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流
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流の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 41~60 3/6ページ
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ストーリーは仁義なき戦いの劣化版。 ただ文章でそのストーリーや世界観を描かれていて、読み応えあった。 | ||||
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冒頭の場面は唐突だ。荒涼たる中国大陸・山東省で、読者にとっては一体誰だか分からない主人公が、強烈な便意をもよおして中国のいわゆる「ニーハオトイレ」でしゃがみ込む。描かれる大陸的風景と人物、そして清潔とは対極の描写。作者の強烈な宣言が聞こえるようだ。これは、きれいな話なんかじゃない。人間がぶつかり合い、せめぎ合い、汗も血もにおいも伴う物語なんだと。ついてくる気がないのならば、最初からお断りだ、と。 物語の中心は、50年代後半生まれの主人公が過ごす台北だ。祖父の死を探る、というミステリーが軸にはあるものの、それは全体の舞台回しに過ぎない。まだアジアがずっとずっと熱かった時代、人々が理性や情報の洪水よりも、もっと身近な人たちとのぶつかり合いの中に生きていた人生を、青春を、恋を描く大河小説が展開される。主人公は替え玉受験の替え玉役になったことがバレて進学校を退学になり、レールから外れる。幼なじみはやくざの舎弟になり、家族はそれぞれに欠点や秘密を抱える。今風に言えばみんな負け組なのかも知れないが、その一刻一刻を真剣に生きる感情は本物だ。 台湾出身の作者は5歳で日本へ渡ったというから、自伝的小説ではないのだろう。だが、それでもこの青春から大人になるまでの台湾と時代とを描き出す丁寧さ、虚実が入り交じる世界なのに圧倒的なリアルさを描き出す筆致は、自らの経験もふんだんに託した「生涯一度きりの作品」という思いが伝わってくる。 台湾、あるいは中国に触れたことのある人は、ある趣の郷愁を抱くかも知れない。本書から吹き出てくる熱さは、もう今日となっては現地からですら失われながらも、一方でその名残を現地の人たちが今も語りたがる世界だからだ。中でも、色濃く残るのは国民党と共産党、そして日本軍が戦っていたあの戦争の記憶だ。祖父の死にからむミステリーも戦争に行き着くのだが、老人たちはその憎しみをもちろん抱きつつも、「あの戦争はガキの喧嘩みたいだった」と付き合う「大人のすべ」も身につけている。 本書は2015年の直木賞を受賞した。日本社会がほとんど忘れかけていた時代の台湾を描いた小説が、こんにち選考委員の圧倒的な支持を受けたという事実。それは、熱い時代のことなど忘れたこの近隣地域の指導者たちが幼稚とも思える態度でいがみ合うばからしさに、フィクションであるはずの本書がむしろ真実性をつきつけたからでは、とも思える。文庫版の帯は「20年に1度の傑作」と北方謙三氏の評をひいた。人を選ぶけれど、その言葉に恥じない本だ。 | ||||
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台湾が舞台となる青春小説で、中国で無法な生き方をしていた祖父の非業の死を底辺に据えながら、主人公の賑やかでほろ苦い青春の日々が描かれる。登場人物の名前が憶えられずに最初は苦労したが、文庫には登場人物を一覧できる紙片が付いていたのでなんとか読み進めることができ、途中からは読めない漢字名が気にならなくなった。本書で描かれている台湾の人たちの、乱暴だが愛情深い日常生活は、勿論体験したことは無いが、何か懐かしい感じを受けた。騒々しく、エネルギーにあふれ、心に残る小説である。 | ||||
