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(短編集)

人間以前 ディック短篇傑作選6



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【この小説が収録されている参考書籍】
人間以前 (ディック短篇傑作選)

人間以前 ディック短篇傑作選6の評価: 4.07/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.07pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

良いものは良いのですが

傑作選と銘打ってる割に玉石混淆と言った内容で、ありきたりなアイディアや安直な結末も多かったです。12作もあったのに面白かったのは2作だけ。星新一のショートショートでありそうな話だなあと思う様なのもちらほら。別に星新一馬鹿にしてる訳でも無いですが。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」とか「流れよ涙、と警官は言った」「ユービック」などの傑作を先に読んだ印象では、ハードSF作家と言う印象があったのですが、この作品集はライトなエンタメ作家の印象。
個人的に一番期待していたのが表題作である「人間以前」だったのですがこれが一番残念。
あらすじ聞いた話では滅茶苦茶不条理な印象だったのですが、読んでみれば作者の政治的な思想が剥き出しであり、完全に白けてしまいました。作者の主張重視の為、ストーリー的には無理があるし。芸人の無理のある例え話をどや顔で聞かされた気分。
そもそも私はSFが政治的な意図を持つことが嫌いです。
SF的思考、または科学的思考と言うのは、人間の常識から超える視点を持つ事だと思うのですよ。例えば何十億年と言う先の未来を想像したり、あるいは遥か宇宙の果てや、逆に量子力学の世界など、人知を超えた世界の真実を垣間見、想像し、思考することによって現在の人間のものの観方を一旦解体し、改めて再構築して新しい人の在り方を考える行為だと思うのです。
それなのに、政治と言う思いっきり人間の尺度に合わせた狭い考えにSFを縛り付けてしまうのはSFの魅力を損なうように感じられ、何だか冷めてしまうのです。
あまり文句ばかり言ってもあれなので、良かった2作品についての感想を。

「地図にない町」
駅の切符売り場に、メイコンハイツへ行きたいと言う男が現れるが、そんな町は路線図の何処にもない。
そう出札係が言うと「俺はそこに住んでるんだぞ!」と男は怒りだす。
路線図を男に見せて、そんな町は実在しない事を説明すると突然男は消えた。
その日から、実在しないはずの町が徐々に現実を侵していく。
オチ含めて文句なしに面白かった。似たようなモチーフを扱ってるSFは多々見かけるが中々に完成度が高いと思う。これは流石だなと思った。

「この卑しい地上に」
精霊によって別次元の世界へ連れ去られた(要は死んだ)恋人を現世に取り戻そうとする男が引き起こすおぞましい悲劇。
死者になった恋人を蘇らせようとして悲劇に陥る話は神話から現在に至るまで結構あるが、これはダントツで恐ろしい。
ラストシーンの何という救い難き絶望感よ。結婚予定の恋人が死んだら無理もないけど、考えなしの行動はフィクションにおいては死亡フラグ。そんなレベルではない災厄が訪れますが。

総じてライトなSF短編集ぐらいの気持ちで読んだ方が良いかと。
傑作選とか言われると期待値上がりすぎて「そうでもないかな」とちょっぴりしょんぼりしてしまう可能性があります。
人間以前 (ディック短篇傑作選)Amazon書評・レビュー:人間以前 (ディック短篇傑作選)より
4150119813

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