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蒲生邸事件
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蒲生邸事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全100件 81~100 5/5ページ
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天才としか思えない豊かな着想、単なるミステリーを超えた読み手の心を揺さぶる内容、どんな困難な状況下でも人間の善意を信じる姿勢、……などなど、宮部みゆき作品の魅力があますところなく描かれた傑作です。実在の事件、しかも二・二六事件という有名な事件を背景にして描くことは、我々読み手には想像できぬほどの困難さがあったと思いますが、さすが著者です、それを難なくクリアしています。タイムスリップものはともすれば安直に流れがちなのですが、その点でも、細かくリアルにみえる仕掛けがほどこされており、うならされます。ある文芸評論家が彼女を評して、「若手という呼称は、その年齢にもかかわらずふさわしくないだろうし、中堅というにも器が大きすぎる」といっていましたが、まったく同感です。 | ||||
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宮部氏の人気作品で、もうすでに色々な側面から言い尽くされていますが…私が一番感心しているのは、歴史を後から見て批判を加えるというのは卑怯な行為だ、とバッサリと言ってくれた所です。現代でも、何か事故や事件が起こるとマスコミがよってたかって「原因究明うんぬん」のバカの一つ覚えを金科玉条にして、あることないことほじくりかえしながら個人を攻撃してゆくことがあります。その行為は時には、その時を迷いながら懸命に対処しようとした人に対して安全地帯から非難するという、卑怯な性質を持つのだということに、この本の内容はつながっているのでは、というのはちょっと私の拡大解釈が過ぎるでしょうか? | ||||
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タイトルからは想像できないストーリー展開で、読み始めると止まらないとはまさにこのこと・・。時間旅行という非現実的な設定のはずなのに、不思議と感情移入できてしまう宮部マジック!!彼女の作品の中で、特にお気に入りの一冊だ。主人公が現代に戻ってくる瞬間のあのせつなさ。高揚感。まるで自ら行って来たかのような感覚は読んで見なければわからないでしょう。 | ||||
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誰もが一度はタイムトラベルを夢見るのではないでしょうか?ドラえもんもそうですよね。未来の自分にあってみたい、過去の自分の過ちを正したい。その夢はこの本を読んで崩れ去りました。過去へタイムトラベルした孝史。彼を通して、時間旅行者がいかに普通の人間として生きていくのが大変かを見せてくれます。最初はトラベルしたことへの混乱、そして、一所懸命生きることの、当たり前の人間として生きることの大切さ。未来や過去を知って生きるなんてつまらない!と思わせてくれる本です。歴史の勉強にもなりました。 | ||||
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多くの方が紹介されているとおり、浪人生の主人公孝史が、二・二六事件が起こった昭和十一年の二月二十六日にタイムトラベルをしてしまうという話です。ただ、この孝史君、大学進学を目指すという設定なのに、いろいろな意味であまり頭がよろしくないです。始めのうちは、彼の自分勝手で世間知らずな横柄な態度がかなり目立つということもあり、性格的に共感できる部分が見つからず、なかなか物語に入っていけなかったので、正直読むのに苦労しました。しかし、話が進み、後半になればなるほど、孝史の行動はあまり気にならなくなります。彼の性格に変化が生じるからという理由もありますが、物語の中心が、人は歴史を変えることができるかという大きなテーマにぶつかってい!くからだと思います。ですので、物語の半ば過ぎくらいまでは辛抱強く読まれることをお勧めしたいです。読み終えたときに何とも言えない感動が味わえるでしょう。そして、きっと、昭和という激動の時代を生抜いてきた方々に敬意を示したくなるだろうと思います。 | ||||
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毎年この頃(5月25日)になると、この本を読み返します。読み返すたび、わたしには言葉で表現することができない悲しみがこみ上げてきます。ふつうの悲しみとは違うのです。 タイムトラベルで未来を見てきた人(将軍)が、同時代の人を批判することに対して、「その時代その時代を手探りで生きている人たちを高所から見下ろす行為だ。やってはいけないことだ。」と、時代を渡り歩いてきたタイムトラベラー(平田)は言います。 敷衍して、わたし達(現代人)は、わたし達の先祖の行いに対して、高いところから見下ろしていないでしょうか?未来を知らなかった人々の判断を、馬鹿にしたりしていないでしょうか?それはやってはいけないことです、と相対的にみて言えるのです。わたしは、このことを著者のメッセージとして、一番強く受け止めました。悲しくなるのは、特に2・26事件当時の人々と、わたしの祖父母が同年代だからかもしれません。この人たちが生き抜いた時代だからかもしれません。 | ||||
