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蒲生邸事件
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蒲生邸事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全131件 1~20 1/7ページ
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一見すると、宮部みゆき版『戦国自衛隊』、または宮部みゆき版『時をかける少女』。だが本書の設定は、たかが個人の行動によっては「歴史」は改変されない、というものである。それゆえより正確には宮部みゆき版「昨日公園」。 スイッチを押して自由にお湯が使えるわけではなく、洗濯機が洗濯してくれるわけでもない、というように、とにかく丁寧な筆致で1930年代当時の「生活」が描写されてゆくのは、本書の焦点が「庶民の生活」にあるからだ。それはいわば「歴史」に埋没するものである。あるいは「歴史」の射程外の存在である。だから二・二六事件という、それこそ「日本の歴史的の大きな転換点」をその舞台として選んだことが実に効果的となる。また一方で、二・二六事件という舞台が選ばれた、ということ自体にも意義がある。エンターテインメントを目的とする小説で、この時代を扱う物語はほぼ皆無だ。つまり「避けて通られている」のである。理由は単純で、書きようによってはイデオロギー的に面倒くさいことになりかねないからだ。具体的にはいわゆる「リベラル」とされる立場の人々によって「軍国主義の美化」だ、などという批判が生じる怖れが多分にある、ということである。しかし「避けて通る」ことこそが実は、いわば起こった出来事の違いにおいて「過去」を「差別」していると言わねばならない。したがって、解説の関川夏央が宮部の作家としての姿勢を「過去を過去であるという理由で差別しない態度」と捉えたのはまさに慧眼だろう。そしてこれを日本SF大賞とした勇気にも敬意を表する。 一方、宮部作品には珍しく、本書の主人公は「軽率かつ生意気で出しゃばり」という短所が目立つ人物である。設定上、主人公が慎重に隠れてばかりいると話が前に進まない、という事情によるのだろうが、結構鬱陶しい。 さらには「蒲生邸」の「事件」という言葉どおりに、これが他方で一つの「推理作品」としても構成されていることも付け加えておかなくてはならない。 どこから見ても完璧な作品。中でも「終章」が絶品。 | ||||
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冒頭少し読んで、しばらくの間は積読でした。そのまま年末の大掃除で処分しかけて、思い直して読み始めたら、中盤からどんどん面白くなり、一気に読めてしまいました。書かれている時代は暗鬱なイメージがありますが、人間ドラマやファンタジーがあって、読み終わって温かい気持ちになりました。 | ||||
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最近、三島由紀夫の著書をぱらぱらと再読、2・26事件が気になっていたところに、恩田陸「ねじの回転」が2・26事件がテーマだということで読んでみたらとてもおもしろくて。 そういえば宮部みゆきも「蒲生邸事件」がそうではなかったっけ?と思い、本棚から引っ張り出してきました。なんと1995年雑誌連載の作品だったのですね。もう27年も前だとは。内容をすっかり忘れていたところを再読しました。 比較するものでもないのですが、恩田陸作品がすぐに引き込まれたのに対して、こちらはあまりおもしろいと感じず・・正直いい作品だと認識したのは第4章以降で最後の80ページになってからでした。 ”事件”というタイトルがついていますが、まずこれでミステリだろうと勘違いしてしまいます。主人公が過去にタイムスリップして、入り込んだお屋敷で蒲生大将という退役軍人が死んでいる場面に出くわし、それが自殺か他殺か?という謎はあるのですが、誰かが捜査するでなし、家族や主人公が推理するでもなしで、その死自体はほとんど放置されたような状態です。 日本SF大賞を受賞したそうですが、自分にはSFらしさも感じられませんでした。ただ時間移動できる男性に出会って過去へやってきましたというだけです。 2・26事件を大きく取り上げるわけでもない。最後の方には若い兵士たちと話す場面も出てきますが、4分の3くらいまではただ外で何がが起こっているらしいというだけです。 何が書きたかったのかわからないままに読んでいくのですが、まずこの主人公、孝史が好感の持てない青年で・・どうしてこんな思慮の浅い常識もない軽薄な男の子を主人公にしたのでしょう。彼は大学受験に失敗して浪人決定になり、予備校受験のため東京のホテルに滞在していた、そのホテルが火事になって死にかけたところを、時間旅行者の平田に助けられ昭和11年に飛んでしまったという設定です。 