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山ん中の獅見朋成雄



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山ん中の獅見朋成雄の評価: 3.62/5点 レビュー 21件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.62pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
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No.21:
(5pt)

流石、舞城王太郎、外れなし

主人公の青年がなぜか山で相撲や書道をするという世界観に前半は冗長な感じでしたが、別世界に入ってからはあれよあれよと物語が展開し、引き込まれていきました。キーワードを挙げると、たてがみ、パラレルワールド、女体盛り、食人と、訳がわからないように見えますが、物語はしっかり収まっており、40代後半のおじさんでも十分楽しむことができました。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.20:
(3pt)

暴走し発散する思考を無理矢理、作品世界に押し込めた印象がある

背中に馬のような鬣が生えている高校生の獅見朋成雄(しみともなるお)。

書道の師匠を殺害せんとした犯人を追い、山中の異空間(?)の村落へ彷徨い込んでしまうという、筒井康隆風の不条理系の物語。

陸上のオリンピック候補という成雄のキャラクター設定が、ストーリーにそれほど活かされていなかったりと、暴走し発散する思考を無理矢理、作品世界に押し込めた印象がある。舞城作品に慣れていなければ、途中で投げ出してしまうだろう。慣れていても終始つかみどころが見つからず、苦戦を強いられてしま津った。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.19:
(3pt)

舞城成長中?

アインデンティティの確立の話なのかな、と思っていたら、途中からカニバリズムネタが放り込まれ、一体これまでの話と何の関係が?とわからなくなっちゃったんですが、
「いいもんを追求するのに加減してどうするんや。加減なんて結局自己満足の発露やで」
「違う。節度を守ることこそが美や」
この会話でちょっとわかったような気がしました。
美を追求する上での「本能、直感」と「理性、節度」との相克。これは作者自身の創作における悩みを表してるんじゃないでしょうか。自然(山、獣)→本能。人→理性。本作において作者は「人でも獣でもなく」「成長の過程にある」成雄くんに自分を重ね、作家としての方針(アイデンティティ)を模索していたのかもしれません。
独特って言われてますが、実際は相当に先行作家の影響下にある作家ですからね。

全体の話をしますと、文章は舞城氏の割には落ち着いています。明らかにエンタメを捨てて純文学に走ってます。いつものドライブ感を求めて読む人には物足りないでしょう。真面目に書きたかったのはわかるんですが私としても読んでてあまり楽しくはなかったので、星三つということで。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.18:
(3pt)

「食」という暴力=快楽について。

文章のドライブ感という点では、舞城氏の他作の方が一気に読ませるスピード感がある。この世に暴力や悪が存在してしまうことのどうしようもなさを描いた素晴らしい作品を沢山モノにしてきた舞城氏だが、本作は「食」と「エロス」を通して人間という生き物を描こうとした作品だ。(「食」だって、人間が避けることのできない一つの暴力=快楽だ。)

 キャラクターの設定(例えば主人公が変わった名前で、背に鬣(たてがみ)が生えていること)など細部にあんまり必然を読み取れなかったことが個人的には残念。また、ネタバレになるので詳しく書けないが、主人公の「一線」の超え方はとても軽くって、そこに敢えてドラマや葛藤を込めないことで新しさを狙った点は分かるが、それ故にラストで描かれた「解放への疾走」も軽くなっちゃってる。

 以上の点で星は一つ削ったが、それでも作家の実験の意図は十分に伝わってくる作品だ。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.17:
(5pt)

ゆるく確かに結びつくさまざま

鬣、名字、殺人、ぼん、名前、トンネル掘り、山の中の馬、習字、うさぎ。
同じフレーム内に入りそうにないバラバラの絵柄のピースが
最後まで読むと何故かちゃんと同じフレームにはまってしまっているという不思議。
読後感がすごい。
読んでる途中は圧倒的なスピード感で物語が収束し、余韻はじんわり。
すぐにもう1回読みたくなる。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.16:
(4pt)

擬音キング降臨!

 しぞりりりりんに。しぞりりりりんに。
 さて、講談社ノベルスではこの言葉(呪文?)が帯になっていますね。
 ぱっと聞いての感想は「何これ分けわかんない」ですが、とにか本書での『擬音』の表現の仕方は目を見張るのもがあります。
 主人公の獅見朋成雄の一人称によって成り立つどこか狂った世界が、綿密に表現され、あなたも「舞城ワールド」に引きずり込まれることと思います…。
「しゅこりんき しゅこりんき しゅこりんき」
「しかしこ しかしこ しかしこ」
「しゆりんすちん しゆりんすちんしゆりんすちん」
 この音が気になった人は、読んでみることをオススメします。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.15:
(3pt)

