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サブマリン
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サブマリンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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家裁調査官の陣内(じんない)と武藤(むとう)、視覚障碍者(しょうがいしゃ)の永瀬(ながせ)、彼のパートナーの優子さんが登場する作品。『チルドレン』(2004年)の続篇で、単行本が2016年に刊行されました。 タイトルの〝サブマリン〟は、潜水艦のこと。と言っても、潜水艦そのものを指しているのではなく、胸の奥に潜む鬱屈した感情、長あこと引きずっている罪悪感といった意味合いで使われているのだと思います。 そう言えば、作中に〝潜水艦〟の言葉が入った次の文章がありました。 《彼の起こした事故は、(中略)姿が見えない時もどこか、視界の外に潜んでいる。水中の潜水艦の如く、そしてことあるたびに、急浮上し、■■■■に襲い掛かるのだ。》講談社文庫 p.264 ※ネタバレのおそれがあるため、個人名を■■■■の伏せ字としました。 白黒はっきりつけられない、かなり重たい話でしたね。交通事故の加害者、被害者が抱えているそれぞれの思い、どうにも割り切れない感情が描かれていて、やりきれない気持ちになりました。 そんな中、気分がすかっと晴れた印象的な文章がこれ。ジャズの巨星チャールズ・ミンガスのライブで、ローランド・カーク奏するテナーサックス・ソロの凄さ、その圧巻の演奏を描写した文章です。 《あの演奏を思い出してしまう。ソロで走り続ける彼のサックスの音は、そこら中を縦横無尽に飛び交う鳥のようで、誰かが捕まえようとするのをするすると、優雅に抜け、そのまま空を一気に上昇し、どこまで伸びるのかと皆が見つめている中、雲はおろか大気を越え、宇宙にまで突き抜けてしまい、観客は自分も宇宙に連れて行かれるような驚きで、声を上げずにはいられない。あの、湧き上がる歓声はまさにそのようだった。こんなところまで来た! という感動と痛快で、みなが笑っているのが想像できる。》文庫 p.184 ここで描き出されたローランド・カークのサックス・ソロの演奏。すごく聴いてみたくなりました。 | ||||
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娯楽小説としては十分に読ませる主人公たちだし、面白い読後感ではあるが、それだけ、のようにも感じる。 その理由は、主人公の上司、陣内のキャラクターを極立たせようと、すこし引き出し方や動かし方が、無理させているように、伝わってしまうことからくる何かに思える。 『チルドレン』にあった爽やかな新味は何処に隠れてしまったのか、残念。 本作は『チルドレン』の続編にあたるが、『チルドレン』を知らなくても、意識せずふつうに読める。 | ||||
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前作『チルドレン』の続編であり、家裁捜査官の陣内と武藤が事件を起こした少年たちと向き合う長編小説。前作よりも今作は、家裁捜査官の仕事の方にスポットが当たっている。 『チルドレン』を読んだ時のような気軽さで読み始めたため、全く毛色の違う雰囲気にまず驚いた。かなり重いテーマだったが伊坂さんのユーモア溢れる文章のおかげで、緩急を楽しみながらさくさくと読み進めることができた。 読んだ限りでは、タイトルの『サブマリン』は野球のアンダースローから取っているのかな、と思った。打者は捉えるのが難しく、誰もが出来る投法ではないこと。陣内さんの仕事への姿勢みたいだと思った。 そして、本書で一番考えさせられた「悪い人間なら命を奪っていいのか」という問題。 一般論で言えば、相手がどんな悪人であれ、司法以外のものが人を裁くようなことがあってはならないと思う。けれど、もし自分の大切な人を苦しめた人が少年法で守られたら、私はその時同じように言えるのだろうか。「刑罰じゃなく保護処分じゃ報われない」と憤らないだろうか。考えるのをやめたくなるけれど、自分の身に起こらないとは限らない。被害者にも、加害者家族にだってなり得る。 「唯一おまえたちが覚えておいたほうがいいのは」と指を一本立てた。夢を諦めるな、努力を忘れるな、人の嫌がることをするな、といった「教え」よりもとにかく、「相手の大事なものを蔑ろにするな、ってことだ」と。そして、「反対に、悪い奴らってのは、その誰かの大事なものを狙ってくるからな」 この言葉だけは忘れずに生きていきたい。 将来自分の子どもに勧めたい本。 | ||||
