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はなとゆめ



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【この小説が収録されている参考書籍】
はなとゆめ (単行本)
はなとゆめ (角川文庫)

はなとゆめの評価: 3.39/5点 レビュー 59件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.39pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 21~31 2/2ページ
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No.11:
(5pt)

ゆめと散りゆくはなであっても

ビジュアル電子版で読みましたが、やはり単行本で欲しくなりました。
美しい世界、それを美しい文章で読めたことに感謝。
枕草子をこれからまとめようという清少納言の視点で語られる物語は、まるで自分が彼女の友であり、そばで問わず語りをしている彼女の声に耳を傾けるようでした。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.10:
(4pt)

盛り込み過ぎの感はあるが、流石の出来

本書は、清少納言が宮中出仕を経て枕草子を書くに至るまでを描いている。「天地明察」「光圀伝」とは時代も性別も異なるが、類まれなる才気から現代まで残る大作を残した方の人物伝ということで云えば、通底する基調はあると思う。

だが、本作は正しく枕草子や当時の人々の歌を巧みに引用しながら仕上げた一人の女性の生き方を味わうに尽きるだろう。
年齢や美貌で見劣りする女性が、その才を見出され、宮中でスポットライトを浴びて行く。彼女は、自身の才を見出した中宮とその近親を華と見立て、彼女達を中心に置いて繰り広げられる宮中生活を夢と捉え、その優れた記憶力と表現力で味わい豊かに描き出している。
後半の道長の暗躍ぶりは、ややステロとも思うし、ちょっと頁不足とも思ったが、あくまで清少納言の視点から見れば、彼はああいう人間にしかならないとは思う。

過去の作家・文人を主人公とした文学作品は決して珍しくない。現に、清少納言でいえば、田辺聖子さんの作品もある。
しかし、過去の作品の多くは、作家たちの生きざまをメインとしているし、田辺作品は枕草子自体の読み解きという側面が強い。
これに対して本作品は、枕草子をすごく読みたくなるし、本書を横に置いて読むことで何倍にも味わい深くなっていると読後に思えるところがユニーク。作家が1つの傑作を生み出す過程だけで一冊の作品と出来るのは、著者の脂の乗った実力故だろう。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.9:
(4pt)

清少納言の物語

「天地明察」「光圀伝」と
江戸時代の男性を描いていた冲方丁さんが

なんと平安王朝の雅を小説に。
清少納言の人生を中宮定子との交流を軸に
描いています。
いかに清少納言が、中宮を尊敬し愛していたか
そして自分は歌がへただったと自覚していて
有名な歌人だった父へのコンプレックスなど。

高校時代の古文の授業中に
「清少納言は歌がへただ」と国語の先生が言っていたのを
思い出しました。

しかしながら、そこは冲方丁さんなので
道隆と道長の権力闘争も描かれています。

現実の物語
「中宮の親族が都を追放になる」とか
「権力を失った貴族が零落しているようす」などは
源氏物語を思いおこします。
で、紫式部は全く出てきません。

紫式部についてはドラマになったりしていますが
清少納言って、ブスでさかしらな女性としてしか
描かれてないのが「枕草紙」が好きな私としては不満だったんです。
しかし、この小説のおかげで
清少納言が、肉も血もある賢い女性として描かれていて
すっきりしました。

私は
「源氏物語」は現代語訳で、田辺聖子版・橋本治版
そしてコミック「あさきゆめみし」を読み
「枕草紙」を桃尻語訳・橋本治で読んでいるので
とっても面白く読みましたが
平安の物語を「教科書」でしか知らない方にとって
この小説が面白いかどうかは判断しかねます。

でも、おそらく
冲方丁さんの小説ですから、きっと面白く読めるのではないでしょうか?
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.8:
(4pt)

卓抜

作者自身が清少納言になり切っており、王朝文化を実体験できた。
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No.7:
(5pt)

枕草子って!

