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誰でもない男の裁判



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【この小説が収録されている参考書籍】
誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)

誰でもない男の裁判の評価: 4.56/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.56pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

ちょっと不安

Amazonマーケットプレイスにて古本を購入させていただきました。手に入れたいと願っていた本なので,内容自体はとても満足しています。ただ、少し不安なのは、この本がかつて図書館にあったと思われることです。正規の手続きを踏んでいるならいいんですが、もしも盗難品などであれば持ってていいのかなと感じます。
誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)Amazon書評・レビュー:誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)より
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No.8:
(5pt)

他に類を見ない傑作を収録した短編集

A・H・Z・カーの短編8編を収録した短編集。
兎に角表題作の「誰でもない男の裁判」が強烈でこれに一作でもこの短編集を買う価値があると思いました。信仰心と良心の間で揺れる主人公の牧師の苦悩と宗教とは何かという普遍的命題を真正面からとことん追求して異様なる熱気の漂う凄い短編でした。本当にこれだけでも読まないといけないと思わせる傑作でありました。宗教と信仰心の問題は今も尚様々な摩擦を生んで現代の問題になっておりますが、そういう議論に一矢食い込む作品として今でこそ読まないとならない作品に思えました。必読。
それとは別に「猫探し」なんていう他愛もない短編も面白かったです。これは私が個人的に猫が好きなのでどうしても読まないといけないというタイプの作品ではないですが、微笑ましい短編として記憶に残りました。
その他の短編に関しては玉石混淆の感がありますが、それぞれ読み応えがあり、どうしても読まないといけないという訳でもないですが、読んでも損のない佳作や秀作だと思いました。
こういう人の作品集が今に至るまで編まれずにきたのも不可解ですが、歴史に埋もれそうになっていた傑作が復活したのでホッとしております。個人的な感想を言えばダールやコリアの様な異色作家ではなく、エリンの書いた完全なる正気に近しい資質を感じましたがどうでしょうか。
他に類を見ない傑作を収録した短編集。是非ご一読を。
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No.7:
(5pt)

必読短編集

「罪」を高みから眺めていた牧師が、ほんの一歩で自らが罪に陥り苦悩するさまを描く話があり
一人の男がかたりたおす、小説ならではのスタイルのものがあり
誰も死なないうえに、愛らしい猫たちが跳ねまわる軽やかなものがある一方
知人の罪を知り、穏やかな日常を壊してでも告発すべきか否かを問う重いものもある
牧師を使うのは、彼らが常に「罪というもの」を考えている前提があるからだろう。

短編巧者の、これが日本での唯一の作品集であるとは、残念でならない。
是非とも他の作品もまとめて頂きたい。

大統領補佐まで勤めたという一級の経済学者でもあったそうだ。
こんなふうに一人の人間を描ける人が、どのような提案をしていたか興味深い。
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No.6:
(5pt)

謎解きと共に読者に鋭い問題提起を投げ掛けるもうひとりの名手カー唯一の短編集。

エラリイ・クイーン編集の雑誌が主催するEQMMコンテストの常連入選者として質の高い作品を発表し続けた短編ミステリーの名手カーの世界初にして唯一日本のみで編まれた傑作集です。著者の作品は謎解きの面白さもさる事ながら、同時に読者に鋭い問題提起を投げ掛けるシリアスな文学性も備えていて、行き詰まりを見せ始めた現代パズル・ミステリーの進むべき方向性を示してくれている様に思えます。
『黒い小猫』誤って幼い娘の愛猫を殺してしまった牧師の苦悩を描き、事件をきっかけにして悔い改め娘への愛情に目覚める親子愛が熱い感動を呼びます。『虎よ!虎よ!』元兵士で詩人のリッジが警察の友人の依頼で麻薬密売の疑いがあるロシア料理店の内偵を引き受ける。彼は思わぬ殺人事件に巻き込まれ自らも疑われる窮地に立つが詩想が閃き鮮やかに謎を解きます。『誰でもない男の裁判』神からの声に導かれて無神論者の作家を射殺した名無しの男の裁判でミラード神父が驚くべき証言を行う。衝撃の結末に畏怖の念が込み上げて来ます。『猫探し』若い芸人夫婦から芸達者な天才猫の捜索を依頼された私立探偵の名推理と心温まる物語。『市庁舎の殺人』市長選挙の前夜に起きた殺人を描き特異な殺人動機と二転三転の構成が秀逸な本格ミステリーの傑作です。『ジメルマンのソース』無銭飲食の代金にと店に名料理人ジメルマンのソースのレシピを教える奇妙な男の物語。『ティモシー・マークルの選択』貧しい家庭に育った青年マークルが父の会社の社長の息子が犯した轢き逃げ事件を知って正義か沈黙かの選択に苦悩します。『姓名判断殺人事件』盗作訴訟の渦中の作家が惨殺され出版社社長が逮捕されるが、彼の無実を信じる秘書スウが名推理で難解な欺瞞を暴く。名霊術という占いの手掛かりが面白いユーモア満点の愛すべき本格ミステリーです。寡作ながら実力派の著者の練り上げられた傑作群を貴方も本書でたっぷりと味わって下さい。
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No.5:
(4pt)

なかなか面白かったです

どのストーリーも私はそれなりに面白く読めました。
一人の人間がよくいろんな話を書くもんだと関心しました。
ちょっと哲学的な面があったり、シニカルだったりと
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、短編小説としては
今まで読んだ中で楽しめた部類に入ります。
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No.4:
(4pt)