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どちらかの道を選択したら、他の人生を歩むことはできない。 どっちを選んでも後悔はつきもの。 だったら、さっさと決断して後悔すればいい。 そして素早く立ち直り、前を向いて歩いてゆけばいい。 あの時は、ああするしかなかったんだから。 あの時、~していればとか、~だったらなら、なんていうのは戯言でしかない。 男子たるもの、命を懸けなければならない、負けられない時がある。 ジタバタしてもしなくても、同じように時は移ろいゆくものだが、自力で頑張った者には、“神のお知らせ”という他力が来る。 彼奴が~、彼奴だけは~、憎しみは何も生まないばかりか、相手を呪う貴方に良くないことが起きる(人を呪わば穴二つ)。 幸せは誰かが運んでくれるものじゃないが、自分一人だけの力では幸運を売ること能わず。 人って誰かに守られたり、守ったりして生きている。 | ||||
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2年前に圧倒的な支持を得て直木賞を受賞して以来、この本を読みたいと思っていた。丁度文庫化されたのを機に読んだ。主人公(「私」) 葉秋生は、祖父が本土から台湾に移って来た外省人。この祖父は、日中戦争時、日本軍に仕えたという一家を皆殺しにしたという前科を 持っている。この、祖父が戦後何年もたって台湾で惨殺されることで、葉秋生の復讐劇と、祖父や自分の一家のルーツ探しが始まる。 猥雑なまでに騒然とし、エネルギーが溢れた街台北。そこで成長する葉秋生の波乱の人生が、この作品のメインテーマである。私は、この本を 読んで、てっきりこれは作者の私小説的作品だと思い込んでしまったが、どうもそうではないらしい。いや、それほど、物語に嘘を感じない 迫力にあふれた作品である。祖父を殺した犯人探しという大きな幹を持っているから、物語としても結構面白いのだが、登場してくる 中国人、台湾人の躍動的で圧倒的なキャラクターの数々には魅かれてしまう。結構ハチャメチャな青春時代を送る葉秋生だが、どこか抜けて いて、また友人たちもそんな奴ばかりで憎めない。当時、日中戦争、それに続く中国人同士の内乱ともいえる、国民党と共産軍の争いも かなり凄惨なものであったことに触れながら、中国人らしい大きさと鷹揚さでそれを乗り越えていく逞しさ。テーマの深刻さとは裏腹に、 青春コメディを見ているかのような、面白さ。直木賞を圧倒的な支持で獲得したことも十分納得できる。 | ||||
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読書の大きな楽しみの一つは、未体験の時代、場所の空気を追体験出来る事だと思う。どこか翻訳ものを感じさせてくれる湿り気のないテンポのある文章が小気味よく、行った事のない台湾の色彩溢れる喧噪を感じさせてくれた。中国本土のイエローグレーのどこまでも続く大地もまた。 大陸に生きた人々の死生観や家族に対する考え方は、おおらかでありながら、激しく、圧倒させられる。時代に翻弄されざるを得ない人間の生の営みは哀しく、滑稽だ。流血の喧嘩沙汰、恋愛、祖父の死、軍隊生活、盛りだくさんのテーマが、戦争体験から台湾に逃れてきた老人、ヤクザの兄貴分、個性的な叔父、叔母、そしてマオマオ、魅力的で個性あふれる登場人物によって最終章まで飽きる事なく運んでくれる。おもしろかったぁ! | ||||
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台湾在住の17歳の学生であるわたし、葉 秋生(イエ チョウ シェン)にとって、その年、1975年は特別な年となった。 台湾の総統、蔣介石が亡くなり、その翌月に慕っていた、祖父、葉 尊鱗(イエ ヅゥン リン)が何者かに殺されたのだ…。 殺人事件が起き、その犯人を主人公の秋生が追い求めるという展開から、一種のミステリではあるのですが、内容は、それに留まらず、秋生が体験する様々なエピソードが積み重なっています。 ジャンルは何か、と問われれば、「青春小説」というのが適切ではないかと思います。 この作品の面白いところは、秋生の体験、それぞれが、魅力的な人物に囲まれて、独特な輝きを持っているところでしょう。 彼の行動自体も、台湾内に留まらず、日本へ行ったり、遂には、かつて祖父が戦争で戦った、中国大陸まで足を延ばすことになります。 題名の「流」。 その意味するところを考えてみると、ひとつは、「時の流れ」ではないかと思います。 青春時代は短いけれど、大人へと成長する中で、様々な体験をする大切な時期です。 この青春という時の流れは、ひとつのテーマになっているのではないでしょうか。 次に、「人と人の流れ」です。 秋生は、その青春を過ごす中で、いろいろな人物と出会い、様々な体験をしていきます。 この人的交流もこの作品のひとつのテーマであると思います。 本作品は、青春小説だと、先述しましたが、通常の青春小説に比べ、スケール観が違います。 一種の大河小説的な意味合いもあると思います。 この秋生の青春に身を委ねてみるのも、楽しい読書体験になるのではないか、と感じています。 | ||||
