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オールド・テロリスト
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オールド・テロリストの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全69件 21~40 2/4ページ
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かなり久しぶりに村上龍氏の新刊を読んだ。氏といえば、カリスマ的な若者が大闊歩する小説が有名だが、今回は老人たちが主人公である。オールド・テロリストという発想がユニークで手に取ったわけだが・・・あの気迫と熱量に満ちた龍氏は今も健在と感じた。今も現代社会を見つめコミットしようとする意思に溢れ、そして過激なまでの父権的物語を作り上げる力技がある。一方、女性の登場人物には現実感がなく男の妄想の化身のような扱いなりがちな癖も変わらずだが、、でも文章のテンポは良く、展開もスリリングなのでページをめくるスピードは落ちない。少なくとも2/3あたりまでは高評価をつけたい。 が、後半での肝心のオールド・テロリストたちの正体に辿り着くと「?」が増えてしまう。彼らのテロへの動機はともかく、それに達するための手段に飛躍がありすぎる。もし、彼らが『愛と幻想のファシズム』の狩猟社の系譜であれば納得だが、そうは見えない。そんな相手には記者セキグチはひれ伏しても、共感することはないだろう。義憤による静かな怒りと残酷極まりない犯行手口にどうにもギャップが残ってしまうのだ。滲むような静かな狂気もキャラクターから感じられない。その辺りがもっと詰められていたらよかったなぁと思う。 でも、もう一人の村上氏に比べたらずっと真正面から現代日本にコミットする姿勢には好感を抱いた。 | ||||
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読み進めずにはいられない、という点を考えればとても面白い小説と言える。 しかし最終的に、テロを容認した読後感が残る。 テロを描く事でしか危機感を表せないのか、と現実がいやになる。 「5分後の世界」が良かったなあ。 | ||||
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何年か前に同じ姓の村上〇〇氏の、1Q84というとんでもなくつまらない小説(小説、と書くのも憚れる)を無理をして全巻読み終えた後の怒りにも似た虚しさ… この「オールド・テロリスト」で、長い間引きずっていたその鬱憤の半分以上が晴れました。 やれやれ┐(-。ー;)┌ | ||||
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村上龍さんの作品は、幾つか読み逃しもあるが殆ど読んでいる。著者は思い付きでポンポン長編を書いてしまうので、作品の優劣に振れ幅がある。---酷いものの例だと『ラッフルズホテル』---。だが、本作は違う。三年間に渡って文藝春秋に連載され、一つとして手抜きの部分が見られない。 僕は村上春樹さんと村上龍さんのデビュー作から大部分の作品を読み、初期作から感じてきたのだが才能のレベルは明らかに村上龍さんのほうが上だと思う。---別に村上春樹さんのアンチではありません---そして本作のストーリテリングも村上龍節の展開で相当に面白く500ページ強のページ数だが一切飽きさせる所が無い。 本作は最初から刺激的な題材なのだが、ハリウッドの脚本術に『ミッドポイント』という書き方がある。村上龍さんは相当に作劇術も勉強しているはずだ。なぜなら本作も丁度中間折り返し地点--ハリウッドの脚本術だとそれを『ミッドポイント』と定義づけている---。からテロの主犯の向けて力強くストーリテリングが回転し始めている。 本書の内容のテロの中身に関しては多くのレビュアーの方が触れているので割愛するが、僕は本書に引き込まれながら、米軍基地と安保条約でアメリカと密接な関係にある日本では、もうテロの可能性は対岸の火事では無いという恐怖感に襲われた。 様々な思いで、本作はもっと多くの日本在住の方に読まれなくてはならないミッションを背負っている、と感じたのが率直な読後感だ。 | ||||