平田が使用人として働いているのが蒲生大将のお屋敷なのですが、未来から来たことがわかったらまずいのに、命の恩人の平田の言うことも聞かず勝手に動いて迷惑をかけてばかり。自分は未来人で将来どうなるか知ってるんだとこの時代の人たちを見下したり、かといって勉強不足で常識もなく歴史のことなどろくに知らないから、ちぐはぐなことばかり言っている。住まわせてもらっているのに蒲生家の人たちに対する態度もえらそうで、最後の方まで「気分の悪いヤツだ」と思いながら読むはめになりました。 第4章で、孝史は蒲生邸から外に出ていろんな人に接し、若い将校たちクーデター部隊が鎮圧されたことを知り、だんだんとこの時代の人たちに思いをはせるようになります。「あなたたちはみんな死んでしまうのに」唐突に彼の頭にこの言葉が浮かびます。この後、日本は戦争に突入し、負けて東京は焼け野原になる、でもそれを話しても誰も信じてくれないだろう、自分には何もできない・・。 ネタばれになるのであまり書けませんが、最後は圧巻です。歴史や、人生や、運命や、誠実に一生懸命生きるとはどういうことか、いろいろと考えさせられました。最後まで読んできてよかったと思いました。第4章以降だけは星5つです。 ただ、上に書いてきたような感想なので、残念ながら積極的におすすめはできません。ミステリとも言えない、SFとしても中途半端です。むしろ普通小説として出した方がよかったのではと思います。 | ||||
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あっと驚くような展開もなく、特に面白いとは思いませんでした。 | ||||
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主人公の受験生の言動が本当に不愉快で腹が立って、読み始めてかなり早い段階で挫折しそうになった。中断する前にここのレビューを読んでみたら、似たような感想が多く、でも後半は面白いとか、最後に感動するとか書いてあったので、がんばって読み続けることにしたが、ぶっちゃけ、前半はかなり苦痛だった。後半は話が面白くなってきてさくさく読めたが、主人公に対する不快感は変わらず。最後もなんだかご都合主義にきれいにまとめた感じで、期待したほどには後味は良くなかった。やはりこの作者だったら、サスペンスやミステリーのほうが好き。 | ||||
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同じ本でもこの表紙絵が大変気に入り、敢えて中古本を購入しました。若い頃のふきさんですね。 前半は正直あまり面白いとは思いませんでしたが、事件の発生を境に読み進む程に面白くなり、最後は圧巻でした。時の流れは残酷で、全てが過去の思い出となる時が必ず来るのですね。 私の父も戦争でフィリピン方面に行き、マラリアに感染しながらも戦い、そして捕虜になりました。幸い父は平田とは異なり無事に日本に帰国する事が出来、今こうして私が存在しています。父も青春を2.26事件の時代に生きたんだなと思うと感慨深いものがあります。 主人公がこの後、どの様に生きたのか知りたくなりました。タイムトラベルの力が主人公にも与えられてふきさんと再会し、ふきさんと幸せに暮らしました、とかね! | ||||
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大学予備校受験生が東京の宿泊先で火災に合い、突然タイムトリップで昭和11年の2.26事件前夜に来てしまう。 元陸軍大将の蒲生邸に現れる。 タイムスリップさせた謎の人物はじめ蒲生邸の人々との葛藤が始まる。 話題性はそこそこだが再び現在に舞い戻った受験生と蒲生邸の女中との淡い恋の結末が印象的でよかった。 一般文学通算2373作品目の感想。2020/02/24 17:05 | ||||
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時間SFだけど、主人公が「二・二六事件」に関係する軍人宅に移動してしまい、その時代の人達と過ごす事になる、と言う設定。彼が同年代の少女に恋して、彼女が焼死してしまう未来を変えようと奮闘するサイドエピソードがあり、現代に帰ってから、老女となった彼女と再開する、ラブストーリーとしても、楽しめた。 このように、ガチガチのSFじゃないのだが、現代にも移動出来る能力を持った時間旅行者が、現代人からは、暗くて展望のない時代と思われる、昭和初期のこの時代に暮らす事を選ぶエピソードが、人の価値感の違いを感じさせて興味深かった。 時間SFであると同時に、ミステリーやラブストーリーとしても楽しめる傑作。ただ、主人公が自分の立場を考えず、目上の人間にも失礼な話し方をするのは、ひどく違和感を感じた。ストーリーを展開させる都合上だろうけど、本来生真面目な彼のキャラとずれを感じる。 | ||||
