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クワイエットルームにようこその評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
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テンポがいいです。ラップミュージックみたいな。そして、早い。あっ、という間に終わりました。それなのにとても長いストーリーを読んだような気分になりました。 明日香が裸になって訴えるシーンなど、かっこよくて鳥肌ものです。しかし、精神科でのリアルな人間観察をコメディタッチで描くなんぞ、お見事です。 | ||||
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自分は映画を見た後で小説を読んだ派である。売れっ子脚本家宮藤勘九郎によるものとてっきりかん違いしていた<劇中の軽妙な会話>が、実はこの小説の原作者であり、かつ映画の監督をも勤めた松尾スズキ氏が、元夫の自殺と父の死によってODに陥った女性になりきって書きおろした、オリジナルそのままであることにとても驚かされた。 リズム感抜群でそこはかとなくウィットを感じさせる文中の会話(含むひとり言)は、会社のとなりに座っているすまし顔の派遣社員が、酔っぱらって男友達と話す時はきっとこんなんだろうなと想像をたくましくしてしまったほどだ。いまどきのアイドル小説家のそれとは一味も二味も違う、笑いのツボを心得た独特の言い回しは、一度映画を見た後でも二度笑えるポテンシャルの高さを誇っている。 しかし、この作品にはそんな<お笑い>の要素だけでない深さがある。主人公佐倉明日香の心の叫びは、全国に数万人といわれる精神病患者の苦悩をまさに代弁しているといっても過言ではない。れっきとした確信犯にもかかわらず、<間違って>入院させられていることをひたすら強調する彼女たちのウソが、なぜこんなにも痛々しく胸に迫ってくるのだろう。 | ||||
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ゲロッた後に呑む、果汁100パーのジュースは、気配り上手。 このBONGも、ゲロまみれでセツねー。 ゲロッちまうこともあるよ、人間だもの。 日常は、ゲロみてーだ。 このBONGは、ゲロから産まれた、果汁100パーみてーなナイスなワクチンコ。 笑って、泣いて、次は何を望む。 クワイエットな部屋なら、カギは開いてる ゲロゲーロ。 って、たしか……青空……… | ||||
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ページ的にはかなり薄めに思える148ページ。 主人公は喧嘩が原因で精神系の薬を大量に服用(OD)。病院に担ぎ込まれ、K病院に入院。そこで様々な人と出会う。 閉鎖病棟の中の様子や、入院患者の一人一人の様子がしっかりと描写されているのに、ちっとも重くない。でも笑い飛ばせて読める程軽くはない。適度な重みを感じながら主人公が立ち直っていくのを見守っていける。 ODは事故だった、自殺を意識していない、間違ってここにいる・・・主人公はずっと同じ事を思っているのに、ラストでは最初とは違う主人公の成長のさりげなさに驚かされます。 最初のタイトルも、最後のタイトルも同じ「わたし」。同じタイトルなのに、ここまで感じ方が違うのは初めてです。 サラサラと読みやすいのに、読み終えた後はものすごい充実感・・・。 登場人物や舞台の描写、テンポ、すべて☆5つです。 そんじょそこらの分厚いだけの本とは比べものになりません。 全ての本好きさんにオススメです。 | ||||
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短編なので、最初の出だしを読んだところから、グイグイ引き込まれて、一気に読みました。 主人公明日香の目線と、自分が一体になってしまって、まるで自分の体験した事のように、精神病院の中の様子に、実にリアリティがありました。 人の心の脆さ、儚さ、危うさが非常に良く描かれています。 扱っているテーマは暗く重いのに、それを感じさせず、明るく、ユーモアもあって、清々しくさえありました。 | ||||
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主人公は佐倉明日香。決して人生が上手く行っているとは思えない状況です。そんな彼女が、同棲している男性と大喧嘩し、意識的かどうか大量のクスリを飲み、意識不明になってしまいます。 彼女が気がついたのは、K精神病院の閉鎖病棟のクワイエットルームでした。5点を留められ、身動きも出来ず、失禁し、尿パックがぶら下がっていました。 そんな酷い状態から、精神病院の様々な人々と接触しながら、自らの立ち位置を確保して行きます。そして、精神病院の枠を超えた強さを持つようになります。 ラストで、彼女が立ち去る時の日差しの温かさが、彼女のこれからの人生の明るさを暗示しています。 無駄の無いテンポいい話の展開は、題材に反して非常に明るいものです。それは、主人公の性格が強くなってゆき、明るく人生の立ち直りを見せる様に、上手くマッチしており、読後感の非常に良い作品になっています。 | ||||
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芥川賞は逃したのは残念ですが、これだけ面白くて笑わせてもらったから ぜんぜんOK。 睨み飯や裸でドジョウすくい、片手にマトリョーシカなんて状況を創造する だけで笑えました。豊かなイメージを喚起する傑作中篇小説。 せひ、松尾スズキ主演で映画・ドラマ・舞台のどれかで観てみたい。 これを面白かったと思った人は、本谷有希子の芥川賞候補作『生きてるだけで、愛。』 を読んでみてください。同じ系統の作品で、文体も似ているし、笑いの系統もセンス 抜群なので面白いですよ。 | ||||
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まず、最初の2ページだけ読んでみただけで、松尾スズキが天才だと思った。 年頃の娘が腰に手をあて、自分のゲロで、ゲロした口をうがいする。 この発想のグレートに奇矯なこと! そして、最後には意外にもホロリと泣かされちゃった。 サブカル的な松尾スズキのすばらしさがわからない人でも、 本書は価値があるものだと思うよ。 | ||||
