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慈雨



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【この小説が収録されている参考書籍】
慈雨
慈雨 (集英社文庫)

慈雨の評価: 3.53/5点 レビュー 150件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.53pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全87件 61~80 4/5ページ
No.27:
(5pt)

刑事を辞めても、刑事だ。そして刑事の妻は。

警察を定年退職した 神場。
自分の中にある後悔。その贖罪のために、巡礼に出る。
神場の妻は、一緒に巡礼をしたいという。
体力的に可能なのか?心配するが、妻は健気にも付き合う。
なぜ、夫が巡礼したいのか?を聞くこともせず、
その二人の道中の会話が、わずかであるが二人の性格を
浮き彫りにしていく。実に、明るく楽天的な妻に、
助けられて来た神場。そして、この巡礼の中でも、
妻の好奇心旺盛な行動が、神場を支える。

神場は、悪夢にうなされていた。
16年前の少女殺人事件の被害者純子ちゃんの
「オウチニカエリタイ」という夢を見る。
その事件は、冤罪であったかもしれない。
神場は、再捜査を訴えたが、上層部から却下された。
その時逃げたという後悔がある。

巡礼が始まった時に、同じような手口の事件が起こった。
年下の上司鷲尾も同じような後悔があった。
部下の緒方は、神場の娘と付き合っていた。
神場は、それを賛成していなかった。
目撃も少なく、捜査は、困難を極めた。

そして、16年後ということから、犯人のプロフィール、
白いトラックをどう痕跡をなくしたのか?
ということを、定年退職した神場が、仮説を立てる。
それは、16年前の少女殺人事件に関連していた。
刑事を辞めても、刑事であることをやめない。
それは、警察組織を守るよりも、同じような犯罪が
起こらないことが想いとなる。
鷲尾、緒方にも神場の想いが伝わる。

ふーむ。実に重いテーマで、自分の立場を
根底から覆されようとも、何のためにかを追求する。
神場の妻 香代子が、実に素晴らしい。
慈雨 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:慈雨 (集英社文庫)より
408745858X
No.26:
(5pt)

泣けました

物語がよく練られていて面白かったです。八十八ヶ所巡りをする定年した刑事と妻。遍路地での出会い、遺恨を残した事件、養女の将来など過去に戻りながら現在と絡まって泣けてくる場面も多々ありました。ボリュームはありますが一気に読めました。
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408745858X
No.25:
(5pt)

慈雨を読んで

読み応えがありました。途中、娘さんの生い立ちなどで、涙することもありました。最後もう少しはっきりとした
終わり方が個人的には好きです。
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No.24:
(4pt)

本作で重くのしかかるのが「冤罪」の恐怖だ。

本作で重くのしかかるのが「冤罪」の恐怖だ。

 当時、現職だった神場がアリバイ証言を元に再捜査を申告するもすでに犯人が確定した事件を覆すことに警察の信用問題に関わる事を懸念した上層部が却下した事に現実にもありそうな展開で戦慄を覚える。

 実際にもこうした事例は公にはなっていないだけでおそらくこれまでにもあったであろうし、警察の威信を守るために真犯人ではない一人の人生を犠牲にする事は絶対にあってはならないのだ。
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408745858X
No.23:
(4pt)

刑事は退職したら刑事でなくなるわけではない、死ぬまで刑事なんだ

「虎狼の血」ですっかり度肝を抜かれた柚月裕子の刑事もの。
 本書で取り上げられた少女誘拐事件は、実際の冤罪事件として有名な「足利事件」がモデルと思われ、清水潔の「殺人犯はそこにいる」をすでに読んでいる人にとっては、既視感があります。
 上記事件を知らないで読んだ人にとっては、その部分もミステリーとして楽しめるとは思いますが、それを分かったうえでも読者を惹きつける、ミステリーを超えた部分の面白さが本書にはあります。
 主人公神場は、警察官を退職し、妻と二人で四国八十八か所遍路の旅をしている神場の視点、一方、少女誘拐殺人事件が勃発し、それにあたる現役刑事緒方の視点。
 緒方は神場の娘と付き合っているが、神場は娘に妻と同じ苦労をさせたくないがため、二人の交際を認めることができない。 
 刑事ドラマに父と娘の関係、元上司と部下の関係、交番時代の苦労や刑事時代の忘れられない自身の汚点。
 これらが合いまったその見事な構成は、やはり巧いなあと思わせます。
 後半は涙なしでは読めません。
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408745858X
No.22:
(5pt)