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時間旅行者の存在、その時間旅行によって実際にあった歴史的事実の改ざん。絶対にありえないとわかっているのに、それを現実にありえる事のように感じてしまう自分がいる。そして宮部みゆきの「歴史」という概念の捉え方に共感してしまう。この中で主張されている「歴史」の概念はもちろん、この時間旅行者の存在があってこそ立証されるものである。だから「歴史」が一人で我が道を歩いているという事は現実的に考えるとおもしろい発想であるし、根拠も無い。しかし、宮部みゆきは読者に「二・二六事件」という実際にあった歴史的事実と、フィクションの中の「孝史」という人間を通して、それを我々に感じさせる。ここが彼女の発想と描写の素晴らしい所である。読み終えた後、物語を楽しめたという満!足感を得る事ができた。それと同時に、―東条英機は抜け駆けをしなかった――間違いもたくさんやったけれど、ほかでもない歴史に対しては、その間違いを言い訳しなかった―この言葉の意味の重たさに、「歴史」の概念について考えさせられた。 | ||||
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最近の「理由」や「模倣犯」もいいですが,個人的には宮部みゆきのお勧めを3つ選べと言われたら「火車」「龍は眠る」そしてこの「蒲生邸事件」を挙げます.作品の設定はレビューにもあるように2/26事件直後の帝都.とは言え,その世界に迷い込んだ現代人が,あたかも「戦国自衛隊」のごとくに歴史を変えようとするさまを予想すると肩透かしをくらいます.彼等が直面するのはあくまで2/26事件と同時に起きる小さな,一見家庭内痴話事件のようにしか見えない出来事なのだから.しかし,ここからが宮部みゆきの真骨頂.この小さな事件にかかわる普通の人々を凝視する過程で,2/26事件のような歴史を変えようとする試み以上に大きな,「歴史は変えられないとわかっていながら,なお時代と向き合い,対峙しようとする個人の強さ・美しさ」という作品のプロットが浮かび上がってくるのです.そして最後の,彼等にとっての歴史が閉じていくシーンの圧倒的な美しさ.作中でに静かに降り積む雪とともに,静かな余韻の残る佳品だと思います. | ||||
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ミステリーは読むと疲れるイメージがあって宮部さんの作品も避けていましたが、母に薦められて読み始めるとぐいぐい読まされました。 タイムトラベルというテーマと、実際にあった出来事が組み合わさって話が非常にリアルに感じられました。 読み終わったあと祖母に話すと、実際の2・26事件の日の話を聞かせてくれました。それもあって高校では本当に苦手だった日本史に興味を持ちました。 | ||||
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少年がタイムスリップして「2・26事件」の真っ直中へ。無事に現実に戻れた少年が約束の日に「ふき」の孫娘に会った場面は、切なさで一杯になります。とっても厚い本だけれど、学生さんが歴史の勉強をしながら気分転換も兼ねて読むにはちょうど良いかも? | ||||
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主題の「歴史」が作品の中できっちりと貫かれている。何事に対しても謙虚に向かい合っている。差別心がなく、人の心に敏感である。そこが感動的なのである。異論はあるかもしれないが、小林よしのりの「戦争論」と合わせて読むと、より深まるのではないかと思う。 | ||||
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今まで読んだ本の中で一番の本です。初めから終わりまで息をするのさえ忘れてしまうぐらいにすごい本です。切なさ、もの悲しさが迫ってくる感じで、読む終わったあとも何日間も本のこと感がていました。ラストでは本当に涙が止まりませんでした。 | ||||
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宮部みゆきは面白い!と友人に薦められ最初に呼んだ本。この本の面白さは、まず、タイムスリップを通し、平和な時代に流されている我々と昭和激動期へ身を置かれた現代人の心理的ギャップ。次に、過去に身を置きながら、歴史を通して知った(何となく知った)事実から来る優越感、相手に語れない(語りきれない)焦燥感、知りつつも何もできない罪悪感等、複雑な感情交錯。そして吐かない恋。また、現代人から見る激動期を生きた人々の様々な信念への敬意と頑なな信念への滑稽さ。そういった対比が文脈に見事に織り込まれ、文章展開の妙もあって一気に読まさせてしまう一冊。自分が主人公だったらって考えながら読むとタイムトラベルへの永遠の夢が広がっていく。 | ||||
