ニルヤの島
- SF (393)
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やりきれないシーンと、心惹かれるシーンとが交互にやってくる物語だった。 特に惹かれたのは「Checkmate」の章。ここを読むことで、大枠の世界観がわかる。 戸惑ったのは「主観時刻」の概念について。人の脳は過去から未来へと順番に認識するように構成されていると思うので、主観時刻では混乱しかもたらされないと思うのだが、この物語ではそうはなっていないようだ。 またこの物語のような様々な技術が確立されているのであれば、自分では無い誰かの記憶を取り込んで体験することも可能だということ。自他の区別がなくなるであろうその体験は、果たして健全なのかどうか…。 | ||||
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時系列や視点の入り組み方がかなり複雑なので最初はとまどったが、そもそも作中の人物もページ通りの時系列で認識しているとわかってからは、あまり心配しないで素直に読んでいけば読めた。 そうなってる意味もラストで明かされるので、読後は読んでいる最中に感じる構造の複雑さからは想像つかないくらいすっきりします。 | ||||
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分かりにくい。時系列もそうだが、本書特有の「生体受像」「主観時間」とかのワードについて最初に説明してくれないと。あと章が変わってから語り手の名前がなかなか出てこないので、章題によって語り手が違うシステムになかなか気づかない。それも一対一対応してないし。 技術的なキモである遺伝子コンピュータまではなんとかついていけたが、ミームコンピュータはまったく理解できなかった。しかし主に母とニイルの情緒面にはグッと来るところもあり、くり返し読んだら良くなりそうな気配もわずかに感じる。 賞を取った作品ではあるし、短編集『アメリカン・ブッダ』はめちゃくちゃ良かったので、本書も単なる駄作とは思いたくない、という気持ちで最後まで読んだが、正直面白くはなかった。 ここに書かれてるレビューもよく見てみると、あんまり面白くなさそうなこと書きながら星5つとかつけてる人が多いので、みんな似たような気持ちで読んだんじゃないかと思う。 | ||||
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短編集「アメリカン・ブッダ」を先に読み、長編に期待してこちらを読みました。 期待にたがわぬ良作だと思います。 構成が骨太であり、科学技術だけでなく民俗学や言語学等の知識の裏打ちもあるので、全体的に壮大なスケール感があります。1990年~2000年代の日本文学は内宇宙の探索に偏っていた気がしますが、作者は内宇宙だけではなく外宇宙へのアプローチに対して、バランス感覚をもって取り組んでいるようです。 また、文体が肌にあうのかもしれません。地の文が明解です。よく響くバリトンで朗読されている気分になります。もちろん、登場人物の意識の流れを考慮して、それを反映した文章表現も含まれているのですが、意識的に行われているので論理性は保たれていると思います。 今後も期待しております。 | ||||
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第2回ハヤカワSFコンテスト(2014年)の大賞作品ですね。 著者の柴田勝家(ホントにそういうペンネームです)氏は本作で作家デビューした新人。 2016年には短編で星雲賞も受賞しています。 ……と、受賞歴はSF一色ですが、著者は実は民俗学で修士号を取っています。 人文学と科学の融合したSFとは一体どんなものなのか。 時代は、「人の記憶」が永遠を獲得した近未来。 舞台は、高度な科学力と民族の慣習が共存するオセアニアの島々。 外国からの研究者と現地の住人たち、という複数の視点から物語が紡がれていきます。 本書のテーマは「人は死んだらどこへ行くか」。 この物語の中での答えのひとつが「ニルヤの島」なのですが、それは一体何なのか。 ピースがカチカチと嵌っていく感触、浮遊するような流動体のクライマックス。 読後はしばしの余韻に浸りました。 「なるほどこれは確かに人文学と科学の融合したSFだ」と納得しました。 伊藤計劃の『虐殺器官』『ハーモニー』とテーマやモチーフは非常に近いです。 伊藤計劃作品を楽しめた方なら楽しめるかと思いますが、こちらの方がややねっとりした世界観で根暗寄りな印象。 人工知能、DNA、ミーム、利他性、自我、ミラーニューロン、サイバネティック、カーゴ・カルト、宗教、国際経済、民族問題、ゲーム理論、死生観、実存…… 与太話の鉄板ネタを「これでもか」とばかりに盛り込んであり、その手のネタが分かる人はニヤリとさせられます。言い換えると、かなり「読者に期待している」部類の本でしょう。 「与太話を与太話として楽しむ余裕があるかどうか」を試している気配すらあります。 そして、色々の話を散らしに散らした後、それを一つのストーリーにまとめていく手腕も見事でした。 (人によっては理論の飛躍も気になるようですが、私は「良く出来たホラ話」として消費できれば十分だと思いますし、その限りにおいて大きな齟齬は無いと思いました) 「過去を繋ぎ合わせて出来事の真相を突き止める」というパズル的な楽しみ。 「生きる私たちは死後の世界をどう位置づけるべきか」という思索的な問いかけ。 重層的に楽しめる世界観を持った作品でした。 | ||||
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