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日蝕
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日蝕の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.11pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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| 著者の作品を読んだのはこれが初めてで、 擬古文というものにも慣れていなかったため、 はじめのうちは何と読み辛い本だと思いましたが、 作品の「神聖」な内容と擬古文が相まって、 徐々にその世界観に呑まれていきました。 作中の歴史的な背景や、 哲学的なテーマが伝えんとすることは よく分かりませんが、 「日蝕」と「一月物語」に 共通して語られる主人公の鮮烈な「体験」の描写が、 個人的には大変印象的でした。 著者の言葉を借りて表現すれば、 世界を見ている私自身が、同時にその一部であるような感覚 を、私も人生で一度体験した記憶がありますが、 いまだにあれはなんだったのかと思い返すことがあります。 この2作品の特殊な世界観を通して、 真っ先に思い出したのはその時のことで、 主人公たちの奇妙な世界を追体験するような感覚で両作を読み進みました。 個人的に難解な部分はありましたが、 それ以上に非常に印象に残る作品で、 著者の他の作品にも手を出してみようと思えました。 | ||||
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| 読み始めからびっくりする絢爛な文章。 日本語の表現。 酷評もありますが私は単純にすごいと思ったし、 この時代にこれだけの作家はなかなか現れないと感じました。 確かに難しいです。 両性具有についても理解に時間がかかった。 「文学」としての芸術品です。 他の人のレビューにあるように 思想から入っていますね。 頭のいい人だなという印象があります。 テレビで見てても 知的な顔つきをしてる。 読んでおいて損はない作品です。 | ||||
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| 著者のことが気になり出したのは、梅田望夫氏との対論であるウェブ人間論を読んで以来である。あくまで肯定的にインターネット・テクノロジーがもたらす社会の展望を語る梅田氏に対して、テクノロジーの恩恵を認めつつ、どうもそれに警戒感を捨てきれないらしい著者が、葛藤しながら言葉を紡ぐ様が妙に人間臭く印象に残っていたのだ。 で、そのウェブ人間論から遡ること約8年前に上梓された著者のデビュー作である。高潔な文体と筆運びの巧みさに打ちのめされると同時に、はぁなるほど、と変に納得させられた。すなわち、テーマはまるで異なるこの「日蝕」と先の「ウェブ人間論」が、自分の中で明確な一線で繋がったような気がしたからである。 やや独断になることを恐れずに言えば、著者の関心は一貫して、合理的な秩序を超えた世界にある。ただしこれは単純なオカルト志向とは趣が異なる。おそらく著者が拘っているのは、人間が合理化を徹底することによって、逆に非合理の世界を際立たせてしまうという過程なのではないか。だからこそ著者は、「合理的」な自然科学者のピェェルが両性具有者と交わる様を描くのであり、また世界の全てを「合理的」にデータベース化して検索可能にするgoogleのやり方に、薄気味の悪さを覚えてしまうのだ。 この小説に何か人生訓的なテーマを読み取ろうとするのはナンセンスだ。著者は単に彼の想うところの「非合理的な世界」の存在を、彼独自の美意識において提示したかっただけなのだ。擬古文の使用や、錬金術や魔女狩りといったモチーフは全てそのための手段と考えて良いと思う。然して、その印象は鮮烈なもので、その試みは大いに成功していると思う。 | ||||
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| 文学会に切り込む気負いと硬さは感じるが、読み方によっては堀田善衛を連想させるような非常に美しい文体であり、近代純文学に対する作者の親しみと愛情を感じる。 読み始めは純文学へのオマージュ的なものかと思ったのだが、読み進めるうちに徐々にそういう穿った見方は蒸留されてゆき、美しいものだけが残った。 初期の習作としての要素も強いが、ひとつの到達点としても屹立している。 これ以降の平野作品もすぐれたものが多いが、日蝕のインパクトは忘れがたい。 | ||||