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やたらと難しい表現や台湾人の名前と台湾の地名などで導入部の50ページくらいは読むのに苦労をした。それ以降は普通に没頭出来て非常に面白かった。しかし、国民党と共産党の残虐行為以上に帝国主義時代の日本の行為にはあまりにも説明が足りなかったのではないか、若干触れて欲しかった。台湾育ちと言う背景が意味なく思えたのも事実だ。でも、作品としてはとても良かった。 | ||||
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初めにaudibleで聞いた時に発音される登場人物の名前が耳に心地よく物語に引き込まれる一因に感じた。単行本を手に取ったところ名前にルビがなく耳障りの良さが再体験できず。そう感じた方が多かったのだろう。本日店頭に並んでいるのを見かけて購入したが名前には全てルビが振ってあるようでこれから読むのが楽しみです。 | ||||
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確かに人名の読み方には苦労しましたが、内容はとても面白かったです。 | ||||
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評判の良い直木賞受賞作なので読んでみました。 とても面白い小説だと思います。 歴史に翻弄された台湾の人たちの苦難が感じられる良書です。 | ||||
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ホイホイ全体にゴキブリがびっしりとたかっていた。しかも、幾重にも。おい、割りこむんじゃねえ。気の荒いゴキブリどもは前のやつらを押しのけ、蹴り落とし、なんとかなかへ入ろうと躍起になっていた。俺たちは昨日の夜からならんでるんだぞ!(略)ゴキブリたちがホイホイを押しはじめた。ホイホイの窓からも黒いギザギザの肢が何本も突き出され、まるでケンブリッジ大学のボート部のようにホイホイを漕ぎ進んだ。(略)祖母はゴキブリが腕に這い上がるのもかまわずに、私が仕掛けた四つのホイホイを回収して回った。全部まとめて庭の一斗缶に放り込むと、台所から料理用のサラダ油を取ってきてドバドバとかけた。一体何事かと鶏たちがあつまってきた。マッチをする祖母の顔には、映画に出てくる殺し屋のような冷笑が浮かんでいた。 「大徳は閑を超えず、小徳は出入してかなりってやつよ」「…………」「孔子の言葉だっけ?大事なことをちゃんとしてれば、小さいことは多少踏みはずしたっていいってこと。孔子のお弟子さんの言葉だったかも。とにかく真理だわ」「『論語』なんか読んだの?」「自分に都合のいいところだけね。さあ、いこ」 わたしたちは魚なのだ。だから、どんなに泣いても、涙なんか見えるはずもない。彼女の涙は流れ落ちる間もなく、水に洗われてゆく。それをわたしはずっと見て見ぬふりをしてきたのだ。 | ||||
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青春小説であり、祖父殺しの犯人捜しというミステリーの要素もある。 そして、台湾および中国の複雑な歴史と内情(本省人と外省人、国民党と共産党など)が織り込まれ、歴史認識についても考えさせられた。 | ||||
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文字への引き込み方が凄まじいです。 あまり内容を書きすぎるとネタバレになりますので書けませんが、 これは読んでおいて損はないです。本好きでよかったと思える1冊。 | ||||
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一挙に本の中の世界に入っていけました。笑いあり、涙ありです。 この本があまりにも面白かったので、彼のほかの作品を読むのがこわいくらいです。 | ||||