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作品としても素晴らしいのだが、村上龍の仕事を追ってみると、彼が日本のジャーナリズムに対して昔から一つの意見をいだき機会を捉えて提言してきたことが分かる。この作品でも、どん底からリスタートする記者を語り手に据えることで「真のジャーナリスト」像を描いていると見る事も出来る。また、この男がはじめホームレス寸前という設定はいい加減につけたものではなく、ホームレスへの関心も、村上の中にずっと居座り続けているものだ。 | ||||
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凄い小説です。 爺たちが、凄い。中身には触れないが、とにかく元気がもらえた。 村上龍って、やっぱまだ小説家だったんだな。テレビで、経営者を分析しているおっさんになってしまったのかとおもっていたが、そうじゃなかった。 よかった。 | ||||
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「オールド」 それは 老人か と 単に思ったが 違う 老人の だが つまりは この本の場合は かっての とか 年老いた とか 時代遅れの とか その辺のトコだろう 全編に散りばめられた 諦め 絶望 哀しみ 怒り 情けなさ それらが これでもかと しつこいぐらいに溢れてるが 怒りを貫き通すのかと期待するも 情けなくアウトで それは思うに この本に出てくる老人たちの怒りを成就させるということは 日本の安泰とか平和とか そういったものに関与する政治家というか政府というか そういったヤカラを刺激する事になってしまうと そして それは 小説家としての自己の存在を危うくするのではないか その辺のリスクを恐れて ハッピーエンドにしたのではないか つまりは 悪は滅びる的な構図が無難と これで この本が面白かった でいいのか 本当に今の日本に欠けているというか 求められていると思われるのは 色んな諦めが蔓延して 絶望や失望にどっぷり使っている現代に 怒りを呼び覚まし 怒りを持って報いる それは 恐れを知らないモノかもしれないが そういうもの それが 今 最も期待されているのではないだろうか? そう 思う | ||||
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怒れる老人が、イカれた老人になって暴走する小説です。 お年寄りを敬わない風潮が蔓延している昨今、 戦争、高度経済成長、バブルについて、 世のため人のために働いてきた人たちについて、 あらためて考えるべきときだと感じました。 孝行のしたい時分に親はなし。 | ||||
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私も村上龍は終わった、と思っていました。 が、久々に緊張感のある、日本社会の問題点を次々に指摘しつつ、共感しながらも一気に読んでしまいました。特に2つ目のテロシーンの緊張感には、「5分後の世界」の戦闘シーンに近い戦慄と(誤解を恐れず言うと)興奮を覚えました。 その後、「希望の国のエクソダス」を読み返したことは言うまでもありません(笑 ただ、最近この手の長編ものでは「半島を出よ」もそうでしたが、テロ的な流れにもっていきがちなのかな、とか、311以降の●●を出してきちゃったかぁ、というのが少しだけありきたりな感じを持ってしまいました。 村上龍のいくつかの長編は、時々日本で普通に会社勤めをして生きている人間として、必要なデフラグツールと位置付けていますが、本作品もその部類に入ってくると思います。ホントは★4.5としたいのですが、0.5は出来ないのですね。 | ||||
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リアリティある描写でおもしろかったが、繰り返し描かれる内容を省けばページ数はかなり省略できたと感じる。 さらに終盤の尻すぼみ感が強く残念。 | ||||
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『オールド・テロリスト』(村上龍著、文藝春秋)の数十人の主人公たちは、70歳代、80歳代、90歳代の老人ばかりである。老人といっても、病気で苦しんでいたり、生活に困窮していたり、家族とトラブルを起こしている者は一人もいない。いずれもインテリで、医師であったり弁護士であったり公認会計士であったりIT専門家であったり実業家であったりといった、経済的に成功を収め、社会的な尊敬を勝ち得ている、いわゆる成功者と見做される人々だ。その中の一人が、「弱虫は老人にはなれないんだ。老いるということは、これが、それだけでタフという証明なんだ。・・・成人してからも、弱虫はよく死ぬ。老人になるということだけでタフなのだとわかったか」と言い放っている。 