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蒲生邸事件
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蒲生邸事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全100件 1~20 1/5ページ
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一見すると、宮部みゆき版『戦国自衛隊』、または宮部みゆき版『時をかける少女』。だが本書の設定は、たかが個人の行動によっては「歴史」は改変されない、というものである。それゆえより正確には宮部みゆき版「昨日公園」。 スイッチを押して自由にお湯が使えるわけではなく、洗濯機が洗濯してくれるわけでもない、というように、とにかく丁寧な筆致で1930年代当時の「生活」が描写されてゆくのは、本書の焦点が「庶民の生活」にあるからだ。それはいわば「歴史」に埋没するものである。あるいは「歴史」の射程外の存在である。だから二・二六事件という、それこそ「日本の歴史的の大きな転換点」をその舞台として選んだことが実に効果的となる。また一方で、二・二六事件という舞台が選ばれた、ということ自体にも意義がある。エンターテインメントを目的とする小説で、この時代を扱う物語はほぼ皆無だ。つまり「避けて通られている」のである。理由は単純で、書きようによってはイデオロギー的に面倒くさいことになりかねないからだ。具体的にはいわゆる「リベラル」とされる立場の人々によって「軍国主義の美化」だ、などという批判が生じる怖れが多分にある、ということである。しかし「避けて通る」ことこそが実は、いわば起こった出来事の違いにおいて「過去」を「差別」していると言わねばならない。したがって、解説の関川夏央が宮部の作家としての姿勢を「過去を過去であるという理由で差別しない態度」と捉えたのはまさに慧眼だろう。そしてこれを日本SF大賞とした勇気にも敬意を表する。 一方、宮部作品には珍しく、本書の主人公は「軽率かつ生意気で出しゃばり」という短所が目立つ人物である。設定上、主人公が慎重に隠れてばかりいると話が前に進まない、という事情によるのだろうが、結構鬱陶しい。 さらには「蒲生邸」の「事件」という言葉どおりに、これが他方で一つの「推理作品」としても構成されていることも付け加えておかなくてはならない。 どこから見ても完璧な作品。中でも「終章」が絶品。 | ||||
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冒頭少し読んで、しばらくの間は積読でした。そのまま年末の大掃除で処分しかけて、思い直して読み始めたら、中盤からどんどん面白くなり、一気に読めてしまいました。書かれている時代は暗鬱なイメージがありますが、人間ドラマやファンタジーがあって、読み終わって温かい気持ちになりました。 | ||||
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同じ本でもこの表紙絵が大変気に入り、敢えて中古本を購入しました。若い頃のふきさんですね。 前半は正直あまり面白いとは思いませんでしたが、事件の発生を境に読み進む程に面白くなり、最後は圧巻でした。時の流れは残酷で、全てが過去の思い出となる時が必ず来るのですね。 私の父も戦争でフィリピン方面に行き、マラリアに感染しながらも戦い、そして捕虜になりました。幸い父は平田とは異なり無事に日本に帰国する事が出来、今こうして私が存在しています。父も青春を2.26事件の時代に生きたんだなと思うと感慨深いものがあります。 主人公がこの後、どの様に生きたのか知りたくなりました。タイムトラベルの力が主人公にも与えられてふきさんと再会し、ふきさんと幸せに暮らしました、とかね! | ||||
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大学予備校受験生が東京の宿泊先で火災に合い、突然タイムトリップで昭和11年の2.26事件前夜に来てしまう。 元陸軍大将の蒲生邸に現れる。 タイムスリップさせた謎の人物はじめ蒲生邸の人々との葛藤が始まる。 話題性はそこそこだが再び現在に舞い戻った受験生と蒲生邸の女中との淡い恋の結末が印象的でよかった。 一般文学通算2373作品目の感想。2020/02/24 17:05 | ||||
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時間SFだけど、主人公が「二・二六事件」に関係する軍人宅に移動してしまい、その時代の人達と過ごす事になる、と言う設定。彼が同年代の少女に恋して、彼女が焼死してしまう未来を変えようと奮闘するサイドエピソードがあり、現代に帰ってから、老女となった彼女と再開する、ラブストーリーとしても、楽しめた。 このように、ガチガチのSFじゃないのだが、現代にも移動出来る能力を持った時間旅行者が、現代人からは、暗くて展望のない時代と思われる、昭和初期のこの時代に暮らす事を選ぶエピソードが、人の価値感の違いを感じさせて興味深かった。 時間SFであると同時に、ミステリーやラブストーリーとしても楽しめる傑作。ただ、主人公が自分の立場を考えず、目上の人間にも失礼な話し方をするのは、ひどく違和感を感じた。ストーリーを展開させる都合上だろうけど、本来生真面目な彼のキャラとずれを感じる。 | ||||