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お初の宮部みゆきさん作品です。 主人公同様歴史に疎く、2.26事件も詳しく知らなかったので、歴史の面白さを味わわせていただきました。何にも知らないで生きてきたなあと思いつつ、この小説に出てくる昭和10年代だろうと平成だろうと、政治や歴史に関心を持たずに生きている人が多いのは同じなんだなと妙に感心。だから戦争に巻き込まれていったわけだし、令和の今だってコロナで政治家酷いなあと思っていても声に出せず行動にも移せず…同じなんですね。これって日本人特有なんでしょうか? タイムトラベル好きなので、次はどうなるのかハラハラして読み続けたら明け方になっていた。だって昭和と平成を旅してたんだから! 平田という男性がなぜキラキラした平成でなく、昭和島10年代を選んだのか共感できました。キモいと言われていた地味な男性にとって現代は生きにくい。素朴な人情を感じられる昭和10年代はたとえ怖い時代だったとしても魅力を感じます。彼は幸せだったのかなあ。 | ||||
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とにかく読んでみてください(ちょっと長いですが)。決して損はしません。どなたかもコメントを書かれていましたが、最後に「孝史さんとふきさん」再会させてあげたかった・・・しかし、このような終わり方だからこそ、余韻が残るのでしょう。 | ||||
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相変わらず宮部みゆきは、よくある奇をてらった「真実」ではなく、普通の「真実」を書くのが偉い。 今回、死んだ人からの手紙で終わるパターンに弱い自分を発見した(笑)。 | ||||
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確かに、ずいぶん昔の話で、携帯もパソコンもない。だが、舞台は二・二六事件の時代だ。そこでは携帯もパソコンも関係ないから、お話は古臭いとは思わない。現代の若者が昔の日本の暗部に触れ、現代に戻ってきてからの彼の蒲生家の人々への称賛は、気持ちのいいものであった。 | ||||
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ストーリーついて細かい解説をするのは避けます。 一部には 救いようのない悪人も居ますが、 主人公はじめ(どちらかというと人生模様的には主人公以外の方がメインですが) 登場人物みんなが自分の時代を自分の最善を尽くして生きたとわかる 後半からラストの展開が素晴らしく、 読み終わってから おだやかな晴れやかな余韻がありました。 | ||||
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各々のレビューより見られる、文章の長さや主人公に対するイライラは、所々で見られる自分自身の立ち位置の見えてる感と、それに付いてくる自己悲観的な態度が自己陶酔に重なるくらいのレベルで言語化されていることにあるかのように思いました。 また、本来であれば、ここまで過去に体験してきたことを細かく明晰に文章化したり、普段から自己対話できる能力がある人はかなり稀有というか、できてもやる人はいないと思うところもあって、読み手によっては無理矢理立ち上げた企画である感も否めません。 設定上だと、間違いなく必要なことを登場するキャラのそれぞれに言及させている点でいうと、かなり丁寧な仕上がりと思えるのですが、それを普段から不要としたり考えない人からするとイライラすることは間違いないのかもしれません。 それだけ、主人公が常に客観的に自己対話を繰り返してもいるし、それに付随するであろう理由もちゃんと作ってます。 そういう意味では、ディティールが細かいと言えるものの、展開への切り替わりまでにそこそこの時間を要するため投げたくなるのも同意したいとこがあります。 ただ、実際に小説の設定としてはかなり強度があるし、各キャラクターの態度や行為にも納得できる。むしろ、ここまで言葉にされているのであれば展開は仕組みと相対してかなり早い方と思った方がいいと思いながら読み進めました。 だだ、私は読み手の中でも純粋に作品を楽しむ姿勢でなく、その仕掛けに目を向けることで楽しめることが多く、そこから自然と読み入っていくことになりましたが、二度目からさらに楽しめるような作品であるとも予想してはいます。 まだ、120頁までしか読んでませんが、これからが楽しみと言ったところです。 | ||||
