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山ん中の獅見朋成雄
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山ん中の獅見朋成雄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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舞城ファンとしては……他の作品と比べてパワーダウンしているような気がしました。ミステリーにも徹しきれず、奇譚にも徹しきれず、『美味しんぼ』のような食文化論も今ひとつ……。お上品なところを狙ったのでしょうが、もっと猥雑な方が舞城らしくていいと思います。 | ||||
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ミステリから純文学へと越境を開始した舞城王太郎の「純文」作品。背中に鬣(たてがみ)を持つ異形の主人公、獅見朋成雄。成雄は友人?のモヒ寛を殺害しようとした犯人を見つけようと山に潜むが、謎の男を追ううちに杉のトンネルを潜り抜けて見たこともない村にたどり着く。そこで成雄は鬣を剃られ、苗字を失って、屋敷の風呂番として働くようになるが、屋敷で見たのはなんとも奇妙な風習だった…この作品は、未成熟な主人公が、異界に行き、成長して還るという、典型的な「行きて帰りし物語」(大塚英志『物語の体操』)で、意図したものかどうかわからないが『千と千尋の神隠し』のパロディになっている。パロディであることの是非はともかく、物語は薄っぺらい。著者には妙に倫理的なところがあって、最近、この時代に生きる倫理を問うような作品を立て続けに発表しているが、どれも倫理観が空回りしている。本書も同じで、物語が倫理を語るための具にされているようで、人物や事物の描写に愛情がなく、読むのが辛くなるほど味の薄い文章が続く。人物の内面の変化もよくわからない。主人公の迷いや決断のようなものが説得力をもって伝わるかたちで表現されないので、物語が平板な印象を受ける。結局主人公が成長したのかどうかもわからないし、カタルシスもない。著者の想像力も、『千と千尋』に多くを負うもので、評価はできない。また、中途半端に展開されている「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマも、社会的には無意味。そういう問いかけが出ない社会をつくるにはどうしたらいいのかと!いうテーマの方が建設的だ。世の中の残酷さを描きたかったのかも知れないが、それも中途半端。結局何をしたいのか、一体誰を対象に書いたのか、不思議な作品。現代文学の最先端なのだろうが、その先端は袋小路であることを認識させる。次回作に期待。 | ||||
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