こういった老人たちが、現在の日本に怒りを募らせ、遂にテロを決行する。NHK西玄関でのテロから始まり、池上商店街の刈込機による殺戮、新宿ミラノの大規模テロ――へとテロは過激の度を深めていく。そして、次なる目標の88ミリ対戦車砲による原発爆破に向けて着々と準備が進められていく。「本当に日本全体を焼け野原にすべきなんだ。それですべてが解決するんだよ」。「もう一度日本を焼け跡というか、廃墟に戻すということ。腐りきった日本をいったんリセットする、ということだ」。「福島第一の事故は、津波が原因ではなく、古くなっていかれかけてた冷却系の配管が大地震で壊れたのだという指摘があるのは知ってるだろう。配管が古くなっているのは、冷却系だけじゃないんだよ。原子炉と直接につながる配管だって、大半は古くなっている。それが割れたり外れたり、ひびが入るだけでも、どうなるか。想像できるか。それに、タービンだって、かなり古い。タービンからの蒸気だが、復水器に回せなくなったらどうなると思う? 復水器がつまったりしても冷却系はもうアウトだし、循環ポンプが故障してもアウトだし、冷却系の配管が破断したら、あとはもう、カタストロフまで一直線だ。まだある。日本各地に、使用済み核燃料棒を貯蔵したプールがあるらしい。だいたい数千本単位で貯蔵されていて、当然、冷却し続けなければいけない。数千本の核燃料棒といえば、だいたい原子炉10基分の燃料体だそうだ。しかしだね、それらは原子炉と違って、格納容器も、頑丈な防御壁もない。周囲は単に薄いコンクリートの壁で蔽ってあるだけだから、たかだか数百度の熱で崩壊する。海外のメディアが指摘するのは、そこで何かが起こったらどうするのかということだ。危ない奴がダイナマイトを数本放り投げるとどうなる? ドッカーン。核燃料棒がばらまかれる。君に聞こう。これが、焼け野原でないなら、いったい何なんだ」。 ひょんなことから、これらのテロ現場に居合わせることになった、フリー・ジャーナリストとは名ばかりの54歳の男が語り手として登場する。この男は、テロのネットワークで繋がっている老人たちとは対照的な境遇に呻吟している、しがない奴だ。「(フリー記者として働いていた)週刊誌が廃刊となり、状況は一変した。大切なものは失ってみてはじめてわかる。おれはまず仕事を失い、充実感を失い、家族を失って、最後に誇りを失った」。一方の老人たちは「アル・カイーダのような分散型のネットワークを作って、魂の抜け殻のような若者たちをスカウトし実行犯に仕立て上げていた」。「そのネットワークは、垂直方向の命令系統を持つピラミッド型の組織ではなく、いくつもの独立した細胞が有機的につながり合い、各構成員も全貌がわからないようになっているらしい」。「家庭もダメ、仕事もダメ、そんなやつは参加させなかった。私生活に不平不満があるやつなんか、一人もいないよ。そんなやつは、ダメというか、やばいんだ。動機が浅いから決意も鈍いし、平気で裏切ったりするんだよ」。 老人たちの最終目的の原発爆破は、どうなるのか。この企みを阻止しようと隠密裏に動く内閣府副大臣を中心とする極秘対策班と老人たちとの息詰まる駆け引きは臨場感に溢れ、自分も語り手と一緒に行動しているかのような錯覚に襲われる。 こんな荒唐無稽な話が現実にあり得るかと思いつつも、いつの間にか物語の渦の中にずぶずぶとのめり込んでいる私を発見した。それも致し方ないだろう。なぜなら、私も日本の現状に対する怒りを溜め込んでいる71歳だからだ。 | ||||
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筆者の作品が好きでよく読んできたが、最近よく思うのは「村上龍も年取ったなぁ」ということだ。 この作品で印象的なのは、「高齢者=偉大な存在」、「若者=無力で哀れな存在」という筆致が貫かれていることである。 特に若い男の扱いは酷い。マツノ君という「検索するしか能のない若者」と、あとは捨て駒のテロリストしか出てこない。 一方で若い女性のカツラギはミステリアスで頭の切れる女性だが、この人物も現実感の乏しい描写をされていて 筆者の女性の好みや理想が反映されただけの虚像のようである。 権力も経験もお金もある高齢者たちが義憤に駆られてテロを起こす、という本筋も説得力がなく、 原発テロの後にこの国をどうしたいのかというビジョンも一切出てこないし(というか筆者が思い付かないのだと思う)、 現実世界で権力やお金を持っている高齢者が考えるのは保身だろう(政治家を見ていれば分かる)。テロなどではない。 年寄礼賛、若者痛罵に加えて荒唐無稽の残念な作品。 | ||||