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宮部さんの小説は、すごくおもしろい。この物語は、時間旅行中での、推理ドラマかな。タイムトラベラーって、こんな人かもしれない。もしかしたら、私もこんな人見たかもしれない。なんて、どんどん物語に引き込まれます。お勧めの1冊です。 | ||||
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切なく切ないお話でした。タイムトラベラーが歴史を変えようとしても、例えば戦争を止めさせようとしても、それは不可能なのだそうです。宮部さんは、何故それを本当に聞いて来たかのように描けるのか?タイムトラベラーが自分の存在意義を悩む一本線と、彼に引きずられるようにして戦前にタイムトリップしてしまった現代青年の恋の一本線。もちろん現代に帰ったとき、恋の相手はおばあちゃん。二つの切なさの糸がうまく絡み合って、なんとも言えない後味でした。 | ||||
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明治人という表現がある。昭和人というのはまだ出てきていないが(今後も出てこない可能性はあるが)、この本を読んで平成人との対比における昭和人というのがまさにこの本の舞台となっている第二次大戦を挟んだ近辺ではないかという印象を得た。平成に生きる主人公の孝史が人生の目標をもてないでいるのに比べ、あの時代の日本人はそれぞれの身分をわきまえながらも、生き生きと生活することができた。それゆえ時間旅行者の平田と叔母の黒井もそこに居座ることにしたのであろう。日本人全員が苦労なくそれなりの目標を持たせてもらった時代、というのが戦後の高度成長までも含めた昭和のキャラクターではないかと思う。作家にとって二二六そのものは本書の主題ではなく、昭和の原点あるいは”昭和人”とい!うものを見つめてみたかったのではないかと想像している。 | ||||
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私は歴史が大の苦手だ。しかし、この本はそんな私でも最後まで一気に読ませるだけの不思議な力がある。宮部さんの作品はどれもそうだが、人物描写が素晴らしく、特に少年少女を描く技術は抜群だと個人的には評している。だから、年少者の持つ純朴な内面や、思わず情を移してしまうようなちょっとした言動が、緻密に計算された物語の流れや人物の生きる環境と絶妙に絡み合って、なんとも言えない温もりのある印象を読者に抱かせる。この本は、主人公が「ニ・ニ六事件」が起こる時代にタイムトリップしてしまい、当時のいろんな人々と関わりながら、ある事件を体験していく物語である。平成と昭和の時代的ギャップが少年の上に重くのしかかり多いに悩むが、宮部さん独特の温かいタッチで、その少年や少年を取り囲む環境を生き生きと描いている。歴史が好き・嫌いに関わらず、歴史を知ることの意味をここまでかと思うほどの温かさで問いかけられる作品である。 | ||||
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毎回長編には、様々な仕掛けを試みる宮部みゆきではあるが、今回はSFと推理小説の融合を試みている。それはある程度は成功しているだろう。相当頑張ってみたのだが、作品の終わり頃になってもこの物語がどこに着地するのか予想できなかった。そしていつものことなのだが、ラストが余韻深い。ラスト近くの主人公と少女との会話を私は忘れないだろう。「現代史」という「歴史的な時間」を人事のようにしか見れない人には、ぜひこの物語にある「決意」を読み取って欲しいと思う。 余談ではあるが、昭和60年の日航ジャンボ墜落事故の二日前にジャンボ機に乗った人は、この物語を読んだとしたら、どういう感想を持つだろう。 | ||||
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お馴染みの2.26事件を軸に、同じ国に住みながら、50年も前の世界では、思想や政治が違うだけでなく、空気や気温までも違うことを読者に感じさせます。 筋立てや結果を問うより、人間としての主人公の成長や、登場人物の生き様、そしてなにより主人公の恋物語の結末など、ほほえましく読むことができました。ちょっとしたカタルシスを得るにはお手軽な1編ではないかと思います。 | ||||
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まずこの本のすごい所は、時代の違いをもおもわせないリアルさである。それと、その時代の情景それにその時代にいるような感情になって、時間旅行をほんとにしているような気持ちになる。それに、この作品はだいたいが事実にもとずいていて、二・二六事件を体験しているような不思議な気持ちになるだろうと思う。 | ||||
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