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暗手
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暗手の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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一言で言うとストーリーに呑み込まれきらなかった。半呑み。その理由は登場人物に惹かれなかったかったからだと思う。ミカ・大森弟・大森姉などに魅力を十分な感じなかった。 | ||||
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「不夜城(シリーズ)」「夜光虫」「漂流街」 著者が器用貧乏と呼んで差し支えないような雑文書きから 作家に成りあがってやろうという情熱に満ち満ちた時期の 初期作品群の中でも「夜光虫」は私にとって一番だと 感じられた作品で何度も読み返した作品でした。 それは、不夜城シリーズや漂流街のように、破滅の美学が テーマではなかったからだと思います。 物語の終わりにもたらされた救いのない無常観、 夜光虫となった主人公が今でも暗闇を彷徨っているんだという 不思議な現実感は、20年経っても色あせることなく、 この胸を締め付けていました。 3作続けてのヒットにより、ピカレスク小説家としての 地位を固めた著者によるそれ以降の作品は、残念ながら ファンにとっては片手間ではないかと感じられるほど 上辺だけの熱と器用さで描かれたものばかりになっていきます。 この”雑感”に反論を覚える方もいらっしゃるでしょうが、 「犬」「サッカー」「葉巻」といった趣味をベースに 次々と贈り出された著作たちと初期作品群を比べていただけると 少しは納得もしていただけるのではないでしょうか? 私が最後に読んだのは「弥勒世」で、それで決定的な 拒否感を得て以降、彼の新作に触れることはありませんでした。 それでも何年かに一度は、あの暗い熱に触れたくて初期作品群を 読み返してきたかつてのファン、それが私です。 本作についても、今回、直木賞を受賞したということで はじめて存在を知りました。大いに興味をひかれました。 しかし、何度かの手痛い経験から、迷いに迷いました。 「夜光虫」から得た感慨を汚したくなかったからです。 それでも手にしたのは、やはり夜光虫の加倉昭彦の その後がどうしても知りたかったに他なりません。 到着までにもう一度、夜光虫を読み返しました。 2日ほど余韻で眠れない日が続いて、そして 暗手が届きました。寝不足ながら数時間で読み終えました。 左手の自由と本当の”貌”を失い、台湾の夜に彷徨う 夜光虫と化していたはずの加倉さんはどこにもいませんでした。 スーツに銀縁眼鏡でサッカー賭博の八百長コーディネーターに 勤しむ夜光虫……大藪春彦の「野獣死すべし」の伊達邦彦が ジェームズ・ボンドと同じ英国スパイに成り下がっていた時と 同じ脱力感を感じました。裏切られてような読後感も同じく。 元から筆者は大藪春彦の影響が大きいと自分で語っていたようですが、 多くの日本人にとって馴染みの薄い他国文化や政治的背景下、 あまりにも衝動的でそれ故に魅力的な日本人が無法を働き、 やがて滅びの美学を手にするというスタイルは、船戸与一の影響では ないかと感じてきました。(私の薄い知識においてですが)著者が 影響を受けた作家に船戸与一の名前はありません(バーテンダーとして バイトをしてた際に付き合いはあったようですが) しかし、 「夜光虫」で動かなくなった加倉の左手は紛れもなく「猛き箱舟」の 香坂のソレからインスパイアされたものではないかと感じました。 本作では、イタリアの風土や氏の得意とする中国人ヤクザ同士の パワーバランス描写もおざなりに、あらかじめ設定された人物や アイテムがただただ作者の都合のよいように動いて、そのままの 流れで煮え切らぬ結末を迎えます。 これを大藪春彦テイストと呼ぶのはいささか乱暴かも知れません。 大藪春彦作品は、銃器と車については他の追随を許さない緻密さに 溢れていました。その主人公たちの暴力性と能力についても、 他人の意を決して汲み取らない酷薄なサイコパス故だという 言外の描写が幾重にも重ねられ、説得力がありましたが 本作にそれらの要素は一切感じられません。 読後感としては、石田衣良や大沢在昌といった似た分野でありながら 商業的小説家と呼べる作家たちの作品と変わりないなという印象です。 とはいえ、著者特有の小気味よい書き口は健在です。 それに触れたいという方にはもちろん、初期三部作以外も 大好きだ!もっと読みたい!という方にはおすすめできるかも 知れません。しかし、冒頭に記した初期作品群からもたらされた熱を 今一度得たいといった私のような”かつてのファン”にはおすすめできません。 馳星周がもたらす暗い熱は、もうどこにも存在しないのです。 | ||||
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セリエAの裏側を日本人作家が描くという時点で貴重な一冊。 ただ前作「夜光虫」では9回のフォアボールで完全試合がなくなったとあったのに、今作では同じ試合に7回にランナーが出塁したとある。 主人公の人格形成に大きな影響がある場面のディテールを粗末に扱っている部分が非常に残念だった。 | ||||
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夜光虫の続編ですが、設定が飛躍し過ぎてる感じ。ネタバレになってしまうが、時間が経ってるとは言え、殺し屋として超一流になって殺しすぎたからもう殺さなくなった。前作でも後半は突然拳銃の扱いが上手い事になったが、今作ではそれ以上になってるし、突然出て来た情報屋が何も疑わず情報売ってくれるし、前作でも英語は喋れたが今度は日本人とバレないレベルで北京後も喋れてイタリア語もペラペラで、単なる娼婦が金のためとは言え演技上手で八百長に加担してくれるし。 後半は、ページ数の問題なのか一気に進展して悪い意味であっという間に終わってしまった。 最後の方にもあったが、今作では普通に左手を使ってるが前作で左手が動かなくなった事を忘れてたのか、それを無理矢理回収するような事を書いてるし。 これほぼ間違いなく続編出ますよ。 まあ出たら読みますけどね。 | ||||
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俺はノワールを読みたいんだ! ハードホイルドアクションはどうでもいい。 虚の王、生誕祭、夜光虫、あのころの脂っこい馳ノワールが読みたいんや! 圧倒的分量が足りない。 | ||||
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前作からの期待に比べると残念でした。 馳先生の小説はほぼすべて読んでおり、前作の夜光虫は個人的にもっとも好きな作品です。 本作を読み、あらためて前作と比較しながら、その良さを考えてみました。 何が違うかと考えると、黒道やふとした巡り合わせにより少しずつ人生が狂っていく主人公の焦燥感と、意図せず邂逅し儚く崩れていく家族や恋人との関わりです。言い換えると、夜光虫の本質的なテーマは、暗黒に墜ちていく主人公の家族の物語であり、叶わぬ愛の物語でした。 本作において、たしかに主人公は前作の経緯と記憶を持ち、それに従って行動しますが、前作でどうしようもないところまで墜ちてしまったしがらみや愛憎のほとんどがリセットされて登場します。 その結果、今回は家族の物語ではありませんし、叶わぬ愛に焦がれる男の物語でもありません。 それは果たして私を惹きつけてやまなかった夜光虫の続編なのか、あるいは加倉昭彦の物語なのか、どうしても疑問に感じました。 馳先生はその代表作である不夜城について、「劉健一の物語は第一作で完結している。」旨を述べられておりました。 加倉昭彦の物語も夜光虫で完結していたのではないかと思います。 とはいえ、本作は暗闇の中でもがく馳ノワールの正当な系譜に属する作品であって、とても懐かしくて楽しく、読んでいてドキドキする作品でした。 充填期間を経て、あらためて原点回帰に向かわれた馳先生の作品が、今後、どのような展開を見せてくれるのかは楽しみでなりません。 | ||||
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