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『半島を出よ』以降は衰えを感じさせる作品で、刺激的で危機感を覚えさせ、読者を奮い立たせる物語を読むことはもうできないと思っていた。 今回は違った。 社会的に成功した老人たちがドイツ式88戦車を所有し、テロを起こすという荒唐無稽な物語を圧倒的な描写でリアルに感じさせてくれ、これぞ村上龍だと納得できる作品に仕上がっている。 最近の彼の作品にがっかりしていた読者は『オールドテロリスト』を読むべきだ。 自分の中にある正確に言語化できない危機感を呼び起こされ、作者が歳をとって変化した、事実を否定せず我々の不安を肯定するメッセージを心にとめることができるだろう。 | ||||
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龍さん。 もっともっと書いてください。 大変無責任な、お願いになってしまってますが。 とにかく新作が発表されると、ワクワクします。 中年オヤジが(ワクワク)なんて、アホな表現だけど、とにかく楽しみなんです。 一作一作が、良し悪し?じゃないんです。 村上龍が創作した、何かに接したい。 考えてみたい。 悩んでみたい。 苦しんでみたい。 楽しんでみたい。 同世代で、いま、生きていることに、感謝しています。 | ||||
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主人公関口を通して描かれる展開が、TVで目にする村上龍の見解を聞いているのと被ります。 | ||||
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一応きれいな女(特に「太もも」です)とか、銃器とか、妻子に去られたふがいない男とか、大量殺人とか、お約束のハードボイルドなんだろうけど、いかんせん魅力的なキャラクターが全然いない。 日本を「焼け野原にリセット」とか言ったってねえ・・。 、原発じゃあ、あとどうするの。 感情移入のしようもない。 焼け野原の後は国破れて山河なし。 遺伝子レベルの破壊をもくろむ子供じみた彼らにつきあわされて時間の無駄でした。 最後まで読んだけど。 村上龍ってこんな作家だったんですか、とある意味びっくりしました。 | ||||
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相変わらず終始ダラダラした文章。 無駄が異常に多い。 主役の人物は永遠とあり得ないくらいの現実逃避でリアリティ全くなし。 いかにも村上龍な感じ。 | ||||
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個人的には、五分後の世界よりも半島にでよよりも歌うクジラよりも好きな感じ | ||||
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私の青春は村上龍の小説と共にありました。 最近は「55歳からのハローライフ」にがっかりしていたのですが、今回はなかなか楽しめました。 「5分後の世界」「半島を出よ」などが好きな人におすすめです。 ただ…これこそが村上龍!という、あのひりつくような読後感はいまひとつだったので、☆4つ。 | ||||
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「半島を出よ」同様に近未来の日本を舞台とした社会派小説。この人のえげつないまでのグロテスクな場面描写には読んでいてグロッキーになりかけることもあるけれど、骨太で「リアリティ」のあるストーリー構成にはグイグイと引き込まれてしまった。 この作品を読んで「リアリティ」をどこまで感じるかは、その人のこの国に対する危機感・絶望感のレベルと、「リセット」に対する顕在的ないし潜在的な願望のレベルによるだろう。 この国をとりまく停滞感と欺瞞、そこから生まれる怒りと絶望。怒りは怒りとして、絶望は絶望として、一種のエネルギーとなって、政治活動であったり、狂信的なアジテーションであったり、突然切りかかってくるような通り魔殺人であったり、この国を焦土と化す様なテロといった様々な形で表象化してくる。その構造だけは疑いようのない「リアリティ」を感じた。 果たして「リセット」には反対していた「ミイラのような老人」には、それ以外の解決策があったのだろうか?それが少しだけ気になる。 この小説のプロローグであり原点として位置づけれられている「希望の国のエクソダス」を読みたくなって、読了後すぐに再読開始しました。 | ||||
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