推理小説の超傑作誕生

この作家の作品は、全て、読んでいるが、どの作品も、いくつく間を与えない、面白さで、上手いとしか言いようがない、当分この人から目が離せない。
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No.21:
(5pt)

感動の玉手箱

最後感動して涙溢れるという本もたくさんあります。
この本は読んてる間中常に感動モードなのでした。
胸を響かせるセリフが永遠と続く・・・

柚月さん、結晶のような作品をありがとうございました。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.20:
(5pt)

最初に著者の虎狼の血を読んでから、彼女の作品のファンになりました。男性作家の作品かと思う作品ですが、この慈雨もこれが女流作家の作品とは思えない骨太の作品となっています。人間の生きた価値とは、何かを考えさせられた作品でもあります。柚月祐子さんの作品はこれから

主人公がお遍路の途中で出会う二人の生きざまに、感銘を受けました。尚、主人公が真犯人逮捕後に冤罪者への償う考え方には、共感は得れません。
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4087716708
No.19:
(4pt)

退職刑事の心境の変化をハードボイルドに描く作品

退職刑事の悔恨と再生を四国八十八ヶ所のお遍路の旅とともに描く作品。面白かったのだか、場面が単調になりがちな部分もありました。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.18:
(4pt)

リアルな事件とシンクロしていたたまれなかった

刑事を定年退職し、夫婦で四国八十八か所のお遍路の旅をする主人公。
一方、世間では幼い小学生の女子の殺人事件が起き、捜査が暗礁に乗り上げる。
女児殺害という過去にあった事件に苦い体験を持つ主人公が、お遍路旅をしながらも、この事件の解決に絡む。

おりしも、読書中に似たような事件が現実に起きていた。なにか妙にシンクロしてリアルに読んでしまった。
ペドファイルによる性犯罪は、近年増えているような気がする。性犯罪は繰り返される。
娘を持つ親の身としては、扱う題材が生々しく救いがなかった。
物語的には、ひとりの刑事の人生が胸にせまった。夫婦の絆の物語でもある。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.17:
(4pt)

警官小説にして人間ドラマの秀作

警官小説である。主人公は群馬県警を定年退職した元刑事・神場智則。彼は在職中に関わった事件の被害者の供養のために夫婦で四国八十八か所のお遍路に旅立った。すると、かつて手掛けた16年前の幼女殺人事件の捜査の不備が忘れられず、犯人はえん罪ではとの疑念を打ち消すことができない。その時、テレビのニュースにて群馬で幼女殺人事件の勃発を知った。16年前の事件との関連が気になった神場はかつての部下に電話を入れた。

神場は霊場を回りながら、自分の半生を振り返る。僻地の駐在所で始まった新婚生活、尊敬する先輩を見舞った不幸、妻にかけた数々の労苦、それだけに娘には刑事の妻になって欲しくないとの強い思い。しかし、巡る地元の人の親切に触れ、罪を背負った遍路の苦悩を聞いて、徐々に頑なだった気持ちが柔らかくなっていくのを彼は感じた。元部下から事件の捜査状況の報告を受けるが、進捗ははかばかしくない。それが、たまたま見た光景からあるヒントを得て、事件は一挙に解決へ向かう。