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とタイトルに書きましたように、ピントのずれたことを書いてしまいましたら、伊坂ファンの方申し訳ありません。 面白かったです。個性的な登場人物達、次々に判明する真実。少年犯罪についてのディテイル。だから面白かったんですよ。ただ……、キャラクターやストーリーなどはよくても、何か作品から醸し出されるものが、私には感じられなかった。女性作家を読むことが多いので、綿矢りささんの「熱」、小川洋子さんの「美意識」、瀬尾まいこさんの「陽だまりの暖かさ」、宮下奈都さんの「キンとした空気」みたいなものを感じなかったんです。 もっとも、これらの女性作家さんとは全く違う小説を書いておられるということは、重々承知しています。ですのであくまで好みの問題です。あまり役に立たないレビューですみません。これからも本当に面白かったといえる伊坂作品を探してみます。 | ||||
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簡単に言っちゃうと、何が悪で何が善かなんて誰にもハッキリとは分からないし、立場が変われば見方も変わるみたいな話なんだけど、そんなことは小3くらいで気付いてた。 だけど世の中には一方の話だけ聞いて簡単批判する奴らもいる。週刊誌報道を鵜呑みにして、その芸能人のSNSに火炎瓶を投げつける奴とか、そういう奴らに読んで気付いて欲しいけど、そういう奴らは小説なんか読まないだろ!! 誰かも言ってたけど、児童図書向けだと思う。 | ||||
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伏線になっている場面は、後の爽快な回収場面でいきてくるのでよいのですが、ただただ、ページを水増しするだけの為のような意味のない場面まで話を書いている気がしました。 そういうのは、その小説の世界観を広げるのではなく、読者にストレスをあたえるだけに思います。 もう少し完結にまとめる方がよかったかな。 | ||||
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今回もお馴染みのメンバーで、陣内の魅力を存分に感じることができ、 本当に面白かったです。 ただ、1/3の分量でもよかったのでは? 死神のときは、短編から長編の2作目はそこそこ楽しめましたが、 今回は間延び感がありました。 棚ぼた君、若林青年にあまり共感できなかったからかな。 | ||||
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私が好きな連続短編集「チルドレン」の続編だが本作は長編である。<天上天下唯我独尊>を絵に描いた様な陣内が主人公である点は同一だが。ただし、5つの短編間の構成の妙が鮮やかな「チルドレン」と比較して今一つの感が否めなかった。連続短編集と長編との違いもあると思うが、本作の構成が「straightforward」過ぎて、作者の持ち味である"語り口"の巧さが活かされていないのである。 もう1つの弱点は、本作が投げかけている社会的問題が、微妙かつ簡単に答えの出る問題ではないので、読後の爽快感が味わえない事である。家裁調査官という陣内の職業を活かした作品とも言えるが、元々スッキリとした解決がないだけに、陣内(あるいは作者)が導く結末には釈然としない読者が多いのではないか。そして、全編の細かいエピソードを全て丹念に拾うと、陣内が余りにもスーパー・マン過ぎて、(陣内が実は頭も切れる人情家である事を認めたとしても)元々の性格設定と乖離している印象を受けるのである。 一方、作者のサービス精神は健在である。上述した通り、本作のテーマはある重い社会的問題だと思うが、全編をユーモア・タッチで軽快に描き、読者を飽きさせない。また、「チルドレン」中の主要登場人物を再登場させている辺りもサービス精神の表れだろう。しかし、私も含め、作者のファンにとっては、そこそこ楽しめる作品に仕上がっていると思うが、本作で初めて作者に接する読者にとっては中途半端な作品と映るのではないか。そんな懸念が湧いてしまう残念な作品である。 | ||||
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いつもの伊坂作品のように面白いし安定のクオリティーを持っています。 しかし私は前作のチルドレンが大好きで期待をしすぎてしまいました。 | ||||
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主人公は、陣内。 職業は、家庭裁判所調査官。 「チルドレン」の続編。 ある青年が起こした交通事故をきっかけとし、 陣内と、その部下である武藤が調査を始める。 他にも、陣内の友人達や、 別の事件に関係し経過観察中の少年なども登場する。 全般のテーマは、少年犯罪や少年法に関するテーゼ。 過去に事故を起こし、10年経った現在も 悩み続ける青年も登場する。 比較的によく描かれるテーマではあるが、 陣内というキャラクターを通し描かれると、 また違った内容に見えてくる。 あくまで小説の中においては、陣内の行動が 周囲の人物に救いを与えることも多かった。 そういう意味では、エンターテイメント小説 であると言える。 しかし、若干、雑多な内容を盛り込みずぎ多様な感じがする。 話が飛ぶので、場面設定を理解するのに時間が 掛かることが多かった。 | ||||