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物語の冒頭で 「ついていけないかも…」と心配になってしまったが 読み進めるうちに どんどんハマっていく自分に驚いてしまった。 下品なようで下品じゃない。 なぜ松尾さんはこんなに女心をうまく描けるのか? ラストもさっぱりしていて読後感も◎! 奇才です。 彼に芥川賞あげてほしかったな… | ||||
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『宗教が往く』のパワフルさを考えると、ちょっと落ち着いた作品ではあるが、普通に面白い小説を書けるということを証明した感じがする。重いテーマを軽い文体で書けるというか。そして重いテーマを軽く扱うことしかできない自分を自覚しているような主人公の造形はいまっぽく、リアルで、おじさんが書いていることをとても感じさせない。ふしぎだ。重いはずなんだけれど読後感がなぜか爽やかなところもよい。読んでいるあいだじゅうずっと面白いし。 | ||||
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松尾スズキの書く文章では、メインのプロットにあまり関係のない話が必要以上におもしろかったり、さして重要でもないキャラが無意味に立っていたりする。それが「内容はなくても読んでいるだけで楽しい」という、独特の松尾ワールドをつくりだしていた。 この作品ではそういうノイズがかなり取り除かれていて、「宗教が往く」に比べると、一直線で薄い仕上がりになっている。それを洗練と呼ぶのかもしれないが、「宗教」の濃厚さにクラクラした者としては、少なくともこの2倍のボリュームで読みたかった。 | ||||
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クワイエット・ルームへようこそ 松尾スズキ オーバードーズで強制入院させられた女性ライターが、退院するまでの14日間を描いた物語。 まず、構成でうーんなるほど。 話の中をうろちょるする人々で、そうかなるほど。 そして、結末で、セブンスの和音が聞こえる気がして、なるほど。 表出している単語や言葉は、おじいちゃんとかがみたら心筋梗塞を起こすかもしれないものもありますが、ある部分で、とても品があると感じずにはいられないのも事実です。 極端な設定と言葉の中で、品のよさを醸しだせることができるということは、 つきなみな言葉ですが表現力がずば抜けているという気がします。 | ||||
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閉鎖精神病棟での二週間が、ドキュメンタリーのように描かれる。どいもこいつも嘘つきで、狂ってる…って、あっここ閉鎖病棟ジャン。そういうノリで、ヘヴィーな宿命を笑いのめして客観化している。 冒頭の、狂乱と錯乱の描写が圧巻だ。 ラストの決然としたふっきり方が力強い。狂人は自分を狂っているとは思わない、という定義にとらわれて、狂っていないと思う私は実は狂っているのでは…などという思考の迷路からキッパリと脱出している。これだ。この自分を信じる力が、あちらとこちらの境界線なのだ、きっと。 | ||||
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友人の奥さんがODで胃洗浄の憂き目にあったことがあったので、 かなりオーバーラップして読んでしまいました。 ケリを自分でつけようとしたラストの主人公の取った態度は立派。 病院の事務手続きの融通のきかなさや仕事のずさんさ、 親しげに近づいてくるうっとうしい患者仲間、 脱出したいと思ってるのに、無能ゆえここに留まっているのに甘んじている人たち。 人間が集まればどこにでもある面倒くささが、精神病院を舞台にカリカチュアとして描かれていて面白かったです。 冒頭のイメージは強烈です。 女性を主人公にこうまでヨゴレを演じさせるのは、やはり松尾スズキが演劇の人だからでしょうか。 | ||||
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熱で体温計が割れる、とか、鼻水がですぎて、むしろ縄遊びに興じるとか(鼻水をのばしてぐるぐる回す)、そういう見た目にわかりやすい「病気」って良いですね。でも、精神的な病気って端の人間が勝手に決めていくのだな、と思ったらちょっと恐ろしくなりました。妙な人の概念だって、場所を移動すればガラリとかわってしまうくせに、どちらにせよ自分で「私、規格内ですから!」とか「今日の私は規格外で!」とか宣言できません。自分が自分のことを普通と思う、自分が自分のことを病気じゃないと考える、あの人とは違うと考える。でも、それはもっとまわりから見れば、同じ同列の人間に淘汰されちゃったりしていて。そんなことを思った本でした。文章のいたるところに、ゆかい言語も名言等も秀逸。個人的には、松尾スズキ氏がここまで違和感なく女性の目線で文章を書ける人なんだ、と驚いた次第です。まったく失礼な話ですが・・・。文学的にどう評価されるかは謎ですが、芥川賞が楽しみです。(とくに宮本輝氏のコメント等) | ||||
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芥川賞候補になったそうですが、 ちょっとびっくりした反面、 これでもっとこの人に脚光が当たると思うと、 素直にうれしいです。 この人はテレビの露出がほとんど無いので、 世間一般にはあんまり知られてないと思うのですが、 演劇界では言わずと知れた、ものすごい人です。 何がすごいって、劇中に笑いをふんだんに散りばめて、 かつそれぞれが、高水準に笑えます(ダークな笑い多し)。 そういった劇での脚本や演出で鍛えたものが 文章でも活かされて、文章の方もなかなか素晴らしいです。 これを期にこの人の作品に触れてみてはいかがでしょうか? | ||||
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目が覚めたらそこは精神病院だった…という、自分の身に起こったらとんでもない世界。 主人公を含め、その中の人物は哀しくもオカシな人ばかり。 キャラクターが素晴らしい!とんでもない奴らだがどこか切ない。 読み終えたら、笑いながらも泣いている私がいました。 | ||||
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