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オールド・テロリスト
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オールド・テロリストの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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主人公の老人たち、オールドテロリストに対する印象には肯定的な気持ちと否定的な気持ちが入り混じっていて、作者もオールドテロリストへの評価を強制していないように感じられました。公平だと思う反面、ある種の爽快感が大きく後退しているだと思います。個人的には、マスコミ等に対する老人たちの苛立ちには共感しましたが、主人公や「マルタ」に対する態度には強い不快感を感じて、感情移入できませんでした。 | ||||
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希望の国のエクソダスの中学生を取材したライターの後日譚。 出版不況で雑誌はどんどん廃刊になり、雑誌の記者としての職を失い、離婚し妻と子も失い。 細々とフリーライターとして小商いをするも、ホームレス寸前の主人公。 彼を名指しし、テロ現場の取材をさせようとするのは日本を憂える「老人」たち...。 ここまで成熟し、人が死なない社会になってしまうと、閉塞感からか若者には「心の」元気が不足してしまう。 明日の食料に困るような状況にでもならない限り、暴力的な手段ででも社会を変えようとはしないだろう。 大人は保身で精いっぱい。 そんな状況で、これだけ高齢者が増えれば、肉体的にも、経済的にも、更にはノウハウを持っているという意味でも、高付加価値な高齢者の絶対数は増えていくわけで、「もう失うものなんか何もない」と開き直ったハイスペックな高齢者が、本気で日本を変えようとすることは考えられないことではない。 第二次大戦からの再生というプロセスで、日本が幸せな時代を過ごせたというのであれば、彼らの破壊からの日本再生という道筋はあながち100%間違っていると全否定できるものではないかもしれない。 でも...。 そう感じさせる筆の力は伝わっても、過去の村上龍さんの「世界観構築系」の小説と比べると、「モヤッと」ごまかされている部分が散見される気がして。 これまでの龍さんのこの手の小説は、精緻な取材に裏打ちされて、「ありえる話だよな」という読後感だったのだが、これは少し「荒唐無稽」な感じが強い。 希望の国のエクソダスの登場人物を持ってきたあたりも含めて、ここまでの取材をうまく流用して作ったプロットのように思えてしまう。 たまたま、北野武監督の「龍三と七人の子分たち」を見た時期と本作を読んだ時期が重なったのがいけなかったのかもしれないけど、シリアスな作品なのに、緊張感をもって読めなかった。 | ||||
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かなり久しぶりに村上龍氏の新刊を読んだ。氏といえば、カリスマ的な若者が大闊歩する小説が有名だが、今回は老人たちが主人公である。オールド・テロリストという発想がユニークで手に取ったわけだが・・・あの気迫と熱量に満ちた龍氏は今も健在と感じた。今も現代社会を見つめコミットしようとする意思に溢れ、そして過激なまでの父権的物語を作り上げる力技がある。一方、女性の登場人物には現実感がなく男の妄想の化身のような扱いなりがちな癖も変わらずだが、、でも文章のテンポは良く、展開もスリリングなのでページをめくるスピードは落ちない。少なくとも2/3あたりまでは高評価をつけたい。 が、後半での肝心のオールド・テロリストたちの正体に辿り着くと「?」が増えてしまう。彼らのテロへの動機はともかく、それに達するための手段に飛躍がありすぎる。もし、彼らが『愛と幻想のファシズム』の狩猟社の系譜であれば納得だが、そうは見えない。そんな相手には記者セキグチはひれ伏しても、共感することはないだろう。義憤による静かな怒りと残酷極まりない犯行手口にどうにもギャップが残ってしまうのだ。滲むような静かな狂気もキャラクターから感じられない。その辺りがもっと詰められていたらよかったなぁと思う。 でも、もう一人の村上氏に比べたらずっと真正面から現代日本にコミットする姿勢には好感を抱いた。 | ||||
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読み進めずにはいられない、という点を考えればとても面白い小説と言える。 しかし最終的に、テロを容認した読後感が残る。 テロを描く事でしか危機感を表せないのか、と現実がいやになる。 「5分後の世界」が良かったなあ。 | ||||
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「オールド」 それは 老人か と 単に思ったが 違う 老人の だが つまりは この本の場合は かっての とか 年老いた とか 時代遅れの とか その辺のトコだろう 全編に散りばめられた 諦め 絶望 哀しみ 怒り 情けなさ それらが これでもかと しつこいぐらいに溢れてるが 怒りを貫き通すのかと期待するも 情けなくアウトで それは思うに この本に出てくる老人たちの怒りを成就させるということは 日本の安泰とか平和とか そういったものに関与する政治家というか政府というか そういったヤカラを刺激する事になってしまうと そして それは 小説家としての自己の存在を危うくするのではないか その辺のリスクを恐れて ハッピーエンドにしたのではないか つまりは 悪は滅びる的な構図が無難と これで この本が面白かった でいいのか 本当に今の日本に欠けているというか 求められていると思われるのは 色んな諦めが蔓延して 絶望や失望にどっぷり使っている現代に 怒りを呼び覚まし 怒りを持って報いる それは 恐れを知らないモノかもしれないが そういうもの それが 今 最も期待されているのではないだろうか? そう 思う | ||||
