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江ノ島西浦写真館
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江ノ島西浦写真館の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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読み終わってから、感じることができる | ||||
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面白かったけど。 簡単に言うと、祖母の写真館を片付けるために訪れた難しい過去を抱えた孫娘が、その過程でイケメンと出会っていくつかの謎解きをすると共に過去とも向き合って行く。というようなお話。 はっきり言うと、この物語には善人がいない。素直な人がいない。過去も未来もなんだかどんよりとしている。登場人物の中に負の感情が溢れかえっていて辛い。 それで、終わり方がすっきりと未来に展望が開けるようなら良かったのだが、どうにもそうならなかった。いや、ある程度は解決したようだが。 読み終わって、なんだか人間の醜さばかりを見せつけられたようでげんなりした。もう少し無邪気なキャラクターがいればなんとなく救いになったと思うのだが・・・。 ちょっと暗い話が好き、あるいは写真が好きだという人はどうぞ。 | ||||
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「ビブリア古書堂の事件手帖」で知られる三上延の新作。「ビブリア」の方が一年以上刊行されない状態が続いている中 他社では新作を出すのかとあれこれと作家と出版社の事情を考えながら拝読 物語は2015年の1月、主人公の桂木繭が江ノ島にある亡き祖母・西浦富士子が最後の館主を務めた江ノ島西浦写真館を訪れる場面から始まる 写真館に遺された遺品の整理が目的で母親の奈々美と待ち合わせていた繭だったが、作家である奈々美から締め切りに追われているという理由で 一人で整理をするよう頼まれる羽目に。自分にカメラを与え、撮影を教えた祖母の事は好きだったし、大学でも途中まで写真科に通いながら 自分の写真が元が禍の種となった事でカメラを避けるようになった繭は不承不承引き受ける事に。写真館の二階のスタジオを整理しようとした繭は 未渡し写真と書かれた缶を見つける。一番上に置いてあった「真鳥昌和様」と書かれた袋を開けてみた繭だったが、中に入っていたのは 時代も違えば背景が江ノ島というだけで場所を移しているが若い男が一人で写っている四枚の写真であった。時代が違う筈の写真に写っていた男が 全く同じ顔をしていた事で永遠に年を取らない男なのかと奇妙に思う繭だったが、そこへ写真に写っていたのと同じ顔をした男が現れ うーん、微妙。栞子さんが古書に接して謎を解き明かすのと同様に写真という物に対する深い知識と鋭い観察眼を持ったヒロインが 写真に秘められた謎を解き明かすミステリという点では「ビブリア」と共通している部分も多い。というか物語のキーアイテムである写真に トラウマを持っているという点で「ん?こりゃ栞子と大輔の役割を一人で兼ねているのか?」とビブリアとの共通点の多さがまず目に付いた 物語の方は四話の短編による短編連作形式。中心となっているのは四枚の年代が全く違う筈の写真に同じ顔が写っている荒木飛呂彦みたいな男 真鳥昌和の秘密と、祖母に撮影を教えて貰いながらカメラに触れる事ができなくなった繭の過去や失った人間関係が軸となっている ミステリとしてはそれほどハズレでは無い。しっかりと写真撮影というアイテムを用いて、捻りの利いた謎解きを登場人物たちが織り成す ドラマの中に織り込んでおり、この辺りは「ビブリア」がミステリとしてよくできているのと同様、読者の期待を裏切らない出来となっている 登場人物たちの造形もラノベっぽくない、十分に一般文芸として通用するレベルで抑えが効いており、ラノベっぽいテンプレ系のキャラ造形が 苦手な方にも十分読めるかと 特に作家業を営む母親や写真家である祖母に接する中で、自分もクリエイターでありたいと望むようになってクリエイター気取りの「いきがり」が高じ 周りに敵を増やし過ぎ、最終的には掛け替えの無い幼馴染を自分が撮影した写真が元で失う羽目になった繭の苦い過去は基本的に良い人ばかりが 主人公となるラノベと違い、過ちを犯し、その事を後悔し続けているという苦味の利いたキャラ造形が独特で中々に興味深かった ただ、この繭の過去に関する話と、繭が江ノ島で出会った昌和の顔に秘められていた病院経営者で富豪である真鳥家の狂気に近い秘密という 二つの話が一冊の本に無理に押し込まれていた様な印象は拭いがたいと感じられた。どちらの話もよく出来ているし、真鳥家の狂気の中心にある 昌和の父親や祖父の考え方はゾッとさせられる物があるのだが、だからこそ逆に「どっちか一本に絞れなかったのか?」と惜しい物を感じた 二兎を追う物は一兎を得ず、とはよく言われる事だけど、まさに本作はその見本 技術のある作家さんだけに、良い物を書くのだけど、あれも書きたい、これも書きたいが過ぎて話の軸を一本に絞れなかったのかなあ、と 面白いだけに軸のブレが気になった一冊であった | ||||
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