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まさか「チルドレン」の続編が刊行されるとは。今まで読んだ青春小説の中でも上位に入るほど好きな作品だったので続編決定の情報を知った時すごく嬉しかったです。 12年の歳月を経ても陣内さんはやっぱり陣内さんでした(笑)一人を除き、「チルドレン」でお馴染みの面々も登場するので懐かしいなぁ~と思いながら一気読み。読了後、前作を読み返したくなりました。このゆるーい空気感好きだなぁ。 本作は家裁の内容がメインにくるため、「チルドレン」に比べてストーリーは重ためです。悪いことをした人間は殺しても罪にならないか?故意でなければ人を殺しても罪に問われないか?などなど、哲学的というか、いわゆる答えの出ない問題に真っ向からぶつかり、実際特に答えらしい答えが出ないまま終わるので前作のような爽快感は特になし。難しく重い問題を作者独特の軽やかさで書いています。なのでテーマに反して読後感が重くならないのは○。 バラバラの出来事をパズルのように繋げていく手法はこの作者の特徴ですが今回はちょっと繋がりが強引だったかも。 長編一本で読むには正直内容的に薄く感じたので本作単独では☆2。しかしもう一度陣内さんを始めとする「チルドレン」の面々に会えたのが嬉しかったのでファンとしての加点で☆3です。 そして前作既読のファンとしてはなにより気になる、とうとう最後まで出てこなかった一人の既存キャラ。文章を額面通りに受け取ればそういうことになるんですがそういうことなんですか…?続編を読んで早々、続編の続編が読みたくなりました。ひっくり返してください、伊坂先生(祈) | ||||
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伊坂好きの友人が先によんで「泣いた」と聞いた 新聞の書評はますますウキウキさせる高評価 死神の浮力で不完全燃焼のこころを抱えたままの私は今度こそはと多大な期待とともによんだ。 面白くならない 魅惑的な洒脱な会話も豊富な知識もただのうんちくと鼻につく始末。 なんなのだ、これは 自分の感性が老いたのか 伊坂についていけてない??? 自問自答しながらまだまだこれからと焦るように読んだが残り20ページを切っても奇跡は起こらなかった。 結局 スピンオフとさえ呼べない読後感だった。 (自分の中で)伊坂 もう終わったのかな。。。とつぶやきつつ ☆3つ以下はつけられないでいる自分がもどかしい。 | ||||
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陣内くんの続編が出るということで、楽しみにしていましたし、それなりに面白いです。ただ、読み終わってのこのもやもや感は何だろう? 風変りなキャラが出てきて、センスのいい会話があって、蘊蓄が少々スパイスされ、伏線がつながり意外なラストへ、いわゆるいつもの伊坂作品通り。でも、最近の作品には以前のいきいきとした躍動感が感じられません。伊坂作品というより、伊坂っぽい作品というべきか。 そういえば、続編も多いけど(死神、ギャング、殺し屋)全部一作目より出来が落ちてます。お手本をなぞった習字みたい。 マンネリ感を覚えているのは、ひょっとしたら読者より、作者自身だったりして。 | ||||
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少年犯罪に関わる家裁調査官という,聞き慣れない職業の二人が中心の物語ですが, その少年犯罪をはじめとし,法律や報道,ネットでの騒ぎ,さらには罰か更正かまで, 誰もが一度は見聞きし,考えるであろう,『身近』な題材を扱った約十二年ぶりの続篇. 多くの事件や少年に接してきた彼らでさえ,常に自問自答を重ねる様子が印象的で, この著者お得意の軽妙洒脱なやり取りが,時にミスマッチに思えることもありますが, 一人が見せる気ままな言動には,格好良さともどかしさが背中合わせに映って見えます. それは相手に,そして自分にも言い聞かせるようで,誰も知らない答えを探す姿に, 罪を犯した少年も,『更正』を果たした青年も,その部下らも不思議と彼に心を許し, そして我々も惹き付けられるのでしょう.(実際に近くに居ると面倒くさそうですが…) ただ,人や事件,最後の一コマなど,これまたお得意の『繋がり』に都合の良さも窺え, エンタメの部分とは思いながらも,狭い世界で物事がまとまりすぎのようにも感じました. | ||||
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