冒頭に警官小説と書いたが、読み終わって家族のあり方を問う重厚な人間ドラマだったと気づいた。八十八か所の巡礼に並行して神場の家族の歴史が語られる。多忙な夫を妻は献身的に支え続けた。しかし、互いに思い合いながらも、神場のコミュニケーションが不適切なために感情が行違う。それが事件の解明とともに夫、妻、娘の心が一つになるところは感動的であった。妻はもちろんのこと、警察内の上官、部下の人物像がいきいきと描かれている。夫婦による四国巡礼を基本に据えながら、並行して事件捜査が進んでいく。時間を前後させながら多くのエピソードを散りばめるなど、構成の巧みさには舌を巻いた。事件の結末は語らず、あとは読者の想像に委ねる終わり方は秀逸である。そして、降りかかる慈雨の中を遍路姿の夫婦が歩むラスト情景には胸が震えた。最近、作者・柚月裕子さんの評価が急上昇なのも納得の秀作である。

しかし、作者の筆力に感嘆しながらも、重要な点において違和感があった。まず、いくら警官と言えども、主人公の価値観が古過ぎるのではないか。16年前に事件の再捜査ができなかったことに、神場が罪悪感を持つ必要はない。彼は最大限の努力をしたし、末端の刑事の責任は限られているはずだ。それを自分の罪と思い込み、全財産を差し出して償おうとするのは、考え違いであろう。また、神場の妻子への態度は戦前の日本人の男のように保守的に見える。神場の頑なな気質や罪の意識が本作品の重要なモチーフになっているだけに、この人物造形には無理があるのではないか。

ここで扱われる事件は、「北関東幼女誘拐殺人事件」と呼ばれる実際に起きた事件をベースにしている。最初の殺人事件の犯人は逮捕され有罪になったが、後にえん罪が証明された(足利事件)。TBS記者の清水潔氏がノンフィクション「殺人犯はそこにいる」(2013年新潮社)を著して連続殺人であることを示し、真犯人を特定した。作者が清水氏の著作からヒントを得ているのは明らかである。それは何ら差し支えのないことだが、作者は参考図書として「殺人犯はそこにいる」を挙げて清水潔氏へ謝意を示すべきだったと、私は思うのだ。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.16:
(5pt)

沁みる話でした

ただ犯人を推理して探すだけの内容ではなく
とてつもなく心に沁みる話でした。若い息子や甥を一度に亡くしたばかりで哀しみのどん底を生きている自分に何か光明を灯す素晴らしい内容で泣けてきました。力強く余生を生きていこうと思います。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.15:
(4pt)

イッキに読める

検事の本懐以来、この作家の作品には注目してきました。
期待させるなにかがある作家です。
本作品も、新たなチャレンジの過程にあることを感じさせるものです。
作品自体は面白く読めますが、最後に何かがあることを期待するとやや尻切れとんぼ的な感じがします。
個人的には、人間の深層心理を描こうという意欲は充分感じるのですが、どちらかといえばもっとライトな感じのほうがこの作家のスキルが発揮できるように思われ、今後の作品展開に注目していきたいと思います。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.14:
(5pt)

出会えて良かった!

ある雑誌に紹介を見つけて、初めて柚月さんの小説を読みました。読み始めてあっと言うまに物語にのめり込み、、いつもなら空いた時間に小説を読んでいるのに、この小説は先が気になり、気付けばこの本の為に時間を作り4日で読み終えました。主人公をとりまく人達の心情もすごく伝わり、そして魅力的でした。最後の最後まで楽しむことができる小説です。この本に出会えて良かったです。柚月さんの他の小説も全部読もうと思いました。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.13:
(4pt)

素晴らしい作品ですが

繊細でよく練られた作品です。キャラクターにも惹かれ
話しに引き込まれます。
難点をいえば、扱っているテーマが冤罪なのに
警察OBが元部下と連携して、重要殺人事件に取り組んでいます。
悪くいえば、コンプライアンスの意識が全くない人が冤罪で
悩むはずがありません。
この場面設定を直せば傑作だったと思います。
よくできた話しなので少し惜しく感じました。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.12:
(4pt)