冲方さんてすごい。枕草子がこういう意味で書かれていたとは、まったく想像してなかった。清少納言の悔しさや苛立ちやそういうものが伝わってくる。
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No.6:
(5pt)

やっぱり勉強しなくちゃ、ダメだね。

清少納言が仕え、心を通い合わせた中宮定子との宮中での華麗な日々と、
枕草子を書くことになった経緯を描く。

男に顔を見せないのが女のたしなみだし、恋の行方は歌のやりとりの出来次第。
今から見れば奥ゆかしいと思う反面、単なる決まり事、ただの手順であるなら
結果はお互いに見えているのでは?…なんて言うと、身もふたもないか。

宮中で生きてゆくために最も大事なものは、昔の有名な歌や漢詩や故事などの
教養だった。
「香炉峯の雪」は清少納言の機智をあらわす有名な話だが、ただの知識だけで
なく自由に縦横無尽に使いこなす機転と頓智こそが必要だ。
貴族社会の話だから庶民には無縁の「教養」だろうが、こういうのが文化という
ものなのだろう。
生活感はないけれど、厳しい政治の勢力争いがあり、身ひとりに一族の栄枯盛衰
を背負う。
貴族だからといって、のんびり遊んでいるわけではない。
一つ間違えれば首が飛ぶ、激しい競争社会であった実態もかいま見えた。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.5:
(5pt)

最愛の方に最も愛されることを唯一の使命とした方の物語

本書は『枕草子』と同様に清少納言の一人称で語られる。不勉強な身としてはどこまでが『枕草子』に書かれていることで、どこまでが作者の脚色なのかはわからないが、本書は清少納言から見る主君定子の像と自分との関係性に焦点を絞って描かれている。一族の繁栄を一身に受け、天皇(一条帝)を愛し、愛されることを唯一の使命とした定子は、決して色褪せることのない華を示し続けなければならない。一方清少納言は若いころ(今で言う不倫関係のような)つらい恋を経て、思う人から、一番に愛されるのではなければ、憎まれたほうがまし、二番目、三番目なんて死んでも嫌だ。という心情を持っている。最愛の人に最も愛されることを自分に課した同志として自分を扱ってくれると悟った清少納言は主君の番人になろうと決意する。二人の絆は多くの政治的な苦難に見舞われても決して変わることがなかった。

清少納言というと、聡明で機転が利き、快活で何かにつけて定子を褒め称えるといった単純な像しかもっていなかったが本書を読み、主君を褒め称える背景を知ることができた。彼女は、ただの如才ないエッセイストなのではなく自分はどのように生きるか、また誰とともに生きるかを考える一人の女性として描かれている。そのことを、大胆に枝葉を切り落としシンプルに描ききっている作者の筆力に驚かされる。中世の史実に疎い読者であっても今を生きる者の糧となる一冊だと思う。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
4041106044
No.4:
(4pt)

言はで思ふぞ

天地明察に比べるとかなり物足りないです。
この時代や枕草子好きから見ると削られたエピソードが多すぎると思ってしまう。
沖方丁が書くのなら、彰子と紫式部の物語にした方が「天地明察」のような話を
期待していた読者の受けはずっと良いはずです。
枕草子の小説なら、田辺聖子の「むかし・あけぼの」がある。こちらはずっしりと
長編だし、史実もふんだんに盛り込まれている。
「はなとゆめ」の内容では「むかし・あけぼの」に並ぶことはできません。
けれど、中学・高校の授業でしか「枕草子」を知らない層にとってはこのくらいが
良いのかもしれません。
藤原と源ばかりの男性陣、地名と官職名ばかりの同僚女房といった登場人物を大勢出して
細かいエピソードを描いても、まっさらな状態で読む人にとってはよく分かりません。
そういうエピソードは、その時代を書いた文献や小説をいくつも読み、繰り返し学習する
ことで自然と物事の繋がりを理解していくものだと思います。
「はなとゆめ」では、「むかし・あけぼの」とは違う清少納言の考え方・感じ方が書かれていて、
「一乗の法」のあたりなど、「こんな考え方もあったのか」と新鮮な感動がありました。
だからこそ読み足りないという思いもあります。積善寺の法要の箇所など、清少納言側の
視点しか描かれないのがもどかしいほどでした。
ここで道隆家の「華」しか書かないという選択には驚きです。
その気になればもっとエピソードを詰め込んでずっしり系の歴史物にできる題材で、作者には
その筆力もあるのに、あえて「書かない」ことを選んだような小説だなと感じました。
清少納言も道隆家の辛い日々は「書かなかった」のだし、「書かない」ことで伝わる思いも
あるのかなと思いました。
「言はで思ふぞ言うにまされる」ということなのかもしれません。
何年か経って読み返してみたら、新しい感動がありそうです。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
4041106044
No.3:
(4pt)