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| この作品は著者のデビュー作であり、また芥川賞受賞作でもあります。読了後、最初に感じたことは、大学在学中にかかれたにしては随分と良くできているということでした。作品が生まれるまでの経緯だけでも異色作と言えるかもしれませんが、内容は重厚なテーマから丁寧な文章まで、新人っぽさをほとんど感じさせません。他にもだんだんと語り手の気分が高まっていくところでいきなり見開き真っ白のページを用意した事は、今までに類を見ない視覚を重視した技法で感心してしまいました。語り手を通してのキリスト教や教会、信仰の腐敗に関する著者の哲学的な考察にも頷かされます。よく調べて書いているという事も文章全体からくみ取れます。 しかし、他のレビューアーの方の意見を見て頂くと分かるように、激賞している人と酷評している人とで随分と差があるようです。読んでみると、これらの原因はたぶん作品内の硬質な文体にあると思います。三島由紀夫に似た、擬古文調の文体は難読文字や常用範囲外の漢字が頻出してなれていなければかなり読みにくいです。激賞か酷評かというのはこの文体を単なる著者の知識の披露ととらえるか、作品の設定上必要な物と考えるかで変わってくるのでしょう。文体を抜きにすればなかなか良くできた作品という感じがするのですが、そういった意見もうなずけない訳ではありません。学問的な物は御免だという方にはあまり向かないかな、とそう思います。 | ||||
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| 「無」について書こうと思うならどうすればよいか。何も書かなければそれが「無」なわけで、そもそも何を書く必要もないじゃないか。文学に限らず芸術には常にこの問題が付いて回る。真っ白な画用紙が一番美しいのである。 文体や漢字の選び方について意見がわかれるようだが、あまり大きな問題では無い気がする。大事なのは設定の在り方ではないか。この時代を描くことによって作者は世界をある形に限定してみせた。創作とは「限定」することなわけで、この世界観には充分な必然性があると思う。錬金術や宗教といったモチーフが物語の中でどのように機能しているのかを考えると、現代を舞台に同じテーマを扱うのは難しかったのではないか。では、そもそも作者が書きたかった事とは・・・。 主題への取り組み方に真摯なものを感じる良い小説だと思う。 | ||||
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| 平野氏が「三島由紀夫の再来」というのは、その才能としてはその通りなのですが、書いているものは平野氏と三島由紀夫とでは全く持って違います。 戦中・戦後派の作家には多いですが、三島作品が退廃的ニヒリズムを基盤に有しているとしたら、その一世代後の現代に生きる平野氏は、そこから再び聖性を取り戻す・呼び覚ますということをテーマに、このデビュー作『日蝕』から既に作品を書いています。 この『日蝕』は、ストーリー構成としても面白く、哲学的思考で満たされ、登場人物の些細な心情描写も富んでおり、正に傑作です。また、良い意味で、村上春樹、ホーソーン、カミュなどからの影響を感じました。この作品を読めば、閉塞した精神生活が続く現代社会において、そこを切り開く美しい光が見えることは確実です。 私は、一年前はこの作品が読めませんでした。ひとつには、この懐古的文章に不慣れであったことと、もうひとつは、二十三歳でこの作品を書いたという平野氏に対する先入的嫉妬からでした。しかし、今ではこういった文章も読めるようになり、また、今回の再読にあたり、平野氏に対する幼稚な妬みを感じずに、読者として中立的に読むように心掛けました。そうしたら、なんと素晴らしいことか!・・・皆さんも是非、無駄なジェラシーを捨てて平野氏を評価してあげてみてください。彼は天才です。 | ||||
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| 文学界での高評価と京都大学法学部在学中と言う話題性、擬古文を用いた斬新感。 そのすべてを逆手に取られて、世間からはひがまれている、かわいそうな作者である。 しかしやはりただ者ではないのだろう。 深淵な内容であるにもかかわらず非常に読みやすく、どんどんと引き込まれる。 筆力は半端ではないのだと思う。 ストーリーは、キリスト教的なバックグランドを勉強してからのぞめば、かなり楽しく、知識もより深いものになっていく。 試しに、『錬金術』という言葉を百科事典等で調べて頂くとよいと思う。 いろいろ繰り返していくうちに、歴史感覚を無意識に養うことが出来るだろう。 | ||||
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| この作品は読み進めるには大変難しいです。文系で、世界史を学んだ方しか分からないのではないか?とさえ思われるかもしれません。 しかし、現代よく出版される本は非常に読み応えに欠けると思いますし、感動する話とは誰かがどうしようもない病気で亡くなったりという展開で涙を誘うものが多いです。 それに比べ、この作品での常用漢字外の表現法も歴史上の出来事の重みをだすことに一役買っていると思いますし、 宗教、錬金術など非科学的なものについて言及するという作品は少ないです。 何も考えずに読むのであれば、面白くないのですが、理系の私などは知らない世界に魅了され大変勉強になった作品です。 文学とは単に面白い面白くないという一言であつかえる学問ではないのだと、身にしみました。 | ||||