よくできた構成! 結願寺で、すべてが成就。

始めは、取っつきにくい感じで、なかなか読み進めれませんでした。
元刑事の四国八十八か所巡礼と過去の幼児殺害事件の闇、
そこに発生した同種の事件、どう繋がり、どう解決に結びつく
のか?
それ以外に、巡礼地ですれ違う人々、家族の問題等々が盛り込まれ
巡礼の道のりと事件解決への道が重なり合い、徐々にラストへ向けて
盛り上がってゆく。この構成の上手さ、妙に、感動した。
ラスト、慈雨に濡れながら、佇む元刑事夫婦の姿が目に浮かぶ。

この作品が、女性作家の手によるものである事が、大変な驚きである。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.11:
(5pt)

「慈雨」の何とも味わい深いタイトルに驚かされる。

定年退職の刑事とその妻が四国八十八か所巡礼の旅に出るが、民宿のテレビで、元刑事の地元で幼女失踪事件が発生し、遺体が発見されたのを知る。それが16年前、同じ地元で発生した同様の事件とダブり、その犯人は今も刑に服しているので、元刑事は胸騒ぎを覚える。

ここで本書は現実の足利事件や、北関東連続幼女誘拐殺人事件をベースにしていることが判る。
元刑事は16年前の事件が冤罪ではないかと悩み、定年退職した今、それを現役の頃、強く云えなかった悔悟と懺悔の為、巡礼の旅を思い立ったのだ。

今回の事件で居たたまれない気持が、後輩刑事と頻繁に携帯で情報を入手する事になるのだが、並行して、交番勤務の苦労の時代や、先輩刑事のエピソードを過不足なく織り交ぜ、小説の奥行を広げていく。

四国八十八か所巡礼の旅が回想に相応しいガジェットだと思っていたのが、巡礼の旅での順打ちでない逆打ち巡礼者との出会いが、重要な位置を占めてくるのだ。ここから、読書にスピード感が増してくる。

柚月裕子は「孤狼の血」を読んで、そのリーダビリティといい、プロットといい、舌を巻いた記憶があるので、本書も読む前から期待値が高かったが、これは期待値以上の出来で、後半は特に巻を措く能わずである。

これは映画化して欲しいし、叶わぬならテレビドラマ化はぜひして欲しい。タイトルは個人的に気に入っている「逆打ち」はどうか? と思ってみたが、最終頁を読むと、「慈雨」の何とも味わい深いタイトルに驚かされる。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.10:
(4pt)

[孤狼の血]の反動か

表紙が重苦しい上に帯に「慟哭の・・・」と書かれていると、気分が落ち込みそうで、買ってから読み始めるまで時間がかかりました。
 いざ読んでみると、飽きることなく最後まで楽しめました。
 が、主役から路上で出会う端役まで、皆さん何かを背負い込んじゃって、言うことが深刻すぎる。「孤狼の血」で悪徳警官を書ききった反動か、警察官が全員(立場や方向性は違えど)模範生過ぎて、緩急の緩がない感じです。長丁場の捜査なんて、実際にはきわどい冗談を交えて笑いを入れながらやらないと続かないはずです。もうちょっとユーモアがあればな、とその点だけが残念でした。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.9:
(4pt)

新潟ナベちゃん

何時もながら読ませます。面白い。益々柚月さんを好きになりました。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708
No.8:
(5pt)

心に染みる話です

定年。この人生の大きな節目に誰しもこれまでの道程を振り返る。
神場の人生に自分の人生を重ねている。

ミステリーでありながら夫婦の物語、家族の物語、刑事、人間としての処し方など
多くのテーマが盛り込まれ、涙無くして読めませんでした。
読後カバーのイラストがなんと悲しくも優しく、心に染みてきました。

「慈雨」、八十八カ所巡り最後の結願寺を前にして神場夫婦を優しく潤している。
とても良い作品でした。
慈雨Amazon書評・レビュー:慈雨より
4087716708

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