話によって好き嫌いが分かれた

A・H・Z・カーとの出会いは、小鷹信光編の「美食ミステリー傑作選」。「美食…」はとてもおもしろい話がそろった、すばらしいアンソロジーだったが、中でもカーの『お代は舌で』は軽妙洒脱かつ独創的で、とりわけ印象に残っている。そのカーの短編コレクションである本書が発行されたと知り、小躍りして喜んだ。だが高価なハードカバーなので、図書館に入るまで待とう…と思っているうちに忘れてしまい、今になってやっと読んだ次第。文庫か新書なら即買っただろうに。
閑話休題、どの話も非常に独創的で、とても良く出来ている。だが不思議な事に、おもしろいと思うのに、必ずしも好きになれない話が結構あった。話によってテーマや雰囲気が全然違うのも、好き嫌いが分かれた一因かもかもしれない。
表題作の『誰でもない男の裁判』はまぎれもなく傑作だが、宗教色が強すぎて嫌な感じがした。『虎よ!虎よ!』は、私に詩への興味や知識がないため、詩との関わりがいまひとつピンと来なかった。『ティモシー・マークルの選択』は尻切れトンボで、『黒い小猫』も好きになれなかった。
一方気に入ったのは、さわやかな小品『猫探し』と、キビキビした語り口が楽しい推理物『姓名判断殺人事件』。お天気がらみの推理物『市庁舎の殺人』もなかなか。なお『ジメルマンのソース』は『お代は舌で』の改題・改訳版である。
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No.3:
(5pt)

『週刊文春』2004ミステリーベスト10海外部門第5位。幻のミステリ短篇集。

 1950年~1969年にかけて、『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)』に掲載された、短篇の名手、A・H・Z・カーの、初の短篇集です。 おもしろいんです。何より、最近のミステリーは、大長編が多いので、こういう数十ページで終わる短篇は、非常に読み易く、お手軽に読める感じがします。 8篇の中には、名探偵(男であったり女であったり、職業も様様です)が登場し、事件の真相を解明していく本格ミステリーや、心理サスペンス、ユーモア溢れる詐欺小説などがあり、いろんな味わいが楽しめます。 長編小説を読むための、まとまった時間がない、という人にも、お薦めです。
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No.2:
(4pt)

楽しめました。

まず巻頭にある「黒い小猫」。これはミステリの枠にとらわれない、インパクトのある作品でした。誰にでも起こりうる悲劇を描いていて、中盤の緊張感は只事ではありません。子供のペットを襲う悲劇でピンとくる作品にマンディアルグ「仔羊の血」という残酷な短編がありますが、あちらが救いのないのに対してこちらはラストで少し救われます。表題作の「誰でもない男の裁判」は、奇跡を垣間見るような状況で起こった殺人が描かれます。神の介在はあったのか、なかったのか。問題の争点がおもしろい。伏線も無理なく張られていて、見事な結末をむかえます。「ティモシー・マークルの選択」はリドル・ストーリーの逸品。こんなジレンマは体験したくありません。他人事ながら、ほんとジリジリ攻められるような緊張感をあじわいました。「姓名判断殺人事件」タイトルがいただけません(笑)。が、この作品がミステリとしては一番おもしろかった。「猫探し」という作品もそうでしたが、この作者はコージーミステリも書ける人なんですよね。ロマンス的要素も相まって楽しく読みました。あと、しゃれた佳品「ジメルマンのソース」も、いわくありげな男の話に思わず引き込まれてしまいます。いろんな料理が出てくるのですが、どれも未知なるものばかりで文字通り垂涎ものでした。今回この人の主だった作品を通読して感じたのは、その上品さです。都会的で、正統で、真っ当、スマートな感じ。嫌味やいやらしさがない。これは大きな誤解でした。かのカーと名を同じくして、唯一の紹介作が「妖術師の島」とくれば先入観でもって、この人はオカルトがらみのおどろおどろしい作風なのかなと勝手に思い込んでいました。読んでみなくちゃわかりませんね(笑)。気になったのは訳ですね。前半三編は田中融二氏、次の四編が白須清美さん、ラストの一編が浅羽莢子さんという割り振りなんですが、この田中訳は紹介当時のままなので、かなり言い回しにギャップが感じられました。できればこれも新訳で読んでみたかった。というワケで総合的には結構楽しみました。
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No.1:
(5pt)

味わいも様々な八つの作品は、どれも読み始めたら止まらない面白さ

合衆国大統領の経済学顧問、特別補佐官を務めたというA・H・Z・カー(アルバート・H・ゾラトコフ・カー)。1902年-1971年、シカゴ生まれのアメリカの作家。山口雅也氏の『ミステリー倶楽部へ行こう』の中に、この作家の作品が強く印象に残っていると紹介されています。その文章を目にして以来、いつか読んでみたいと願っていた作品の数々を今回こうして読むことができて、嬉しい気持ちでいっぱいです。苦悩する主人公の心理にスポットライトをあてた作品、コミカルな味付けがされた軽いタッチの話、オーソドックスな犯罪小説と、味わいも様々な短編が八つ収録された作品集。作者の筆力の確かさ、話の妙味。どの作品も、最後まで読み手を飽きさせない面白さを感じました。なかでも、表題作ラストのがつん!と来た衝撃、「猫探し」のロマンティック・コメディー風な話の心地よさ、「ジメルマンのソース」のコミカルな面白さが印象に残ります。娘がかわいがっている猫を死なせてしまった牧師の苦悩を描いた「黒い小猫」、この話も忘れられません。収録作品は、過去に「EQMM」(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン日本版)などに掲載されています。山口雅也氏の讃辞を聞くにつけ、読みたい気持ちばかりが募っていた作家の作品を、新訳も交えてここに八つも読むことができたのは、本当に有り難い限り。本書の刊行に感謝です。
誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)Amazon書評・レビュー:誰でもない男の裁判 (晶文社ミステリ)より
4794927428

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