髪は長い友達

『山ん中の獅見朋成雄』です。
従来の舞城作品は、純文学でありながら、ミステリー的な謎解きがあったりと、何らかのエンターテインメント的な楽しみ要素がかなり多く含有していたのですが。
本作品が含有率が違います。かなり純文学寄り、といっていいでしょう。
エンタメ的な楽しみを期待して読むと、全くワケワカランということになりそうです。
モヒ寛がやられたので犯人を捜す、的要素はありますけれども。
盆、とか、盛り込まれているアイディアは豊富なので、そこが楽しみどころともいえるのでしょうが。
最もシンプルなみどころは、足の速い主人公が変わるところでしょうか。
たてがみを剃り落とすことによって自分のアイデンティティと名前を失い、元には戻れなくなってしまう。
擬音語に特徴があります。毛を剃るシーンとか。
最後の読後感は良かったのですが、舞城の特色である、エンタメとしての面白さが少なく、難しかったので★3で。
山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)より
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No.14:
(3pt)

リズムとスタイルと、そして擬音

舞城さん作品はどの作品も水準以上のモノが多いです。しかし、「煙か土か食い物」を読んでしまった読者からは少し刺激が少なく感じてしまう事もあるかも知れません。
しかし、それでもなお、舞城さんにしか書けない小説で、独特のリズムと擬音に更なる鋭さを増しています。ですから、中毒性が高く、最後まで一気に読めます。ただし、導入部が今までの作品より大人しく感じましたので、今までの始まってすぐの、金鎚で頭を叩かれる様な、最初からのツカミは少し弱いかも知れません。
変わった、今までに無い物語をお求めの方に、文章のリズムに乗る事の快楽を得てみたい方にオススメいたします。
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No.13:
(5pt)

舞城節エロチシズムあふれる純文学

やっぱり舞城って、ただのぶっ飛び作家じゃなく、相当の筆力持ってる!と改めて感心した一作。擬音センスは宮沢賢二ばりに巧い。
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No.12:
(3pt)

おもしろいよ

真ん中辺りまで読んで、もう止めようかと思った所から急展開!
一気に読めちゃいましたが、どうなのこのシツコイ擬音語、やる気あんの?と思ちゃいました。おもろいけどね。
ヒトボンって女体盛りからの発想なの?福井にあるの、女体盛り?うまかったの?
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No.11:
(4pt)

舞城氏の作品に登場するヒロインが好きです。('-,_ω-`)プッ

不思議な世界観に溢れる作品だなぁと思いました。内容はというと、シミトモナルオとかいうありえない名前の少年が山ん中へ探索していって、不思議な集落を見つけて、その集落に住んでいる人たちと交流してくといった感じです。
モヒ寛とかいうおっさんの相棒と共に墨汁磨ったりするんですけど、その時の擬音が何とも印象的。まぁ特に意味はないのかもしれないけど。('-,_ω-`)プッ
終わり方もなんだかこれで終わりでいいんだろうかと疑問を持ってしまうような終わり方だし、だけど物語そのものが破綻しているわけでもなく、なんというか最初から最後まで捉え所のない作品でした。('-,_ω-`)プッ
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No.10:
(4pt)

鬣を持った青年の物語

舞城王太郎独特の擬音語とスピード感プラス世界観がこれでもかと発揮されて非常に面白い作品に仕上がっています。
・・・食を極めると人盆にたどり着くそうです。人盆って言うのは盆になるための人間であって人間で無い人間の上に乗せた人肉料理です。
主人公は何の罪の自覚も無く、それを勧められるがままに食し、ウマイと感じます。
物語の途中、村にたどり着いてからこれまでの作品の色がガラリと変わります。
一冊で二度ウマイ、と取るか、ちゃんと一貫性を持って書ききれよ、と思うかは人次第だと思いますが、僕は好きでした。
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No.9:
(3pt)

舞城のスタンス

 この作品は「千と千尋」のパロディだが、それは舞城のスタンスだ。既存のものを分解し、自分なりの解釈をつけてそれをぶちまけた小説を書いている。「暗闇の中で子供」ではレクター博士が出てくるし、「好き好き」は世界の中心で愛を叫ぶのパロディ、「みんな元気」の中のある短編はトトロがキーだった。 しかし、これは決してこの作者のマイナス面ではない。プラス面だ。 この作品は人間の罪、そして少年の成長に焦点を当てて描かれている。 特筆すべき点は、書道を音で表現している点。それだけ、この作者の才能を感じる。
山ん中の獅見朋成雄Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄より
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No.8:
(5pt)

人間とは

とても面白く一気に読みました。「煙か土か食べ物」「好き好き・・」を読み終えた時にも感動しましたが、また違う深い感動を覚えました。人と動物の違いは何か。欲望や情熱を追求し高めていったところに芸術や文化があるのだとすれば、お行儀良く美しく文化的に行えば、酒池肉林も人肉を食することさえも文化的でありうるのではないか・・。あらゆる常識やタブーやルールが意味を成さない世界で、淡々と全てを丸呑みにして自分らしくあることに拘って生きようとする少年。人間であるとは?罪とは?という問いかけに、とても熱い想いを感じました。
山ん中の獅見朋成雄Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄より
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No.7:
(4pt)