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戒厳令の敷かれた70~80年代の台湾に生きた外省人の青年・葉秋生の物語。高校時代のある午後、抗日戦争と国共内戦すら生き抜いた不死身の祖父・葉尊麟が、自宅の浴槽に沈められ殺されていた。多くの青少年と同じように、人生に戸惑いながらも葉秋生は成長していき、退学・ヤクザとのやり合い・軍隊生活など多くの経験をし、大人になっていく。そしてある日、大陸から送られてきた一葉の写真を目にした葉秋生は、大陸へ渡航し、祖父の死の謎を明かにすることに決心したのであった。黄土がどこまでも続く山東省の大地に潜んでいるのは、抗日戦争の時代から50年も連綿と続いた、人々の憎しみの連鎖だった。 直木賞受賞作だから、すらすらと読み進められる文章になっている。鬼神や殺人・謎解き・推理など大衆小説的な要素も含まれている。それらの要素によって、作品世界の現実味が少し損ねられてはいるが、戦争の歴史と戒厳時代の台湾社会に対する描写は、一方、真に迫るものがある。激動の時代に翻弄され、あえなく死に逝った者と、生き残った者。両者をまつわる断ち切れない憎しみの連鎖、人間の愚かしさと愛おしさ、そして戦争の無意味さと不条理さ。それらの要素を、一人の青年の青春、一つの家族の系譜、ないしは二つの政党の争いの歴史を通して鮮烈に描き抜いた作品である。タイトルの「流」は、流れる歴史の大河と、時代に翻弄されて流転する人間と万物を意味しているだろう。 | ||||
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まあ壮絶な物語である。主人公の葉秋生(イエ・チョウ シェン)の半生を描く。秋生の祖父がある日殺害される。祖父はなぜ殺されたのか犯人は誰なのかを追い求める。ただし、秋生の人生は順風満帆とはいかない。台湾の当時の環境なのかもしれないが、秋生の思い通りにはいかず、周りや時代に流されていく。目を背けたくなるほどの暴力シーンもたくさん出てくる壮絶な人生である。流れるという意味では、祖父の時代から秋生の時代まで、時間の流れの中で振り回される宿命も背負わされる。それでも凹まずに前向きに生きる様は見習うべきところだ。身近にありそうで経験できない波瀾万丈の物語。そんな人生を体験したつもりになれる作品だ。直木賞受賞作。 | ||||
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それだけ物語に入っていったから得た感情だと思うが、「えーマジで!そんなことしないだろ」と思う行動が多くあった。それはある意味でそれだけ惹きこまれたということだし、最後まで一気に読み進めたのだが、結局そんな感じなのという終わり方だったのは否めない。 | ||||
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いい話だが、そこまで盛り上がる話でもない印象。 映画的な印象ですが、カタルシスが希薄な気がする。 台湾人は嫌いではないです。 | ||||
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初めて東山さんの本を読みました。今まで読んだことのない作風で、戸惑いっぱなしで穏やかに読めたのはエピローグとプロローグだけでした。暴力、戦争、政治など正直好きではない話の中、畳みかけるような情報と文章でほとんど辟易しながら、あっという間に読み終わりました。 台湾の知人から聞いたことのある、高校での乱闘騒ぎや台湾国内における中国に対する脅威と嫌悪の雰囲気が、如実に描き出されており、ベースは本当に台湾社会を描いているんだろうなぁと思いました。 話の内容をきっと真正面から受け止めると立ち直れそうにないものですが、あえて?なのでしょうか、不要と思われる文脈の数々が紛らわせてくれました。 秋生にとって、祖父が過去や家族にどんなことをして、どんな存在であろうと唯一無ニの存在だったことは、私にとってもそうであるように、すんなり心に入ってきました。 この本の登場人物は、どんな傍若無人な人であろうと、誰もが愛すべき人達でした。この本を辟易しながら読み終わり、なんともいえない温かさが残っています。素敵な本に出会えたと思います。 | ||||
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