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長い、めんどくさい、まどろっこしい等々。 とにかく事件そのものよりも能書きが多すぎて読む事に疲れます。 半分まで行きつかずにギブアップです。 Sキング的な能書きダラダラ小説が苦手な人は合わないと思います。 | ||||
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何人かの方が書かれているように、物語の冒頭部分主人公の言葉遣いやTPOをわきまえない行動など、どうして?と思うことが出てきます。宮部みゆきはこのあたりはよくよくわきまえている方でしょうから、あえてそういう設定だったのだろう、と最後まで読むと感じます。226事件を扱ったものには、たしか短編もあったかと思いますが、その歴史的意味を論じるのではなく、背景に使って昭和を生きた人を描いているところはすごいと思います。ただ、特殊能力にかかわる心の葛藤と反芻は、ちょっとこじつけ気味の感じはしますけど。でも、長い話ですが一気に読ませるところはさすがだと思いました。 | ||||
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本書は著者の数少ないSF小説の一つである(時間テーマや超能力テーマの著書あり)。SF作家でなくとも比較的トライしやすい テーマではある。が、しかし内容はSF作家の作品と比較しても遜色ないどころか、1997年に日本SF大賞を受賞したほどの完成度 の高い作品である。タイムパラドックスを回避するために理論の迷宮に陥ってしまう作品と違い、本書は「時間」をあくまでも SFガジェットとして扱っている。主題は二・二六事件という歴史とそれに翻弄される人間たちである。 3次元の隔たりならどのような手段を用いても邂逅する手段はあるが、「時」の隔たりについてはどうすることもできない。胸 が締め付けられるラストは時間テーマSFのベスト1である。 | ||||
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表紙をめくると何かに濡れたような感じで不潔。 お店の商品の状態を信じて購入したが残念ながら裏切られた気持ちで悲しい。 今後利用はしない。 | ||||
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2017年初冬、JR駅構内の書店で平積みにされている本作が目に留まった。 宮部氏の作品は『模倣犯』しか読んだことがないが、 『模倣犯』を大変面白く読ませてもらったことと、 この作品の帯をみて「タイムリープ」ものだということがわかり、 宮部氏の書くSF作品はどんなだろうと興味を持ち、即購入。 購入したときは、宮部氏の新作だと思っており新装版だとは知らなかった。 ・・・結論から言うと、ちょっと時代遅れの感がする作品だった。 (20年前の本なので当然といえば当然ですが) 作品のオチとなる最後の部分を読み終わっても特に感想はなし。 なるほど。。。読み終わったなぁ、、と感じただけ。 せっかくのタイムリープ能力を利用したトリックや謎解きとしても目新しいものはない。 能力の設定としてもよく練られているという印象は受けない。 能力を持つ者の悲哀や一少年の成長についてのストーリーも特に深いものは感じることはできなかった。 改めて昨今の小説、漫画、アニメに至るまでのタイムリープものの充実ぶりが実感できた。 それらを堪能しつくしたあとにこの作品に出会うのと、 この作品が初めて世に出た20年前にこの作品に出会った場合とでは恐らく感じ方が違うだろう。 というより、20年前にこの作品を世に出していたのか!と思うと「さすが宮部先生、凄い!」の一言なのですが。 20年前出合っていれば、一生モノの作品として繰り返し読んだかもしれない。 また、私自身『模倣犯』のような本格的なシリアスミステリーの大作を先に読んでおり、 そのイメージをひきずっての宮部作品2作目となったために、若干期待外れ感を持ってしまったのも 仕方がないのかもしれない。 そういった意味で★3つの普通評価とさせてもらいました。 宮部作品はキンドル化されているのがほとんどないので手を出す機会は少ないですが、 まだ読んだことのない作品で興味あるものもあるのでいずれは読みたいと思っています。 | ||||
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宮部さん、あなたの着眼点、文章力は天才的です。今回の新装填、再発売に際し何カ所か改校された様子ですが 初期の宮部さんのきめ細やかな人物描写、些細な生活の道具えの愛着がうらめにでてしまいましたね。 パラレル・タイムラインの説明、準主人公の虚無的思想の説明、軍部の軍事力による独断政治への危機感などが重たかった SF作品のリメークが是か非か大いに考えさせられた。 | ||||
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