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| 平野は衒学者でかなりのナルシストだが、許せる。 山田詠美の後に平野を読むと大笑いしてしまうが、作者は少なくとも、頑張って書いている。文化庁から派遣されて仏国へ行ったそうだ。 平野はどういった批評家に受けて芥川賞を受賞したんだろうか。 浅田彰か?高橋源一郎か?兎に角、活字中毒者である私は彼の文体を好んでしまうので、悪評はおそらくこういう文体に「疲れ」を感じてしまう人間の「嫉妬」か「浅はかな拒絶」だろう。 私は本屋で書店員をしているが、店長曰く 「平野は全然うれてねー。」である。 読む人を選ぶ作者なので、マゾヒストは不快感を味わう為に一読するのも良いだろう。 ちなみに、ストーリーは全く面白くない。 純文学でもなく、レトリック辞典や漢検辞書を捲りまくって必死になった大学生の幻想文学と言える。 平野よ、お前は冨樫義博を読め。 一部の批評家から関心を惹くだけでは、お前が狙うノーベル賞は絶対に取れないぜ? | ||||
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| セックス、ドラッグ、自殺といったテーマを扱えば、「現代人の喪失を描いた」などと評されて人気作家になれそうな今のご時世で、その一つも登場させていないという点で好感が持てる。難解な漢字とルビの多様は、確かにやりすぎだと言えなくもないが、ここまで徹底していると、これも作者の表現方法の一つなのだと納得がいく。漢字の形ってこんなに美しかったのか、と、ページを眺めながら改めて思わされた。錬金術や異端審問など、オカルト小説みたいだ、と非難する声もあるが、中世キリスト教史をかじっている者からすると、むしろ、作者の時代考証の綿密さに驚かざるを得ない。言葉の使い方、言い回しも、ちょっとがんばりすぎた感もするが、さらさらっと軽く書いたのではない、丁寧さが伝わる。ストーリーも同様。淡々、ひたひたと進んでいくが、きちんと計算されていて、最後のクライマックスで「ああーー、そうだったのか!!」と、それまで読んできた意味が初めて明かされたような、目からうろこのような感覚に襲われた。まじめにまじめに、時間をかけてじっくり書き上げた、一つの「作品」だと感じた。 | ||||
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| 正直、読めない漢字がかなりありましたが、 読めなくても美しい情景描写が伝わってくるのは、 漢字ならではだと思いました。 前半は淡々と物語りは進んでいきますが、 4割ぐらいのところからは急展開、夢中になって読んでしまいました。 オカルト嫌いの人は良さが分からないかも、、、。 | ||||
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| 最初の1ページだけで一日目は終わった。 僕は級友と共に同じ本を読み、感想を語り合っていたが、出てくる言葉は皆「難しい」という言葉ばかりで、内容をあまり語ったことはなかった。 しかしその文体の中には、広大な世界が広がっていたことを気付かされた。 大学生でこのような文章を書き、最年少で芥川賞受賞の彼は、私たちとはまるで異世界にいるような感覚に襲われる。 特に両性具有者のところでそれを感じた。 これからに期待したい作家である。 | ||||
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| この本は私の精神安定剤だ。 これが無いと生きていけない。 極論を言えば、平野啓一郎氏の文体が無いと生きていけない……と叫びたくなるほどに『日蝕』は私の心をわしづかみにしている。 装飾的な文体でありながら一切の無駄が無い……加えて、内容も美しくて、美しすぎて泣けてくる。 特に、錬金術師と両性具有者の洞窟のシーンは何度も読み返したくらいオルガスムを感じた。 だって、だって、だって! 本当に美しいのだもの。 | ||||
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| 評価が低いようですが、私はこの作品に衝撃を受けました。 15世紀ヨーロッパにつていは、興味もなく知識も無かったけれど、 何故か物語りにスッと入っていけました。 その理由として、主人公やそれを取り巻く登場人物が、とても印象的だった事が挙げられます。 とりわけ、唖で知的障害のある少年の描写には息をのむものがありました。 文体は、確かに読みづらい感じもしましたが、慣れると気になりませんでした。 是非もう一度、じっくり読み返してみたい傑作だと思います。 | ||||
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| 小さな閉じた世界を描く、という手法は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の「世界の終わり」に対する描写に通じるものがあると思った。 湿ったような乾いたような世界は不快なようで心地よかった。 小難しい文体が飽きさせないのだと思う。 | ||||
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