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死体泥棒



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【この小説が収録されている参考書籍】
死体泥棒

死体泥棒の評価: 4.50/5点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

珍しや、南米ミステリ

世界文学をリードする南米文学は、ミステリでも高水準を保っていた!
死体泥棒Amazon書評・レビュー:死体泥棒より
4151815511
No.1:
(5pt)

運命に見放されマジでヤバイけど肝心なのは「俺達は人殺しではない」って事、どうぞ。

ドイツでの評価が高くブラジル生まれでスイス在住の女流ミステリー作家という我が国には馴染みの薄い著者の期待の初紹介作です。本書で主人公「俺」が内心で頻繁につぶやく決め台詞「どうぞ」が耳に残って暫く離れなくなりましたね。まあ相手に馬鹿にされる可能性大ですから実際に日常会話で使ってみようとは絶対に思いませんが、いろんな悩みを脇に追いやって深刻に考え込ませずに心を気楽にしてくれるオモロイ言い回しだと思いますよね。
パラグアイ川で釣りをしていた俺は偶然にも自家用飛行機が墜落し川に突っ込むのを目撃してしまう。助けようとしたがパイロットの青年はすぐに息を引き取り、俺はつい出来心で機内にあったコカインと彼の私物を盗んで立ち去り警察に通報せずにそのまま放っておく。自分では冷静に行動したのだが相談した仲間の男がギャングと関った所為で莫大な借金を抱える羽目になり追い詰められた俺は一発逆転のある計画を思いつくのだった。
本書は最近のミステリーでは珍しく派手な殺人事件はなくて、事故死と自殺(多分)の二人の死があるくらいの地味目の物語なのですが、これだけの素材でも上手に料理してサスペンスを盛り上げ凄い勢いで頁を繰らせる著者の圧倒的な筆力には正直驚きまして強く感嘆させられましたね。まさに難解な謎はなくてもミステリーは書けるのだというお手本みたいな見事さで、また「死体泥棒」のクライマックス・シーンの息詰まるサスペンスは当事者がプロの犯罪者でなくズブの素人だったからこそ更に迫力を増す効果があったのでしょうね。あとがきに書かれている様にブラジルの国民性から正義を守る事に対してゆるゆるの部分はあるにしても、主人公の俺や恋人の警察官スラミータらの気持ちはよくわかりますし決して褒められはしないけれど彼らに同情して心底から応援したくなりますよね。本書の一番の良さは心理的に追い詰められて行く彼らの心情が強く伝わって来て、まるで我が事の様に「どうかこのマジでヤバイ大勝負を無事に切り抜けさせてください」と神に祈る気持ちにさせ半端でなくのめり込ませる迫真の臨場感でしょうね。この辺は(シチュエーションは全く異なりますが)最近読んだピエール・ルメートル氏の「天国でまた会おう」に似ていて、私としてはどちらの結末にも心から大満足でしたね。本書は考えればもの凄く甘いストーリーではあるのですが、主人公の俺にとって昔味わった辛いエピソードの記憶を克服させ、一時の浮気に走った魔性の女リータも都合良く姿を消して、お陰で二股愛を責められずに愛する女スラミータと幸せに暮らし、死んだ青年の母ドナ・ルーとの友情も失わずに済んで(きっとこれは何より彼女が心の奥で彼を本質的には悪人ではないと強く信じているからこそでしょう)彼は自分が本当に信じられない程に幸運な果報者なのだと肝に銘じながらまあ後は油断してヤバイ奴らと再び関ったりせずにまっとうに暮らして欲しいと思いますね。
死体泥棒Amazon書評・レビュー:死体泥棒より
4151815511

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