久しぶりの充実感

文芸書を読むことが段々少なくなり、買うのは漫画や実用書、自己啓発、ビジネス書がほとんどだった私が久しぶりに買ったのがこの本です。
元々、平安時代が好きで、平安文学は大好きでした。
 枕草子の訳とは違い、清少納言の定子の傍で仕えていた頃の回想という形でしたが、この時代の流れを知っていることもあり、読みやすく、読後の充実感は最近にしてみればこの上ないものでした。
 久しぶりに他の平安文学を読みたくなりました。
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.2:
(5pt)

その人を、その人にしてくれる。

私の読書熱再燃のきっかけとなった「天地明察」。
 その後の「光圀伝」も読み応えがありました。
 次は、どんな作品を手掛けるのか……期待は膨らむばかり。
 半年くらい前でしたか、冲方丁氏が「清少納言」を題材に執筆しているという話を聞き、それは、それは、首を長くして、その発行を待っていました。
 前二作とは全く異なる雰囲気ですが、私は「序」から惹きつけられました。
 それは、作品全体を通し、現在の自分の気持ちを映し出すかのような、重なる箇所が少なからずあったからに相違ありません。
 序
 (略)
 「同じように、人の美しさ、栄光、誇りといった「華」もまた、いつか失われてしまうものならば、そもそも求めない方がよいのだと。
 そう考える人は多いでしょう。華が輝かしければ輝かしいほど、失われたときの空虚さは耐えがたいものとなるのですから。
 (略)
 かつて過ごした日々を思うたび、わたしは自分の幸運を噛みしめるのです。
 (略)」
 
 この序文を何度も何度も読み返し、自問自答しました。
 答えは、清少納言と同じだと思います。
 
 また、
 「春は、
   あけぼのー」くらいしか知らない私にとって、清少納言が少し身近に感じられましたが、その時代に生きた人々の教養の深さにはため息がこぼれました。
 人を見抜き、導き、そしてその才能をその人自身に開花させるという、優れた君主の気風と知恵とを身に備えた「中宮定子」、その父「藤原道隆」のことももっと知りたくなりました。
 2013年の終わりを飾るにふさわしい本に出会えたことに感謝します。
 「はなとゆめ」。その時の、その人には、確かに「華」があり、「夢」という言葉を何よりも大切にされていました。
 
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
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No.1:
(5pt)

この本自身が『枕草子』であるかのよう

12年12月から13年10月に渡り,地方新聞紙で連載されていた作品を加筆修正しての書籍化.
清少納言と呼ばれた彼女の一人称,女言葉で綴られ,時に語りかけるようなそれは柔らかで,
彼女のというよりは,その視点から見た内裏の世界,そして人生を捧げたあるじとの物語です.

まず何より,主人公を上回る存在感,『華』の象徴としても描かれるその女性が魅力的で,
歌を介し,直接的な表現こそ少なめも,主従の関係を超えた強い信頼関係が印象に残ります.

また,すべての出来事が清少納言の見聞きによる体で語られるため,劇的な動きはあまりなく,
彼女の身にも降りかかる,政や権力争いとった男社会での話も,どこか淡々にも見えるのですが,
じわじわと迫る『外』の様子,それ以上に女には女の世界があることを強調しているかのようです.

その反面,自伝や回想に近い形式のためか,先を意識させる表現がたびたびあるのが気になり,
歌を詠み,それを説明しつつの流れも,必要なのは理解しながらも,少し冗長に感じることも….

とはいえ,『枕草子』が記される『紙』へと託された思い,あるじという大きな華に魅せられ,
自らもそれを受け取り,そして大きく咲いていく姿は,その散り際までも立派で美しく映ります.
そして終章,序章での語りを改めて繰り返し,あの有名な出だしをもって閉じられていく最後には,
手にしているこの本自身が『枕草子』であったかのような,そんなすてきな余韻さえ残してくれます.
はなとゆめ (単行本)Amazon書評・レビュー:はなとゆめ (単行本)より
4041106044

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