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ニルヤの島
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ニルヤの島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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やりきれないシーンと、心惹かれるシーンとが交互にやってくる物語だった。 特に惹かれたのは「Checkmate」の章。ここを読むことで、大枠の世界観がわかる。 戸惑ったのは「主観時刻」の概念について。人の脳は過去から未来へと順番に認識するように構成されていると思うので、主観時刻では混乱しかもたらされないと思うのだが、この物語ではそうはなっていないようだ。 またこの物語のような様々な技術が確立されているのであれば、自分では無い誰かの記憶を取り込んで体験することも可能だということ。自他の区別がなくなるであろうその体験は、果たして健全なのかどうか…。 | ||||
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時系列や視点の入り組み方がかなり複雑なので最初はとまどったが、そもそも作中の人物もページ通りの時系列で認識しているとわかってからは、あまり心配しないで素直に読んでいけば読めた。 そうなってる意味もラストで明かされるので、読後は読んでいる最中に感じる構造の複雑さからは想像つかないくらいすっきりします。 | ||||
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短編集「アメリカン・ブッダ」を先に読み、長編に期待してこちらを読みました。 期待にたがわぬ良作だと思います。 構成が骨太であり、科学技術だけでなく民俗学や言語学等の知識の裏打ちもあるので、全体的に壮大なスケール感があります。1990年~2000年代の日本文学は内宇宙の探索に偏っていた気がしますが、作者は内宇宙だけではなく外宇宙へのアプローチに対して、バランス感覚をもって取り組んでいるようです。 また、文体が肌にあうのかもしれません。地の文が明解です。よく響くバリトンで朗読されている気分になります。もちろん、登場人物の意識の流れを考慮して、それを反映した文章表現も含まれているのですが、意識的に行われているので論理性は保たれていると思います。 今後も期待しております。 | ||||
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第2回ハヤカワSFコンテスト(2014年)の大賞作品ですね。 著者の柴田勝家(ホントにそういうペンネームです)氏は本作で作家デビューした新人。 2016年には短編で星雲賞も受賞しています。 ……と、受賞歴はSF一色ですが、著者は実は民俗学で修士号を取っています。 人文学と科学の融合したSFとは一体どんなものなのか。 時代は、「人の記憶」が永遠を獲得した近未来。 舞台は、高度な科学力と民族の慣習が共存するオセアニアの島々。 外国からの研究者と現地の住人たち、という複数の視点から物語が紡がれていきます。 本書のテーマは「人は死んだらどこへ行くか」。 この物語の中での答えのひとつが「ニルヤの島」なのですが、それは一体何なのか。 ピースがカチカチと嵌っていく感触、浮遊するような流動体のクライマックス。 読後はしばしの余韻に浸りました。 「なるほどこれは確かに人文学と科学の融合したSFだ」と納得しました。 伊藤計劃の『虐殺器官』『ハーモニー』とテーマやモチーフは非常に近いです。 伊藤計劃作品を楽しめた方なら楽しめるかと思いますが、こちらの方がややねっとりした世界観で根暗寄りな印象。 人工知能、DNA、ミーム、利他性、自我、ミラーニューロン、サイバネティック、カーゴ・カルト、宗教、国際経済、民族問題、ゲーム理論、死生観、実存…… 与太話の鉄板ネタを「これでもか」とばかりに盛り込んであり、その手のネタが分かる人はニヤリとさせられます。言い換えると、かなり「読者に期待している」部類の本でしょう。 「与太話を与太話として楽しむ余裕があるかどうか」を試している気配すらあります。 そして、色々の話を散らしに散らした後、それを一つのストーリーにまとめていく手腕も見事でした。 (人によっては理論の飛躍も気になるようですが、私は「良く出来たホラ話」として消費できれば十分だと思いますし、その限りにおいて大きな齟齬は無いと思いました) 「過去を繋ぎ合わせて出来事の真相を突き止める」というパズル的な楽しみ。 「生きる私たちは死後の世界をどう位置づけるべきか」という思索的な問いかけ。 重層的に楽しめる世界観を持った作品でした。 | ||||
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人間が生体ログを記録し、死後もそれを読み込めば簡単に復活? 出来てしまう世界。それによって死後の世界などない、と主張する若者達と死後の世界を信じる守旧派の人達の間で宗教的対立が起こり、死後の世界を信じる派はほぼ駆逐される。ミクロネシアに最後に残った宗教では、死者は皆「ニルヤの島」に行くことが出来る、と言うのだが・・・と言う、哲学的内容で難解。読む人を選ぶと思うが、本格SFを愛する私にとっては、こよなく刺激的でこれまで経験したことのない読書経験だった。この力作を若き「柴田勝家」が書いた、と言うのがまず驚き。 何せ、あの賤ヶ岳の戦いの柴田勝家である。まさか本名? と思ったらさすがに筆名のようだが、筆者が大学の研究室で柴田勝家マニアである事を暴露したことからそう呼ばれていたそうで、どう考えてもただ者ではない感が半端ない。その名前で作家デビューするのが凄い。だけど何も知らなかった私がその名前で興味を惹かれ、全くミスマッチなこの最新SF小説を手にしたのだから、インパクトは強烈だ。 生体ログを記録しておくことにより、死後もログを読み込んで「復活」出来るとアイディアを読んでいて、実は私のブログも同じようなものか、と考えた。このブログは強制閉鎖と言う「死」を4回も経験しているが、その度に残されていた「ログ」を元に復活を遂げている。こんな状態だと「死後の世界などない」と言うのは説得力があるな。 [・・・] | ||||
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