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象徴の設計
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【この小説が収録されている参考書籍】
象徴の設計の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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出身は足軽身分以下と言われるが、上位者の暗殺や反乱による脱落などで、明治日本の陸軍トップとなり、政官界を支配した山縣有朋を主人公にした珍しい作品。 私は特にそこまでは思わないけれど、山縣は、明治期の汚職政治家の代表的な人物とされることが多く、当時も現代も大衆的人気がまるでなく、取り上げられることがほとんどない人物。 また、政治家としての評価もすこぶる低く、二流以下とされることも多い。 だが、その功罪は一旦は置くとして、700年続いた武士社会が終わり、明治になり、徴兵制を一から作り、明治後期には清国やロシアとの戦争に勝利するまでの日本軍を創設し、運営した彼の手腕は尋常ではない。 彼の作品とも言える日本陸軍が、昭和期に無謀な戦争を引き起こし、日本を破滅の淵まで追い込んだためか、山縣の人物を描くことすらタブーなのかと思う位誰も取り上げず、かの司馬遼太郎をして、日本の悲惨な敗戦の遠因と評される。 ただ、仮に司馬遼太郎の評価が正しいとして、その歴史の失敗からこそ、後世の日本人は学ぶべきだと思うし、外交や戦争を 勉強してこそ、それらに上手く対応出来ると思うので、山縣を始め、かつての軍関係の政治家、軍人は公正な視点でもっと取り上げられるべきだと思う。 小説の中身以外の部分が長くなりすぎたけれど、やはり松本清張は、日本軍や敗戦後の占領下の日本の闇を描いた作家さんだけあって、陸軍の産みの親、山縣を取り上げて作品を作ったのだろう。 読んでみると、山縣はやはり不思議な人物だ。同時期の明治時代の政治家と比べても取り分け暗いし、高尚な理想や使命感に燃えていたのでも無い。強欲で傲慢な訳でもないが、配下に有能な人物を揃え、政官界に君臨している。まあ、彼に認められると確実に出世出来るから、それが彼の力の源泉なのかと思うけれど、それにしては彼の礼賛者がいなさすぎる。 取りともなく、本のレビューとは程遠いことばかり書きましたが、山縣有朋などの人気がないけれど、力のあった人物がもっと取り上げられ、研究が進むのを楽しみにしています。 | ||||
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明治時代が燦然と輝いていたっていうのは嘘なのかも。暗い部分も沢山あったようですね。この本を読んでいると、人間の考えることはいつでも同じだなあと思います。共産主義を恐れる、と、自由民権運動を恐れる、というのは同じ理屈と意識から来ているみたいです。たしかに組合が暴走してもダメだし(沈まぬ太陽)しかし、権力者が労務提供者を押さえつけようとしても、上手くいかない。働き方改革が行き過ぎれば人は怠けるし、組織への忠誠への見返り(見返りは流動的・変動的なものだから不安定)だけでも上手くいかない。成果主義も限界があるし…国や社会や経済が成長し続けるのって難しいですね…明治の人もいろいろ考えたんでしょうが… | ||||
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大日本帝国が作られた時期を描いた、近代歴史小説である。 文語体の引用が多く、読みづらい。清張がちゃんと解説してくれるので、原文引用は適当にかっ飛ばした。 古い文章には強いと自認していたが、これはきつすぎる。 日本というのは、19世紀に建国された新興国なんだな。国家神道もその時期の「発明」だ。 皇室の様々な式典の大半は、明治時代に作られたらしい。二千年からの伝統が云々という話は眉唾である。 陰険な官僚主義で名高い山形有朋を中心にストーリーが進む。いやはや、聞きしに勝る陰湿さだ。 農民たちが板垣退助の民権運動を支持しているので、財源を潰すために米価を引き下げる。 農民が貧困に苦しむことは、まったく気にしない。 とにかく一般庶民が意見を主張することが大嫌いだったらしい。この男が日本を作ったのだ。 明治の日本は民主国家ではなく、封建国家の上が交代しただけだ。 大事をなすときには、争乱や弾圧はつきものだ。それを理解しても、なお今につながる保守思想にウンザリする。 司馬遼太郎の「それ行けニッポン、イケイケだ」という明治観を疑問に思っていたが、本書で司馬への信頼が微塵に打ち砕かれた。 読みにくいけど、良書である。 | ||||
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