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悲素
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悲素の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 21~39 2/2ページ
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平成10年に起きた和歌山カレー事件。日本中に衝撃を与えた恐ろしい大量殺人事件。あれから20年も経ってしまった。 本書は、登場人物の名前は変えてあるし、あくまでも小説の形態をとっており、記録に基づいたノンフィクションではないように見える。 しかし、実際には、現実に警察捜査に協力したヒ素の専門家からの鑑定資料を基に、医者ならではの情報もちりばめて、細かく丁寧に書き上げた労作です。 読み進めるうちに、寒気をおぼえた。なぜなら、ここに書かれている事項のひとつひとつが、作者の作り上げた虚構ではなく事実だとすると(そして事実のようです)、「和歌山カレー事件」で逮捕された死刑囚は、有罪で間違いないではないかと思われたからです。 警察の捜査も、杜撰どころか、非常に丹念に証拠収集しており、これを読めば、世間で時々出てくる不可思議な「冤罪説」など、完全にふっとんでしまうのではないでしょうか? ヒ素中毒の症状がいかに凄まじく、苦しいものか、初めて知りました。 犠牲者の方々、ご家族の気持ちを思うと胸苦しいです。 作者の文章は非常に端正で、読みやすく、臨場感あふれ、また良心的だと感銘を受けました。 | ||||
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カレー事件への明快な動機が、無いままでの罪の確定。被告人のしへき的な殺意への推定。興味深く読ませて頂きました。 | ||||
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めったに出会えない極上エンターテイメント。文庫になって紹介されたので始めて手に取ることができた。一人称文体で小説の形を取りながら実際は犯罪ドキュメントで、専門用語が頻出するが上下巻一気読みできる。和歌山カレー事件についてディティール深く切り込んでおり、オウム事件にまで波及する内容は緊迫感がある。おすすめの一冊。 | ||||
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帚木 蓬生 さんの重厚で緻密なタッチが好きです。帚木作品が随分たまりました。「悲素」はまだ数ページしか読んでいませんが、これから楽しみです! | ||||
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ヒ素を特定する話。被告の心理面や動機への掘り下げが非常に浅い。 | ||||
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ちょっと期待と違いました。 著者作品は10作以上読んでいて、 テーマの着眼点で+50点くらいしています。 本作は実はそこからあまりプラスしたくなる点はありませんでした。 「悲」という字と他の皆さんの書評から勝手に予想し過ぎたのかも。 あら、終わっちゃった。と。 最終部分をもっと深く掘り下げてほしかったと思います。 | ||||
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ドキュメンタリーでも無し、小説もなし、専門の医学用語と、著者の、参考資料の、連続の文章で、全く面白くない、途中放棄 | ||||
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九州大学の医学者と和歌山県警の各職の真摯かつ地道な取り組みに心を打たれます。是非読んでください。 | ||||
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和歌山毒物カレー事件が起こったのは1998年7月、もう20年近くになります(ああ、もうこの事件を知らない世代もかなりいるでしょうね)。被疑者・林眞○美は2005年に最高裁で死刑が確定しているのですでに死刑囚ですが今も大阪拘置所に収監中です。被疑者やその母親が生保の営業職員だったことや夫(保険金詐欺で逮捕、刑が確定しすでに服役をすませ出所ずみ)が高度障害保険金を受け取った後にもまた新たな保険に加入できていたこと、などなど、生命保険や損害保険との関わりも当時話題になりました。このまま風化してしまう前にということでしょう、タイトルも「悲素(ひそ)」としてこの事件を記録するセミ・ドキュメンタリーが本書です。 「悲素」は「三たびの海峡」などの作品で知られ精神科医でもある帚木 蓬生(はわきぎ ほうせい)氏の久しぶりの医学小説です。帚木氏が地元の医師仲間でもある井上尚英九州大学名誉教授からカレー事件やサリン事件に捜査協力した際の鑑定資料一式を託されたことが執筆のきっかけです。井上尚英先生は日本に数少ないヒ素中毒の第一人者でもあり、その彼に和歌山県警から極秘の鑑定依頼があった1998年8月から2009年5月の死刑確定前後までを小説として描きます。 カレー事件だけでなく、17世紀にイタリアで販売された初の毒物「トッファーナ水」や、毒殺史を塗り替えた「マリー・ラファルジュ事件」、またヒ素による自殺を克明に描写した「ボヴァリー夫人」やアガサ・クリスティ「蒼ざめた馬」を読んだ毒殺魔グレアム・ヤングのエピソード、さらには、タリウムやサリンなど日本の毒物事件の詳しい解説もあり、毒物と犯罪の歴史を学ぶこともできます。安易に高度障害保険金の診断書を書く医師の存在、被疑者が保険のしくみ、特に支払われる際の判断の抜け穴を知りつくしていることなど事件の記録から学ぶことは多いでしょう。 | ||||