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お初の宮部みゆきさん作品です。 主人公同様歴史に疎く、2.26事件も詳しく知らなかったので、歴史の面白さを味わわせていただきました。何にも知らないで生きてきたなあと思いつつ、この小説に出てくる昭和10年代だろうと平成だろうと、政治や歴史に関心を持たずに生きている人が多いのは同じなんだなと妙に感心。だから戦争に巻き込まれていったわけだし、令和の今だってコロナで政治家酷いなあと思っていても声に出せず行動にも移せず…同じなんですね。これって日本人特有なんでしょうか? タイムトラベル好きなので、次はどうなるのかハラハラして読み続けたら明け方になっていた。だって昭和と平成を旅してたんだから! 平田という男性がなぜキラキラした平成でなく、昭和島10年代を選んだのか共感できました。キモいと言われていた地味な男性にとって現代は生きにくい。素朴な人情を感じられる昭和10年代はたとえ怖い時代だったとしても魅力を感じます。彼は幸せだったのかなあ。 | ||||
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とにかく読んでみてください(ちょっと長いですが)。決して損はしません。どなたかもコメントを書かれていましたが、最後に「孝史さんとふきさん」再会させてあげたかった・・・しかし、このような終わり方だからこそ、余韻が残るのでしょう。 | ||||
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相変わらず宮部みゆきは、よくある奇をてらった「真実」ではなく、普通の「真実」を書くのが偉い。 今回、死んだ人からの手紙で終わるパターンに弱い自分を発見した(笑)。 | ||||
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確かに、ずいぶん昔の話で、携帯もパソコンもない。だが、舞台は二・二六事件の時代だ。そこでは携帯もパソコンも関係ないから、お話は古臭いとは思わない。現代の若者が昔の日本の暗部に触れ、現代に戻ってきてからの彼の蒲生家の人々への称賛は、気持ちのいいものであった。 | ||||
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ストーリーついて細かい解説をするのは避けます。 一部には 救いようのない悪人も居ますが、 主人公はじめ(どちらかというと人生模様的には主人公以外の方がメインですが) 登場人物みんなが自分の時代を自分の最善を尽くして生きたとわかる 後半からラストの展開が素晴らしく、 読み終わってから おだやかな晴れやかな余韻がありました。 | ||||
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各々のレビューより見られる、文章の長さや主人公に対するイライラは、所々で見られる自分自身の立ち位置の見えてる感と、それに付いてくる自己悲観的な態度が自己陶酔に重なるくらいのレベルで言語化されていることにあるかのように思いました。 また、本来であれば、ここまで過去に体験してきたことを細かく明晰に文章化したり、普段から自己対話できる能力がある人はかなり稀有というか、できてもやる人はいないと思うところもあって、読み手によっては無理矢理立ち上げた企画である感も否めません。 設定上だと、間違いなく必要なことを登場するキャラのそれぞれに言及させている点でいうと、かなり丁寧な仕上がりと思えるのですが、それを普段から不要としたり考えない人からするとイライラすることは間違いないのかもしれません。 それだけ、主人公が常に客観的に自己対話を繰り返してもいるし、それに付随するであろう理由もちゃんと作ってます。 そういう意味では、ディティールが細かいと言えるものの、展開への切り替わりまでにそこそこの時間を要するため投げたくなるのも同意したいとこがあります。 ただ、実際に小説の設定としてはかなり強度があるし、各キャラクターの態度や行為にも納得できる。むしろ、ここまで言葉にされているのであれば展開は仕組みと相対してかなり早い方と思った方がいいと思いながら読み進めました。 だだ、私は読み手の中でも純粋に作品を楽しむ姿勢でなく、その仕掛けに目を向けることで楽しめることが多く、そこから自然と読み入っていくことになりましたが、二度目からさらに楽しめるような作品であるとも予想してはいます。 まだ、120頁までしか読んでませんが、これからが楽しみと言ったところです。 | ||||
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何人かの方が書かれているように、物語の冒頭部分主人公の言葉遣いやTPOをわきまえない行動など、どうして?と思うことが出てきます。宮部みゆきはこのあたりはよくよくわきまえている方でしょうから、あえてそういう設定だったのだろう、と最後まで読むと感じます。226事件を扱ったものには、たしか短編もあったかと思いますが、その歴史的意味を論じるのではなく、背景に使って昭和を生きた人を描いているところはすごいと思います。ただ、特殊能力にかかわる心の葛藤と反芻は、ちょっとこじつけ気味の感じはしますけど。でも、長い話ですが一気に読ませるところはさすがだと思いました。 | ||||