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リアリティある描写でおもしろかったが、繰り返し描かれる内容を省けばページ数はかなり省略できたと感じる。 さらに終盤の尻すぼみ感が強く残念。 | ||||
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著者や他の作品も知らず、タイトルと裏帯から購入しました。老人達の愉快な社会への復讐(笑)と勘違いして購入。中身はなかなか重いストーリー。分厚い本ではありますが内容の小難しい用語の多さを抜きにしても10時間もあれば読めるほどスラスラ手を進められる。ただ終わり方があっけなく後日談や事件後の反響なども無く、捕捉のないまま読者へ想像を委ねるのはこの作品ではどうなんだろうと感じた。 関口やカツラギの心理描写をこと細かく現しているのに、マツノのその後や、若者をどう誘導してテロに加担させたかなどの説明などもなく喉に小骨が刺さったままの気分だ。肝心の結、部分が抜けていて違和感がある。 また、時間の経過と共にカツラギの言動が常人っぽくなっていくのにも魅力が減って残念だ。 社会風刺や今の若者を客観的に捉えた斬新な切り口だが尚更丁寧な捕捉と終わり方を選んでほしかった。個人的に65点。 | ||||
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タイトルやカバー絵ほどにはオールドテロリスト達が描かれてるわけではなかった。。 それより今の時代の50代半ばバツイチ男の心の内面ストーリーのようだった。 セキグチとあわせてカツラギそしてマツノも登場させて今の時代の閉塞感を描いてるのだろうが。 その閉塞感をリセットしたがるオールドマン達という構図。 オールドマン達の暴走する心の内面をもっと描いて欲しかった。 私も男ですのでカツラギには会いたいと思った。 龍さんには「昭和歌謡大全集」や「半島を出よ」でテロをやったノブエやイシハラを登場させた作品をまた書いていただきたい。 彼らもそろそろオールドテロリストと呼んで良い年になってます。前期高齢者だけど。イシハラはあと数年かな。 | ||||
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発想も展開も、興味深く読み始めた。 NHKでの事件、池上での事件、歌舞伎町での事件、とにかく、一般市民に対しての事件としては、大量に犠牲者がありすぎな事件で気になった。 おそろしいが、もしかしたらほんとにできてしまうのかもと不安な気分になり、すっかり、その事件があったとしたら、一般市民として、恐怖に陥るだろうなと思いつつ読み進めた。 主人公セキグチのようなリストラされ、世間との折り合いがうまくつけられずにいる立場の人間も、今の世の中いっぱいいるのかも。 それにしても、カツラギがコンタクトを取り始めたあたりから、どうにも、気分良くは読み進めなかった。 カツラギの設定に少々無理があるのだとしか思えない。 コンドウとの関係も今一つ納得がいかない。 マツノ君が去っていったあたりも気に入らない。セキグチはもっと関わるべきとしか思えなかった。 アキヅキの登場、語りあたりから、ミツイシに至るあたりは、むしろこのまま、この老人たちに肩入れしていたので、終結に至るあたりの展開、セキグチのあいまい且つ、煮え切らない逡巡はいらいらさせられるだけだった。 彼の立ち位置はなんなんだ? 大体セキグチを高く評価しすぎていたミツイシたちの読みの甘さとよめばいいんだろうか。 老人たちが奮起して、現代の日本に鉄槌を、と活躍する、夢物語を何とか、成功させたかったなあと思う。 あんなに簡単にそれも、政治と異国の力終わっちゃうなんて、残念。 しかし、カツラギの設定はなんだろう。ただ、村上龍さんが、書いている際の癒しとして書いたとしか思えない。 できたら、老人たちの蜂起、夢物語として、思い切り、気持ちよくドカーンと書いてほしかった。 読後感が今一つなので、☆☆☆。 | ||||
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おそらく誰も指摘しないであろうことを指摘します。 もし仮にこの作品が芥川賞候補であったら村上龍さんが 指摘するかもしれないことを皮肉めいていますが書きます。 まず第一に、私自身統合失調症患者で一度入院し、 その後、精神病患者を全体の8割近く就労させるA型事業所という ところに在籍していた体験と発症してから出会った様々な 精神病の人たちと接してきて思 うのはこの物語の重要人物カツラギは 非常にリアリティがないということです。 突然、変な言動をするかと思えば、一般人よりも理知的に 長文をよどみなく話すような精神病患者はまずいません。 実は最後までこの作品を読んでいないのですが あれは全部演技してたというオチが最後にあったとしても 理性的な一面もそれまでに出してしまっている場面があるので やっぱりなんかひっかかります。たとえば絵がものすごく上手だとか 躁鬱病みたいに行動が極端というのならわかります。要するにカツラギだけ 非現実的な”漫画”に出てくるキャラクターみたいになっているのです。 リアリティが通奏低音となっている村上龍さんの小説でこれは致命的だと思います。 あと主人公がさまざまな残酷な事件に遭遇してもなお危険な場所に飛び込んでいく 動機もリアリティがないです。 失職し妻子と離ればなれというだけでそこまで自分の命を省みない行動をするでしょうか? という疑問が常にわいてやはりここも小説の中から浮いています。 多分、二度目くらいの惨劇のときに、作品の中にも出てきますが ビルの清掃とかそういう仕事でなんとかやるという迷いがせめて 主人公の心境として出てきてもいいのに、そういったところがなく ストーリーの細部を詰めるのに注意を払いすぎた感じがあり おもにその二人の登場人物の描写に違和感がありました。 | ||||
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