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ちょうど2年前、本書の発売直後に購入しました。その後、元名大生による級友へのタリウム投与事件、青酸化合物を使った「後妻業」事件、和歌山カレー事件から19年後の加害者の息子へのインタビュー等々があり、2年ぶりに再読しました。 最初は、和歌山カレー事件をモチーフとしたミステリ小説だと思って購入したのです。しかし、読んでみたら、当時鑑定を依頼された九大医学部教授の一人称で語られる、ノンフィクションノベルとも言えるもので(T・カポーティの「冷血」を連想しました)、徹頭徹尾、事件に関して専門家の見地からみた話ばかりです。 おまけに、医学用語のオンパレードで、一切(といっていいほど)素人向けの注釈や説明はつきません。医療関係者か、本人か家族に持病があって病院とご縁の深い方でなければ、何のこっちゃ?と戸惑われるでしょう。 でも、なぜか面白いのです。読み始めると止まらない。単行本にして541頁でも!医療用語をすべて読み飛ばしても、十分話は通じます。なまじっかな注釈や余分な脚色のないことで、かえって事件の重大さがひしひしと感じられます。 また、地下鉄サリン事件など、古今東西の毒物、化学兵器が使用された事件についても言及されています。 主人公を始めとして登場人物はすべて仮名で書かれていますが、主人公に当たる九大教授が退官後、帚木先生に当時の資料を託され、帚木先生が教授に代わって小説の形で、事件を克明に再現されたと何かで読んだ覚えがあります。 「毒を手にした人間は、知らず知らずのうちに万能感を獲得する。万能感とともに、神の座に昇りつめた錯覚に陥る。こうなると、毒の使用はもはや一回ではやめられない。(中略)こうして毒の行使がまた次の行為を呼ぶ、やめられない嗜癖の病態に達する。」 そして最後に、「事件に関与して、現在までの17年間、私はカレーを食べていない。おそらく今後も口にすることはあるまい。」と結ばれています。 専門家をしてここまで言わしめる「毒」の恐ろしさ。今回再読するまでに新たに起こった事件をまた思い起こし、背筋にひんやりしたものを感じました。 | ||||
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あの事件の裏で、これほどまでに裏付け捜査が行われていたとは、今ごろ読んで感心しております。被害者の様子の細かい描写があり、専門的にお医者さんが書いたものなのだとリスペクトしてしまいます。ヒ素はとても怖いものなのだということ、またこんな風に保険金をだまし取っていたのかと思うと、加害者に今更ながら腹が立ちました。 | ||||
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18年前に起こったヒ素をカレーに混入した事件。一人のの医師を中心に見事に解明していく。 | ||||
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ワイドショーで少し見ただけだった和歌山毒入りカレー事件 まさかこんな悲惨な事件だったとは知りませんでした こんなにたちの悪い保険金詐欺があるのか お金の為に人はこんなに悪党になれるのかと驚いてしまった この事件に関わった捜査員や医者たちの執念がまたものすごく 衝撃度がかなり高かった1冊です | ||||
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何を今さら18年も前の「和歌山カレー事件」を題材にした小説なんて、という気持ちで読み始めた。 鬼畜と呼ばれる林真須美がどうしてこんなことをしたのかが描かれるとおもっていた。 ところが主人公は沢井という九大の医者。毒物の権威で和歌山県警から原因の特定や証拠物件の発見を手助けする。 すべて1人称で記述されるところが面白い。 沢井が何を行ってきたことが克明に記述される。毎回昼は何を食べたかまで書かれている。執拗ともいえるほどだ。 いわゆるサスペンス小説のように、悪人が出てきたり、なにかドラマが起きるわけではない。 一つの事件を解明するのがここまで大変なのか、裁判の大変さも克明に記述される。 作り物ではない、事実の迫力がずんずんと伝わってくる。 どんどん引き込まれ、あっという間に読み終えてしまった。 最近のサスペンスは、読んでいる途中は非常に面白いと思いながらも、読みおわっあとの後味が悪いものが多い。あまりにも設定が作り物過ぎるからだ。思い出すたびに、おかしな設定が目に付いてくる。キャラクターの設定も、無理やりという作品が多い。 しかし、この作品はとても読後感がいい。 日本にはまじめな医者、高度な基礎医学、まじめな警察と検察がいることがわかり、それが誇らしくなってくる。 久しぶりに「いい本」を読んだという満足感があった。 | ||||
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541頁にも渡る力作。 和歌山毒物カレー事件について、かなり詳細に記述している。 事実を元にしているようだ。 なぜ詳細に書けるかと言うと、 主要参考文献に31冊挙げている通り、かなり調べ上げている。 小林 真由美(著書の中の名前)は、カレー事件以前にも 砒素を使っており、そのことにも触れている。 砒素は、カレー事件で知られることになったが、 砒素の症状がどんなものか、それまで医者にも知られておらず、 小林 真由美の周り(夫も含む)で、何人も砒素中毒になるが、 別の診断を下されていた。 「何人も」だけではなく、同一人物に「何回も」である。 砒素を盛られた人物は、保険金を掛けられていた。 入院給付金も掛けており、1日の入院で10万円も支給されるため、 死亡しなくても金を手に入れていた。 同一人物に複数掛けており、1人1ヶ月で17万円にも 掛け金が及んでいたようだ。 そのため、これ程の大金を支払っていける筈もなく、 収入を得るため、砒素を盛ることを繰り返すのである。 カレー事件まで、小林 真由美は「砒素はバレナイ」と 思っていたに違いない。 7/25に開催された例の夏祭りは、6/30に実施することが決定した。 その直後、小林 真由美は7/7に1口、7/18に2口新たに契約している。 これは、近々砒素を使うために契約したのだろう。 | ||||