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本書は著者の数少ないSF小説の一つである(時間テーマや超能力テーマの著書あり)。SF作家でなくとも比較的トライしやすい テーマではある。が、しかし内容はSF作家の作品と比較しても遜色ないどころか、1997年に日本SF大賞を受賞したほどの完成度 の高い作品である。タイムパラドックスを回避するために理論の迷宮に陥ってしまう作品と違い、本書は「時間」をあくまでも SFガジェットとして扱っている。主題は二・二六事件という歴史とそれに翻弄される人間たちである。 3次元の隔たりならどのような手段を用いても邂逅する手段はあるが、「時」の隔たりについてはどうすることもできない。胸 が締め付けられるラストは時間テーマSFのベスト1である。 | ||||
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時間旅行を扱ったSF小説であり、タイムトラベルをした先で殺人の疑いが持ち上がるミステリー小説であり、主人公尾崎孝志の青春小説でもある。 文庫本で700ページ近い長編作品だが、テンポ良く話が進んでいき、興味深い謎やタイムパラドックスに関する独自の見解も示され、最後まで飽きることなく、興味を持って読めた。 二・二六事件の発生直前の蒲生亭にタイムトラベルをして、二・二六事件当時のまちの様子が詳しく書かれている点も興味深い。 ミステリーとしては、単純な仕掛けで意外性のある内容ではないが、真相には時間旅行というSF設定が上手く活かされている。 (以下、物語のあらすじに触れています。) 孝志が感じた最大の謎は、平田がなぜこの時代を選んだのかということ。その理由は第5章で明らかになる。「まがいものの神」として生きるのではなく、人間として生きるためであると。時間旅行者である平田の悲哀と苦悩が描かれている点も見逃せない。 文庫本の帯に書かれていた「歴史に対して人は無力なのか」という問いかけが、この作品の根底にあるもの。平田は「歴史には歴史自らの意思があり、行きたい方向へ行く。人間にできるのは細部の修正だけであり、歴史の流れは変えられない」と言う。 第五章で、孝志はふきに一緒に現代に戻ってくれないかと誘うが、その際のふきの返答が実にすばらしい。 ふき、平田、貴之のその後の人生がわかる最終章も、しみじみとした味わいがある。 | ||||
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最近作者のファンになりました。 何冊か読んでは面白いと思いつつ、歴史小説は遠慮しておりました。 いやいやこれは歴史小説であろうか。現代から過去の時代へさかのぼるSF小説であって、 歴史ものとは違っていました。 タイムトリップ的な小説は何冊か読んでおりますが、今の私の中ではNo1です。 なんでもっと早く読まなかったのかと、今更ながら後悔しています。 ラストシーンはレビューを書いている今でも、思い出すと胸が痛くなります。 いやぁ、もう一度ラストを読み返したくなりました。 | ||||
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宮部みゆきさんの作品の中では真っ先に選ばれるものではないかもしれませんが、さすがと言うか、やはり読後感は深ーいものがありました。 人が一生かけて知るかも(それでも知らないかも)しれない欠片を、タイムトリップする主人公と共に見ることで、「今を生きる」意味を考えさせられます。 | ||||
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読んでから1年ほど経ってこのレビューを書きますが、本の中の出来事が未だに自分の経験したことのように鮮明に残っています。この現象こそ小説の醍醐味だと思いました。宮部さんの作品は概して長編が多いですが、その分、味があると思います。教訓として得られることもこの小説にはあり、長編はちょっと、、という方も読んでみる価値はあると思う作品です。 | ||||
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以前、図書館で借りて読みました。すごく良かったので、何時でも読み返せるよう、購入しました。 | ||||
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中盤以降まで話が長い。 主人公にイライラする。 だけどラストに進むにつれて 夢中になって読めた。 ラストは唸るほど、 うまい絞め方に宮部みゆきの凄さを感じた。 時代を生きるということ、、、 本当に感慨深い。 東条英機についても然り。 平田についても胸にくる。 タイムスリップを通して 主人公の考え方などが 成長していて嬉しかった。 経験に勝るものはないよなぁと。。 | ||||
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時間旅行者も歴史を変えることはできない、という衝撃的な(?)事実。人間は歴史の流れの前に無力なのか? 自分とは無関係だった歴史上の事件。そこにも日々を生きている人々がいた。過去を変えることはできないし、未来を知ることはできない。みんな自分の現在を生きてきた。歴史は人間がつくるものだけど、自分が生きることによってしか変えられないもの、ということですね。 | ||||
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