自我の境界を曖昧にする

人間でありながら、馬のような鬣を背中に持つその鬣は、主人公成雄が13歳になってすぐ発芽したが、もちろん父にも、祖父にも、祖父の祖父にも代々受け継がれている。獣のような鬣を気に病んでいた13歳が、オリンピックの引き抜きを断わり、山の中で書道の弟子になる書の奥深い世界をさ迷う成雄は、現実の境界を飛び越えた世界に足を踏み入れる獣の象徴である鬣を剃った成雄は、獣のように人を殺す人が人を盆にし、人を食す行為人間の自我は何を持って支えられているのか中途半端なプライドで世間に振り回されるのではなく、強烈な個性で捻じ伏せる主人公成雄が、芯から強く、獣を内に共存させて人間社会に降りてくる結末念仏のような文体に、密かに笑う
山ん中の獅見朋成雄Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄より
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No.6:
(4pt)

この本は長編小説のスタイルをとった禅の「公案」ですね。京極夏彦の「鉄鼠の檻」を読んだ直後に読めばすぐに思い至るはずです。公案には論理的なアプローチは通用しません。この本も論理的な思考によっては読み解けません。したがってこの本に対して「意味が分からない」という批判をするのは的外れです。わざと意味が分からないように書いているからです。この本を「公案」だと看破せずに、普通の小説だと思って読むと苦痛を味わうかもしれません。しかし理解した上で読めば作者の凄さが感じられるかと思います。
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No.5:
(4pt)

読むべし

 舞城作品のよさは、その濃密な独特の文章と予断をゆるさない非情なまでのストーリー展開である。本書もその例にもれない。この薄い本の持つパワーは、巨大だ。閉鎖的な場を舞台にしながら、驚くほどの空間的広さを感じる。疾走感と奇妙なガジェットがあわさり、まるでディックの悪夢世界だ。どうのこうのいってもはじまらない。とにかく読むべし。クラクラすること間違いなしである。
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No.4:
(2pt)

千と千尋+美味しんぼ

舞城ファンとしては……他の作品と比べてパワーダウンしているような気がしました。ミステリーにも徹しきれず、奇譚にも徹しきれず、『美味しんぼ』のような食文化論も今ひとつ……。お上品なところを狙ったのでしょうが、もっと猥雑な方が舞城らしくていいと思います。
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No.3:
(4pt)

もしかしたら隣にある別の世界

今までの作品と比べると「こっち側」に降りてきてくれた(?)感のある装丁で帯の文句や書き出しなんかも一見とっつきやすく、この本から舞城ワールドに入っていくのはいいかも。どんなに非凡な設定、ありえな~い人物が登場しても、結構すんなり、「私でもそうかも」と思えてくる不思議。あいかわらずかっこいい福井弁!変わってるけどちょっといい友情。きっちりカタルシスを与えてくれます。
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4062121131
No.2:
(2pt)

千と千尋のパロディ

ミステリから純文学へと越境を開始した舞城王太郎の「純文」作品。背中に鬣(たてがみ)を持つ異形の主人公、獅見朋成雄。成雄は友人?のモヒ寛を殺害しようとした犯人を見つけようと山に潜むが、謎の男を追ううちに杉のトンネルを潜り抜けて見たこともない村にたどり着く。そこで成雄は鬣を剃られ、苗字を失って、屋敷の風呂番として働くようになるが、屋敷で見たのはなんとも奇妙な風習だった…この作品は、未成熟な主人公が、異界に行き、成長して還るという、典型的な「行きて帰りし物語」(大塚英志『物語の体操』)で、意図したものかどうかわからないが『千と千尋の神隠し』のパロディになっている。パロディであることの是非はともかく、物語は薄っぺらい。著者には妙に倫理的なところがあって、最近、この時代に生きる倫理を問うような作品を立て続けに発表しているが、どれも倫理観が空回りしている。本書も同じで、物語が倫理を語るための具にされているようで、人物や事物の描写に愛情がなく、読むのが辛くなるほど味の薄い文章が続く。人物の内面の変化もよくわからない。主人公の迷いや決断のようなものが説得力をもって伝わるかたちで表現されないので、物語が平板な印象を受ける。結局主人公が成長したのかどうかもわからないし、カタルシスもない。著者の想像力も、『千と千尋』に多くを負うもので、評価はできない。また、中途半端に展開されている「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマも、社会的には無意味。そういう問いかけが出ない社会をつくるにはどうしたらいいのかと!いうテーマの方が建設的だ。世の中の残酷さを描きたかったのかも知れないが、それも中途半端。結局何をしたいのか、一体誰を対象に書いたのか、不思議な作品。現代文学の最先端なのだろうが、その先端は袋小路であることを認識させる。次回作に期待。
山ん中の獅見朋成雄Amazon書評・レビュー:山ん中の獅見朋成雄より
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