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夏祭りの会場で、カレーを食べた人が次々に倒れた。多数の犠牲者を出したヒ素中毒事件は、日本中の人々に衝撃を与えた。地元の警察からの要請を受けひとりの医師が和歌山へ向かうことになったが、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていた・・・。 1998年7月25日、和歌山市園部地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた67人が腹痛や吐き気などを訴えて病院に搬送され、そのうち4人が死亡した。原因は亜ヒ酸で、カレーに混入されていた・・・。この作品は、実際に起こった和歌山毒物カレー事件をもとに描かれている。 作品の中に登場する小林真由美。彼女が犯人ではないかと思われるが証拠がない。誰も真由美がカレー鍋に”何か”を入れるところを見ていないのだ。捜査が行き詰まる中、地元警察から要請を受けた医師・沢井が和歌山に赴く。沢井が知ったのは、驚くべき事実だった。カレー事件の起きる前にも、真由美にヒ素を飲まされたのではないかと思われる人たちがいたのだ。直接的な証拠なはない。だが、警察や沢井は診察や聞き取りを続け、事実を積み重ねていく。そこで語られるできごとは、驚愕のひと言だ。食べ物に毒を混ぜて他人に食べさせる。人としてこんなことが平気でできるのか?ただただ信じられない思いでいっぱいだった。 少しずつ外堀を埋め真由美を追い詰めていく過程は、とても読みごたえがあった。犯人は捕まった。しかし、多くの人たちがこの後も後遺症に苦しみ、一生消えることのない傷を心に抱えながら生きていかなければならない。決して ”犯人の逮捕 = 事件解決”にはならないのだ。 ページ数も多くかなり重い内容の作品だが、ひとりでも多くの人に読んでもらいたいと思う。 | ||||
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大切な友達が、事件の時、あの地区に住んでいた。今も住んでいる。事件の一報を聞き慌てて電話した朝の事を、覚えている。幸い被害者にはならずに済んだが、報道により、刻一刻と全容が明らかにされるに連れ、自分自身の暮らす土地で起きたような恐怖心が募り、人災への怒りがこみ上げてきた。 本書を読み終え、怒りは更に増す。専門家とはいえ、ここまでよくぞ教えてくれたと、感謝したい。 友達と会う際に、この事件の話は一度しかしたことがない。子どもさんが「あのおばさん見たことある。スーパーで買い物してた。普通のおばちゃんやった。」と呟いていた。その時だけだった。好奇心で騒ぐのは、縁のない人間だけだろう。 容疑者は今も冤罪を主張しているという。支援する団体もあると聞く。その人たちにも、是非、この本を手にして頂きたいと思う。 | ||||
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帚木氏久しぶりの医学小説であるが、今回は和歌山毒カレー事件を取り上げている。小説とあるが、ほとんど実話であろうと思われる、実に精微な記述に驚いてしまう。医学用語が頻繁に出てきて、決して読みやすい内容ではないが、事件を科学的に解き明かすプロセスの厳密さには感心してしまう。長期間にわたって行われた人間の欲の塊のような事件を、科学的な検証で一枚ずつ解き明かしていく経過は、サスペンス小説を読んでいるようなドキドキ感を持って読める。 | ||||
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1998年7月25日、和歌山県和歌山市の園部地区で行われた 夏祭りの毒カレー事件を元にした限りなく実話に近い小説です。 タイトルの悲素(ひそ)は砒素をもじった物 541ページもある長編です。 現役医師である著者の作品であるだけに、文中に出て来る専門用語はかなり難しく戸惑いました。 事件発生当初は食中毒、青酸カリの混入などと報道されていましたが 地元刑事の要請を受け、和歌山へと向かった医師 医師と刑事達の手によって少しづつ事件は真実へと近づいていきます。 登場人物の名前こそ実名ではありませんが「真由美」の名前が出るたびに ニュース映像で流れた取材陣にホースで水を掛ける一見どこにでもいそうで けれどふてぶてしい表情の林眞須美の顔が何度も過りました。 楽しいはずであった夏祭りが犯人の悪意ある行動の結果 何の罪もない4名の方が亡くなり、多くの人達が病院に搬送、治療を受け 又後遺症に苦しむ人々を作りました。 毒入りカレー事件以前の保険金詐欺、実の両親にまで多額の保険を掛ける犯人 お金と毒の虜になり人を人とも思わぬ無差別的犯行には怒りを覚えます。 この小説を通して知った事実 当初の計画通りに行かずとも強引に犯行に及ぶ犯人自らの毒へ対する中毒性の様な物も感じ 薄ら寒くなると同時に犯人への更なる許しがたい気持ちが増しました。 フィクション小説と言う形式ではありますが、かなり事実に踏み込んで丁寧に描かれた力作です。 | ||||
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