーの筋は有名なので詳しくは語りません。「自分は特別なんだ」と言う意識を持つ女子高生と、ませた男の子がアダルトサイトのチャットで一儲け!と言うお話です。 ここでの評価はさほど高くないようですが、僕には十分楽しめました。僕も学生時代はこの主人公と似たような選民思想を持っていましたが、彼女に描かれているような躍動感溢れる心の動きは体験したことがありませんでした。なぜでしょうか? 今になって僕はこれを読んで、そこに思春期の男性と女性のものの感じ方の違いを見出します。つまり、上記の躍動感溢れる心の動き、ふてぶてしいけれどもなんだか憎めない性格、そう言うものはおそらく思春期の女性特有のものなのでしょう。当然、男性には体験する事は難しいのです。 著者はこういう女性特有の性格を描くのが巧いと思いました。名訳で知られるモーパッサンの小説「脂肪の塊・テリエ館」の女性達を思い出しました。 この小説にはいくつかのテーマがうまく組み込まれているように思います。例えば、『不器用さ』について。青木小母さんの不器用、留年した松本さんの不器用、そして主人公の聖璽に対する不器用。色々なケースで「愛嬌がなく、惨めに泥臭く、見ている人間をきゅっと真面目にしてしまう不器用」が描かれています。ああそういうことあるな、などと思いつつ、このようなテーマを追って読んでいくと新たな面白さを発見できるかもしれません。 また著者は文章の比喩、表現の仕方が秀逸です。最近の多くの新人作家が陥りがちな、村上春樹の影響を受けた言葉回しのようなものがみられず、彼女独自の表現法を確立しているように思え、好感が持てました。 万人にお薦めとは行かないかもしれませんが、読んで損はないと思います。もし自分に合うと感じたら、しめたものです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『You can keep it』は傑作 インストールも蹴りたい背中もこの作品の前ではゴミ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文芸賞を取ったときの単行本でも読んだのですが、今回文庫化、書き下ろし作品も載っているということで書店で見かけたので買ってみました。 前回読んだときとは違った印象を受けました。句読点の打ち方など割とよく出来た作品だったんだなぁ、という感想です。文章が持っている初々しさがうまくプラスに働いていて、主人公が女子高生という設定に相まって、いい雰囲気を醸し出す作品になっています。 それゆえに「蹴りたい背中」での失速感も感じてしまいました。書き下ろし作品も同様に感じました。もっと時間をかけて、自分の文章というものを見つけてくれれば、さらにいい作品を書けるポテンシャルは持っていると思うので、綿谷さんには頑張ってほしいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表題作は自称「自称変わり者」の主人公がひきこもりになって、チャットの世界にのめりこむ話。脇役のキャラクターも物語の設定も、至極ありふれた話ではある。既存の作品群を組み合わせればできてしまうような気さえする。しかし、もちろんのようにちぐはぐではなく、むしろそこに綿矢りさという人の味があった。それは地の文や会話文においていかんなく発揮されており、ありきたりさを気にさせないどころか、新しさがあるように思えてしまうから不思議。もともと王道と言われるようなありふれた話は面白いからありふれているわけで、もしそれを新鮮に書ければ、面白さだけ残る。特に何かが残る作品ではないけれど、私はあっさり楽しませてもらった。書き下ろし短編「You can keep it.」もありきたりな話を新鮮に書けている。結論がない話なんだね。お上手。「インストール」で文藝賞を受賞してデビューしたのが17歳らしい。あっさりとうまいね。それももしかすると、綿矢りさが作中人物のような考え方の持ち主だったからかもしれない。「だった」であって「である」でないところが重要。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本当にすらすら読めてしまうんですよね。あの独特の文体がいいのでしょうか、いややっぱりストーリーの持っていき方なのかな?! りささんが自分と同い年ということで、妙な対抗意識から遅ればせながら手にとった作品という感じでした(ゴメンナサイ!!)。でも、読んでみて、さすが!!って感じでした。 人間は、パソコンみたいに簡単にインストールなんてされないってことを感じました。必要な機能は自分で苦労して身につけていかなければ、絶対手に入らないし、そのことは便利なネット社会になっても結局変わらないと思いました。悩むことがあったら、ジタバタなんとかやってみる、それが大切なんだ、それが自分を強くするし、成長させるし、自分というパソコンの性能をよくしていくことなんだと感じました。主人公もそのことを自分の感情で理解したのではないでしょうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「蹴りたい背中」を読んだ後に、この本を読んだのですが、 こちらのほうが、途中はどうあれ、読んだあと前向きになれました。 両方の作品に共通するのは、学校に対する主人公の無気力さ。 それを、どういう物語にしているかの違いだと思います。 「蹴りたい背中」は、自分では意識していない、恋ごころの目覚め。 今回の「インストール」は、自分自身の中で、生きる目的に気づく。 細かい描画の部分が綿矢さんの文章のうまさだなーと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
もしベストセラーになるなら、蹴りたい背中より、こっち。 蹴りたい背中よりずっとさわやかな内容です。 引きこもりになるかという一線で、人とかかわることの大事 さを悟る・・・ってところが終始において人を突き放したよう なところがある蹴りたい背中より、ずっと受け入れやすいと 思う。 いろんな批判があると思うけど、それでも17歳の焦燥感とか 読みやすいながらも人格が伝わってくるような会話、心理描 写。最近の文藝賞受賞作の中では頭ひとつ抜けてると思う。 売れたのは、話題性が強かったかもしれないけれど、この人 は売れたとか売れてないとか関係なく実力のある人だと思う。 次作を心待ちにしている。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!